車を手放すとき、自動車保険はそのまま解約しないで 等級を預けておける「中断証明書」の話

転勤、留学、ご病気、あるいは妊娠・出産。
しばらく車に乗らない期間ができて、車を手放すことになった。
そんなとき、「せっかく上がった自動車保険の等級が、リセットされてしまうのはもったいない…」と不安になりますよね。
でも、ご安心ください。
これは朗報です。
一定の期間 車に乗らなくても、今の等級をそのまま守れる「中断証明書」という制度があります。
しかも、特別な手続きは要りません。
車を手放すとき、自動車保険をそのまま解約すると、育ててきた「等級」がリセットされてしまいます。
そうならないために、解約の連絡をするときに「中断証明書も発行してほしい」と、ひと言そえてください。
今の等級を最大10年間そのまま預けておけて、次に車へ乗るときに引き継げます。
ただし「7等級以上」「おおむね13ヶ月以内」など、知らないと使えない条件もあります。
実際にご相談くださった方は、翌朝には保険会社へ連絡すると決めていらっしゃいました。
ご相談者さまの状況|2年間 乗らないので、手放すことにした
この記事は、実際にいただいたご相談をもとに書いています。
ご相談くださったのは、事情があって2年間 車に乗れなくなり、手放すことを決めた方でした。
いただいたご質問は、こんな一文から始まっていました。
恥ずかしい質問なのですが…車両保険についての質問です。
2年間、車を運転することがなくなったので手放そうと思っています。
また、2年後には新車か中古かは決めていませんが車を購入します。
現在入っている保険は手放すと同時に解約となると思うのですが、等級が最初からになるのが残念でなりません。
等級を維持する方法はないのでしょうか? 所有していない期間があるのであれば諦めるしかないのでしょうか?
恥ずかしい質問なんて、とんでもないです。
むしろ、解約の電話をかける前にここまで調べる方は、そう多くありません。
そして答えは、「諦めなくて大丈夫です」でした。
転勤や留学、出産などで一時的に車を手放す方から、この等級のご相談はよくいただきます。
結論から言うと、諦めなくて大丈夫です。
「中断証明書」を出してもらえば、いまの等級をそっくり取っておけるんです。
知っているかどうかだけで、これから先の保険料がずっと変わってくる、とても大事な制度なんですよ。
なお、手放すかどうかを、まだ迷っている段階の方はこちらもどうぞ。
その等級は、14年かけて育てたものかもしれません
自動車保険の等級(ノンフリート等級)は、無事故を続けることで割引率が上がり、保険料が安くなる大切な要素です。
通常、保険を解約すると、この等級は失効してしまい、次に車に乗るときは、基本的に新規契約(通常6等級)からのスタートになります。
ここで、ひとつ知っておいていただきたい数字があります。
新規の6等級から、いちばん上の20等級までたどり着くには、無事故を続けても最短で14年かかります。
1年に1つずつしか上がらないからです。
つまり等級は、お金で買ったものではなく、時間をかけて積み上げてきたものなんですね。
それがゼロに戻ってしまうのは、やっぱりもったいないです。
「一時的に車に乗らないだけなのに、等級は諦めるしかないの?」と思ってしまいますよね。
いいえ、諦める必要はありません。
そのための制度が「中断証明書」なのです。
「中断証明書」があれば、等級は預けておけます
「中断証明書」とは、自動車保険を解約するときに、保険会社に発行してもらう書類のことです。
この証明書があれば、解約時の等級を最大10年間 保存しておくことができます。
つまり、2年後にまた車に乗る場合でも、この中断証明書があれば、解約した時と同じ高い等級から保険を再開できるのです。
「中断証明書」の3つのメリット
- 等級の維持: 最大のメリットです。高い等級を引き継げるので、再開後も保険料の割引を受けられます
- 保険会社は自由に選べる: 中断証明書は、以前加入していた保険会社だけでなく、別の保険会社で新規契約するときにも使えます。ネットのダイレクト保険など、より条件の良い会社を選び直すこともできます
- 最大10年間有効: ライフプランに合わせて、余裕を持った計画が立てられます
