借りた車で事故。3ヶ月後に「バッテリーとタイヤも」と言われたら、どこまで払う?

こんにちは、「ぺんぎんカーライフ」のピゴスです🐧
他人の車を借りて、傷をつけてしまった。
幸い、保険で直せることになって、ひとまずほっとした。
——それから3ヶ月後に、オーナーさんから連絡が来ます。
「バッテリーが上がっていました。タイヤの空気も抜けていました。事故がきっかけかもしれないので、こちらも交換したいのですが」。
こういうとき、いちばん困るのは「払うべきかどうか分からない」ことではないと思うんです。
困るのは、傷をつけてしまった負い目があるせいで、判断ができなくなることのほうです。
——そんなご相談を、以前いただきました。
この記事では、どこまでが自分の責任なのか。
そして相手を責めずに、どう伝えればいいのかを、順番にお話しします。
私の考えでは、事故で壊した部分(この方の場合はドア)の修理までです。
3ヶ月後に出てきたバッテリー上がりやタイヤの空気抜けまで、負担する必要はないと思います。
理由は2つ。
バッテリーが上がったのは、車がオーナーさんの手元にあった3ヶ月のあいだのことだから。
そして3ヶ月も経つと、何が原因で空気が抜けたのかは、もう誰にもたどれないからです。
そして、いちばんお伝えしたいこと。
「自分がやったかも」と、記憶をねじ曲げて申告しなくて大丈夫です。
保険を使って修理する時点で、保険会社の担当者と修理工場が、すでにその車を見ています。
事故による傷なら、そこで見つかっているはずなんです。
まずは、いただいたご相談です
車を借りて、傷をつけてしまった側です。
9月にお借りし、ドアを大幅に擦ってしまいました。
幸い、全額保険で修理対応が可能だったのですが、修理不可の判断だったためドア交換になったこと、海外から部品を取り寄せるため修理に1ヶ月以上かかることを伝えられました。
3ヶ月経ってやっと部品が届きましたが、その間、車は一旦オーナーさんのところに戻っていました。
今週になって、3ヶ月車庫に入ったままでバッテリーが上がっていたため業者を呼んでの出庫になったこと、
出庫の際に一部のタイヤの空気が抜けており、空気を入れ直したところ走行は可能だったが、念のためタイヤを交換したいと思っていること、
事故から3ヶ月経つということは理解しているけれど、意見と了承をいただきたいということを告げられました。
保険の範囲で対応可能かは損保会社に問い合わせたのですが、現況確認に時間がかかると言われました。
了承いただきたいと言われているのが引っかかるのですが、この場合は保険適用できなければこちらが持つべきでしょうか…?
ご迷惑をおかけしてしまったのでなるべく対応したい気持ちはありますが、できれば保険の範囲で修理したいです。
知識が浅いのに他人様の車に乗ってしまって申し訳ありません。
最後の一文が、私はとても気になりました。
「知識が浅いのに他人様の車に乗ってしまって申し訳ありません」。
そんなふうに、ご自分を責めなくて大丈夫です。
車を借りることも、うっかり擦ってしまうことも、誰にでも起こることです。
そして、起きたあとにきちんと保険で直そうとしている。
もう、じゅうぶん誠実に対応されています。
そのうえで、順番に整理していきましょう。
※このご相談は、個人どうしで車を貸し借りできるWebサービスを通した貸し借りでした
私の答えは「ドアの修理まで」です
先に、はっきりお伝えしておきます。
私は弁護士ではないので、法律上の賠償義務について断定することはできません。
ここから書くのは、車の現場と、こうしたサービスの仕組みを見てきた立場からの、ひとつの意見です。
そのうえで——事故で壊した部分の修理以外には、応じる必要はないと私は考えています。
理由を、ひとつずつ見ていきますね。
バッテリーが上がったのは、預かっていた3ヶ月のあいだのことです
車は、乗らずに置いておくだけでも電気が少しずつ減っていきます。
時計やセキュリティなどが、止まっているあいだも少しずつ電気を使っているからです。
ですので、3ヶ月動かさなければバッテリーが上がるのは、どなたの車でも起こることです。
これは、事故の衝撃で起きたことではありません。
車が手元にあるあいだの、管理の範囲の話です。
もちろん、オーナーさんを責めたいわけではまったくありません。
修理待ちの車を3ヶ月も預かることになれば、そこまで気が回らないことだってあります。
ただ「事故がきっかけかもしれない」という理由で、借りた側が負担するものではない、ということです。
タイヤは、3ヶ月経つと原因がたどれません
もし事故の衝撃でタイヤやホイールが傷んでいたなら——。
車を返した時点か、保険会社や修理工場が事故の状況を確認した時点で、異常が見つかっているはずです。
そして3ヶ月も経つと、その間に釘を踏んだのか、空気を入れる部分(バルブ)が劣化したのか、まったく別の理由なのか。
「いつ、何が原因で空気が抜けたのか」を特定するのは、ほぼ不可能です。
ひとつ、整備の現場からお伝えしておきたいことがあります。
パンクは、車に乗らないことで表に出てくることが、たまにあります。
もともと少しずつ空気が抜けやすい状態だった。
でも毎日乗っていれば、減る前に自然と補われたり、気づかないまま過ごせたりする。
それが、3ヶ月置きっぱなしになったことで、はっきり分かる形で出てきた——ということです。
つまり、3ヶ月動かさなかったこと自体が、空気抜けを表に出した可能性もあるんです。
