7,980円のドラレコは大丈夫? 安さの正体は「取り付け」と「保証」でした

ラジオから、ドライブレコーダーの通信販売が流れてきた。
ルームミラーに取り付けるタイプで、お値段は7,980円。
「安すぎませんか?」
——そんなご相談を、読者の方からいただきました。
たしかに、気になる値段ですよね。
先に、いちばん大事なところをお伝えします。
この7,980円に、SDカードは入っていました。
入っていなかったのは、取り付けと保証のほうでした。
7,980円という値段そのものが悪い、という話ではありません。
安いものには、たいてい「入っていないもの」があります。
このドラレコの場合、それは取り付けと保証の2つでした。
お店に頼むなら、工賃が1万5,000円ほど乗ります。
保証の記載がないと、すぐ壊れたときに頼る先がありません。
そのうえで付けるなら、国内メーカーのシンプルな機種で十分です。
そして——いま良いものが見つからないなら、後回しでもいい。
これも、立派な答えのひとつだと思っています。
まずは、いただいたご相談です
今乗っている車を家族に譲るので、ドラレコを付けてから渡そうと考えています。
そんな時に、FMのラジオでルームミラーに取り付けできるタイプのドライブレコーダーが紹介されておりました。
その価格なんと、7980円!
正直、「安すぎる!」と思ったのですが、ちょっと気になってしまっている自分がいます。
ピゴスさんのご意見をいただきたく質問しました。
その前に、ひとつだけ。
ご家族に譲る車に、と考えられたことが、まず素敵ですよね。
だからこそ、その気持ちが報われる一台を選んでほしいので、正直にお話しします。
「安い!」と聞くと、つい手が伸びそうになりますよね。
でも、ドラレコは「いざという時」のために付けるもの。
そこだけは、ちょっと立ち止まって、一緒に考えてみましょう。
その7,980円に、入っていなかったもの
当時、その商品がどういうものなのかを確かめました。
分かったのは、次の3つです。
🔍 調べて分かったこと
・SDカードは32GB付きだった。
・ただし取り付けはセルフ(商品の販売だけ)。
・そして、本体の保証について記載が見当たらなかった。
つまり安さの正体は、「SDカードが別売り」ではありませんでした。
もっと手前の、2つでした。
① 取り付けは、自分でやることになります
ルームミラー型は、ミラーに巻きつけて電源をつなぐだけ——のように見えます。
でも実際は、シガーソケットから配線を垂らしたままにするのか、内張りの中を通すのかで、作業の重さが変わります。
お店に頼む場合、前後2カメラの取り付け工賃は、だいたい1万5,000円くらいからです。
※ご相談をいただいた当時に調べた相場感で、お店や車種によって変わります。
7,980円 + 1万5,000円 = 2万3,000円ほど。
この金額になると、じつは国内メーカーのシンプルな機種が視界に入ってきます。
だから私は、本体だけの値段ではなく、「本体+取り付けで、トータルいくらか」で見てくださいとお伝えしています。
そしてもうひとつ、見落としやすいことがあります。
安いものが壊れて買い替えると、取り付け工賃を、もう一度払うことになります。
本体は安くても、工賃はそのたびに同じだけかかるんですね。
2回壊れたら、そこだけで3万円。
隠れたコストの正体は、じつは本体ではなく工賃のほうだったりします。
② 保証のことが、書かれていませんでした
もうひとつが、こちらです。
国内の大手メーカー(コムテック、セルスター、ユピテルなど)の商品は、箱に「保証1年」といった記載があります。
これは、ただの紙ではありません。
すぐ壊れたときに、どこへ言えばいいかが決まっている、ということです。
記載が見当たらない商品だと、初期不良のときに、相談する先を自分で探すところから始まります。
正直に言うと、ちゃんとした高いドラレコでも、たまに壊れます。
機械なので、これは仕方がないんです。
ただ、高いものはそのぶん保証期間が長かったりします。
分かれ目は、壊れるか壊れないかではなく、壊れたときにどうなるかのほうなんですね。
なお、カー用品店で取り付けまで頼んだ場合は、製品の保証もそのお店で見てもらえることがあります。
※不具合のときの付け替え作業費が別なのかどうかは、先に聞いておくと安心です。
ちなみに同じ中身の製品でも、売り場によって型番が変わり、保証が1年のものと3年のものに分かれていることがあります。
ユピテルさんを例に、その確かめ方をまとめました👇
