傷ありの古いフリード、車検は通る? 表面のサビは通ります。直すのは外れかけの部品だけ

「この傷で、次の車検は通るのかな」
「外れかけている部品、走っている間に落ちたりしないかな」
「古い車だし、車検が高かったら、もう乗り換えたほうがいいのかな」
ぶつけた傷が増えてきた車に乗っていると、車検の案内が届くたびに、心配がふくらみますよね。
見た目は気にしていなくても、危なくないか、車検に通るかは、やっぱり気になるものだと思います。
見た目の傷や、表面だけのサビなら、車検には通ります。
車検で困るのは、外れそうな部品や、とがった部分、サビで穴があいたところです。
ご相談の車で直しておきたいのは外れかけている部品だけで、錆びてきた傷は、タッチペンでフタをしておけば十分です。
そして、車を買ってまだ日が浅いなら、車検を通して乗り続けたほうが、損は少ないと思います。
車検の頼み先は、車にくわしくなければディーラーを基本にするのが無難です。
きっかけは、読者の方からのご相談
まずは、今回いただいたご相談の内容です。
新車から10年以上たったフリードに乗っています(走行は10万km近くです)。
1年半ほど前に、中古車屋さんで、車検込みの60万円台で買いました。
はじめは100万円くらいで探していたのですが、お店の方に、フリードは200万円くらいの新しいものか、60万円くらいの古いものが多いと言われて、古いほうにしました。
お店の方には、2〜3年は乗れるかな、と言われましたが、できればもう少し乗りたいと思っています。
運転があまり上手ではないので、条件のそろった今の車に、次の車検を越えて乗り続けたいんです。
それまでにやっておくべきメンテナンスや、することがあれば知りたいです。
3列シート、ウォークスルー、両側スライドドア、バックカメラ、ETC、カーナビ、スマートキー、禁煙車という条件で、なかなか見つからなかった車です。
ところが、金網のフェンスに引っかけてしまい、前のバンパーの部品が外れかけています。
以前こすったスライドドアの下の傷も、錆びてきました。
見た目は気にしていないのですが、分からないことがいくつかあります。
- 外れかけの部品は、直さないと危ないのか(何の部品か分からず、中が見えているので、水が入って故障しないか心配)
- 錆びてきた傷は、直したほうがいいのか
- 次の車検は、いくらくらいまでなら通したほうがいいのか
- こういう限界に近そうな車は、どこで車検をお願いするのがいいのか
最近、すり減ったタイヤを、未使用の中古タイヤに替えました。
車は完全に移動のためで、2人の子どもの保育園の送り迎えや、週末の買い物、レジャーに使っています。
車にかけるお金は、1年に20万円くらいに収まると助かります。
ご相談をいただいたのは2023年の春で、車検は半年ほど先でした。
当時、私はこうお返事しています👇
傷については、簡易的に補修をしつつ、お乗りいただければ大丈夫そうですね。
まだ購入して日が浅いので、ぜひ車検を通して、乗り続けていただければ損は少ないと思います。
そのうえで、ご相談の4つの「分からない」に、順番にお答えしていきます。
車検で見られるのは、「傷があるか」ではありません
はじめに、4つの問いの土台になる「この傷で、車検に通るのか」からお答えします。
車検で見られるのは、傷があるかどうかではありません。
車体がしっかりしていて、まわりの人や車に危なくないかどうかです。
国の基準にも、車体は「堅ろうで運行に十分耐えるもの」であること、「振動、衝撃等によりゆるみを生じない」こと、「著しく損傷していない」ことが書かれています。
とがった部分で、ほかの交通の安全を妨げないこと、通行人の服を引っかけるおそれのあるバンパーの端がないことも、決められています。
※国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第178条(車枠及び車体)より(2026年10月に確認)。
表面のサビなら、車検には通ります
ですから、表面にとどまっている傷やサビなら、車検には通ります。
2024年の8月に、別の方のご相談で、私はこうお答えしています。
「サビについても車検に落ちるのは穴があいたり、腐食してぼろぼろになっている場合です。ですので、表面だけがどれだけサビだらけでも、車検には通ります」
通らないのは、外れそう・とがっている・穴があいている
