著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

中古車サイトを開いて、軽バンで絞り込む。

50万円以下にも、たくさん出てきます。

ただ、そこに並んでいるのは走行距離が10万kmを超えた車ばかりです。

もう少し予算を上げると、ほとんど走っていない新古車が110万円あたりから見えてきます。

未使用車とも呼ばれる、あの1台です。

その差、およそ60万円。

この60万円を出す意味は、はたしてあるのでしょうか。

✅ 結論からお伝えします

予算に余裕があるなら、私は新古車を選びます。

理由のひとつは、いま見えている60万円の差が、10年後にはそのまま残らないからです。

もうひとつは、すでに走った10万km分の当たり外れが、そのままご自分のものになるからです。

ただし、車に詳しくてご自分でトラブルに対応できる方は、この限りではありません。

今回いただいたご相談

軽バンの中古車を探しておられる方から、こんなご相談をいただきました(内容を編集して掲載しています)。

中古車購入についてご相談させていただきます

現在、軽バンの中古車購入を検討中です

ネットで調べたところ、新車に近い「新古車」の支払い総額は110〜120万円ほどです。

一方、50万円以下の中古車は、走行距離が10万キロ以上のものが多い印象です。

使用目的としては、平日の通勤(1日約50キロ)と、週末に趣味の機材の運搬(1日約10キロ)を予定しています

月間の走行距離はおおよそ1,200キロほどになる見込みです

新古車と多走行の中古車では、価格差が約60万円あります

この場合、50万円以下の多走行車よりも、110〜120万円の新古車を選んだほうが良いのでしょうか?

また、軽バンのリセールバリューは比較的高いと聞きますが、実際のところどうなのか教えていただけると幸いです

よろしくお願いいたします

まず、月1,200kmという走り方から考えます

ご質問ありがとうございます。

いただいたご質問は2つですね。

順番にお答えしていきますが、その前にひとつだけ、土台を確かめさせてください。

月に1,200km。

年間にすると、およそ1万4,000kmです。

これから買う1台に、10年でおよそ12万kmから14万kmを走ってもらう計算になります。

決して少なくない距離です。

そして大事なのは、この距離を、通勤と週末の趣味という、休むわけにいかない用事のために走るということ。

車が止まると、生活のほうが止まってしまいます。

ピゴス
ピゴス

この距離を、これから何年も走ってもらうんだと思うと、選び方が少し変わってきませんか

価格の差だけでなく、その先の10年を一緒に見ていきましょう

軽バンのリセールは、たしかに悪くありません

まず、ひとつめのご質問から。

軽バンのリセールバリューは、比較的良いほうです。

その証拠は、ご相談者さまご自身が見つけておられます。

10万kmを超えた軽バンが、まだ50万円を超える価格で売られている。

この事実そのものが、軽バンの値落ちの少なさを表しています。

荷物が積めて、小回りが利いて、費用も安い。

仕事の道具として欲しい人が、いつの時代も一定数いるからなんですね。

ただ、リセールとの距離感だけ

ひとつだけ、お伝えしておきたいことがあります。

リセールは、狙って当てにいくものではない、というのが私の考えです。

相場は、正直なところプロでも読み切れません。

数年後にどうなっているかは、そのときの市場しだいです。

ですから、リセールが良さそうだから買う、という決め方はおすすめしていません。

今回のように、10年後にいくら残りそうかを判断の材料のひとつにする。

あくまで私の感覚ですが、それくらいの距離感が、ちょうどいいと思っています。

リセールを気にしすぎない付き合い方と、それでも調べておきたいときの調べ方は、こちらにまとめています。

リセールの良い車の調べ方|プロでも読み切れないので、おまけくらいでちょうどいいリセールの良い車の調べ方を元ディーラー営業が解説。ただし数年先の相場はプロでも読み切れないので、おまけくらいがちょうどいいというのが本音です。目的別の学び方と、リセールが本当に効く場面をお伝えします。...