「中断証明書」を頼むときの手順
手続きは、とても簡単です。
ただ、ひとつだけ順番に気をつけてください。
自動車保険は、車に乗らなくなる予定の日に、解約の届けを出す必要があります。
「手放してから連絡すればいいや」ではなく、予定が決まった時点で先に伝えておくのがコツです。
- 乗らなくなる予定日を、先に保険会社へ伝える: 車を手放して保険を解約する日が決まったら、その予定日を先に保険会社へ連絡し、解約の書類を作っておいてもらうとスムーズです
- 解約の申し出: 解約したい旨と、解約希望日を伝えます
- 【重要】中断証明書の発行依頼: 解約の手続きと同時に、「今の車は一旦手放して、数年後にまた乗る予定なので、中断証明書も発行してほしい」と伝えてください。このように伝えるとスムーズです
- 書類の受け取りと保管: 後日、保険会社から中断証明書が郵送などで届きます。再発行もできますが、手間がかかるので、なくさないよう大切に保管しましょう
ポイント: 保険会社によっては、解約の理由をうかがう中で「中断証明書は必要ですか?」と聞いてくれることも多いです。
不明な点があれば、遠慮なく質問しましょう。
解約日は「満期日と同じ月日」に近づけるとムダが出ません
保険料を月払いにしている場合、解約日によっては少し損をしてしまうことがあります。
たとえば、保険の満了日が10月1日で、車の売却などで解約するのが9月2日だったとします。
この場合、たった1日のために、9月分の保険料が1ヶ月分まるまる請求されてしまうことがあります。
もし手放す日を少し調整できるなら、解約日を更新日に近い9月1日や8月31日に合わせると、無駄な保険料をほとんど払わずに済みます。
先に知っておきたい、中断証明書の3つの条件
手続き自体は簡単ですが、実は中断証明書には「知らないと取得できない・無駄になる」条件があります。
解約の連絡をする前に、これだけは知っておいてください。
① 等級が「7等級以上」でないと、あまり意味がない
中断証明書は、一般的に 解約時の等級が7等級以上でないと発行されないことが多いです。
事故が続いて6等級以下になっている場合は、中断しても再開時の新規6等級とあまり変わらない(もしくは損)ため、メリットはなくなります。
② 申請には「期限」がある(おおむね13ヶ月以内)
中断証明書は、解約日(満期日)の翌日から、おおむね13ヶ月以内に発行を申請する必要があります。
「あとで気が向いたら…」と後回しにすると、間に合わなくなることがあるので、解約と同時に依頼するのが確実です。
③ 「乗らないだけ」では中断できない(手放した証明が必要)
中断証明書は、単に「しばらく乗らないから解約する」だけでは発行されないのが原則です。
廃車・譲渡(売却)・車検切れ・一時抹消登録など、「車に乗れる状態ではない」ことの証明が必要になります。
なお、海外赴任や留学で出国する場合は「海外特則」という別の中断もあり、こちらも有効期限は最大10年です。
この記事のご相談者さまは、結果としてこの条件を満たされました。
実際に車を手放されたので、中断証明書を出してもらえたんですね。
※これらの条件は保険会社によって細かい違いがあります。
最終的には、必ず契約している保険会社で確認してくださいね。
私がこの制度を声を大にしてお伝えしたいのは、知らずに保険を解約して、コツコツ育てた等級を失ってしまう方を、一人でも減らしたいからです。
保険会社が「中断証明書は必要ですか?」と聞いてくれることもありますが、聞かれないまま手続きが進んでしまうこともあります。
少しでも分からないことがあれば、保険会社に遠慮なく質問してくださいね。
それも立派な「損しないコツ」ですよ。
保険を再開するときは、会社を選び直せます
中断証明書には、もうひとつ良いところがあります。
預けた等級は、もとの保険会社に戻らなくても使えるんです。
別の会社で新しく契約するときにも、ネット型のダイレクト保険を選ぶときにも、そのまま引き継げます。
つまり再開のタイミングは、保険会社を選び直せるチャンスでもあるんですね。
とはいえ、2年後の話ですから、いま比べる場面ではありませんよね。
