著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

残価設定ローンで車を買ったあとに、「銀行のカーローンのほうが金利が安い」と知って、モヤモヤしていませんか?

🤔「いまから借り換えたほうが得なのかな?」

🤔「一括返済すれば、手数料は払わなくて済むのかな?」

残価設定ローンは仕組みが独特なので、総支払額の計算が分かりにくいんですよね。

今回は、残価設定ローンで購入された方からいただいたご相談をもとに、元ディーラー営業の立場から「借り換えの手順」「損しないための注意点」をお伝えします。

✅ 結論からお伝えします

借り換えを考える前に、まず「その車に、最後まで乗り続けるか」を決めるのが先です。

乗り続けるなら、金利の低い銀行ローンへの借り換えで、総支払額を抑えられる可能性があります。

ただし、「一括返済すれば、残りの割賦手数料がまるごと消える」わけではありません。

残価設定ローンも「78分法」という、返済の初期ほど手数料を重く配分する計算方法が基本だからです。

借り換えの損得は、戻ってこない手数料「早期完済手数料」も入れて比べてくださいね。

借り換えの手順は、本文で5つのステップにまとめました(肝は「審査の承認が先・一括返済が後」の順番です)。

ご質問

いただいたご相談内容です(内容を編集して掲載しています)。

車のローンについて、早めに返済するために一括返済を目標に積み立て貯金をしようと考えていました所、疑問が出てきたので、相談です

現在、銀行のカーローンの方が金利が安いという情報を見かけ、銀行での借り入れも検討しています

ただ、今回の購入は残価設定型ローンで行ったため、総支払額の計算がよくわからなくなってしまいました

残価設定での支払い総額がディーラーローンより少ないのは、ディーラーのローンに組み込まれている手数料(割賦手数料)が関係しているのでしょうか?

また、一括返済すれば、その割賦手数料は不要になるのでしょうか

現状、以下の2つの方法で迷っています

  1. 銀行でカーローンを組み、ディーラーに一括返済を行い、その後カーローンを返済する
  2. このまま残価設定ローンを続け、60ヶ月目に残りを一括返済する

また、銀行でのカーローンを利用する場合の手順は、次のように考えていますが、これで正しいでしょうか?

  1. ディーラーで一括返済の金額を確認
  2. 銀行などで、利息込みのカーローンの見積もりを取得
  3. ディーラーに一括返済を実行
  4. 銀行でのローン返済が開始

我が家としては、これが最後の車になる予定ですので、最適な選択についてアドバイスをいただけると助かります

無知な点が多く恐縮ですが、よろしくお願いいたします

ご質問ありがとうございます。

先に整理して考えたいことから、順番にお伝えしますね。

最初の分かれ道は「その車に、最後まで乗り続けるか」

残価設定ローンは、最終回に「残価」という大きな支払いの山が残る仕組みです。

そして最終回には、大きく3つの道が用意されています。

  1. 残価を支払って、乗り続ける
  2. 車を返却して、支払いを終える
  3. 新しい車に乗り換える

もし「最終回に車を返却する」つもりなら、規定の走行距離や状態の範囲内であれば、残価の分は払わずに済みます。

その場合、残価まで含めて借り換えてしまうと、かえって支払いが増えることもあるんです。

いっぽう、ご相談者様のように「これが最後の車、ずっと乗り続ける」という方は、いずれ残価も含めて全額を支払うことになります。

この場合は、「全額を、どの金利で返すのがいちばん安いか」という比べ方ができるので、金利の低い銀行ローンへの借り換えが選択肢に入ってきます。

まず、ここを決めてから数字の比較に進むと、迷いにくいですよ。

ピゴス
ピゴス

乗り続けるか、返却するかが決まると、お金の答えも自然に決まってきます

順番としては、車の使い方が先・数字が後ですよ🐧

「一括返済すれば手数料が消える」わけではない

ご質問にあった「一括返済すれば、割賦手数料は不要になる?」について。

まず前提として、残価設定ローンは月々の支払いが軽くなる仕組みであって、総支払額そのものが安くなるわけではありません。

残価という大きな支払いが後ろに回っているだけで、割賦手数料(分割払いにかかる、金利にあたる手数料)もしっかり含まれています。

そのうえで、一括返済の話です。

一括返済をすれば、まだ払っていない手数料の一部は戻ってきます

ただし、全額が戻るわけではありません

ディーラーローンも残価設定ローンも、「78分法」という計算方法が使われるのが一般的だからです。

これは、手数料の総額を返済の初期ほど重く配分する計算方法です。

たとえば5年ローンをちょうど半分の2年半で返しても、手数料は7割ほどをすでに払っている計算になります。

また、ローンによっては早期完済手数料(繰り上げ返済の事務手数料)が別にかかる場合もあります。

借り換えの損得を比べるときは、この2つも忘れずに入れてくださいね。

数字を使ったくわしい計算例は、こちらでお話ししています。

残クレの一括返済は得か損か?戻るのは金利手数料だけと元ディーラー営業が解説残クレを今すぐ一括返済すべきか、最終回まで待つべきか。元ディーラー営業が、一括返済で戻るのは金利手数料の分だけで、しかも全額は戻らない理由と、決める前に計算してもらう2つの数字をお伝えします。...