それでも私が新古車を選ぶ、3つの理由

では、ふたつめのご質問です。

予算が許すのであれば、私は新古車を選びます。

理由を3つに分けて、お話しさせてください。

① 10年後に、手元へ残るお金が違います

新古車を買って10年乗ったとします。

走行距離は12万kmから14万kmくらい。

それでも売却のときに、10万円ほど、うまくいけば20万円弱の値が付くかもしれません。

一方、50万円以下の中古車を買って、同じように10年乗ったら。

そのときにはもう、値段はほとんど付かないでしょう。

つまり、いま目の前にある60万円の差は、10年後には60万円の差ではなくなっている、ということです。

もちろん、これは10年後の話で、そのとおりになる保証はありません。

それでも、買う前に一度この計算をしておくと、金額の見え方がずいぶん変わります。

同じ計算を、84万円の中古と128万円の新車で並べてみた記事もあります。

価格差をどう受け止めるかの参考にどうぞ。

84万円のミライースと128万円の新車|価格差で見る損しない選択
【実は割高?】84万円のミライース vs 128万円の新車。「価格差」で見る損しない選択走行2,800kmで84万円の中古ミライースと、128万円の新車、どっちが損しない? 元ディーラー営業が年間コスト・修理リスク・安全装備で比べました。ご相談者さまが最後に新車を選んだ、意外な決め手もお伝えします。...

② 10万km分の故障のリスクを、まるごと引き受けることになります

すでに10万km以上走った軽バンを買って、そこからさらに10年乗る。

これは、なかなか大変なことが予想されます。

急に動かなくなる。

修理費が思ったより高くつく。

こういうことが、起きてもおかしくない距離だからです。

そして軽バンには、もうひとつ事情があります。

軽バンは、ハードな使われ方をしてきた車が多いんです。

私も、軽貨物のお仕事をされている方に、軽バンをお売りしたことが何度かあります。

みなさん本当にハードに使っておられました。

毎日荷物を積んで、朝から晩まで走る。

そういう使われ方をしてきた1台かどうかは、外から見ても分かりません。

その10万km分のリスクを、これから全部ご自分で背負うことになります。

③ 古い車ほど、博打の要素が高くなります

車は古くなればなるほど、安く乗れるか、高くついてしまうかの博打の要素が高まっていきます。

当たりを引けば、ほとんどお金をかけずに何年も走ってくれます。

外れを引けば、車両価格と同じくらいの修理費がかかることもあります。

どちらに転ぶかが読めない、ということです。

そして、ここが地味に効いてきます。

先々いくらかかるかが読めないと、ご家庭の予算の管理もしにくくなります。

毎月いくらで乗れているのかが分からないまま、突然の出費に身構え続けることになるからです。

ただし、車に詳しい方なら話は変わります

ここは、はっきり両方お伝えしておきます。

車に詳しくて、中古車の目利きができる方。

あるいは、ご自分である程度トラブルに対応できる方。

そういう方なら、安い中古車を選ぶのも立派な一つの選択肢です。

リスクの少ない1台を見つけ出せますし、何かあっても自分で手が打てるからです。

そうでない場合に、新古車を大切に長く乗るほうが、費用も気持ちも落ち着きやすい。

私がお伝えしたいのは、そういうことなんです。

同じ迷いを、46万円の10年落ちと100万円の新しめの中古で比べたご相談もありました。

仕事で毎日使う場合の考え方はこちらに。

仕事の軽バン、46万と100万どっち? 2年で売る前提なら、差は思ったより小さいです年2万キロ走る仕事の軽バンで、46万円の10年落ちと100万円の2年落ちを比べました。8年乗るなら年約11万8千円と年23万円。2年で乗り換えるなら差は小さくなります。ご相談者さまが実際に選んだ一台も。...

