夏タイヤも、冬タイヤも、そろそろ替えどき。

お店でもそう言われた。

どうせ両方買い替えるなら、一年中はきっぱなしにできるオールシーズンタイヤはどうだろう。

年2回の交換も、置き場所の悩みも、いっぺんになくなります。

でも、そこで手が止まります。

「雪の日、本当に走れるんだろうか」

ここが分からないと、決められませんよね。

✅ 結論からお伝えします

分かれ目は、雪が降るかどうかではありません。

「雪の上か、凍った路面か」です。

踏み固められた雪(圧雪路)の上なら走れます。

でも「凍った路面」は、スタッドレスタイヤとの差が大きく開きます。

ですから、雪がたまに降る地域で、凍る日は乗らずにいられる方なら、選択肢になります。

先にお伝えしておくと、私自身はオールシーズンタイヤを履いたことがありません。

ですので、この記事は「実際に使っている方たちに聞いた話」でできています。

著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

まずは、いただいたご相談です

夏用タイヤがひび割れ、冬用タイヤが固くなってきていると、スタッドレスタイヤの交換時に車屋さんに評価してもらいました。

次の冬用タイヤの交換の時には新しいタイヤを購入した方が良いのではと提案されています。

同時に夏・冬タイヤが使えなくなりそうなので、オールシーズンタイヤも良いのではと考えています。

車はプレマシーで、2017年10月の登録です(5年目の車検は済ませました)。

年間走行距離は5,000キロから7,000キロほど。

年に数回、数センチ程度の雪が降る地域に住んでいます。

大寒波が来た時は、車にのらないようにしています。

ウィンタースポーツをしないので、雪山にはいきません。

特におすすめの時期がなければ、このまま冬タイヤで冬を越してから、春に購入しようと考えています。

車の知識が乏しいので、最安の購入ルートは狙っておらず、80点の購入を目指しています。

ご自身の使い方が、とても具体的に書かれています。

とくに最後の一行。

「80点の購入を目指しています」

「80点」は、私がふだんこのブログで書いていることそのものです。

満点を狙わない。

自分の使い方に対して、じゅうぶんな選択をする。

その姿勢があれば、答えはもうほとんど出ています。

ちなみに、タイヤのひび割れやサイドウォール(側面)の傷など「このタイヤ、まだ使える?交換すべき?」の見極めは、こちらでもくわしくお話ししています。

縁石でタイヤをこすったら。側面の傷、交換する? 見分け方は? コードが見えたら走らずロードサービスへ
【修理不可】タイヤのサイドウォール損傷、「交換すべき3つのサイン」と経過観察OKの境界タイヤの側面(サイドウォール)の傷は修理できません。交換すべき3つのサイン、様子を見てよい浅い傷やひび割れとの境目、替える本数の目安、ホイールから外して見つけたビードの欠けの考え方を、整備の基準と公式の情報でお伝えします。...

