タイヤ交換で必ずかかるのは5つだけ|窒素ガスもサビ止めも断って大丈夫です

😵「うわっ、タイヤの溝がもうツルツルだ…」
😭「次の車検、このタイヤじゃ通らないって言われた!」
タイヤは消耗品だと分かっていても、いざ交換となると、いくらくらいかかるのか見当がつきませんよね。
しかもお店でいざ見積もりを出してもらうと、見たことのない言葉が何行も並んでいます。
組み換え工賃、ホイールバランス、エアバルブ、窒素ガス、防錆処理。
どれが必要で、どれが任意なのか。
名前を知らないと、その場では「全部必要なもの」に見えてしまいます。
そして「これ、全部いるんですか」とは、なかなか聞けないものです。
タイヤ交換で必ずかかるのは、5つだけです。
タイヤ本体代・組み換え工賃・ホイールバランス調整・エアバルブ交換・廃タイヤ処分料。
この5つ以外に並んでいるものは、その場で断って大丈夫です。
断り方も「今回は必須のものだけでお願いします」のひと言で足ります。
お店が勧めてくるのは商売として自然なことで、悪意があるわけではありません。
ただ名前を知っているかどうかだけで、払う金額が変わってしまう。
だから先に、5つの名前だけ覚えて行きましょう。
車検のときに突然「このタイヤでは通りません」と言われると、慌ててしまいますよね。
しかも大きめのお車だとタイヤのサイズも大きく、お値段もそれなりにします。
でも、難しく考えなくて大丈夫です。
覚えることは5つだけですから。
今回いただいたご相談
この記事のもとになったのは、こんなご相談でした。
- 状況:車検に通らないほどタイヤが摩耗してしまい、交換が必要
- お悩み:ディーラーは高いと聞いたが、どこで買うのが適正価格なのか分からない
- お車:SUVタイプ
- ご希望:タイヤの銘柄にはこだわりがない
ご本人の言葉では、こう書かれていました。
車に非常に疎く、ディーラーさんで車検やパーツ交換すると高くつく、これくらいの知識しかなく、初歩的な質問ですみません。
この最後のひと言に、まず一言だけ返させてください。
とんでもないです。
タイヤの見積書をすらすら読める方のほうが、世の中では少数派です。
見積書は、必要なものと任意のものが同じ顔で並んでいます
タイヤ交換の見積書には、思っているより多くの項目が並びます。
ここで厄介なのは、必ずかかるものと、付けても付けなくてもいいものが、まったく同じ書式で1行ずつ並ぶことです。
字の大きさも、行の形も、区別がありません。
お店が意地悪をしているわけではなく、見積書とはそういう書類だからです。
ですから、車に詳しくない方が見れば、上から下まで全部が必要なものに見えます。
逆に言えば、必ずかかる5つの名前さえ知っていれば、残りは全部「任意」だと分かるということです。
見積書を読めるようになる必要はありません。
5つの名前を覚えるだけで、その場で仕分けができます。
タイヤ交換で、必ずかかる5つ
お店でタイヤを買って履き替えるとき、どうしてもかかるのは次の5つです。
① タイヤ本体代(4本分)
タイヤそのものの値段です。
見積書の金額のうち、いちばん大きいのがここになります。
銘柄によって差が出るのもここだけなので、金額を下げたいときに動かせるのも、実はこの1行だけです。
② タイヤ組み換え工賃(4本分)
古いタイヤをホイールから外して、新しいタイヤをはめる作業の料金です。
専用の機械が要る作業なので、自分でやるという選択肢は基本的にありません。
③ ホイールバランス調整(4輪分)
タイヤとホイールを組んだあと、回転させたときの重さの偏りを測って、小さなおもりで釣り合いを取る作業です。
これをしないと、速度が出たときにハンドルや車体が細かく震える原因になります。
地味な項目ですが、省いていいものではありません。
④ エアバルブ交換(4個分)
空気を入れる口の部品です。
ゴムでできていて年数とともに硬くなっていくので、タイヤを外すこのタイミングで一緒に替えるのが基本になります。
