5万kmの中古フリード/シエンタ、10年乗れますか 行けるかどうかは買ったあとで決まります

中古車サイトで「走行5万km」という数字を見たとき、それが多いのか少ないのか、すぐに判断がつくでしょうか
正直に言うと、整備の現場にいた私でも、その数字だけで良し悪しを決めることはできません
しかも、これから「10年は乗りたい」と考えていると、話はもっと難しくなります
5万km走った車を、そこから10年
それが無茶なことなのか、ごくふつうのことなのか
そこを測る物差しが、自分の中にないという方は多いと思います
走行5万kmくらいの中古のフリードやシエンタで、これから10年乗ることは十分に可能です(あくまで私の考えで、個体差はあります)
ただし「行けるかどうか」を分けているのは、買う瞬間よりも、買ったあとの10年のほうです
年に1回の点検と、油脂類の交換
それを1か所で続けられるなら、15万kmは通過点になります
そして、いま乗っているお車も、まだ諦めなくていいかもしれません
まずは、いただいたご相談です
🔶いまのお車:フォルクスワーゲン ゴルフ6(10年目・走行95,000km)
ミラーが閉まらない、後ろの窓が閉まらない(いまはゴムで固定している)、チャイルドロックがかからない
前の2つだけで、ディーラーさんの見積もりが30万円近く
🔶買い替えを決めた理由:1歳のお子さんが乗車中にドアを触るので危ない、車内が少し狭い、修理費が高い
🔶ご希望:10年は乗りたい。いまより車内を広く使いたい
ご予算は150万から190万程度。候補はホンダ フリードとトヨタ シエンタ
下取りはほぼ諦めている(少しでもあればラッキー程度)
🔶ご質問:10年程度乗りたいのであれば、走行距離およそ5万kmの車でも行けるものなのか
この要望を満たす車は、予算的に厳しいか
年間の走行は1万kmくらいの見込み
ご相談文のなかに、こんな一文がありました
「もちろん乗り方もあるとは思いますし、全てに当てはまらないと理解してるのですが、一般的な見解があればお聞かせいただけたらと思ってます」
この一文に、ずいぶん気を使っていただいたのが伝わってきます
車のことを聞くとき、多くの方がこうやって前置きを置かれます
聞いても答えが1つに決まらないことを、もう分かっていらっしゃるからだと思います
それでも聞きたかった
その気持ちのほうが、私には大事に思えました
5万kmの中古車で、10年後は15万km。そこまで行けますか
ご相談の数字を並べると、こうなります
買うときが5万km、そこから年1万kmで10年
つまり「10年後に15万km」まで行けるか、という話です
先にお答えすると、行けます
フリードやシエンタのような国産のコンパクトミニバンで、15万kmは特別な数字ではありません
10万km、15万kmを走っている車も、ふつうに街を走っています
15年、20年と乗り続けている方も、実際にたくさんいらっしゃいます
古い車が元気に走っていられるのは、意外と、一気にあちこちが壊れるわけではないからです
「10年・10万km」は、寿命ではなく、ただの通過点です
適切なメンテナンス、とくにオイル交換さえできていれば、20年・20万kmだって走れると思っています
「年数が経ったから」「距離がいったから」というのは、あくまで目安なんです
ですから「5万kmだからダメ」ということは、まったくありません
年式や走行距離が進んだ中古車そのものへの不安については、こちらでもお話ししています
「行ける」の中身は、買ったあとの10年のほうにあります
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです
中古車を探しているときは、どうしても「どれを買うか」に意識が集中します
年式、走行距離、グレード、色
もちろん大事です
ただ、10年という長さで考えると、選ぶのは1日で、乗るのは3,650日なんですよね
15万kmまで行けるかどうかを決めているのは、その3,650日のほうです
年に1回の点検と、油脂類の交換
やることは、そんなに多くありません
年に1回の点検を受けること
そこで交換の時期を教えてもらった油脂類(エンジンオイル、ブレーキの油、CVTという変速の機構のオイルなど)を、言われたときに換えること