反対に、車検で直すように言われやすいのは、次のようなところです。
- 外れかけて、ぶら下がっている部品
- 割れて、とがったところが出ているバンパー
- サビが進んで、穴があいているところ
最後は、検査をする方が実物を見て判断します。
大丈夫だと思っていた傷で、急に通らないと言われることもあるので、気になる傷があるなら、車検の前に一度見てもらうと安心です。
直すか直さないかの判断だけでなく、車検に通るかどうかも、先に確かめておくのがおすすめです。
外れかけの部品は、車検の前に固定してもらう
ご相談の傷のうち、直しておきたいのは、フェンスに引っかけて外れかけている部品のほうです。
走っている間に落ちて、歩いている方や、ほかの車に当たってしまうかもしれないからです。
ご相談者さまも、お返事に「前の部品が外れて怪我をさせてしまったら大変ですもんね…その可能性を考えていませんでした」と書いてくださいました。
車検でも、指摘されやすいところです。
ただ、焦らなくて大丈夫です。
片側でまだ止まっている状態なら、裏側から固定し直すだけで済むこともあるからです。
外れかけていた部品の正体と、水の心配
ご相談者さまは、部品の名前が分からず、中が見えているので、水が入って故障しないか心配されていました。
当時、一緒にお答えしてくださった方が、ホンダの用品カタログと写真を見比べてくださいました。
オプションのライトを取り付けるための部品のようで、ご相談の車にはライトが付いていませんでした。
ライトの付いていない部品なので、固定し直せれば、機能の面では問題なさそう、というのが当時の見立てです。
ご相談者さまからは「穴があるから内部に水入って壊れたらどうしよう…!って思ってたので心配なさそうで安心しました」と、お返事をいただいています。
バンパーは樹脂でできているので、バンパーそのものが錆びることもありません。
頼み先は、車を買ったお店か、ディーラーへ
直してもらうのは、車を買ったお店か、ホンダのディーラーが、話が早いと思います。
ご相談者さまも、まずは買ったお店に相談すると決めていらっしゃいました。
もし交換になると、部品の取り寄せに時間がかかったり、年数のたった車だと新品の部品が無く、中古の部品を探したりすることもあります。
車検の直前ではなく、少し余裕をもって見てもらうと安心です。
バンパーごとの交換になったとしても、車そのものが傷んでいるわけではないので、そのあとも乗っていくうえで問題はありません。
私自身、傷がそこまで気にならないなら、「バンパーをはめてもらう+タッチペンするかしないか程度」の、最小限の修理で乗るのが、コスパの良い乗り方だと考えています。
錆びてきた傷は、タッチペンでフタをする
スライドドアの下の傷は、塗装がはがれて、その下の鉄が錆びてきている状態です。
塗装は、車の鉄をサビから守るカバーの役目をしています。
カバーがはがれたまま放置すると、雨や湿気で、少しずつサビが広がっていきます。
とはいえ、表面のサビなら、進行さえ止めてあげれば、車の寿命に大きく響くことは、まずありません。
進行を止めるのに使うのが、タッチペンです。
タッチペンは、車と同じ色の補修用の塗料で、筆やペンの形をしていて、ディーラーやカー用品店、ホームセンターで買えます。
はがれて鉄が見えているところに塗って、フタをしてあげるだけで、サビの進行はぐっと防げます。
費用は、1,000円ちょっとです。
塗り方と、車の下のほうの傷のこと
色は、車ごとの色の番号で選びます。
番号は、運転席側のドアを開けたところにあるプレートなどで確かめられます。
ディーラーで同じ色のものを取り寄せてもらうと、液が濃くて塗りやすいと思います。
私がぶつけたときは、タッチペンで塗って、乾いたら別の日にまた重ねて、できるだけ厚く塗りました。
ただ、車の下のほうは、かなり塗りにくいです。
点検に出したときにタッチペンを買うと、サービスで塗ってもらえることもあるので、お店に相談してみてはいかがでしょうか。
あくまで応急処置で、「錆止めという感覚で」塗るものなので、見た目は、塗ったあとが分かる仕上がりになります。
ご相談者さまのように、見た目を気にしないなら、それで十分です。
スライドドアが開け閉めできるかだけは、確かめておく
見た目は気にしないとしても、確かめておきたいことが1つあります。
スライドドアが、引っかからずに開け閉めできて、きちんと閉まりきるかどうかです。
