ユーザー車検の前に、点検は必要? テスター屋さんと、落ちたときの流れ

初めてのユーザー車検に向けて、予約を取り、書類も少しずつそろえていく。
近くのガソリンスタンドで見てもらったら、「車検で直さないと通らない所はない」と言われた。
それでも、このまま検査場へ行っていいのか、先に点検を受けておくべきなのか、気になってきます。
点検はどこで受けて、いくらかかるのか。
もし当日、検査に落ちてしまったら、最初からやり直しになるのか。
準備を進めるほど、次の疑問が出てきますよね。
車検に通る状態なら、点検を受けていなくても、ユーザー車検は受けられます。
点検は、車検のあとに受ける形もあります(「前検査・後整備」と呼ばれます)。
ただ、点検そのものは、車検とは別に、車の持ち主がするものと決められています。
当日に落ちないか不安なら、検査場の近くのテスター屋さん(本番と同じような機械で測ってもらえるお店)で、先に試しておくと安心です。
点検の料金はお店ごとに違うので、安さより、この先も見てもらいたいお店を選ぶのがおすすめです。
落ちても、軽自動車なら、その日のうちに2回まで、手数料なしで受け直せます。
まずは、いただいたご相談です
人生初のユーザー車検(軽自動車)に向けて、準備をしています。
近くのガソリンスタンドで見積もりをしてもらい、車検で直さないと通らない所はない、とのことでした。
事前に、点検などは必要でしょうか?
その後も、準備を進めながら、こんなご相談が続きました。
ユーザー車検の前の点検を、車検も扱っているお店にお願いしたところ、車検に伴う点検なら、うちでは扱わない、という返事でした。
ユーザー車検を受けてから、点検をお願いする流れでも大丈夫でしょうか?
それと、点検の料金は、どこで受けても決まっているのでしょうか?
当日、車検に合格しなかったときは、どういう流れになりますか?
ここまで行動にどんどん移されているなら、問題ないと思います。
あともう一歩、ファイトです!
当時の私のお返事は、このくらいでした。
ユーザー車検の細かい手順は、正直に言うと、私はそこまで詳しくないからです。
なので、この記事の手順と数字は、軽自動車検査協会(軽自動車の車検を受ける所)と国の案内で確かめて書いています。
点検や整備の考え方は、私の考えも交えてお話しします。
なぜ、点検をしていなくても車検は受けられるのか
お店に車検を任せている方にも、知っておいて損はない話です。
車検は「いま」を、点検は「これから」を見ています
車検は、その時点で、車が国の基準に合っているかを確かめる検査です。
一方の点検は、これからも安全に走れるように、傷みや減りを見つけて整えておくためのものです。
国土交通省は、この定期点検を、車の持ち主(使用者)の義務としています。
マイカー(自家用の乗用車と軽自動車)なら、1年ごとに29項目、2年ごとに60項目です。
お店で車検を受けると、ふつうは、2年ごとの60項目の点検を一緒に受けます。
専門の知識が要るので、国の認証を受けた整備工場に頼むこともできます。
※国土交通省「点検整備の種類」より(2026年9月に確認)。
車検に通ったからといって、点検をしたことにはならない、ということなんです。
点検は、車検のあとでも受けられます
そのうえで、ご相談者さまの1つ目の疑問への答えです。
私は、別のご相談で、こうお答えしています。
「車検に通る状態でしたら、事前の点検なしでもユーザー車検は受かります」
「申請時にユーザー車検後に点検整備しますと言っておけば大丈夫です」
車検の前に点検を受けず、車検のあとで点検を受ける形を、国土交通省は「前検査(後整備)」と呼んでいます。
制度の中にある受け方です。
※国土交通省「車検時の点検整備実施状況のお知らせ」より(2026年9月に確認)。
点検を受けずに車検を受けると、記録に残ります
ただ、点検を受けないまま車検を受けたことは、記録に残ります。
軽自動車検査協会は、車検のときに、直近の定期点検の結果を書いた「点検整備記録簿」を見せてもらうようお願いしています。
見せられないときは、その旨が車検証の備考欄に記録されます(軽自動車は2015年1月から)。
前検査で受けた車は、フロントガラスに貼る検査標章(ステッカー)の裏にも、点検を呼びかける文が書かれます(2020年4月から)。
あとから、点検を受けたかをたずねるはがきも届きます。
※軽自動車検査協会「継続検査(車検)」と、国土交通省「車検時の点検整備実施状況のお知らせ」より(2026年9月に確認)。