これだけです
難しく考えなくて大丈夫です
点検のときに、お店の方が「そろそろですね」と教えてくれますので
私の感覚では、この2つを10年続けられた車と、続けられなかった車とで、15万kmに届くかどうかがだいたい分かれます
日々のメンテナンスの考え方は、こちらにまとめています
診てもらう場所は、できれば1か所に
点検のたびに違うお店へ行くと、そのお車の履歴がどこにも残りません
1か所で受け続けていると、「前回このあたりが少し気になったので、今回は見ておきますね」という会話が生まれます
これは、車に詳しくない方ほど効いてきます
なぜかというと、自分では分からないことを、代わりに覚えておいてくれる人ができるからです
安いお店を探して毎回渡り歩くより、10年で見たときにはこちらのほうが安く付くことが多い、というのが私の考えです
積み上がった記録は、手放すときにも効きます
もうひとつ、良いことがあります
点検の記録が積み上がっていると、10年後にそのお車を手放すときの説明材料になります
実際に中古車を探すとき、私は整備の記録が残っているお車を選びます
そのお車が大切に乗られてきたかどうかを、外から見て分かる数少ない手がかりだからです
お店で見るときも、やり方は簡単です
「整備の記録簿はありますか?」と聞くだけです
あれば前のオーナーさんが手をかけてきた証拠になりますし、無かったからといってダメな車というわけでもありません
「あれば安心」くらいの目安で大丈夫です
つまり、買うときに記録を見るのと、乗っている10年で記録を残していくのは、同じ1本の線の上にあります
買う場所で、難易度を下げることもできます
ここまで「買ったあと」の話ばかりしてきましたが、買う瞬間を軽く見ていいという意味ではありません
むしろ逆で、車に詳しくない方ほど、買う場所で難易度を下げられます
中古車のご相談をお受けしてきたなかで、ひとつの答えとしてたどり着いたのが、ディーラーの認定中古車をまず第一候補にするという考え方です
メーカーの販売店が基準を決めて点検・整備をしたうえで出しているので、当たり外れの幅が小さくなります
差額を払って買っているのは車の装備ではなく、その「幅の小ささ」のほうだと、私は考えています
保証が付くことも多いのですが、ここは1つだけ注意があります
保証の長さは、そのお車の年式や販売会社さんによって変わります
ですから「保証が付きますよね」ではなく、「無料の範囲で、保証はどこまで、何年付きますか」と、契約の前に書面で確かめてみてはいかがでしょうか
もちろん、すでに信頼できる中古車店さんとお付き合いがあるなら、そちらでも大丈夫です
あくまで「迷ったときの第一候補」という意味です
それでも年式は、新しいほうがいいです
買ったあとが大事、とお伝えしたうえで、買うときの話も1つだけ
10年乗るつもりなら、同じくらいの価格と走行距離で迷ったときは、1年でも新しい年式のほうを選ぶことをおすすめします
理由は2つあります
理由① 見えないところが改良されていることがあります
国産車は、新しい型が出てからだいたい3年ほどで、マイナーチェンジという小さな改良を行います
見た目が変わるので気づきやすいのですが、実際に変わっているのはそこだけではありません
不具合の出やすかった部品や、目に見えない箇所が、そのタイミングで手直しされていることがあります
マイナーチェンジのあとから次の型が出る前くらいの年式は、出たばかりのころより改良が進んで、製品としての信頼性が高くなっていることが多いです
たとえば、トヨタとホンダの発表によると、2代目のシエンタは2018年9月、2代目のフリードは2019年10月に、マイナーチェンジをしています
長く乗るほど、この差はじわじわ効いてきます
理由② 年数でしか進まない傷み方があります
走行距離で傷むものと、年数で傷むものは別です
ゴムやホース、ベルトのような部品は、走っていなくても年数で固くなっていきます
だから「走行距離が短ければ短いほど良い」とも言い切れないんですね
極端に距離の少ない車には、そのぶん動かされていなかった時間があります
年数の目安として、私は、新車から15年ぐらいを、手放すタイミングの1つにしています
