雪国でも、下回り塗装はやらなくて大丈夫です ただし条件がひとつあります

雪国、とくに東北地方にお住まいのドライバーにとって、冬場の悩みのタネのひとつが「車のサビ」ですよね。
道路に撒かれる融雪剤(塩化カルシウムなど)は、雪や氷を溶かしてくれて助かる反面、車の金属部分、とくに見えにくい「下回り」のサビを強く進めてしまいます。
ディーラーや車屋さんに行くと、😳「下回りの錆止め塗装、やっておいた方がいいですよ!」と勧められることも多いと思います。
その一方で、こんな疑問や不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
🤔「本当に必要なのかな?」
🌀「費用も結構かかるみたいだし…」
😥「周りはやってない人も多いけど、大丈夫なのかな?」
とくに、最後のひとつ。
周りがやっていないから自分もやらない、でいいのか。
それとも、自分だけが手を抜いていることになるのか。
ここがはっきりしないままだと、冬が来るたびに同じところで迷うことになります。
やらない、と決めて大丈夫です。
「乗り潰すつもりだから」という理由でも、それはじゅうぶんな理由になります。
サビで困るのは、安全ではなく車検のほうです。
ただ、条件がひとつだけあります。
冬のあいだ、月に1回でいいので、下回りに水をかけること。
そして、いま乗っているお車と、次に買う新車とでは、答えが変わります。
ご相談者さまが聞きたかったのは、2つでした
まずは、いただいたご相談です。
知人と車の話になり、「下回りの塗装をした方がいいか」という話題が解決しませんでした。
私の住む地域は雪深く、融雪剤が撒かれます。
車屋さんからは「下回りに錆止めを塗るように」と言われますが、必要かどうか、頻度はどうかが分かりませんでした。
話し合いの場には10年くらい乗り続ける人が多数で、乗り潰すから売るときの状態はあまり気にしない、という流れでした。
車屋さんからすると、この考えはいかがでしょうか。
錆びないにこしたことはありませんが、他のトラブルを誘発するなど見落としがあれば教えてほしいです。
このご相談、ふたつのことを聞かれています。
ひとつは、「乗り潰すつもりなら気にしなくていいのか」を、車屋さんの側から見てどうか。
もうひとつは、「サビが、サビ以外の何かを引き起こすことはないか」。
どちらも、当時お答えしました。
順番にお話ししていきますね。
まず、下回り塗装には3つあります
ひとくちに「下回り塗装」「錆止め」と言っても、中身はいくつかに分かれます。
効果も持ちも、まったく違います。
① 厚塗りタイプ(ノックスドール、スリーラスターなど)
新車のときや購入時に、専門の業者さんやディーラーで施工することが多いタイプです。
厚みと弾力のある塗膜をつくって、塩分や水分、飛び石から下回りを物理的に守ってくれます。
防錆の効果はこの3つのなかでは高く、しっかり守れる印象です。
もし私がやるなら、これを選びますし、実際に施工したこともあります。
② シャシブラック系(車検のときに塗られる黒い塗料)
正直なところ、本格的な防錆効果はあまり期待できません。
塗膜が薄く、すぐに剥がれてしまうことが多いからです。
黒々として見た目がきれいになる、いわばお化粧のようなものと考えると分かりやすいと思います。
本気でサビから愛車を守りたい方には、あまりおすすめしていません。
③ 油膜・ワックスタイプ
ガソリンスタンドなどで「下回り防錆」としてメニューになっていることがあります。
一時的な効果はある程度ありますが、厚塗りタイプほどの持続性や物理的な保護力はありません。
飛び石による傷から出るサビには弱い、という弱点もあります。
あと、施工したあとのお車は整備のときに手がベタベタになるので、整備士さんからはあまり好かれない傾向があります(笑)。
何をするにしても、錆びる前に行う新車時がいちばん効果的です。
サビで困るのは、どんなときか
では、なぜ車屋さんは下回り塗装を勧めるのでしょうか。
理由はふたつあります。
ひとつは、見た目です。
ボディがきれいだと嬉しい、その延長線上で、下回りもサビでみすぼらしくないと嬉しい。
そういう気持ちがあるなら、やった方がいいと思います。
これは、立派な理由です。
もうひとつは、サビでフロア(床)やマフラーに穴が開くと、車検に通らなくなることです。
穴が開いた床を溶接で直すと、ディーラーではしっかり直してくれるぶん、一か所5万円ぐらいかかります。
もっと安く直してくれるところもあるかもしれません。
その修理費用をなくすために、先に錆止めをしておく。
下回り塗装が勧められるのは、そういう意味合いです。
サビで穴が開いても、それだけで危なくなるわけではありません
ここが、ご相談者さまが聞きたかったもうひとつのことです。
「サビが、サビ以外の何かを引き起こすことはないか」。
サビって、見た目が気になりますよね。
でも「表面のサビ」と「穴が開くサビ」は、別物なんです。
錆びてちょっと穴が開いたぐらいで、死ぬほどの事故に簡単にはなりません。
錆びたら危ないところは、メーカーもちゃんと対策していますので😊