小さな部品ですが、ここが割れると空気が抜けます。
⑤ 廃タイヤ処分料(4本分)
外した古いタイヤを引き取って処分してもらう費用です。
持ち帰っても自分では捨てられないので、ここもお願いすることになります。
見積書を渡されたら、まずこの5つが入っているか、そして5つの合計がいくらか。
見るのは、それだけで十分です。
ここから先は、断って大丈夫です
5つ以外に並んでいる項目は、お店によって中身が変わります。
よく出てくるものを、ひとつずつ見ていきます。
先にお伝えしておくと、どれも付けたら損をするという話ではありません。
お店も商売ですから、勧めること自体はごく自然なことです。
ただ、払ったお金に見合うかというと、私はそこまでではないと考えています。
窒素ガスの充填
「空気が抜けにくい」「乗り心地が良くなる」と説明されることが多い項目です。
ただ、そもそもの話をすると、タダで入れてもらえる普通の空気も、8割は窒素です。
残りの2割を窒素に入れ替えて、どれだけ変わるか、というところなんですね。
乾燥した窒素がタイヤの内側の劣化を抑えるといった話もあり、入れて悪いことは何もありません。
それでも、払った金額のもとは取れないかなというのが私の感覚です。
空気が抜けにくいことを期待するくらいなら、月に一度、ガソリンスタンドで空気圧を見てもらうほうがずっと効きます。
そちらは、たいていお金がかかりません。
ハブ(タイヤの取り付け面)のサビ取り・防錆
タイヤを外したときに見える、車体側の金属面の手入れです。
よほどひどいサビでなければ、通常は必要ありません。
この項目は勧められることがとても多く、「固着して外れなくなったら困りますよ」という言い方をされることもあります。
そのあたりを整備士目線で1本まるごと書いた記事があるので、勧められて迷っている方はこちらをどうぞ。
ホイールナット・ボルトの防錆
ナットやボルトに防錆剤を塗る作業です。
気休め程度と考えていただいて大丈夫です。
タイヤのパンク保証・パンク保険
パンクしたときに、タイヤ代の一部または全部を補償してくれるという商品です。
これだけは中身を読んでから決めていただきたい項目になります。
補償される範囲が「購入から1年以内」「1本まで」などと細かく決まっていることが多く、掛け金に対して受け取れる範囲が思ったより狭いことがあるからです。
パンクは、起きるときは起きます。
ただ、毎年のように起きるものでもありません。
起きたときに、その出費が本当に困る金額かどうか。
そこで決めるのが、私は分かりやすいと思っています。
アライメント調整
タイヤの向きや角度を測って、ずれていれば調整する作業です。
タイヤ交換と「同時に必ず」やるものではありません。
ハンドルがまっすぐなのに車が左右に流れる、タイヤの片側だけが極端に減る、といった症状が出ていなければ、急いでやる必要はないと考えています。
「気になる症状が出たとき」「足回りをぶつけたり、足回りの整備をしたとき」くらいのタイミングで十分です。
断り方は、ひと言だけで足ります
断るのって、気まずいですよね。
でも、身構えなくて大丈夫です。
「今回は必須のものだけでお願いします」。
これだけで伝わります。
理由を説明する必要も、断る理由を用意しておく必要もありません。
タイヤに限らず、車屋さんで勧められた整備が本当に必要か迷ったときの考え方は、ほかの場面でも役に立ちます。
車検の整備パックとユーザー車検を比べた記事も、見極めの参考にどうぞ。
では、どこで買うのがいいのか
その前に、ひとつだけ前置きをさせてください。
私は普段、車の整備は信頼できる1ヶ所にまとめたほうがいいとお伝えしています。
整備の履歴が1ヶ所に残りますし、車のクセを覚えていてもらえるからです。
ただ、タイヤ交換は、その例外だと考えています。
作業の中身がはっきり決まっていて、どこに頼んでも同じものが出てくるからです。
