車を売っても自賠責は戻りません 戻るのは廃車のときだけで、しかも自分で手続きが要ります

🤔「そろそろ、今の車を売ろうかな」
👀「そういえば自賠責保険、まだ半年も残ってる」
😵「このお金、返してもらえるのかな?」
自賠責保険は、車検のときにまとめて払うことがほとんどです。
ですので、売るときに残りがどうなるのか、気になりますよね。
今回は、まさにこの質問をくださった方の記録をお借りしました。
先に答えをお伝えすると、売却では戻りません。
ただ、それは「損をした」という意味ではありませんでした。
そして、本当に気をつけたいのは、じつは廃車にするときのほうなんです。
車を売るとき、自賠責保険の残りは戻りません。
法律で、解約できる場合が決められているからです。
代わりに「自動車税」と「リサイクル料金」は、買取の明細に数字で出ます。
自賠責が戻るのは「廃車(抹消登録)」のときだけです。
ただし、そのときも自分で保険会社の窓口へ行かないと、1円も戻りません。
しかも戻る額は、単純な月割りではありません。
まずは、いただいたご相談です
車を売却することになりました。
自賠責保険がまだ半年あるのですが、解約して返金してもらうことは出来ますか?
ご相談の文には、契約している保険会社の名前も書き添えてありました。
とてもシンプルなご質問ですが、答えははっきりしています。
そして、この方があとで書いてくださった一言が、この記事の芯になりました。
🗣 「任意保険の解約はしたことあるけど、自賠責は聞いたことなかったので、質問させていただきました」
そうなんです。
任意保険と自賠責では、解約のルールがまったく違います。
同じ「保険」でも、別ものだと思っておいたほうが分かりやすいくらいです。
この2つが何を補償するもので、どう違うのかは、納車のときの手続きの記事で整理しています👇
売却では、自賠責は戻りません
任意保険は、途中でやめれば残りが返ってきます。
でも自賠責は、そもそも途中でやめられません。
公式には、こう書かれています。
「自賠責保険は、強制保険であるため、次の場合を除き、解除(解約)できません」
※出典=日本損害保険協会「損害保険Q&A くるまの保険 問4」(自賠法第20条の2、自賠法施行規則第5条の2/2026年9月に確認)。
その「次の場合」は11通り決められていて、車を売るとき(名義を変えるとき)は入っていません。
読者の方に関わりそうなものだけ、挙げておきますね。
- 抹消登録(永久抹消登録・輸出抹消仮登録・一時抹消登録)を受けた場合
- 軽自動車などで、使用をやめてナンバープレートを返した場合
- 重複して契約していた場合
並べてみると、共通点が見えてきます。
その車が公道から降りたときだけ、というルールなんですね。
なぜ、そういうルールなのか
自賠責は、人ではなく車1台ごとにかかる保険です。
事故に遭われた方を救うための、最低限の備えを切らさないための仕組みなんですね。
車が次の方の手に渡っても、その車に保険が付いたままなら、補償は途切れません。
ですので、売るときに解約させないのは、理にかなっています。
ちなみにご相談者さまは、保険会社の名前も書いてくださっていました。
でも、ここはどこの会社でも同じです。
法律で決まっていることなので、会社によって違いは出ません。
代わりに、明細に出るお金が2つあります
では、売るときに戻ってくるお金は無いのでしょうか。
そんなことはありません。
戻る(正確には買取価格に上乗せされる)ものが、2つあります。
自賠責と並べてみると、違いがはっきりします。
| お金の名前 | 売ったときの扱い | 明細に出るか |
|---|---|---|
| 自動車税 | 残りの月数ぶんが、買取価格に上乗せされるのが一般的 | ⭕ 出る |
| リサイクル料金(預託金) | 車と一緒に次の方へ引き継がれ、その分が上乗せされる | ⭕ 出る |
| 自賠責保険 | 🔴 戻らない(解約できないため) | ❌ 出ない |
