著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

😨「中古車屋さんで、なんだかお店のペースで契約しちゃったけど…」

奥様の車を買い替えようと、査定だけのつもりでお店へ行きました。

帰ってきたら、なぜか別の車の契約書を持っていた。

😥「家に帰って冷静に考えたら、本当にこの車で良かったのかな?」

🤔「幸い、今なら無料でキャンセルできると言われたけど、どうしよう…」

この記事は、そこからのご相談です。

ただ、ふたを開けてみたら、いちばんの論点は「その車が良いか悪いか」ではありませんでした。

ご夫婦が、同じ1台の同じところを、正反対に見ていたんです。

✅ 結論からお伝えします

下取りに出す軽自動車の15万円は、十分に合格点でした。

一方で、契約された車の75万円は、少し高いかもしれないというのが私の見立てです。

ただ、いちばん大事だったのはそこではありません。

ご主人は「荷物が積めるか」を見ていて、奥様は「運転しやすいか」を見ていました。

同じ1台の「小ささ」を、片方は欠点と受け取り、片方は選んだ理由にしていたんです。

どちらが正しいという話ではありません。

先に、それぞれの優先順位を出し合う。

車選びでご家族の意見が分かれたときは、そこからだと思っています。

まずは、いただいたご相談です

妻の車の買い替えについての相談です。

現在妻はH24年式のタント(パールホワイト、修復歴無し、来年6月で車検切れ、走行距離15.5万キロ)に乗っております。

次の車検までくらいに中古アクアへの乗り換えを検討しています(燃費が良く、わが家が5人家族の為)。

タントの査定だけのつもりで中古車販売店(過去に2台中古車購入している店)に行ったところ、向こうのペースでアクアの契約をしてきてしまいました

(H26年式、走行距離9.9万キロ、車検取り直してくれる、修復歴無し、ドラレコ前後つけてくれる、社外アルミ→純正アルミへ交換してくれる、タント下取り15万円、アクア75万円