国も、点検を忘れたままにならないよう、いくつもの形で知らせてくれる仕組みにしているわけです。
点検まで受けたら、ユーザー車検で浮くお金はどれくらい残るのか。
私の目安では、浮くのは、お店に払う車検整備の費用のぶんで、2〜3万円ほどです。
オイル交換のような、走った距離に応じた部品の交換は、ユーザー車検にしても、やらなければならないからです。
検査は自分で通して、整備はお店にお願いする形とあわせて、輸入車のご相談でお話ししています。
当日に落ちないための、テスター屋さん
テスター屋さんは、本番の前に試せるお店です
点検とは別に、もうひとつ知っておきたいのが、テスター屋さんです。
検査場の近くにあるお店で、本番の検査ラインと同じような機械で、先に試してもらえます。
テスター屋さんについては、以前、こうお答えしたことがあります。
「車検に合格する状態かどうかは、車検前に『テスター屋さん』というユーザー車検の合格をサポートしてくれる業者さんに見てもらうのが無難ではありますね」
「そこで事前チェックをして、だめだったポイントを整備工場で直して、いざ、ユーザー車検本番を迎えるという流れになります」
テスター屋さんは、「予備検査場」と呼ばれることもあります。
ただ、軽自動車検査協会の手続きにも「予備検査」という名前のものがあり、そちらは販売店などが、使う人の決まる前の車を検査する手続きです。
名前は似ていても別のものなので、調べるときは気をつけたいところです。
※軽自動車検査協会「予備検査」より(2026年9月に確認)。
料金や、予約がいるかどうかはお店ごとに違うので、行く前に電話で聞いておくと、当日あわてずに済みます。
テスター屋さんで試せるのは、主に機械で測る所です
本番の検査ラインでは、大きく分けて、次の順番で見られます。
- 見た目の検査(車検証と車が同じか、ライトやウインカー、ワイパー、ホーンなどが働くか)
- 対象の車だけ、コンピューターの診断機をつなぐ検査(OBD検査)
- 排気ガスの検査
- タイヤの向きの検査(サイドスリップ)
- スピードメーター、ヘッドライト、ブレーキの検査
- 下回りの検査(検査員の方が、下から見て確かめる)
※軽自動車検査協会「検査の受け方」より(2026年9月に確認)。
テスター屋さんで試せるのは、このうち、主に機械で数字を測る所です。
下回りのゴムの破れや、オイルのにじみのように、目で見て確かめる所は、点検や見積もりで見てもらうほうが確かです。
ご相談者さまは、ガソリンスタンドの見積もりで、直さないと通らない所はないと言われていたので、残る心配は、機械で測る所のほうでした。
ヘッドライトは、走っているうちにズレていきます
機械で測る所の中でも、気にかけておきたいのがヘッドライトです。
国のお知らせでも、ヘッドライトの光の向きは、走っているときの振動などで、少しずつズレていくもの、とされています。
しかも、1998年9月以降に作られた車は、2026年8月から、全国どこでもロービーム(下向きのライト)で測る形に切り替わりました。
いまのヘッドライトは樹脂のレンズが多く、年数がたつと、くもりや中の反射板の傷みで、明るさが足りなくなることもあります。
レンズの磨きや交換、電球の交換などで直せることもありますが、費用はかかるので、料金は整備工場などで確かめておきたいところです。
車によっては、運転席まわりに、ヘッドライトの向きを上下に変えるダイヤル(レベリング)があります。
向きを調整してもらうときは、そのダイヤルを標準の位置に戻しておくことも、国のお知らせに書かれています。
※国土交通省・自動車技術総合機構・軽自動車検査協会のヘッドライトの検査についてのお知らせ(2026年5月)より(2026年9月に確認)。
向きや明るさは見た目では分かりにくいので、テスター屋さんで一度測ってもらうのが近道です。
行く前に、家で確かめておけること
テスター屋さんや本番の前に、自分で確かめておけることもあります。
- ライトが全部点くか(ブレーキランプとバックランプは、家族に後ろから見てもらうと分かります)
- ウインカー、ハザード、ナンバーを照らすライトが点くか
- ワイパーが動くか、ホーンが鳴るか
- タイヤがすり減っていないか
- ホイールキャップを外しておく(検査の前に外すよう案内されています)
電球が切れていたり、タイヤがすり減っていたりすると、検査に落ちる例として、国の検査機関も挙げています。
※軽自動車検査協会「検査の受け方」と、自動車技術総合機構のよくある質問より(2026年9月に確認)。