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
自動車税とリサイクル料金は、売却のときの明細書の内訳に、数字で書かれます。
つまり、目で確かめられるということですね。
お店に「考慮していただいていますか」と聞くより、明細を見るほうが早いです。
だいたい、いくらぐらいか
金額は、売る時期と車によって変わります。
たとえば年度末に近い時期なら、自動車税の残りは1〜2か月ぶんです。
それにリサイクル料金を足して、ざっくり2万円前後ということもあります。
ただ、これはあくまで概算です。
車種でも時期でも、まるで変わります。
ですので「いくらか」を覚えるより、「明細に出ているか」を見るほうが、ずっと役に立ちます。
売るときの書類まわりは、こちらにまとめました👇
なお、ご家族やご友人との個人売買では、話が変わります。
月割りで精算するのは業者どうしの商習慣で、決まりがあるわけではないからです👇
では、自賠責の残りはどこへ行くのか
「じゃあ、残り半年分は誰のものになるの?」
気になりますよね。
答えは、車と一緒に、次の方へです。
自賠責保険証明書は、車検証などと一緒に、次の所有者の方へお渡しします。
次の方は、その残り期間ぶん、自賠責を買い直さずに済むわけですね。
ですので、価値が消えてなくなるわけではありません。
ただし、自動車税やリサイクル料金のように明細に「自賠責ぶん」として出てくるものではありません。
車そのものの値段の中に、溶けている、というイメージです。
だからこそ、1社の言い値で決めないことが効いてきます。
同じ車で、同じ残り期間なのに金額が違うなら、その差がそのまま答えになりますから。
廃車なら戻ります。ただし、自分で窓口へ
ここからは、廃車にする場合のお話です。
抹消登録をすれば、自賠責は解約できます。
でも、ここに大きな落とし穴があります。
「保険(共済)契約については廃車した時点ではなく、損害保険会社(共済組合)にて手続きをして頂いた時点で初めて解約することとなりますので、十分にご注意下さい」
※出典=国土交通省 自賠責ポータルサイト「よくあるご質問(解約に関するよくある質問)」(2026年9月に確認)。
つまり、廃車にしただけでは、1円も戻りません。
自分で保険会社に連絡して、手続きをして、はじめて解約になります。
どこへ行けばいいのか
ここも、公式にはっきり書かれています。
「契約されている損害保険会社(共済組合)の窓口(代理店ではできません)にて解約の手続きが可能です」
「連絡先は、自賠責保険・共済証明書の下欄に記載してあります」
※出典=同上(国土交通省 自賠責ポータルサイト/2026年9月に確認)。
代理店ではできません、というところが大事です。
いつもお世話になっている車屋さんや代理店さんに頼んでも、この手続きだけはできないんですね。
連絡先は、自賠責保険証明書の下のほうに書いてあります。
持っていくもの
- 解約承認請求書
- 自賠責保険証明書
- 契約者ご本人だと分かるもの(運転免許証など)
- 解約できる理由が分かる書類(廃車なら登録事項等証明書など)
※出典=日本損害保険協会「損害保険Q&A くるまの保険 問4」(2026年9月に確認)。
廃車にしたのに自賠責が戻らなかった、というお話を、ときどき聞きます。
多くは手続きをしていないか、証明書が車と一緒に行ってしまったか、のどちらかなんです。
自賠責保険証明書は、車の中に入れっぱなしのことが多いので、引き渡す前に抜いておいてくださいね。
廃車を頼むときに「自賠責の解約はどうすればいいですか」と一言聞いておくと、安心です。
ちなみに、廃車にするつもりのお車でも、値段がつくことがあります👇
いくら戻るかは「月割り」ではありません
最後に、金額のお話です。
「残り半年なら、半年分が戻る」と思われがちですが、そうはなりません。
公式には、こう書かれています。
「保険料には損害保険会社(共済組合)の手数料が含まれており、返戻金額は手数料や保険期間を勘案した額となります」