正直に言うと、私は履いたことがありません

オールシーズンタイヤについて、私は自分で履いたことがありません。

ですので、詳しくは分からない、というのが正直なところです。

整備士としてタイヤは数えきれないほど扱ってきましたが、それと「一年間そのタイヤで暮らしてみる」ことは、別の話です。

私のスタンスも、はっきりさせておきます。

安全性を重視するなら、スタッドレスタイヤが基本。

この考えは変わりません。

ただし、自分も体験したことのないことですし、技術の進歩もあります。

正直に言えば、興味がある分野なんです。

オールシーズンタイヤのポテンシャルについては、まだまだ身近に経験された方が多くありません。

だからこそ、気になっているお話でもあります。

ご相談者さまからは、春にご報告もいただきました(中身は、この記事の最後にご紹介します)。

そのとき、同じように気になっている方もいらっしゃるだろうと思って、みなさんに呼びかけてみました。

すると、実際に使っている整備士さんが、その日のうちに答えてくださいました。

7年使っている整備士さんが、境界線を教えてくれました

答えてくださったのは、ふだん職場の車の整備と管理をされている整備士さんです。

職場の車の一部を、スタッドレスタイヤからオールシーズンタイヤに替えて使っているそうです。

2016年から一部の職場の車にスタッドレスタイヤからオールシーズンタイヤを採用しています。

感想としては、オールシーズンタイヤは非常に優れたタイヤだと思います。

採用して良かったです。

ただし、北国では厳しいと思います。

※ 職場の車の整備と管理をされている整備士さんが、ご相談者さまのご報告のあと(2023年3月)に寄せてくださった言葉です。

採用を決めた理由も、具体的でした。

当時はまだ販売しているメーカーがほとんどなく、半信半疑だったそうです。

それでも試乗会に参加して、スケートリンクとスキー場で実際に走らせてみた。

その結果、雪道も問題なく、高速道路の冬の規制でも走行できると分かったので、採用に踏み切ったとのことでした。

このあたりは、カタログを読んでいるだけでは出てこない話です。

冬の高速道路の規制には2つあって、オールシーズンタイヤで走れるのは「冬用タイヤ規制」のほうです。

高速道路の会社は、オールシーズンタイヤの中でも雪の結晶の形をした「スノーフレークマーク」の付いたものを、全部の車輪に付けるよう案内しています。

大雪のときの「チェーン規制」の区間では、冬用タイヤでもチェーンが要ります。

※ NEXCO西日本「冬用タイヤ」より(2026年11月に確認)

分かれ目は「圧雪か、凍結か」

そして、いちばん大事なところを、はっきり書いてくださっています。

圧雪された路面では問題ありませんが、凍結した路面では、スタッドレスタイヤと比べて圧倒的に劣るため、注意が必要です。

雪がたまにしか降らない地域で、ちょっとした降雪時でもお車を乗られる方には、おすすめのタイヤです。

この線引きが、この記事の芯になるところです。

よく「オールシーズンタイヤは雪道に弱い」と、ひとまとめに言われます。

でも実務で使っている方は、そこを2つに分けています。

  • 圧雪路(雪が踏み固められた路面)=問題なく走れる
  • 凍結路(アイスバーン)=スタッドレスと比べて圧倒的に劣る

つまり「雪が降るかどうか」で決める話ではないということです。

「その雪が凍るかどうか」。

朝晩に冷え込んで路面がツルツルになる地域なのか。

降っても日中には溶ける地域なのか。

ご自身の地域がどちらなのか、思い浮かべてみてはいかがでしょうか。

このご相談のあと、私も同じようなご相談には、この物差しでお答えしています。

  • 積雪は少なくても、夜や早朝に少し降った雪や雨が凍る地域なら、おすすめしていません
  • 冬の朝に路面が凍ることが多い、坂道が多い、という場合は、スタッドレスタイヤのほうが安心です
  • 冬も高速道路をよく走るなら、手間とお金はかかっても、夏タイヤと冬タイヤを別々に用意するのがいいと考えています(速度が高いぶん、一度の事故の損害が大きいので)
  • 雪は数回降るけれど、凍った道を走ることはほとんどない、という場合は、オールシーズンタイヤで十分こなせると思います

迷われるなら、安全側に倒してスタッドレスタイヤにするのも、まったく間違っていません。

たとえば北関東のように、雪が積もる日は年に数日でも、朝に氷点下になる日が多い地域での選び方は、こちらでお話ししています👇

北関東のオールシーズンタイヤ選び。雪の回数より朝に凍る道を走るかで選ぶ
北関東でオールシーズンタイヤは使える? 雪が積もる日より「朝に凍る日」で選ぶ北関東でオールシーズンタイヤが使えるかは、雪が積もる日の数より、冬の朝に凍った道を走るかで決まります。雪が積もる日は年に数日でも、氷点下の朝は年に50〜70日ほど。3つの選び方と、タイヤを安く買う場所をお伝えします。...

「うるさい」は、もう昔の話のようです

採用された当初は、まだ知られていないタイヤだったこともあって、いろいろ言われたそうです。

走行音がうるさいのではないか、雪道で本当に大丈夫なのか。

ですが今は他のメーカーも参入していて、不満の声は聞かれず、走行性能も問題ないとのことでした。

2016年から7年ほど、複数の車で使い続けての言葉です。

私が想像で語るより、ずっと確かだと思います。

それでも迷うなら、試す順番があります

ここからは、私がご相談者さまの立場だったらどうするか、を考えてみます。

この方の場合、夏タイヤはひび割れ、冬タイヤは硬化していました。

つまり、どちらも安全性が下がっている状態です。

プレマシーに5年ほど乗られているということは、夏タイヤも冬タイヤも、同じく5年ほど使われているのでは、と想像しました。

5年履いたスタッドレスタイヤなら、下手をすると新品のオールシーズンタイヤのほうが、雪道での効きは良いかもしれません。

そう考えると、この冬からさっそく試してしまってもいいのでは、と考えました。

具体的な進め方

  • ① ひび割れた夏タイヤを、オールシーズンタイヤに替える
  • ② 古い夏タイヤは、その場で処分してもらう
  • ③ 冬になったら、そのオールシーズンタイヤで雪の日を走ってみる