点検の料金と、頼むお店の決め方
点検の料金は、お店ごとに決めています
ご相談者さまの2つ目の疑問は、点検の料金は、どこで受けても決まっているのか、でした。
答えは、決まっていません。
重量税や自賠責保険の金額は、どこで受けても同じですが、点検の料金は、それぞれのお店が決めているものです。
同じ点検でも、お店によって金額が違いますし、部品の交換が要れば、そのぶんの費用も加わります。
「点検だけ」は、断られることもあります
ご相談者さまは、1軒目のお店で、車検に伴う点検なら受けられない、と断られていました。
お店の側の事情は、以前、こうお答えしました。
「24ヶ月点検整備は実質、お店でやる場合は車検なので、それだけのメニューはお断りされてしまうでしょうね」
お店では、2年ごとの点検は、車検とひとまとめのメニューになっていることが多い、ということです。
断ったお店が不親切というより、お店ごとに、引き受けられる仕事の範囲があってのことなんです。
ただ、点検だけを受けてくれるお店もありますし、ご相談者さまも、別のお店で受けてもらえました(最後の章でお話しします)。
頼むときは、「ユーザー車検の前に、点検だけお願いできますか」と、最初に伝えておくと話が早いです。
断られたら、ほかのお店に聞いてみるか、車検に受かってから点検をお願いする形でも大丈夫です。
車のことが心配でも、点検は車検に受かったあとで十分間に合う、と私はお伝えしています。
安さより、この先も見てもらう1か所で
点検のお店を選ぶとき、安いお店を探したくなる気持ちもあると思います。
ただ、私は、点検は「1ヶ所にまとめる」のをおすすめしています。
「そのお店を見つけるために相見積もりは役に立ちますが、毎度毎度安いところを見つけるために相見積もりをするというのは、ちょっと方向性が微妙なんです」
点検や整備は、整備士さんという人との関係でもあるからです。
同じお店で点検を続けていれば、整備の履歴が残って、いざというときに事情を分かってもらえます。
車屋さんにとって、点検や車検、オイル交換を定期的に出してくださるお客さまは、やっぱりかわいいものなんです。
もちろん、自分でできることもあるので、どこまでを自分でやって、どこからをお願いするか、バランスは大事ですけどね。
ユーザー車検にすると、車検というお店との大きな接点がひとつ減るので、点検をお願いするお店が、困ったときの頼り先にもなります。
メンテナンスを1か所にまとめる考え方は、こちらでお話ししています。
どこに頼むか迷ったら、ディーラーは誰に当たっても品質がそろいやすい「仕組みの安心」、町の整備工場やガソリンスタンドは良い方に出会えると心強い「人の安心」、という違いがあります。
ディーラーの点検が少し高く感じるとき、その差額で何を買っているのかは、こちらでお話ししています。
もし当日、落ちてしまったら
一度で通らないのは、珍しいことではありません
ご相談者さまの3つ目の疑問は、当日に合格しなかったら、どうなるのか、でした。
まず、一度で通らないのは、珍しいことではありません。
軽自動車検査協会の統計では、ユーザー車検のうち、持ち主ご本人が持ち込んだ車の約3割が、一度は再検査になっています(令和3〜7年度の平均で31.0%)。
国の認証を受けた整備工場が持ち込んだ車は、7.5%でした。
※軽自動車検査協会「ユーザー車検の推移」(令和3〜7年度)より(2026年10月に確認)。
だからこそ、落ちたときの流れを先に知っておくと、落ち着いて動けます。
その日のうちなら、2回まで手数料なしで受け直せます
軽自動車の場合、その日のうちなら、落ちた所を直して、2回まで手数料なしで受け直せます(予約も要りません)。
直したら、落ちたときに返された書類を全部持って、16時までに検査コース(検査ライン)に並びます。
検査コースの入口では、再検査する所のボタンを押して入ります。
※軽自動車検査協会のよくあるご質問(Q.5-045)と「検査の受け方」より(2026年9月に確認)。
その日に直せなければ、15日以内は落ちた所だけ
部品を取り寄せるなどで、その日のうちに直せないときは、「限定自動車検査証」という書面を出してもらえます。
落ちた所が書かれた書面で、検査を受けた事務所で出してもらいます。
検査した日を含めて15日以内なら、あとから出してもらうこともできます。
15日以内に受け直すなら、見てもらうのは、落ちた所と、それに関わる所だけで、手数料は2,100円、予約は要りません。
16日以上たつと、最初と同じように全部の検査になり、手数料は2,500円で、予約も要ります。