原因を突き止める必要のある故障とは、そこが違います。
ですからタイヤは、値段で選んでいただいて構いません。
カー用品店・タイヤ専門店
車に詳しくない方が店舗で買うなら、私はここをおすすめします。
オートバックスやイエローハットのようなカー用品店は、店舗数が多く、タイヤの種類もそろっています。
タイヤ館やフジ・コーポレーションのようなタイヤ専門店は、扱う本数が多いぶん、相談したときの答えが具体的なことが多いです。
「特にこだわりはないので、このサイズでスタンダードなものを」と言えば、店員さんが予算に合わせて出してくれるので、サイズ選びで失敗する心配もありません。
ガソリンスタンド
給油のついでに相談して、そのまま換えてもらえる手軽さがあります。
私はガソリンスタンドでアルバイトをしていたことがあるのですが、意外と安く買えるケースもあります。
ただ、タイヤの専門知識は店舗や担当の方によって差があります。
顔なじみの店員さんがいるなら心強い選択肢ですが、そうでなければ、はじめの1回には向かないかもしれません。
ネット通販
タイヤ本体の値段だけを見れば、いちばん安く買えるのはここです。
そのかわり、サイズを自分で選ぶ必要があり、間違えても自己責任になります。
取り付けてくれるお店も、自分で探して予約しなければなりません。
最初の1回は、買うのと取り付けるのを同じお店にまとめたほうが、かかる時間まで含めるとトータルで安心だと思います。
「少し車の知識があるよ」という方向けに、ネットでの買い方と相場の調べ方はこちらでまとめています。
ディーラー
ここは、あくまで私の感覚ですとお断りしたうえでお話しします。
ディーラーでのタイヤ交換は、カー用品店やタイヤ専門店より高くなることが多い印象です。
値引きの幅が小さく、扱っている銘柄も限られがちだからです。
もちろん、純正と同じタイヤにしたい、点検も一緒に済ませたい、という理由があるなら十分に選択肢になります。
ただ、値段を優先されるなら、ほかを見てからでも遅くありません。
なお、給油や点検のときに、そろそろタイヤをと言われて、まだ換えるかどうか決めていない段階の方は、こちらからどうぞ。
冬タイヤの保管をお店にお願いしていると、新品もそこで買わないといけないのでは、と気になりますよね。
そこは縛られません。
保管の頼み先の決め方とあわせて、こちらでお話ししています。
銘柄にこだわりがないなら「安くて長持ち」
正直にお伝えすると、タイヤの銘柄ごとの細かい性能差は、私もそこまで詳しくありません。
整備士として何千台と触ってきましたが、タイヤは減ったら替える部品として見てきた時間のほうが長いからです。
そのうえで、こだわりがない方に私がお伝えしているのは「安くて長持ち」という選び方です。
理由は、工賃にあります。
タイヤが早く減れば、それだけ交換の回数が増えます。
交換の回数が増えれば、そのたびに組み換え工賃とバランス調整料を払うことになります。
本体が安いタイヤを選んでも、工賃を2回払えば、意味がなくなってしまうんですね。
お店では、こう聞いてみてください。
「銘柄の希望はないので、このサイズで、できるだけ安くて、長持ちするタイヤはどれですか」。
選ぶときの目安(あくまで私の感覚です)
- 国産メーカーなら安心感があります:ブリヂストン、ダンロップ、ヨコハマ、トーヨーあたりから選んでおけば、品質で大きく外すことはまずありません。中でもトーヨータイヤは、比較的お手ごろな価格帯のモデルが多い印象です
- コスパ重視なら海外メーカーも:アメリカのグッドイヤーなども、性能のわりに価格が抑えられていると評判です(私は履いたことがないのですが、ちょっと気になっています)
- とても安いアジア系メーカーは:年々増えていますが、雨の日の性能や静かさ、もちの良さにばらつきがあることも。はじめの1本は、上の有名メーカーから選ぶほうが無難かもしれません
メーカーごとの特徴と、各社の手ごろなグレードの一覧は、こちらでくわしくまとめています。