車には、錆びたら危ない場所と、錆びてもすぐには困らない場所があります。
そして、危ない場所のほうは、メーカーが設計の段階で手を打っています。
ですから、下回りが茶色くなっていても、それがそのまま「危ない車」になるわけではありません。
もちろん、例外はあります。
大型のバスやトラックのように、過酷な使われ方を長い期間しているものは、稀に危険なところまでサビていることがあります。
毎日長い距離を走る商用のお車をお持ちでしたら、そこは点検のときに見ていただいてください。
ただ、ふつうの乗用車で10年前後を乗る、という使い方なら、そこまで心配しなくて大丈夫です。
困るのは「安全」ではなく「車検」のほう。
そう覚えていただければと思います。
「周りはやっていない」は、体感として正しいです
昔の車は、雪の多い地域では10年経たずに下回りに穴が開くこともありました。
でも、最近の車の防錆技術は、そのころとは変わっています。
メーカーも、下回りに錆びにくい鋼板を使ったり、防錆処理をしたりしています。
ここで、ご相談者さまの話し合いの場を思い出してみてください。
10年くらい乗り続ける方が多数で、「乗り潰すからやらない」という流れになっていた、とありました。
みなさんが肌で体感していて、それで「なくても良いのでは?」という結論に至っている。
それはたぶん、まだ車が新しいのにサビで穴が開いて困った、というケースにそんなに直面していないからだと思います。
つまり、その体感は当たっています。
周りがやっていないのは、手を抜いているからではありません。
実際に、困っていないからです。
試しに、何もしないでみてください
ですので、私の考えはこうです。
愛車をできるだけきれいに乗りたい、という想いが特別にあるわけではないのなら、特別な処理は何もしなくていいと思います。
試しに何もしないでみて、10年以上とか、満足に乗れるのであれば、今後もその方法でカーライフを送っていただいていいと思います。
錆びてみすぼらしいところは、出ます。
でも、表面上なだけのことも多いんです。
「やらない」は、決められる選択肢です。
そして、10年後にご自身のお車を見て、それで満足できているなら、その判断は正しかったということになります。
答え合わせは、ご自身の車がしてくれますよ。
やらないと決めるなら、条件がひとつあります
ただし、まったく何もしないのと、これだけはやるのとでは、差が出ます。
それが、下回りに水をかけることです。
サビの原因は、雪そのものではありません。
道路にまかれる融雪剤の、塩分です。
ですから、塩分がついたら早めに洗い流す。
それだけで、下回りの持ちは変わってきます。
私自身も、以前はノックスドールなどを施工したことがあります。
でも結局、冬場に意識して下回りを水で洗い流すだけで、たいして錆びないことに気づいてしまいました(笑)。
頻度は、2週間に1回、せめて1か月に1回ぐらい流せれば、だいぶ違います。
高速道路や幹線道路で融雪剤をがっつり浴びた日は、帰ってすぐか、数日のうちに流せると理想です。
これだけで、10年持つのが15年持つぐらいの違いは出てくるような気がします。
ぜひ、ご自身のお車でも実験してみてください。
いつ洗うのが効くのか、春先はどうするのか、費用で比べるとどうなのか。
洗い方と費用の具体的なところは、こちらでまとめています。
洗うのが難しい方と、次に新車を買う方へ
「冬に外で水を使うなんて無理」という方も、もちろんいらっしゃると思います。
その気持ちも、よく分かります。
そもそも、庭やホースがある住まいでないとできません。
洗車機の「下回り洗浄」オプションで、じゅうぶんです
そういう場合は、洗車のついででかまいません。
- ガソリンスタンドなどの洗車機で「下回り洗浄」のオプションを付ける
- コイン洗車場の高圧洗浄ガンで、下回りに水をかける
このどちらかで大丈夫です。
特別なことをする必要はありません。
水で塩分を流すことが目的ですからね。
洗うこと自体が難しい地域にお住まいの方は
それも難しい環境の方――たとえば、洗車をしていると凍ってしまうような地域にお住まいの方は、話が変わります。
その場合は、環境を考えて、ガッチリした錆止めを錆びる前にやっておく、という選択肢も損はしないと思います。
両方やれれば最強ですが、手間をかけられないなら、そちらに寄せるという判断です。
次に新車を買うときは、話が変わります
そして、次に新車を買うとき。
錆止めがもっとも効くのは、錆びる前です。
ですから「いま乗っている車は洗って、次に買う新車には塗る」という組み合わせは、とても理にかなっています。
ただ、正直に申し上げます。
私は、特定の錆止め剤を「これがおすすめです」と言えるほど詳しくないんです🙇
私が施工したことがあるのは、ノックスドールとスリーラスターで、どちらも膜厚のある防錆塗料を吹き付けるものでした。
お店選びで、ひとつだけ
お店選びについて、ひとつだけ。
下回り塗装も、洗車やコーティング、板金塗装と同じで、職人さんの仕事です。
誰がやるのか、どのお店がやってくれるのかが見えるところにお願いすると、満足度が高いと思います。