日にちがたつぶん、自賠責保険の期間が、新しい車検の期間に足りているかも確かめておきたいところです。
※軽自動車検査協会のよくあるご質問(Q.5-045)と「継続検査(車検)」より(2026年9月に確認)。
運輸支局で受ける普通車の車検も、その日のうちは2回まで、限定自動車検査証があれば15日以内は落ちた所だけ、という仕組みは同じで、手数料の金額が違います。
※自動車技術総合機構「再入場(不適合の場合)」より(2026年9月に確認)。
車検の期限ぎりぎりには、受けないでおく
ひとつ、気をつけておきたいことがあります。
限定自動車検査証をもらっても、車検証の有効期間が切れた車は、走らせることができません。
車検が切れた車を検査場まで運ぶには、車を運ぶトラック(積載車)に載せるか、仮ナンバー(市区町村の役所などに申し込む、一時的に走るためのナンバー)を取ることになります。
※自動車技術総合機構のよくある質問(道路運送車両法 第71条の2)と「再入場(不適合の場合)」より(2026年9月に確認)。
一度で通らなかったときの大変さは、私も以前、こうお話ししています。
「一発で車検に通らなかったときは、さらにもう1日時間を取られたり、修理の段取りを別で車検が切れるまでに取らないといけません」
いまは、有効期間が切れる日の2か月前から受けても、残りの期間は減りません(2025年4月から)。
※軽自動車検査協会と国土交通省のお知らせより(2026年9月に確認)。
期限まで余裕のある日に受けておくと、もし落ちても、直す時間が取れます。
落ちた所は、どこで直す?
ご相談者さまは、もし落ちたら、近くのテスター屋さんに戻って直してもらえばいいのか、とも気にされていました。
ヘッドライトの向きのように、調整で直るものなら、テスター屋さんで見てもらえることがあります。
部品の交換が要るものは、整備工場などで直してもらうことになります。
どちらに頼むにしても、落ちた所が書かれた書類を見せると、話が早いです。
まとめ
- 車検に通る状態なら、点検を受けていなくてもユーザー車検は受けられる(点検は車検のあとでもよい)
- 点検そのものは、車検とは別に車の持ち主がするもの(受けずに車検を受けると、車検証の備考欄に記録される)
- 当日に落ちないか不安なら、テスター屋さんで先に試す(ヘッドライトは2026年8月から全国でロービームで測る)
- 点検の料金はお店ごと(断られたら、ほかのお店に聞くか、車検のあとに頼む)
- 落ちても、軽自動車ならその日のうちに2回まで手数料なし、15日以内は落ちた所だけ
- 車検の期限ぎりぎりに受けない(2か月前から受けても、残りの期間は減らない)
ユーザー車検にするにしても、お店に任せるにしても、目的は目の前の車検を取ることではなく、長く、快適に、安全に乗ることだと思います。
手間を楽しみながらできるなら、ユーザー車検は心強い選択です。
面倒に感じるなら、お金で時間や安心を買うのも、ひとつの答えです。
1回やってみて、もうやりたくないなと感じたら、次からお店にお願いする、という順番はいかがでしょうか。
ディーラーのメンテナンスパックに任せるか、ユーザー車検にするかで迷っている方は、こちらもどうぞ。
ご相談者さまの、その後
点検を断られたとご相談くださった翌日、こんなご報告をいただきました。
本日、別のガソリンスタンドで点検をお願いしたところ、受け付けていただき、お値打ちに点検を終えることができました。
そこのガソリンスタンドの方が、ユーザー車検のことを色々と教えてくださり、励まされて帰ってきました。
1軒目では断られても、別のお店に聞いてみたら、その日のうちに受けてもらえたわけです。
しかも、点検だけでなく、ユーザー車検のことまで教えてくれるお店でした。
こういうお店が近くに1つあると、次の車検のときも、困ったときも心強いですね。
そして、ご相談から10日後、無事にユーザー車検に合格されました。
準備を1つずつ進めながら、分からないことはそのつど聞いて、最後まで行動されたことが、合格につながったのだと思います。
下見に行った日のことと、合格の日のご報告は、こちらでお話ししています。
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車のことを、もう一度ゼロから整理したい方は、こちらの教科書ページもどうぞ。
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