しかし、中古車販売店の不手際にて無償でキャンセルも可能という現在の状態です。

キャンセルなければ上記条件で来月中旬に納車予定となっています。

私個人の意見としてはタントの車検切れるまでまだ半年あるので相見積もりを出して、じっくりと考えてもいいかと思ったのですが…

ご相談をいただいたのは2022年の12月です。

タントはH24年式ですので、当時10年落ちで15.5万キロ

アクアはH26年式で、当時8年落ちの9.9万キロでした。

※ 以下の金額の評価は、いずれも2022年12月時点の相場をもとにしたものです。

ピゴス
ピゴス

査定だけのつもりが契約になっていた、というのは本当によくあります。

でも、こうして家に帰ってから立ち止まれているのが何よりです。

無償でキャンセルできるなら、もう一度考える時間ができたということですからね。

タントの下取り15万円は、十分に合格点です

10年・15.5万キロで15万円は、よく付いたほうです

まず、いま乗っている軽自動車のほうです。

当時お返事したのは、こういう言い方でした。

タントは10年15万キロ乗っていても15万円は、なかなか付きましたね。

それは十分合格点だと思います。

この年式と走行距離の軽自動車だと、値段が付かないこともあります。

15万円という数字は、お店が頑張ってくださった結果だと思います。

ただし「アクアを買うから」の分が入っているかもしれません

ひとつだけ、頭の隅に置いておいていただきたいことがあります。

この15万円には、次の車を買ってくれるから、という上乗せが入っている可能性があります。

つまり、その車だけを単体で売りに出したときに、同じ金額が付くとは限らないということです。

こういう上乗せ自体は、悪いことではありません。

お店にとっては、次の車も買っていただけるぶん、そこに余裕を作れるからです。

ただ、比べるときの物差しとしては使えない、というだけのことですね。

もし気になるなら、買取だけを専門にするお店で1回だけ査定してもらうと、素の金額が分かります。

古い軽自動車なので大きくは変わらないかもしれませんが、判断材料が1つ増えます👇

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アクアの75万円は、少し高いかもしれません

同じ予算で、もっと新しくて距離の少ない1台がありました

次に、契約されたほうの車です。

当時、同じ地域の中古車をいくつか見てみました。

75万円という予算なら、もっと年式が新しくて、走行距離の少ない車が見つかりそうな水準でした。

車検を取り直してもらえて、純正のホイールに戻してもらえて、ドライブレコーダーも付く。

条件としては悪くありません。

それでも、走行距離が10万キロに近いことを考えると、もう少し安くてもいいのではないかというのが正直なところでした。

※ 2022年12月に、同条件の中古車をいくつか見比べたうえでの見立てです。

ご相談者さまも、ご自分で気づいていらっしゃいました

じつは、この方はご自分でも同じところに引っかかっていました。

私もネットで調べていたら、「ウチが契約しているのよりも高年式で安いのあるじゃん」って思っていました。

これが、いちばん確かな検算だと思います。

中古車サイトで、同じ車種・同じくらいの年式と距離を5台ほど並べてみる。

それだけで、手元の見積もりが高いのか安いのかが見えてきます。

私が何かを言う前に、ご自分でたどり着いていらっしゃいました。

乗り換えで手に入るものが、思ったより少ないかもしれません

もうひとつ、気になったところがあります。

いまの車と、契約された車を並べてみます。

  • いまの軽自動車 ── H24年式・15.5万キロ
  • 契約した車 ── H26年式・9.9万キロ

年式の差は2年、走行距離の差はおよそ5.6万キロ。

確かに距離は少なくなります。

ただ、お金を払って乗り換えたぶん、これから長くトラブルなく乗れる——というほどの差ではないかもしれません。

当時、私はこうお伝えしました。

せっかく乗り換えるのに走行距離が多いですし、年式もあまり変わらないというのは、手放しでオススメしやすいものではありません。

お店のペースで進んだ商談を、いったん止めて考え直すのは、勇気が要ります。

そのときの終わらせ方は、こちらに書きました👇

中古車の商談を断りたい。電話をかけ直さなくても、大丈夫です|ぺんぎんカーライフ
中古車の商談を断りたい。電話をかけ直さなくても、大丈夫です3時間の商談から帰ってきて、明日までに返事をしないといけない。そんなときは、こちらから電話をかけなくて大丈夫です。連絡しないことが、いちばんはっきりした「買いません」になる理由と、断った方の着信が3日で止まった記録を書きました。...

でも、この商談のいちばんの論点は、そこではありませんでした

金額の話は、ここまでです。

ここからが、このご相談でいちばんお伝えしたいところになります。

私は、2つだけ質問を返しました

金額の見立てをお伝えしたあと、私はこう聞きました。

ちなみに、タントは走行距離かなり乗られておりますが、奥様は結構距離乗るのですか?

あとは、タントの4人乗りではやはり不便になってしまいましたか?

(5人で乗る頻度もそれなりにあるのでしょうか?)

金額が妥当かどうかは、調べれば分かります。

でも、その車が合っているかどうかは、使い方を聞かないと分かりません。

そして、この2つの質問への答えが、この記事のすべてでした。

ご主人が見ていたもの

年間1.5万キロくらいは地方のため乗ると思います。

軽自動車では子供の習い事(バスケ)の荷物を乗せるのが大変だから乗用車がいいと言っていました。

(私からしたらタントの方が広いようにも思いますが)