「うちはマフラーやアンダーカバーを外して、ガッチリやっています」というように、こだわりを話してくれるお店だと、やった甲斐も出てきますよ。
ちなみに、ノックスドールは工具屋さんやネットでもスプレー缶が売っています。
仲の良い整備工場があれば、車検やタイヤ交換のときに渡して「剥がれているところに軽く吹いておいてください」とお願いするのも良いかもしれませんね(もちろん有料のつもりで)。
「サビてますよ」と言われたときの、聞き方
車検などで「下回り、サビてますね」「錆止め塗っておきましょうか?」と言われたら。
ここで見るのは、塗るか塗らないかではありません。
どう説明してくれるか、です。
「サビてるから塗りましょう」だけなら、まだ判断の材料が足りていません。
一方で、「この部分のサビが進むと、こういうことになります」と、場所とリスクをセットで話してくれるなら、そこは深掘りして聞いてみる価値があります。
答えそのものより、どう答えてくれるか。
そこに、そのお店があなたのお車に向き合っているかが出ます。
ちなみに、タイヤ交換のときに勧められやすい「ハブの錆止め」も、やるべきかどうかは同じ考え方で判断できます。
塗るかどうかより、優先順位のほうが大事です
最後に、この記事でいちばんお伝えしたいことを。
カーライフもですが、100点を取ろうとしなくていいんです。
そして、人それぞれの80点があります。
オイル、タイヤ、ブレーキ。
限られた時間とお金のなかで、どれを先にやるか。
その優先順位を決めて、しっかり整備しながら乗っていければ、それでじゅうぶんです。
あくまで私の感覚ですけれど、下回りの錆止めは、その優先順位のなかで上のほうではありません。
同じお金を使うなら、オイルやタイヤのほうが、お車は長持ちすると思います。
やらないと決めた方は、そのぶんを別のところに回してください。
それは、手抜きではなく、選択です。
逆に、やると決めて、ご自身の手で塗ってみたいという方もいらっしゃると思います。
その場合にいちばん大変になるのは、じつは塗る作業ではありませんでした。
錆止めのメニューごとに、やる・やらないを整備士目線で整理した記事もあります。
まとめ|やらない、と決めていいんです
- 「やらない」は、決められる選択肢(乗り潰すつもりなら、なおさら)
- サビで穴が開いても、それだけで危なくなるわけではない(困るのは安全ではなく車検)
- 周りがやっていないのは、実際に困っていないから
- ただし条件がひとつ=冬のあいだ、月1回でいいので下回りに水をかける
- 洗えない環境なら、次に買う新車のうちに錆止めを(錆びる前が効く)
- 車検のシャシブラックは、ほぼ見た目のため
毎年、冬が来るたびに同じところで迷うのは、しんどいですよね。
ここで一度、ご自身で決めてしまってください。
そして、その判断には自信を持っていただいて大丈夫ですよ。
✅ 愛車の防錆対策チェックリスト
- ☑️ 冬のあいだ、月1回は下回りに水をかける(洗車機の下回り洗浄でOK)
- ☑️ 融雪剤の道をたくさん走った週は、こまめに
- ☑️ 春に融雪剤が終わったら、一度しっかり洗う
- ☑️ 錆止めをやるなら、錆びる前(新車・購入時)に厚塗りタイプで
- ☑️ 毎日長い距離を走るお車(商用車など)は、点検のときに下回りも見てもらう
- ☑️ 「サビてますよ」と言われたら、場所とリスクを聞いてみる
ご相談者さまの、その後
このご相談には、続きがあります。
ご相談者さまから、こうお返事をいただきました。
私も体感で定期的に下回り洗浄しとけば大丈夫じゃない?って思っていたので自信がつきました(笑)
後は新車納入時にしっかり塗装しようと感じました!
やるか、やらないか、ではありませんでした。
いま乗っている車は洗う。
次に新車を買うときは塗る。
そういう組み合わせに、ご自身でたどり着かれています。
そして、大きかったのは、たぶんこの一言だと思います。
やはりやらなくてもいい!と私は自分の考えに自信を持てました(笑)
お渡ししたかったのは、たぶん、これなんです。
正解を配ることではなくて、ご自身がもう持っていた答えに、自信を持っていただくこと。
下回り塗装の判断で疑問や不安ある場合は、このページ下の「コメント欄」からお気軽にどうぞ(ニックネームもメールアドレスも要りません)。
なお、これから中古車を買う方で、掲載写真の下回りが傷だらけに見えて不安、という場合は、見るところが少し違います。
傷の深さではなく、錆びる場所かどうかで見分ける方法を、こちらにまとめました👇
【おまけ】サビが多い車でも、諦めなくて大丈夫
雪の多い地域のお車は、どうしてもサビが多くなりがちです。
そうすると、もう車は高く売れないだろうと諦めてしまう方がいます。
でも、そんなことはありません。
下の記事のやり方で、愛車の価値をしっかり引き出すことができます。
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それでは、損しないカーライフをお過ごしください🐧












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