著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

😊「新車を買って、そろそろ1年。点検の案内が届いたけど、これって受けたほうがいいのかな」

🤔「ディーラーで点検を受けていると、車の価値が保てるって聞いたけど、本当?」

新車の1年目は、うれしい時期であると同時に、分からないことも多い時期だと思います。

なかでも多いのが、「車に詳しくないから、言われるまま損をしているのでは」という不安です。

整備の現場にいた私が、正直にお答えしますね。

✅ 結論からお伝えします

新車1年目の点検は、ディーラーで受けるのがおすすめです。

ただし理由は「査定額が上がるから」ではありません。

正直に申し上げると、どこで整備を受けていたかは、手放すときの値段にほとんど影響しません。

それでもおすすめするのは、安心して乗れて、車の状態を良い形で保てるからです。

そして、車に詳しくない方ほど、この選び方が効いてきます。

1年で16,000km走っているなら、まず優先していただきたいのはエンジンオイルです。

今回いただいたご相談

まずは、いただいたご相談です(内容を編集して掲載しています)。

車に関して初心者のため、どうしてもお店任せになってしまい、損をしているのではと不安を感じています

今後はもっとしっかり考えていきたいので、いろいろと参考にさせていただければと思います

現在、新車購入から1年が経ち、初めての点検時期を迎えました

最初の車検まではディーラーで点検を受ける方が、車の価値が下がりづらいのでおすすめと聞いたのですが、この考え方で問題ないでしょうか

また、現在1年間で約16,000kmを走行しています

この時期に交換しておいたほうがよい部品やオイルなどがあれば、教えていただけますと助かります

ご質問ありがとうございます。

車のことは、車好きでない限り、人生のなかでの優先度はどうしても低くなります。

ですので、ある意味、任せきりで大丈夫なんですよ。

大事なのは「任せる相手」を間違えないことと、ちょっとした知識を持っておくことだけです。

営業の話に乗せられて、つい乗り換えてしまったり、ローンを組んでしまったり。

そういうことさえなければ、じゅうぶんだと私は思っています。

まず正直に。ディーラーで点検を受けても、査定額は上がりません

ご相談にあった「ディーラーで点検を受けると車の価値が下がりづらい」というお話から、先にお答えしますね。

どこで整備を受けてきたかは、それほど価値には影響しません。

中古車の査定は、同じ車種であれば、年式と走行距離が基準になります。

そのうえで、傷がついていないか、どこか故障していないかを見て、あれば減点されていきます。

初回車検までディーラーで受けていたことが、手放すときの値段に効いてくることは、まずありません。

あっても誤差の範囲だと思っていただいて大丈夫です。

ただ、私が中古車を買う立場なら、ディーラーで整備された車を選びます

正直なことを、もうひとつ言わせてください。

私自身が中古車を買うなら、ディーラーで定期的に整備を受けてきた車がいいです。

金額としての価値は、たしかに変わらないかもしれません。

でも、車の本質的な価値という意味では、きちんと整備されてきた車には価値があります。

買う側の気持ちとしては、そこが違うんですね。

それに、年間16,000kmはかなり多いほうです

ここで、もうひとつ大事なことをお伝えします。

年間16,000kmというのは、かなり距離が多いほうです。

何年乗るかにもよりますが、10年乗れば16万km。

そうなると、売るときの値段は、ほとんど気にしなくていいレベルになります。

ですので、売却額を気にするよりも、いかに楽をして、良い状態をキープしてカーライフを過ごすか。

そちらに力を向けたほうが、結果的に得だと思います。

もちろん、2年から3年ごとに乗り換えていくスタイルなら、話は別です。

そのときは、売るときの値段も判断材料に入れてください。

ピゴス
ピゴス

売るとき高くなるからという理由でメンテを続けると、たぶん途中でしんどくなります

そうではなくて、毎日を安心して走るためのもの、と考えてもらえたら嬉しいです🐧

「詳しくないから不安」な方にこそ、ディーラーが効く理由

ここは、私がいちばんお伝えしたいところです。

ディーラーの安心は、「仕組み」が作る安心です。

マニュアル、研修、設備、純正部品、メーカー直の情報網が支えているので、誰に当たっても大きくは外れにくい。

つまり、当たり外れの幅が小さいんです。

一方で、街の整備工場の安心は「人」が作る安心です。

当たり外れの幅はありますが、良い方に出会えたときは、仕組みの安心を超えることもあります。

ですので、どちらが上という話ではありません。

いま自分が、その「幅」を引き受けられる状態かどうかで選べばいいんです。

ご相談者さまのように、まだ車のことに自信がなくて、良し悪しを確かめる手段もない段階なら、仕組みの安心のほうが効いてきます。

ピゴス
ピゴス

白状すると、私は本心では街の整備工場が大好きなんです

ただ、良いお店を見極めるのは、最初のうちは難しい

だから万人向けの無難はディーラー、と考えています🐧

もちろん、ディーラーにも弱点はあります

盲信していただきたくないので、中にいた者として弱点も正直に書いておきます。

  • 結局は人なので、担当者によるばらつきはある
  • 会社員なので、悪い意味での他人事感が出てしまうことがある
  • 組織である以上、新人の整備士さんも一定数いる
  • 決まりごとが多く、小回りが利きにくい