ただ「もとの会社に戻らなくてもいい」と知っておくだけで、再開のときの選択肢はぐっと広がります。
今日決める必要は、まったくありません。
ステップ① 自動車保険の考え方を整理する
どの補償をどこまで付けるか、先に自分の物差しを持っておくと、金額だけに引っぱられずにすみます。
ステップ② 再開が近づいたら、複数社を比べてみる
一括見積もりは、条件を1回入れるだけで、複数の保険会社の保険料が並ぶ仕組みです。
いまの保険料がどのあたりなのかを見ておくだけでも、2年後の判断はずいぶん楽になります。
比較するだけなら無料ですので、再開が近づいたら、ぜひ一度どうぞ。
「個人から法人に切り替える」ときも等級を引き継げるケースがありますので、仕組みと手続きをまとめたこちらもどうぞ🚗
なお、保険を再開するときは、運転する人を「本人・配偶者」などに限定すると、保険料をさらに抑えられますよ。
まとめ:解約の電話で、ひと言そえるだけです
一時的に車を手放すことになっても、「中断証明書」があれば、大切に育ててきた自動車保険の等級を無駄にせずに済みます。
- 車を手放す際は、保険解約時に「中断証明書」の発行を依頼する
- 証明書は最大10年間、等級をキープしてくれる
- 再加入時は、どの保険会社でも利用できる
- 「7等級以上」「申請はおおむね13ヶ月以内」など、発行条件は事前に確認する
- 解約日は、満期日と同じ月日に近づけるとムダが出にくい
新規の6等級から20等級まで、最短でも14年。
その14年を、電話のひと言で預けておけます。
使わない手はない、と私は思います。
ご相談者さまの、その後
このご相談には、続きがあります。
翌朝、こんなお返事をいただきました。
中断証明書があるなんて…最高ですね。
乗らなくなる時期は概ね決まっているので早速保険会社に連絡してみようかと思います
等級は宝ですから、大切に大切に育ててくださいね——そうお返ししました。
そして、それから2週間ほどして、この方から別のご報告が届きました。
実際に、車を手放されたそうです。
最初に行かれた買取店では、いったん30万円という話が出て、そのあと「やっぱり25万円なら」という金額に落ち着いたそうです。
こういうことは、めずらしくありません。
現場で出た見立てと、会社として出せる金額が、いつも同じとは限らないからです。
ですから私がお伝えしたのは、そのお店が悪い、ということではありませんでした。
急いでいないなら、ほかでも見積もりを取ってみてはどうでしょう——それだけです。
数日後に届いたご報告が、これです(内容を編集して掲載しています)。
1社目で25万と査定された24年式のキューブが、別のお店では即決価格で33万円になりました。
知り合いの中古車屋さんに話しても33万なら決めても良いと思うと言われたので、そちらで決めました。
ホントに相見積もりの大切さを痛感しております
25万円と33万円。
わずか数日のあいだに起きた、同じ車の話です。
そして、忘れてはいけないことがもうひとつあります。
この方は車を手放したからこそ、中断証明書を出してもらえたということです。
「乗らないだけ」では中断できない——3つ目の条件を、結果として満たされた形になりました。
「もう値段はつかないだろう」と思っていた車に、思わぬ値がつくことは、けっこうあります。
じつはこの方からは、この2週間前にも、別のご相談をいただいていました。
「半年動かしていない車で、帰省して遠出しても大丈夫でしょうか」というものです。
そのときのやりとりは、こちらにまとめています。
点検して乗るか、レンタカーにするか、それとも手放すか。
この方は、ひとつずつ確かめて、最後に手放すという答えにたどり着かれました。
どれも、はじめの時点では正解の見えていなかった問いです。
ひとつずつ聞いて、ひとつずつ決めていけば、ちゃんと着地するんですね。
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うまく言葉にできなくても大丈夫です。私が読んで、お返事します。
お返事は、このページのコメント欄に書きますので、また見に来てくださいね。
※ 車種や金額など、ご自身が特定されそうな情報は書かないでくださいね。