借り換えの損得は「実額」を並べて比べる

では、具体的にどう比べればいいのか。

おすすめは、推測で計算せずに「実額」を集めることです。

まずディーラーに、こう聞いてみてください。

「いま一括返済すると、総額いくらになりますか?」

この金額(清算額)には、未経過分の手数料の戻りが反映された金額が提示されます(内訳もあわせて確認してみてください)。

清算額は返済する日によって変わるので、実行予定日を伝えて出してもらうと安心ですよ。

次に、銀行のカーローンで「その清算額を借りたときの総返済額」の見積もりをもらいます。

あとは、この2つを並べるだけです。

  • このまま残価設定ローンを最後まで払った場合の総額
  • いま清算して、銀行ローンで返した場合の総額(清算額+銀行の利息+手数料)

なお、ご質問にあった「60ヶ月目(最終回)にまとめて一括返済する」案は、その時点で割賦手数料をほぼ払い終えているため、手数料の面での節約はほとんど期待できません。

実質的には「①このまま最後まで払う」と同じ土俵の話になります。

一般的には銀行のカーローンのほうが金利が低いので、総額は小さくなる傾向があります。

ただし、戻ってこない手数料や早期完済手数料を入れると、思ったほど差が出ないこともあります

残りの回数が少ない方や、金利差が小さい方は、そのまま払い切るほうがシンプルという結論も、じゅうぶんありますよ。

だからこそ、推測ではなく実額で比べるのが、損しないコツなんです。

もうひとつ、大事な注意があります。

残価の分まで含めて返していくので、同じ返済期間なら月々の返済額は、いまより上がることが多いです。

返済期間を延ばせば月々は下げられますが、そのぶん利息は増えます。

月々が変わっても家計が回るか、そこも一緒に確認してくださいね。

借り換えの手順(5つのステップ)

ご質問に書かれていた4つの手順は、大きな流れとして合っています。

そこに2つだけ補足を加えて、5つのステップにしたのがこちらです。

  1. ディーラーで一括返済の金額(清算額)を確認する
  2. 複数の銀行でカーローンの見積もりを取り、審査を受ける
  3. 審査に通ってから、ディーラーに一括返済を実行する
  4. 車検証の所有者名義を確認し、必要なら変更する
  5. 銀行ローンの返済が始まる

補足の1つ目は、順番です。

銀行の審査に通る前にディーラーへ返済の話を進めてしまうと、万が一審査に落ちたときに困ります。

審査の承認が出てから、一括返済を実行する

この順番だけ守ってください。

また、短期間にいくつもの銀行へ本申し込みをすると、審査に影響することもあります。

まずは金利などの条件で候補を絞ってから申し込むと安心です。

あわせて、ステップ①でディーラーに聞くときは、「一括返済したら、メンテナンスパックはどうなりますか?」も同時に確認してください。

ローンとセットで契約した整備のパックは、完済と同時に終了することがあるんです。

この仕組みと対処法は、こちらでくわしくまとめています。

残クレを一括返済するとメンテパックが消える?損しない天秤のかけ方と確認リスト残クレの一括返済でメンテナンスパックが消えると言われたら?一括返済の総額には残価も含まれ、金利手数料は78分法で全額は戻りません。パックの残り価値との天秤のかけ方と、ディーラーさんに聞くことリストを解説します。...

補足の2つ目は、車検証の所有者名義です。

ディーラーのローンで買った車は、完済まで車検証の所有者がディーラーや信販会社の名義になっていること(所有権留保)が多いんです。

一括返済が終わったら、所有者名義を自分に変更する手続きを忘れずに。

所有権解除に必要な書類と費用は、こちらの記事内の一覧表がそのまま使えます。

車検証の所有者がディーラーのままでも車は売れる?所有権解除は買取店に任せられますローンは完済したのに車検証の所有者がディーラーのまま。その状態でも車は売れます。所有権解除の仕組みと必要書類、ディーラーへの書類依頼のしかた、買取店に代行してもらう進め方を元ディーラー営業がお話しします。...

借り換えの前に、いちばん大事な注意点

ここまで「借り換えで総額を抑える」お話をしてきましたが、ひとつだけ、いちばん大事なことをお伝えします。

手元のお金を空にしてまで、無理に返済を急がないでください。

急な出費が必要になったときに、かえって高い金利で借りることになっては本末転倒です。

もしもの時のための貯えは残したうえで、無理のない返済計画にする。

ここが守れていれば、借り換えはご家庭の総支払額を見直す、良い選択肢になりますよ。

まとめ:金利の前に「乗り方」を決める

今回のポイントをまとめます。

ご相談者様のように「最後まで乗り続ける」ご予定なら、方向性としては銀行で借りてディーラーに一括返済する側が有力だと思います(あとは実額の比較で最終判断を)。

  • 先に「その車に最後まで乗り続けるか」を決める。返却するつもりなら、借り換えないほうが良い場合も。
  • 一括返済しても割賦手数料は全額戻らない(78分法=初期ほど重く配分)。
  • 損得は「いま一括返済すると総額いくら?」の実額と、銀行ローンの総返済額を並べて比べる。
  • 手順は審査の承認が先・一括返済が後。完済後は車検証の所有者名義の変更も忘れずに。
  • 月々の返済額は上がるのが普通。手元の貯えを空にしない範囲で。
ピゴス
ピゴス

ローンの正解は、金利だけでは決まりません

車の乗り方と家計に合っていることが、いちばん損しない選び方ですよ🐧

車のこと全体をゼロから整理したい方は、車の教科書ページもどうぞ。

【はじめに】損しないカーライフの歩き方|6つの章でわかる車の教科書車の維持費・選び方・買い方・保険・売却までを6つの章で整理した入門まとめ。元1級整備士×元ディーラー営業のピゴスが、20以上の記事で損しないカーライフへの歩き方を案内します。困った時に戻れる入口ページです。...

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それでは、損しないカーライフをお過ごしください

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ピゴス
ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、コメント欄や「X」などでいつでもメッセージを承っております。お気軽にどうぞ!