15年を超えてくると、距離を乗っていなくても、故障が増えてくることが確かにあるからです
5年落ちの中古車を買って10年乗ると、ちょうど15年になります
同じ5万kmでも、年式が古いほど、10年乗ったあとにこの目安を越えやすくなります
もちろん、車やメンテナンスの状況で変わりますので、あくまで1つの目安です
数字は入口です
最後は、そのお車がどう使われてきたかで決まります
予算の中に、候補はちゃんとありました
このご相談には、走行距離とは別に、もう1つご質問がありました
「そもそも、この予算で希望を満たす車が見つかるのか」です
そこで、ご予算の範囲でディーラーの中古車を実際に数えてみたところ、シエンタが716台、フリードが460台ありました
※ この台数は2022年11月にご相談の予算帯でディーラー系の中古車を検索した結果で、中古車の台数も相場も時期によって大きく動きますので、いまの台数はご自身の条件で確かめてみてください
数えてみて分かったのは「選択肢が無いわけではない」ということでした
これは、いまお読みの方にもそのまま使える確かめ方だと思います
予算の上限と、年式の下限だけを入れて検索してみる
それだけで、探せる範囲がどのくらいあるのかが見えます
もし、予算の中で10年しっかり乗れそうなフリードやシエンタが見つからなかったときに、いちばん避けたいのは、走行距離を多く走っていて安い1台に、あわてて飛びつくことです
予算には収まっても、10年もたなかったり、修理の費用が高くついたりするおそれがあるからです
そのときは、ひと回り小さいソリオなどに目を移すと、同じ予算で10年乗れる1台が見つかりやすくなります
中古車の探し方そのものは、こちらにまとめました
フリードとシエンタ、どちらが良いか——じつは、答えが出ていません
ここを知りたくて読んでくださっている方が、いちばん多いと思います
正直にお伝えします
これまでお受けしてきた中古車のご相談のなかで、この2台は最も多く候補に挙がってきた組み合わせです
それだけ繰り返し聞かれてきたのに、どちらか一方を「こちらが良いです」と決める答えは出ていません
お答えしてきたのは、そのときどきの型の新しさや、そのご家庭の使い方に合わせた「それなら、こちら」という答えでした
コンパクトミニバンは、この2台しか候補がありません
理由のひとつは、選択肢の構造にあります
3列シートとスライドドアがあって、ミニバンほど大きくない
その条件で探すと、実質この2台しか残りません
ひと回り小さくてよければソリオやルーミー、大きいほうがよければノアやセレナ、ステップワゴンになります
だから「どちらにするか」で迷った時点で、車選びとしてはもう答えに近いところまで来ています
ここから先は、どちらかが優れているという話ではなく、どちらが自分の生活に合うか、という話になります
ホンダ車とトヨタ車のどちらに乗り慣れているか
近くにどちらの販売店があるか
実車を見て「こっちが好きだ」と思えたか
この3つで決めていただいて大丈夫だと思います
私がこの方にお渡ししたのは、答えではなく「同じ質問の記録」でした
じつはこのとき、私がご相談者さまにお送りしたのは、新しい答えではありませんでした
過去に寄せられた、シエンタとフリードについての同じような質問と、そのときの回答をまとめてお渡ししました
ご質問そのものは、もう解決に向かっていましたので、あとは参考にしていただければ、という気持ちでした
同じところで迷った方が、これだけいらっしゃる
その事実そのものが「自分の考えがおかしいわけではなかった」という材料になります
ですので、ここでも同じことをさせてください
この2台について、これまでにお答えしてきた記事です
このとき実際にお渡しした記録のひとつは、8年ほど乗る予定で、フリードの2台(走行10kmの未使用車が200万円、走行1万kmが180万円)で迷われていた方へのお答えです
遠出の楽さや、シエンタとの比べ方にも触れています
長く乗るうちに3列目を使わなくなったときの、しまい方の違いから、シエンタもおすすめしたときの記録は、こちらです
ハイブリッドのバッテリーが心配な方は、こちらです
ネットで見つけた1台を、実物を見ずに買っていいかどうかで迷っている方は、こちらもあわせて読んでみてください