交換したあとに、いちばん効くこと
せっかく新しいタイヤにしたなら、少しでも長くもたせたいですよね。
やることは、ひとつだけです。
「空気圧の点検」。
お金はかかりません。
適正な空気圧を保つと、タイヤの片減りを防いで寿命が延びます。
燃費の悪化も防げますし、ブレーキの効きや走りの安定にもつながります。
理想は1ヶ月に1回。
難しくても、2〜3ヶ月に1回は見ておきたいところです。
多くのガソリンスタンドにセルフで使える空気入れがありますし、給油のついでにスタッフの方にお願いすることもできます。
どちらも、たいていは無料です。
一度やり方を教えてもらえば、次からはご自分でできるようになります。
出典:横浜ゴム株式会社の公式チャンネル(YouTube)
雪の降る地域にお住まいなら、スタッドレスの選び方や保管の仕方も知っておくと、1年を通してタイヤの管理が楽になります。
まとめ
- タイヤ交換で必ずかかるのは、タイヤ本体代・組み換え工賃・ホイールバランス調整・エアバルブ交換・廃タイヤ処分料の5つ
- 見積書は、必要なものと任意のものが同じ書式で並ぶ。だから名前を知らないと全部必要に見える
- 5つ以外は断って大丈夫。窒素ガス・ハブの防錆・ナットの防錆・パンク保証・アライメント調整がよく出てくる
- 断り方は「今回は必須のものだけでお願いします」のひと言だけ
- 普通の空気も8割は窒素。残り2割を入れ替えるより、月に一度の空気圧点検のほうが効く
- タイヤは1ヶ所集約の例外。作業の中身が決まっているので、値段で選んでいい
- 銘柄にこだわりがなければ「安くて長持ち」。早く減ると工賃の回数が増える
ご相談者さまの、その後
このご相談には、続きがあります。
ご相談をいただいた翌日、この方はお店へ行かれました。
そして、こう報告してくださいました。
おかげさまで、ヨコハマタイヤを89,000円で本日購入できました!
来月からヨコハマタイヤが値上げするとの事で、とってもラッキーでした。
おっしゃられていた様に、窒素充填などのオプションの提案ありましたが全て断る事が出来ました!
(事前情報なかったら絶対窒素とかのオプションやってたと思います)
※2022年の秋のご報告です。
タイヤは年々値上がりしていて、この方も「来月から値上げする」と聞かれています。
いまこの金額で買えるという意味ではありませんので、金額はあくまで参考としてご覧ください。
私が何度も読み返したのは、最後のカッコの中です。
「事前情報がなかったら、絶対に窒素とかのオプションをやっていたと思います」。
お店で何かを勧められて断れないのは、意志が弱いからではありません。
その項目が何なのか知らないから、判断のしようがないだけです。
逆に言えば、5つの名前を知っているだけで、その場で判断できてしまう。
たったそれだけの差なんですね。
車の業界にも、毒にも薬にもならないような提案でお金をいただいている側面が、正直あります。
悪いことをしているわけではありません。
ただ、ちょっと見極める目があるだけで、ずいぶん役に立つのも本当のところです。
そしてその目は、専門知識がなくても持てます。
今日の5つが、その最初のひとつです。
最後に、この方が最初に書かれていた一文に戻らせてください。
「車に非常に疎く、初歩的な質問ですみません」。
車が好きな人よりも、車は道具で、できればお金をかけたくないという方のほうが、実際にはずっと多いと感じています。
この記事も、そういう方に向けて書いています。
分からないまま見積書にサインするより、5つの名前を知って、納得して払う。
そのほうが、同じ金額でも気持ちがいいはずです。
タイヤ交換の費用やオプションで疑問や不安ある場合は、このページ下の「コメント欄」からお気軽にどうぞ(ニックネームもメールアドレスも要りません)。
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