それでも、詳しくないうちは、幅の小さいほうを選んでおくのが無難だと私は思います。

ちなみに、ディーラーと民間の車検の差は、2年でおよそ3万円から5万円ほど。

月にならせば1,300円から2,000円ほどの差です。

高いか安いかではなく、その差額で何を買っているのか。

そこを正面から分解したのが、こちらの記事です。

【ディーラー車検は高い?】その差額で「何を買っているか」と「安くして失うもの」を、本気で分解します「ディーラー車検は高い」は事実。でも高い=損でしょうか?差額は月2,000円弱。その中身(情報・部品の速さ・組織の保証)と、安くして失い得るもの(実はオイル2つだけ)を、整備の現場を知るピゴスが本気で分解する研究レポートです。...

ディーラー点検の、ほんとうのメリット3つ

定期点検そのものの価値は、不具合を早めに見つけられることにあります。

小さな異常を放っておくと大きな故障につながり、修理代が何倍にもふくらむことがあるからです。

そのうえで、ディーラーに任せることの良さを3つ挙げますね。

① 整備の履歴が残り、ムダな重複整備が減る

点検を受けると、きちんとした点検記録簿が残ります。

同じ所に任せ続けると、いつ何を交換したかを把握してもらえます。

ですので、交換したばかりの部品をまた見積もりに入れられる、といったムダが減ります。

それに、万が一の作業ミスがあったときも、責任の所在がはっきりしていると相談しやすいんです。

② そのメーカーのプロとしてのノウハウがある

ディーラーは、そのメーカーの車に特化した知識と設備、そして純正部品を持っています。

特に新車のうちは、メーカー保証の範囲で無料修理を受けられるケースも多いです。

そういう意味でも、新車1年目にディーラーとの関係を保っておくのは、素直に良い選択だと思います。

③ 大きなトラブルが起きたときの対応力が高い

メーカー直の故障事例が集まっているので、原因にたどり着くのが早いです。

純正部品も、たいていは翌日には届きます。

何かあったときにどれだけ早く元に戻れるか。

長く乗るほど、ここがじわじわ効いてきます。

1年で16,000km。まず何をすればいいか

距離を多く走る方は、交換部品が他の方よりも早いサイクルでやってきます。

なかでも、走った距離にまっすぐ連動して減っていくのが、エンジンオイルとブレーキパッド、そしてタイヤの3つです。

① エンジンオイル(ここだけは削らないでください)

エンジンオイルは、車の血液とも言われる大切な消耗品です。

国産車であれば、その車に適した粘度のオイルを、5,000kmか半年を目安に交換していれば、オイルが原因のトラブルはほぼ避けられます。

ターボ車や軽自動車はエンジンへの負担が大きめなので、少し短めに考えてください。

銘柄は、迷ったら純正が無難です。

設計や開発の段階から純正オイルでテストされていますし、最近は排ガスの関係で使えるオイルの種類も限られてきましたから。

1年で16,000km走っているなら、この1年のあいだに何回か交換が必要な距離になります。

もし1回も交換していないようでしたら、点検の予約と一緒にお願いしてしまいましょう。

オイルの選び方や交換の考え方は、こちらにまとめています。

【知れば得する!?】エンジンオイル交換の重要性と失敗しない交換のノウハウ! こんにちは、ピゴスです🐧! 私はこれまでガソリンスタンドやディーラーなどで働きながら、整備士や営業マンとして多くの車とお客様に関...