動きに問題がなければ、あとは見た目だけの話なので、気にせず乗って大丈夫です。
開け閉めに引っかかりがあるなら、見た目ではなく機能の問題なので、一度お店で見てもらうと安心です。
値段が下がりきった車なら、小さな傷で気を落とさなくていい
ご相談者さまは、傷のことを「車にはホント申し訳ない」と書かれていました。
ただ、新車から10年以上たった車は、値段がもうほとんど下がりきっています。
手放すときの値段を気にしなくていいぶん、小さな傷なら、そこまで気を落とさなくて済みます。
別の方へのお答えでも、「車がぐっと気楽な相棒になります」とお伝えしています。
私も、傷つけた車は、だいたいタッチペンで錆びないようにして、そのまま乗っています。
最初は見るたびに辛いですが、段々と仕方がないかと、慣れてきますよ。
きれいに板金塗装で直したくなったときの考え方と、見積もりの見方は、こちらでお話ししています👇
次の車検は、通して乗るほうが損は少ない
ご相談の3つ目、次の車検はいくらくらいまでなら通したほうがいいか、です。
当時の私の答えは、まだ買って日が浅いので、ぜひ車検を通して乗り続けたほうが、損は少ない、というものでした。
買い直しても、同じような修理はやってきます
いまの車を手放して、同じくらいの値段の中古車に買い替えても、同じような年数の車なら、また同じような修理がやってきます。
それなら、慣れていて、これまでの整備の様子も分かっている今の車を直して乗るほうが、安心です。
運転があまり得意ではないとおっしゃる方なら、なおさらだと思います。
古い車の車検費用は、基本だけで10万〜15万円くらい
私の感覚では、古い車の車検は、基本の費用だけでも10万〜15万円くらいかかります。
そこに10万円、20万円の修理が足されても、また2年、安全に乗れる車が手に入ると考えれば、買い直すより安く済みます。
13年をこえた税金は、1年あたり1万円ほどです
新車から13年をこえたガソリン車は、税金が少し上がります。
ご相談の車と同じ1.5リッターのフリードなら、毎年の自動車税が34,500円から39,600円に、車検のときに払う2年分の重量税が24,600円から34,200円になります。
合わせても、1年あたり1万円ほどの差です。
18年をこえると、重量税はもう一段、37,800円に上がります。
乗り換えにかかるお金にくらべれば、税金だけで慌てて乗り換える理由にはならないと、私は考えています。
※自動車税は埼玉県「自家用乗用車の税率表(令和元年9月30日以前に登録を受けた自動車)」と宮城県「自動車税のグリーン化(重課・軽課)について」、重量税は財務省「自動車重量税の概要」(自家用の乗用車・1.5トン・エコカー減税の対象外)より、2026年10月に確認しました(自動車税は、ハイブリッド車などは重くなりません)。
13年をこえた税金と、乗り換えのサインの考え方は、こちらでくわしくお話ししています👇
30万円近い見積もりが来ても、慌てなくていい
ご相談者さまは、お父さまの車が古くなってから、車検のたびに30万円かかっていたのを見てきたので、車検がいくらになるか心配されていました。
私が見せていただいた見積もりにも、28万円ほどのものがありました。
それでも、車を持っていれば、時にはそれくらいかかるのが普通だと、私は考えています。
大事なのは、見積もりの中身を分けて見ることです。
その見積もりも、見た目のための作業や、まだ先でいい作業を外すと、7万〜8万円ほどは節約できる内容でした。
ただ、ブレーキ、足回りのゴム部品、オイル類は、時期がきているなら削らない、というのが私の考えです。
まだ先でいい作業も、なくなるお金ではなく、次の車検で払うことになります。
迷ったときは、「車検に通る最低限の内容と、消耗品でお願いします。あとは検討します」と伝えれば大丈夫です。
ご相談者さまは「この意見は車屋さんの賛否が分かれるところだと思いますが」と気にされていましたが、嫌な顔をされることは、まずありません。
むしろ、話が早くて助かる、という車屋さんも多いです。
削っていいもの、削らないほうがいいものの一覧と、ディーラーの車検の差額で何を買っているのかは、こちらでくわしく分解しています👇
乗り換えを考えるのは、2つの「致命傷」が出たとき
反対に、乗り換えを考えはじめたほうがいいのは、私が「致命傷」と呼んでいるものが出たときです。
1つは、修理代が、同じくらいの車が買える金額に近づいてきたとき。