③ SDカードは、付いていても中身を見ます
今回はSDカードが付いていましたので、ここは合格でした。
ただ、ドラレコのSDカードは常に上書きをくり返します。
なので「高耐久」と書かれたタイプでないと、いつのまにか書き込めなくなっていることがあります。
じつは、ドラレコの値段がピンキリに見える理由の多くが、ここです。
そのあたりは、こちらでくわしくお話ししています👇
人に譲る車だからこそ、保証が効いてきます
ここは、今回のご相談ならではのところなので、少し丁寧にお話しさせてください。
自分が乗る車なら、ドラレコが壊れても、わりと早く気づけます。
気づいたら、自分で買ったお店に言いに行けばいい。
でも、人に譲った車だと、そうはいきません。
壊れたことに気づくのは、譲った相手です。
言いに行くのも、相手です。
そのときに、「保証◯年」と書かれた箱と、買ったお店がはっきりしていると、話はその場で片づきます。
反対に、どこで買ったかも保証も分からないものだと、調べるところから相手にさせてしまうことになります。
せっかくの心遣いが、宿題に変わってしまうのは、もったいないですよね。
だから譲る車に付けるドラレコは、自分用よりもむしろ、保証のはっきりしたものを選んでいただきたいと思っています。
いちばん怖いのは、静かに壊れることです
ドラレコが置かれるのは、フロントガラスやダッシュボードのあたりです。
夏は直射日光で熱くなり、冬は冷え込み、走っているあいだはずっと振動しています。
精密機械にとっては、かなり厳しい場所なんですね。
その場所で長く動き続けるように作るには、やはりお金がかかります。
安く作られたものを付けて、何台も壊れたという話も、車屋さんとして働いていたころに耳にしてきました。
よく聞くのは、こんなトラブルです。
- 夏の熱でレンズ側が曇って、映像が白っぽくなる。
- 本体が熱を持ちすぎて、録画中に再起動をくり返す。
- SDカードがエラーを起こして、そのまま止まっている。
そして、いちばん困るのがこれです。
本体のランプは点いているのに、実は録画されていない。
壊れていることに、事故のあとまで気づけません。
「撮れているはず」で過ごした数か月が、いちばん高くつきます。
価格・機能・SDカードまで含めた、ドラレコ選びの全体像はこちらにまとめています👇
付けるかどうかから迷っているなら、先にこちらを
7,980円が高いか安いかの前に、ひとつ手前の問いがあります。
そもそも、自分に要るのかどうか、です。
短くお伝えすると——ドラレコが守ってくれるのは、命ではなく、事故のあとのお金と時間です。
相手の非がはっきりして、保険を使わずに済んだり、話が早く終わったり。
守られるのは、そこなんですね。
ですから、全員に必要というものではありません。
⚖️ こう並べてみてください
ドラレコ代を、ときどき払っていくのか。
それとも、事故のときに保険を使って、保険料が上がるほうを受け入れるのか。
⚠️ただし、事故が完全に10対0にならなければ、こちらの負担はどちらにしても発生します。
付けなくていい方と、付けたほうがいい方の分かれ目は、こちらでくわしくお話ししています👇
🔧 取り付けの話:常時電源と駐車監視(元整備士より)
選ぶときに、本体価格だけでなく「取り付け」も少し頭に入れておいてほしいので、整備士の目線でひとつ。
シガーソケットに挿すだけのタイプは手軽です。
でも、停車中も録画する「駐車監視」を使いたいなら、常時電源(ヒューズから取る配線)が必要になります。
これは内張りを少し剥がして配線するので、慣れていないと手こずる作業です。
もうひとつ、駐車監視はエンジンを切っても電気を使うので、使い方によってはバッテリー上がりのリスクがあります。
電圧を見て自動で止まる機能やタイマーがあるか、長く使うならサブバッテリーも検討するか。
ここは、少し知識が要るところです。
とくに、長期でお車を預けるようなときは要注意です。
しばらく乗らない期間があるときの備え方を、こちらでお話ししています👇
それと、もしETCの取り付けも考えているなら、同じ日にまとめて頼むほうが作業としては安く済みます。
内張りを外す作業が重なるぶん、お店に行く回数も1回で終わります👇
ちなみに、私はいまドラレコを付けていません
こんな話をしている私ですが、実は現在、自分の車にはドラレコを付けていません(笑)
理由は、どの機種が良いか、壊れないか、ちゃんと撮れているか——そういったことに頭を悩ませるのが、いまのところ面倒だからです。