ここで、どちらに転んでも大丈夫なようにしておきます。

「これなら大丈夫」と感じたら、そのまま履き続ける。

古い冬タイヤは、そのときに処分すれば間に合います。

「やっぱり不安だ」と感じたら、硬くなった冬タイヤにいったん戻す。

その冬をしのいで、翌シーズンに新しいスタッドレスタイヤを買う。

オールシーズンタイヤは、春からは夏タイヤとして使えばいいだけです。

どちらに転んでも、買ったタイヤは無駄になりません。

古い冬タイヤを捨てずに置いておけば、いつでも元に戻れます。

ピゴス
ピゴス

私は車好きなので、考えついたことは早く試したいというのが本音でもあります(笑)

もちろん、いまのタイヤがもったいないという場合は、同じことを次の冬に試していただけたら、と思います。

買う時期は、安全を軸に、必要なタイミングで

「いつ買うのが安いか」は、はっきりとは言えません。

タイヤの値段は年々上がっていますし、特価になっているタイヤも、そのときどきで入れ替わっていくからです。

ですので私は、安全を軸に、必要なタイミングで買うのがいちばんだと思っています。

いまのタイヤの交換が必要になったときが、買いどきです。

値段を比べたいときは、ネットで買う方法もあります。

たとえば「タイヤフッド」は、ネットでタイヤを選んで買い、近くのお店での取り付けまで予約できるサービスです。

特価になっているタイヤも、ほかのタイヤと比べながら選べます。

私のお気に入りのサービスで、使い方は画像付きでこちらにまとめました👇

【初めてでも簡単】コスパ80点以上!タイヤ購入の『タイヤフッド』!画像付きで解説タイヤはどこで買うのが正解?コスパ80点以上のオンライン購入「タイヤフッド」の使い方と失敗しないタイヤ選びのコツを、元1級整備士×元ディーラー営業が画像付きでやさしく紹介します。...

どのメーカーを選べばいいか

どのメーカーがいいかは、正直、専門家でも意見が分かれるところです。

オールシーズンタイヤと一言でいっても、夏タイヤ寄りのものもあれば、冬タイヤ寄りのものもあります。

私は履いたことがないので、「これが絶対」とは言えません。

お伝えできるのは、知人の話です。

私の知人がミシュランのクロスクライメート2というタイヤを使っていて、評判は悪くないと聞いています。

実際に雪道を走行している映像も、何度か見たことがあります。

大きな外れにはならなそうだな、というのが私の感覚です。

ただ、ひとつ付け加えておきます。

今回のご相談者さまが最終的に選ばれたのは、別のメーカーのタイヤでした。

つまり、ここで挙げた1本が唯一の正解というわけではありません。

お店で在庫のあるもの、ご予算に合うもの、サイズのあるもの。

そうやって絞っていって、大手メーカーのものであれば、じゅうぶん80点は取れると思います。

凍結路にも届く、新しい世代が出てきました

なお、この記事で「凍結路は苦手」とお伝えしてきましたが、そこに正面から挑んだ商品も出てきています。

ダンロップのシンクロウェザーです。

こちらは従来のオールシーズンタイヤとは設計の考え方が違い、凍った路面での性能を大きく引き上げています。

ただし寿命や価格など、見ておきたい点もあります。

一般的なオールシーズンタイヤとの違い、向いている人・向いていない人、買い方まで、別の記事でくわしくお話ししています。

ダンロップ シンクロウェザーは買い?後悔しない人・する人を元整備士が解説
ダンロップ シンクロウェザーは買い?後悔しない人・する人を元整備士が解説ダンロップの新世代オールシーズンタイヤ「シンクロウェザー」は買い?氷上性能はスタッドレス相当?元整備士が公式データと本音で、向いている人・向いていない人、価格や買い方まで正直に解説します。...