もう1つは、エンジンオイルがどんどん減っていくような、直しても治らない持病を抱えてしまったときです。
「次の車検まで持つかどうか」は、下回りのオイル漏れや、サビによる腐食、排気ガスの色、アイドリングのときの音や振動にも出てきます。
整備士は、そういうところを見て、来年は厳しいかもしれない、と分かってくるものなので、車検のときに、お店の方の見立ても聞いておくと、次の段取りが立てやすくなります。
直すか、乗り換えるかの線の引き方は、こちらにくわしくまとめています👇
古い車の車検ほど、頼み先で差が出ます
ご相談の4つ目、こういう車は、どこで車検をお願いするのがいいか、です。
当時、私は、基本的にはディーラーでの整備をおすすめしていました。
理由は3つです。
- その年式のフリードをたくさん整備しているので、危ないところを見つけてもらいやすい
- トラブルが起きたときに、早く解決しやすい
- そのときのために、ふだんから通っているお客さんになっておける
年数のたった車ほど、どこに頼むかで、車検の費用も、整備の満足度も、振れ幅が大きくなります。
だからこそ、どのように整備しながら車と付き合っていくかが、大事になってきます。
ディーラーが高く感じたら、提案の中身を見る
ディーラーの車検は、高く感じることがあるかもしれません。
その車にくわしいプロとして、この先に傷みそうなところまで先回りして提案するぶん、高くなりがちなこともあります。
整備士さんの技術や手間を考えれば、工賃も適正か、それ以下だと私は思っています。
先回りの提案のどれを今やるかは、見積もりを分けて見て、こちらで決めればいいんです。
「苦手は人に頼る」、そして1か所に決める
車にくわしくない方には、ディーラーとのお付き合いを基本にするのが無難です。
「苦手は人に頼る」という考え方です。
ただ、大事なのは、ディーラーであることよりも、信頼できる1か所に決めて、続けて見てもらうことです。
車を買ったお店に、相談しやすい方がいるなら、そちらに決めるのも、もちろんありです。
同じお店に見てもらい続けると、整備の記録が積み重なって、車のくせまで分かってもらえるようになります。
見積もりに疑問があれば、その場で決めずに持ち帰って、ほかのお店に一部だけ頼むのも、1つの方法です。
メンテナンスを1か所にまとめる考え方は、こちらでお話ししています👇
乗り続けると決めたら、やっておきたいこと
ご相談にあった、次の車検までにやっておくべきメンテナンスは、先ほどの削らない3つ、ブレーキ、足回りのゴム部品、オイル類が軸になります。
なかでもオイル交換は、乗り続けると決めたなら、時期を守っておきたいところです。
乗り続けると決めたあとにやっておきたいことと、急に止まったときの備えは、13年、12万kmの軽自動車を乗り続けると決めた方のご相談で、こちらにまとめています👇
まとめ
- 見た目の傷や表面だけのサビなら、車検には通る
- 車検で困るのは、外れそうな部品、とがった部分、サビで穴があいたところ
- 外れかけの部品は、車を買ったお店かディーラーで、車検の前に固定してもらう
- 錆びてきた傷は、タッチペンでフタをすれば、サビの進行はぐっと防げる
- 買ってまだ日が浅いなら、車検を通して乗り続けるほうが、損は少ない
- 30万円近い見積もりでも、慌てずに中身を分けて見る
- 頼み先は、車にくわしくなければディーラーを基本に、信頼できる1か所に決める
傷を怖がりすぎずに、必要なところだけ直して、慣れた車に長く乗る道を、選んでいただけたらと思います。
ご相談者さまの、その後
実は、ご相談者さまは、私がお返事をする前に、ほかの方の答えを読んで、もう動き出していらっしゃいました。
「一度購入店で相談してみます」
「できれば次の次も乗れたら…なんて思ってます」
「次の車検は頑張って最低限で通していけたらと思います」
「大事に乗っていきたいと思います」
私のお返事は、そのあとに届いた形です。
そのあと、車検がどうなったかのご報告はありませんでした。
当時の私は、最低限で通すことへの心配には、はっきりお答えしないまま終わっていました。
いまの私なら、この記事でお伝えしたとおり、「車検に通る最低限の内容と、消耗品で」とお願いして大丈夫です、とお答えします。
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