いま乗っている1台は、諦めなくていいかもしれません
ご相談文のなかに、こんな一行がありました
「下取りはほぼ諦めております。少しでもあればラッキー程度に考えています」
10年目で95,000km、しかも直すと30万円近くかかる箇所がある
そう言われたら、そう思ってしまうのも自然だと思います
ただ、もう一歩だけ確かめてみてほしいんです
次の車を買うお店での下取りだけで決めず、買取を専門にしているお店にも1度出してみる
それだけで、思っていたより値が付くことがあります
特に、直すと高くつく箇所があるお車は、下取りでは金額が伸びにくい一方で、買い取ったあとの出口を持っているお店では話が変わることがあります
ただ、買取のお店にもいろいろな会社さんがあります
ですから、はじめから1社だけに決めてしまわず、何社かに見てもらうほうが安全です
そのうえで、はっきりお伝えしておきたいことが1つあります
「どこのお店が1番高く買ってくれますか」という質問には、私にも答えられません
お店によっても、地域によっても、時期によっても、そのときに欲しがっている車によっても変わるからです
ですから、答えは「調べる」のではなく「出してみる」ことでしか出ません
少しでも値が付けば、そのぶん次の1台にかけられる予算が増えます
売却の全体像は、こちらにまとめています
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まとめ
- 走行5万kmくらいの中古のフリードやシエンタで、10年後に15万kmまで行くことは十分に可能
- 行けるかどうかを分けているのは、買う瞬間よりも買ったあとの10年のほう
- やることは2つ。年に1回の点検と、言われたときの油脂類の交換
- 診てもらう場所は、できれば1か所にまとめる(記録が積み上がる)
- 同じ価格・同じ距離で迷ったら、1年でも新しい年式を選ぶ
- 車に詳しくないなら、買う場所で難易度を下げられる(迷ったら認定中古車から)
- フリードとシエンタに優劣の答えは出ていない。生活に合うほうでいい
- いま乗っている1台は、諦める前に買取のお店にも出してみる
中古車は、1台ごとにコンディションが違います
だからこそ、焦らずに探していただきたいです
そして、良い1台に出会えたあとのほうが、じつは長い付き合いになります
ご相談者さまの、その後
このご相談には、続きがあります
お返事をお送りしたその日のうちに、こんなメッセージをいただきました
「不安に思っていたところが解消してすごく助かりました。特に予算の範囲内で思っていたところの車があることが分かったのがありがたかったです」
とくにありがたかったと書いてくださったのは、走行距離のことより
「自分の予算で、希望する車が本当にあるのか」という不安のほうでした
そして2日後に、もう1通
「あまり人に改まって聞けなかったとこでしたので、非常にありがたかったです。また、教えていただいた過去の質問一覧も参考にさせていただきます」
車屋さんや車好きの輪に入って質問するのは、ハードルが高いと思います
そのハードルを下げたくて、私はご相談をお受けしています
「5万kmの中古車で10年乗れますか」
聞いてしまえば数行で終わる質問です
でも、車に詳しくないと思っている方にとっては、改まって人に聞くのが難しい質問なんですよね
だから、迷ったままになってしまう
もし同じところで止まっている方がいらっしゃったら、その質問は、聞いていい質問です
お子さんが小さいうちの車選びは、決めることが多くて大変だと思います
それでも、ここまで調べていらっしゃる時点で、失敗しにくいところにはもう立っていらっしゃいます
フリードとシエンタで迷っていること、10年乗りたいと考えていること、5万kmで大丈夫かを確かめようとしていること
どれも、長く大切に乗るための考え方です
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このブログ「ぺんぎんカーライフ」では、ご質問への回答だけでなく、損しないカーライフを送るための記事を書いています
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