② ブレーキパッドとタイヤ

この2つも、走った距離に比例して減っていきます。

どちらも、残りがどれくらいかは見れば分かるものです。

ですので、点検のときに「ブレーキとタイヤは、あとどれくらい持ちそうですか」と聞いてみてください。

数字で教えてもらえますし、次の交換時期の目安も立ちます。

カタログの目安より、いま自分の車を見てもらったうえでの一言のほうが、ずっと当たりますよ。

③ そのほかの細かいもの

ワイパーゴムやエアコンフィルターなども、1年を過ぎたあたりから状態を見ておきたいところです。

ワイパーは、拭き残しや音が出てきたら交換のサイン。

エアコンフィルターは、においが気になってきたら替えどきです。

ちなみに、エアコンの内部洗浄まで勧められることがありますが、まずはフィルターの交換だけで足りることが多いです。

細かいものは、ほかにもたくさんあります。

でも、そこを全部覚えていただく必要はありません。

ディーラーさんか、信頼のおける整備工場さんにお任せしていけば、それでいいんです。

反対に、あまり距離を走らない方の点検の頻度については、こちらでお答えしています。

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初回車検のあとも、そのままで大丈夫です

初回車検は新車から3年後、そのあとは2年ごとにやってきます。

では、そのあとはどうするか。

何か不満がないのであれば、3年と言わず、そのままディーラーさんを使っていくのが無難だと私は思います。

最安値ではありません。

でも、適正価格に近いところにいます。

ディーラーの価格が少し高めなのは、整備士さんを買い叩かないための最低限の値段でもあるんです。

そのうえで、ひとつだけ添えておきますね。

大事なのは「ディーラーであること」ではなく、信頼できる1か所にまとめることです。

良い整備工場さんに出会えているなら、そちらでもまったく構いません。

1か所にまとめると、さきほどの履歴や責任の所在に加えて、もうひとつ良いことがあります。

長く通ううちに関係ができて、いざというときに優先して対応してもらいやすくなることです。

安いお店を探して毎回渡り歩くより、長い目ではこちらのほうが得だと私は思います。

私自身がどう付き合っているかは、こちらに書きました。

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お店を選ぶときに見るポイント3つ

①国家整備士の資格を持つスタッフがいるか。

車検や整備は、国家資格を持った整備士が行うのが基本です。

②見積もりの内訳を、丁寧に説明してくれるか。

良いお店は、何をいくらでやるのかを、こちらが分かる言葉で説明してくれます。

③まだ使える部品を、強く勧めてこないか。

ここは提案の方針の違いでもあるので、良し悪しの話ではありません。

大事なのは「なぜこの整備が必要なのか」を説明してくれるかどうかです。

高額な修理を提案されて迷ったときは、もう1軒に聞いてみるという守り方もあります。

実際にそれで助かった話が、こちらです。

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「過剰に勧められていないか」が不安なとき

知識がないと、その整備が過剰かどうかの判断は難しいですよね。

たしかに商売ですから、いろいろと勧められることはあります。

そんなときは、こうお伝えしてみてください。

「最低限、安心して乗れれば大丈夫です」

それくらいの温度でお願いすると、ディーラーはちょうどよく収まってくれます。

それでも迷うものが出てきたら、その場で決めずに「検討します」と持ち帰るだけでもじゅうぶんです。

逆のことも書いておきますね。

知識のない整備工場だと、何も勧められない代わりに、最低限もやってもらえないことがあります。

勧められないから良心的、とも限らないわけです。

この取捨は、正直、とても難しいところだと私も思っています。

まとめ

今回のポイントを整理しますね。

  • ディーラーで点検を受けても査定額は上がらない。同じ車種なら、年式と走行距離、そして傷や故障の有無が基準
  • それでもディーラーをおすすめするのは、安心して乗れて、車の状態を良い形で保てるから
  • 年間16,000kmはかなり多いほう。10年で16万kmになるので、売るときの値段はもう気にしなくていい
  • 詳しくないうちは、当たり外れの幅が小さい「仕組みの安心」が効く。良いお店に出会えたら、街の整備工場でも
  • 距離に連動して減るのは、エンジンオイル、ブレーキパッド、タイヤの3つ。オイルだけは削らない
  • 初回車検のあとも、不満がなければそのままディーラーで大丈夫。本体は「信頼できる1か所にまとめること」
  • 過剰かどうか迷ったら「最低限、安心して乗れれば大丈夫です」とお願いしてみる

車のメンテナンスは、難しく考えなくて大丈夫です。

信頼できるプロに任せて、最低限の知識だけ持っておく。

それだけで、じゅうぶん損しないカーライフが送れますよ。

ご相談者さまの、その後

このご相談には、続きがあります。

お返事のなかで、ご相談者さまはこう書いてくださいました。

車のメンテナンスも、いろいろ過剰に変えてないかとか、つい疑ってました

ディーラー点検、車検がよいと言ってもらい、すっきりしました。

さっそく予約しようと思います

可能な限り長く乗るスタイルなので、途中から買いませんか、という営業さんとのやりとりがきついですが

流されず、快適で安全なカーライフを目指して頑張ります

「途中から買いませんか」と続けて言われるのは、正直しんどいですよね。

ただ、ひとつだけお伝えしておきますね。

営業さんが声をかけてくるのは、意地悪でも、こちらを軽く見ているからでもありません。

すすめるのがお店の仕事で、必要かどうかを決めるのがこちらの仕事です。

そう分けて考えられるようになると、あのやりとりは、ずいぶん軽くなると思います。

「長く乗るつもりなんです」と、こちらから先に伝えておくのもひとつの手です。

嫌な顔をされることは、まずありません。

むしろ長く乗る方ほど、営業さんや整備士さんとの関係が、あとあと大きな支えになります。

最後の2行に、私はうれしくなりました。

最初にお伝えしたのは、営業の話に乗せられて乗り換えたりローンを組んだりしなければ、それでじゅうぶんだということでした。

その「流されず」を、ご自分の言葉で書けている。

もう、心配はいらないと思います。

ピゴス
ピゴス

損をしているのでは、と不安になれた時点で、もう大丈夫だと思います

その感覚を持てる方は、流されませんから🐧

新車のメンテナンスで疑問や不安ある場合は、「X」「お問い合わせ」「コメント欄」などでお気軽にご相談ください。

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、コメント欄や「X」などでいつでもメッセージを承っております。お気軽にどうぞ!