「仮に保険期間が始まる前に解約しても、全額の還付は受けられません」
「保険期間の残りが1か月未満の場合、解約返戻保険料はありません」
※出典=国土交通省 自賠責ポータルサイト「よくあるご質問」(2026年9月に確認)。
払った保険料の中には、手数料も入っています。
戻るのはそこを差し引いたぶんなので、単純な月割りより少なくなります。
いちばん気をつけたいのは、日にちです
返す金額の計算方法は、公式の料率表に書かれています。
そこに、こういう注意書きがありました。
「未経過月数は、保険期間月数-既経過月数とする。ただし、既経過月数に端数を生じた場合は、その端数を1か月に切り上げる」
※出典=損害保険料率算出機構「自動車損害賠償責任保険基準料率」(2026年4月30日届出/2026年9月に確認)。
つまり、1日でも過ぎたら、その月はまるごと「過ぎた月」として数えられます。
手続きが1日遅れるだけで、1か月分まるごと減ることがあるということですね。
廃車にしたら、その足で保険会社へ。
これが、いちばんの答えだと思います。
正確な金額は、保険会社に聞くのがいちばん早いです(連絡先は証明書の下欄でしたね)。
ちなみに、自賠責の保険料そのものが上がります
2026年11月1日から、自賠責保険の料率が改定されます。
自賠責保険基準料率が、平均6.2%の引き上げ。
自家用乗用自動車(24か月契約・離島と沖縄県を除く地域)で、5.2%(910円)の引き上げ。
金額でいうと、17,650円から18,560円へ。
※出典=損害保険料率算出機構「【自賠責保険】基準料率届出のご案内(2026年4月30日 金融庁長官への届出)」(2026年9月に確認)。
適用されるのは、2026年11月1日以降に保険期間が始まる契約です。
ただ、だからといって車検を前倒しする必要はありません。
早く受ければ、その分だけ次の車検も早く来るだけですから。
「そういう改定があるんだな」と知っておく、くらいでちょうどいいと思います。
ご相談者さまの、その後
この方は、こう返してくださいました。
🗣 「任意保険の解約はしたことあるけど、自賠責は聞いたことなかったので、質問させていただきました」
🗣 「自動車税とリサイクル料は買取価格に含まれているのは承知の上での売却です」
🗣 「その分高く売れたので大丈夫です」
読んでいて、いいなと思いました。
この方は、もう分かっておられたんです。
自動車税もリサイクル料金も知っていて、そのうえで納得して売られています。
分からなかったのは、自賠責だけでした。
そして、それは当たり前のことだと思うんです。
任意保険は、自分で契約して、自分で解約するものですよね。
でも自賠責は、車検のときにお店がまとめてやってくれることがほとんどです。
自分で触ったことがないものは、分からなくて当然なんですよ。
だから、聞いていただけてよかったなと思っています。
まとめ|売るときと、廃車にするときで、まったく違います
- 車を売るとき、自賠責は戻りません(法律で、解約できる場合が決まっているからです)
- 代わりに自動車税とリサイクル料金は明細に数字で出ます。目で確かめてください
- 自賠責の残りは車と一緒に次の方へ。消えはしませんが、明細には出ません
- 廃車なら戻ります。ただし自分で保険会社の窓口へ(代理店ではできません)
- 1日遅れると1か月分減ることがあるので、廃車にしたらその足で
- 自賠責保険証明書は、車を引き渡す前に抜いておく
自賠責は、車検のたびにお店が黙って整えてくれているものです。
ふだん意識しないのは、それだけうまく回っているということでもあります。
ですので、売るときや手放すときに一度だけ思い出していただければ、それで十分です。
お車を手放すときは、自動車保険(任意保険)の手続きも忘れずに。
次の車に乗り換える予定があるなら、このタイミングで見直しておくとスムーズですよ👇
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