私の使用環境はあまり事故のリスクが高くありませんし、そこまで価値のある車にも乗っていません。
総合的に考えて、「今は付けなくてもいいかな」と判断しています。
もちろん、車が変わったり、使い方や環境が変われば、また検討するつもりです。
何が言いたいかというと、ドラレコはどうしても付けなければいけないもの、ではないということです。
ご自身の状況と価値観に合わせて、必要かどうかを決めていいものです。
そして、もし私が「付ける」と決めたなら、そのときは信頼できるものを選びます。
付けるか付けないかは、正解がひとつではありません。
それでも「安く済ませたい」なら、どうするか
「でも、やっぱり予算が…」という気持ちも、よく分かります。
そのうえで、道は2つあると思っています。
提案① 少しだけ予算を上げて、信頼できるエントリー機種にする
国内の有名メーカー(コムテック、ユピテル、ケンウッドなど)にも、機能はシンプルな入門モデルがあります。
だいたい1万円台後半〜2万円台くらいからです。
※価格帯は時期と機種で動きますので、いまのお値段はご自身でお確かめくださいませ。
先ほどの計算を思い出してみてください。
7,980円に工賃を足すと、もうこの価格帯と重なってきます。
そして、これは私の考えですが——まずは「前方1カメラ」だけでも、十分に80点だと思っています。
前さえ撮れていれば、車が止まっていたか動いていたか、信号は赤か青か、相手が車線をはみ出してきたか。
だいたいの速度感まで、多くのことが分かるからです。
後ろのカメラは、あったらなお良いくらいの位置づけ。
付けると工賃も部品代も上がりますし、録画量が増えるぶんSDカードの上書きも早くなります。
提案② いまは付けずに、お金を貯めてから決める
中途半端に安くて、すぐ壊れてしまうものを買うくらいなら、「今は付けない」という選択のほうが良いこともあります。
壊れたドラレコは、何の役にも立ちませんからね。
焦って買う必要はありません。
「月5,000円を貯めて、半年後に買おう」というように、期間を決めて予算を立てていく方法も、立派な答えです。
買う前に、この3つだけ確かめてください
ここまでの話を、そのまま使える形にしておきます。
安いドラレコを見つけたとき、確かめるのはこの3つだけで大丈夫です。
✅ 安いドラレコを見つけたら
① 取り付けは自分でやるのか、お店に頼むのか。
頼むなら、工賃を足した総額で見ます。
② どこかに「保証◯年」と書いてあるか。
書いてあれば、壊れたときの行き先が決まっています。
③ SDカードは付いているか。
付いていても「高耐久」かどうか。
ここが弱いと、静かに録画が止まります。
この3つが分かれば、本当に安いのか、それとも入っていないものが多いだけなのかが見えてきます。
お店で聞いてもいいですし、商品ページを読むだけでも分かります。
まとめ:安さの正体は、たいてい「入っていないもの」です
- 7,980円のドラレコに入っていなかったのは、SDカードではなく「取り付け」と「保証」でした。
- 工賃を足すと、国内メーカーのシンプルな機種と値段が近づきます。
- 高いドラレコでも壊れます。分かれ目は壊れたときにどうなるかです。
- いちばん怖いのは、ランプは点いているのに録画されていないこと。
- ドラレコが守るのは命ではなく、事故のあとのお金と時間です。
- 良いものが見つからないうちは、後回しでもいい。これも答えのひとつです。
ご相談者さまの、その後
このご相談には、続きがあります。
数日後、ご本人からこんなお返事をいただきました。
通販、電話はしておりません。
よくよく、検討していきます。
買わない、と決められたわけではありません。
ただ、電話をかけなかった。
これは、がまんされたのではないと思っています。
確かめることが、3つに減ったからではないでしょうか。
取り付けはどうなるのか。
保証は、どこかに書いてあるか。
SDカードは、高耐久か。
聞くことが決まると、急いで決めなくてよくなります。
私がお渡ししたのは材料だけで、決めたのはご本人です。
それにしても、ご家族に譲る車にドラレコを付けてあげよう、という心遣いは、本当に素敵だと思います。
だからこそ、その優しい気持ちが「残念な結果」にならないように。
信頼できる一台を選んであげてほしい、というのが私の願いです。
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