なお、オールシーズンに限らず「大手メーカーの、どれを選べばいいのか」で迷う方も多いです。

夏タイヤ・冬タイヤそれぞれの、値段の安いグレードの銘柄名はこちらにまとめました。

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古いタイヤは、1本だけ残しておく手もあります

不要になった夏タイヤ・冬タイヤの処分についてです。

新しいタイヤを買うときに、そのお店で引き取ってもらうのが簡単です。

あとから持ち込む場合も、ディーラーやカー用品店、タイヤ専門店で引き取ってもらえます。

料金は1本500円ほどかかることがあります。

ここで、ひとつご提案です。

もしお車にスペアタイヤが積まれていない場合、状態の良いものを1本だけ残しておくという手があります。

置き場所があれば、の話ですが。

パンクしてロードサービスを呼んだときに「家にタイヤがあります」と伝えると、交換まで対応してもらえる場合があるんです。

ご相談者さまからも、ここは「目から鱗でした」とお返事をいただきました。

ただし、劣化の具合やサイズ、保管の状態には気をつけてくださいね。

履き続けるなら、ローテーションを

オールシーズンタイヤは、春から秋も同じタイヤで走るので、溝の減りは夏タイヤより早いかもしれません。

そのうえ、タイヤは前と後ろで減り方が違います。

位置を入れ替えずに使うと、一部だけ早く減ってしまいます。

これを「偏摩耗」といいます。

定期的に前後の位置を入れ替えることで、4本を均等に長持ちさせられます。

12ヶ月点検や車検のときに、一緒にお願いしておくのがおすすめです。

一年中はきっぱなしにするということは、年2回の履き替えという「点検の機会」がなくなるということでもあります。

今回のご相談者さまも、夏タイヤのひび割れと冬タイヤの硬さを知ったのは、スタッドレスタイヤへの履き替えのときに、車屋さんが見てくれたからでした。

しかも、重めの車でそれなりに距離を乗る場合、1〜2年目はよくても、だんだん性能が落ちてきます。

とくに冬の性能は、タイヤの溝だけでは測れないところもあって、見極めが難しくなります。

そのぶん、点検のときにタイヤも見てもらう。

このひと手間は、意識しておきたいところです。

まとめ

  • 分かれ目は「雪が降るかどうか」ではなく「圧雪か、凍結か」
  • 圧雪路は走れる。凍結路はスタッドレスと差が大きく開く
  • 雪がたまに降る地域で、凍る日は乗らずにいられるなら選択肢になる
  • 迷うなら、古い冬タイヤを残したまま試すと、どちらに転んでも無駄にならない
  • 買う時期は、安全を軸に、必要なタイミングで(値段は年々上がり、特価は入れ替わる)
  • 古いタイヤは1本だけ残すと、緊急用のスペアになる

安全性を最優先するなら、スタッドレスタイヤが基本です。

そのうえで、ご自身の地域の雪の降り方と、乗り方と、安全に対する考え方。

この3つを並べて「我が家にはこれでじゅうぶん」と思えるなら、試してみる価値はあると思います。

ご相談者さまの、その後

このご相談には、続きがあります。

ご相談から3か月あまりたった春に、オールシーズンタイヤへ替えられたとご報告をいただきました。

冬のあいだに探して、春の履き替えの時期に替える、というご自身で決めた順番どおりでした。

選ばれたのは、ダンロップの「オールシーズンマックス AS1」です。

素人の走り心地は、冬タイヤより夏タイヤよりの運転している感覚です。

乗っている家族は、乗り心地は違和感なく、違いは良く分からないと言っています。

現状は不満は全くないので、少なくとも来年の冬までは、このタイヤで過ごしたいと思います。

そして、雪道で不安が強くなれば、スタッドレス併用も考慮する予定です。

今後は、教えてもらった通りに、タイヤのローテーションをしてもらったりしながら、丁寧に乗りたいと思います。

ご家族が「違いが良く分からない」とおっしゃっている。

この一言は、けっこう大事な情報だと思っています。

毎日の運転で違和感がない、ということですから。

そして「不安が強くなれば併用も考える」と、逃げ道も自分で用意されています。

ピゴス
ピゴス

乾いた路面では、夏タイヤとして違和感なく使えるんですね。

この先は、大雨や真夏も違和感なく乗り越えられるかが、1つのポイントですね。

スタッドレスタイヤを夏も履きつぶす使い方だと、大雨や熱いアスファルトでタイヤの限界が大きく落ちて、高速道路やスピードの出し過ぎで事故が起きやすくなるとも聞きます。

オールシーズンタイヤなら、夏の大雨や熱いアスファルトも心配なさそうです。

そして、冬にどうなるか。

ご報告をいただいた春の時点では、まだこれからでした。

もし試された方がいらっしゃったら、感想を教えていただけると嬉しいです。

私自身が、まだ履いたことがないので。

オールシーズンタイヤで疑問や不安がある場合は、このページ下の「コメント欄」からお気軽にどうぞ(ニックネームもメールアドレスも要りません)。

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、記事の下のコメント欄でいつでも承っております。ニックネームもメールアドレスも要りませんので、お気軽にどうぞ!