買うなら、ディーラーがおすすめです

新古車を買うと決めたなら、私はディーラーをおすすめします。

理由はふたつあります。

ひとつめは、意外に思われるかもしれませんが、費用の面です。

新古車は、販売手数料などまで含めて考えると、ディーラーで買うほうが安い傾向があります。

ふたつめは、そのあとのことです。

点検も、車検も、何かあったときの相談も、同じ場所にお願いできます。

整備の履歴が1か所に積み上がっていくので、車の状態を分かってもらえるようになります。

新古車を10年乗るということは、そのお店とも長いお付き合いになるということです。

買うときの金額だけでは決められない部分が、ここにあるんですね。

もちろん、必ずそうしなければいけない、という話ではありません。

ただ、そういう関係を続けるという選択肢を、自分で作っておける。

これは、あとから効いてくる買い方だと思っています。

予算がそこまで届かないときは

ここまで新古車をおすすめしてきましたが、そうもいかない場合もあります。

どうしても40万円台までしか出せない、というときです。

そのときは、比べ方を切り替えます。

どちらが得かではなく、少しでも壊れにくそうなのはどちらか。

そして、壊れたときにどうするかを、買う前に決めておく。

この2つで考えると、限られた予算でも損は減らせます。

予算40万円で仕事用の車を探したご相談では、この2つを軸にお答えしました。

備えの作り方まで書いています。

それと、これは車種の話になりますが、ひとつだけ。

高さのある荷物を積むなら、軽バンが本命です。

ただ、通勤で毎日50kmを走るのであれば、商用ワゴンという選択肢もあります。

軽バンより走りが落ち着いていて、長い距離が得意なタイプです。

その比べ方も、同じ記事でお話ししています。

15万キロのプロボックスは仕事に使える? 軽バンとの分かれ目は、走る距離でした予算40万円だと15万kmオーバーのプロボックスか軽バンになります。どちらが正解かは使い方しだいで、背の高い荷物なら軽バン、長い距離を走るなら商用ワゴンです。分かれ目と、壊れたときの備え方をお伝えします。...

まとめ

軽バンを新古車と過走行の中古で迷ったときの、考え方をまとめます。

  • 軽バンのリセールは比較的良い。10万km超でも50万円を超えて売られていること自体が、その証拠。
  • ただしリセールは狙って当てにいくものではない。10年後にいくら残るかを、材料のひとつにするくらいで。
  • 新古車を10年乗ると12万〜14万km。それでも10万円、うまくいけば20万円弱の値が付くことも。
  • 50万円以下の中古を10年乗ると、値段はほとんど付かない。60万円の差は、10年後には縮んでいる。
  • すでに10万km走った軽バンは、その分の故障リスクをまるごと引き受けることになる。
  • 古い車ほど、安く乗れるか高くつくかの博打の要素が高まり、予算の管理もしにくくなる。
  • 車に詳しく、自分で対応できる方なら、安い中古車も立派な選択肢。
  • 新古車を買うならディーラーが本命。費用も安い傾向で、10年近いお付き合いの入口になる。

ご相談者さまの、その後

このご相談には、続きがあります。

長期的に考えると、新古車の方が良さそうですね。

新古車を購入できるように、お金を貯めていきます。

私はこのお返事を読んだとき、なるほどなあ、と思いました。

新古車を買います、ではなく、買えるようにお金を貯めます、なんですね。

いま出せる金額のなかで無理に決めるのではなく、出せるようになるまで待つ。

これは、私がいちばん損をしにくいと思っている進み方です。

急いで買った車ほど、あとから何かが起きやすいものですから。

車選びは、今日決めなくてもいいんです。

その1台と、これから10年を一緒に過ごすのですから、待つ時間もちゃんと意味があります。

ピゴス
ピゴス

焦って決めなかったこと自体が、もういちばん良い選択だと思います

良い1台に出会えますように

ちなみに、そもそもどの軽バンにするかで迷っている、という方もいらっしゃると思います。

候補が絞れているのに決まらないときの考え方は、こちらでお話ししています。

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、コメント欄や「X」などでいつでもメッセージを承っております。お気軽にどうぞ!