お子さんのバスケの道具が積めるかどうか。

そして「いまの軽自動車のほうが広いのでは」という、ご自身の実感。

つまりご主人は、荷物と広さを見ていらっしゃいました。

奥様が見ていたもの

では、奥様はどうだったか。

最初のご相談では、こう書かれていました。

今回候補だったアクアはブラックレザーエディションで、それはかなり妻は気に入ったみたいです。

内装が気に入った、という話です。

ここまでなら「見た目で選んでしまった」という、よくある話に見えます。

ところが、このご相談には続きがあって、そこで本当の理由が出てきました。

妻は運転が苦手なため、アクアのサイズ感が気にいったようです。

運転が苦手だから、この大きさがちょうどよかった。

これが、奥様の理由でした。

同じ1台の「小ささ」を、正反対に評価していました

お気づきでしょうか。

ご主人にとっては「荷物が積みにくい」という欠点だった小ささが、奥様にとっては「運転しやすい」という、選んだ理由だったんです。

同じ車の、同じ性質です。

それを、おふたりが逆から見ていました。

ご主人 … 荷物・広さ・5人で乗れるか

奥様 … 運転のしやすさ・大きさ・内装

これは、どちらかが車に詳しくないから起きたことではありません。

毎日その車を運転する人と、そうでない人とでは、見えているものが違う——ただそれだけです。

だから、どちらが正しいという話にはなりません

こういうとき、つい「どっちが正しいか」を決めようとしてしまいます。

でも、この2つは比べられるものではありません。

荷物が積めることも、運転しやすいことも、どちらも本物の条件だからです。

私が当時お伝えしたのは、こういうことでした。

奥様の優先順位を伺うのすごく良いですね。

どこに優先順位を持っていくかで、アクアの良さも光ります。

同じ車でも、何を1番に置くかで、良い車にも、合わない車にもなるということです。

先に、それぞれの優先順位を出し合う

やり方は、シンプルです。

車種の話をする前に、おふたりがそれぞれ「この車で譲れないもの」を3つ書き出す

それだけで、話がかみ合い始めます。

じつは、このご相談者さまもそこにたどり着いていました。

見た目なのか、内装なのか、オプションなのか、妻に車選びの優先順位を決めてもらいネットで探してみようと思います。

毎日乗る方の順位を先に聞く。

とても良い進め方だと思います。

何をどの順番で決めればいいのか迷ったときは、こちらを物差しに使ってみてください👇

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ちなみに、ご夫婦で車の好みが分かれたときの考え方は、こちらにも書いています👇

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探すのは早めに。でも、決めるのは急がなくて大丈夫です

最後に、時間の話をさせてください。

このとき、いまの車の車検まで半年ありました。

ご相談者さまは「まだ半年あるので、じっくり考えてもいいのでは」と書かれています。

そのとおりだと思います。

ただ、私がお伝えしたのは、少しだけ違う言い方でした。

車検が半年あるので、タントが元気に動くうちに、良い車があれば早めに飛びついちゃっていいと思いますよ。

「じっくり考える」と「早めに動く」は、反対のことではありません。

探し始めるのは早いほうがいいんです。

何台か見ているうちに、値段の「ふつう」が分かってきますし、ご家族の好みも見えてきます。

そのうえで、良い1台に出会ったら、そのときは決めていい。

急がなくていいのは「いま目の前にある1台を、今日決めること」のほうです。

まとめ

お店のペースで契約してしまった中古車を、キャンセルできることになった。

そこから見えてきたのは、次の5つでした。

  • 下取りの15万円は合格点。ただし「次の車を買うから」の上乗せが入っていることがあります
  • 見積もりが高いかどうかは、同じ条件の車を5台ほど並べれば自分で検算できます
  • 年式も距離もあまり変わらない乗り換えは、払ったぶんが返ってきにくいです
  • ご家族で意見が分かれたら、同じ性質を逆から見ていないか確かめてみてください
  • 車種の前に、それぞれの「譲れないもの」を3つずつ出し合う

そして、探すのは早めに。

決めるのは、急がなくて大丈夫です。

ご相談者さまの、その後

このご相談には、続きがあります。

契約をキャンセルした翌日、こんなご報告をいただきました。

丁寧な返信ありがとうございます。

今朝購入予定であったアクアを諦めたショックで、妻は苛立っておりました。

正しい判断をしても、家の中がすぐに晴れるとは限らないんですよね。

奥様からすれば、一度は気に入って決めた車です。

しかも、運転が苦手なご自身にとって、大きさがちょうどよかった。

それが、ご自分の知らないところで白紙に戻った。

苛立つのは、当たり前のことだと思います。

ここを飛ばして「キャンセルできてよかったですね」で終わらせてしまうと、この話は半分になってしまいます。

損を避けた側にも、ちゃんと代償があります。

そのうえで、この方はこう続けてくださいました。

「本当にアクアがいいのか?」「他の広めの車もありでは?」などを考えて、めげずに妻と相談を重ねていこうと思います。

「めげずに」という言葉が、すべてだと思います。

そして、その同じご報告の最後に、1台の車の名前が出てきました。

しかし、カローラフィールダーいいですね!

荷物も入りそうだし、勧めてみます!!

荷物が積めて、運転もしやすくて、燃費も悪くない。

おふたりの「譲れないもの」が、どちらも入っている1台でした。

優先順位を出し合うと、こういう車が見つかります。

ピゴス
ピゴス

意見が分かれたとき、どちらかが折れる形にすると、あとに残ります。

でも、両方の理由を並べてみると、それを満たす車が出てくることがあるんです。

急がなくて大丈夫ですので、ゆっくり探してみてくださいね。

この続き——燃費と広さのバランスで、どんな車種を見ていけばいいのかは、こちらに書きました👇

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、記事の下のコメント欄でいつでも承っております。ニックネームもメールアドレスも要りませんので、お気軽にどうぞ!