誰がやったのか分からないものに、お金を払う必要はありません。
仮にあなたのせいだったとしても、そこで話は終わりません
ここは、意外と見落とされるところだと思います。
仮に、事故のときにタイヤも傷つけていたとしましょう。
だとしたら、車を返した時点で、すでに空気は抜けはじめていたはずです。
でも、そのとき誰も気づかなかった。
それを見つけられなかったのは、車を受け取った側でもあります。
この話をするのは、責任をなすりつけるためではありません。
「自分のせいかもしれない」と思ったときに、そこで思考が止まってしまわないようにです。
自分に非があるかもしれない。
でも、それが3ヶ月後に出てきた時点で、もう一方にも確かめる機会があった。
この2つは、両方とも事実です。
いちばん悩ましいのは、たぶんここです
このご相談には、続きがありました。
そこに書かれていたことが、私はいちばん切実だと思っています。
パンクに関しては、私が擦った記憶があると言えば、保険審査の対象になるのかな…?と思っています。
ただ、そう言って保険適用にならなかった場合、では弁償お願いします、と言われる気がしていて…
この気持ち、とてもよく分かります。
自分から「やったかもしれません」と言えば、保険で通るかもしれない。
でも通らなかったら、自分で言ってしまった分、断りにくくなる。
進むも戻るも怖い、という状態ですよね。
ここに、私なりの答えをお伝えします。
プロは、もう車を見ています
保険を使って修理するということは、保険会社の担当者と、修理工場の人が、その車を実際に見ているということです。
見ているのは、ぶつけたドアだけではありません。
事故の状況を確認するために、周辺も含めて見ます。
もしタイヤやホイールに事故由来の傷があれば、その時点で見つかっているはずなんです。
それが出てこなかった。
この事実は、あなたが自分で思い出そうとするより、ずっと確かな材料です。
ですから、保険の対象になるかどうかは、プロの判断に任せてしまって大丈夫です。
対象になれば対応してもらえばいいですし、ならなければ、それが答えです。
だから、記憶をねじ曲げなくて大丈夫です
「言っておいたほうが通るかも」と、あいまいな記憶を確かなことのように伝える。
これは、やらなくていいと私は思います。
理由は2つあります。
- 通らなかったときに、自分で退路を断つことになるから。ご相談者さまが心配されていたとおりです
- そもそも、事実でないことを伝える必要がないから。プロが見て出てこなかったものを、自分から作る必要はありません
逆に——本当に心当たりがあるなら、そこは話が別です。
「あのとき、縁石に乗り上げた気がする」のような記憶があるなら、正直にお伝えしてください。
それは誠実さですし、結果として保険の対象になることもあります。
分けるべきは「事実かどうか」であって、「通りそうかどうか」ではありません。
事故を起こしてしまった負い目があると、つい何でも引き受けたくなりますよね。
でも、誠実に向き合うことと、言われるまま何でも払うことは、別ものです😊
やってしまったことには、きちんと責任を持つ。
やっていないことは、静かに線を引く。
この2つは、両立します。
「了承をいただきたい」と言われたとき
このご相談で、私がもうひとつ気になったのがここでした。
ご相談者さまは、こう書いておられました。
「了承いただきたいと言われているのが引っかかる」。
その言い方に引っかかったのは、正しい感覚です
「請求します」ではなく「了承をいただきたい」。
やわらかい言い方ですが、受け取る側からすると、断りにくい形になっています。
断れば、こちらが冷たい人になってしまう気がする。
だから引っかかるんです。
でも、この言い方をされたからといって、オーナーさんが悪い人だとも限りません。
相手も、どう伝えていいか分からなくて、やわらかい言葉を選んだのかもしれない。
大事なのは、言い方に引っ張られずに、中身で判断することです。
そして、断ることは、相手を否定することではありません。
私なら、こう伝えます
参考までに、私が同じ立場だったらどう返すか、書いてみます。
大事なのは3つだけです。
- 自分がやったことには、最後まで責任を持つと伝える
- 断る理由を、相手ではなく「事実」で言う(3ヶ月経っていること、プロが確認していること)
- 迷惑をかけたことへの気持ちは、ちゃんと残す
「このたびは、長くご不便をおかけしてしまい、本当に申し訳ありません。
ドアの修理につきましては、保険会社と修理工場にお任せして、最後まで責任を持って対応させていただきます。
バッテリーとタイヤにつきましては、事故から3ヶ月が経っていることと、保険会社や修理工場が車両を確認した際に事故との関連が確認されていないことから、私の負担での対応は控えさせていただきたいです。
保険の対象になるかどうかは、いま保険会社に確認をお願いしているところですので、判断が出ましたら改めてご連絡いたします。」
ポイントは、「払いません」と言い切っていないところです。
「私の負担での対応は控えさせていただきたい」。
そして「保険の判断が出たら連絡します」と、話を先につないでいます。
こう伝えておけば、保険が下りた場合はそのまま対応できますし、下りなかった場合もすでに一度お断りしているので、いきなり断るより角が立ちません。
それから、もうひとつ。
やり取りは、できるだけ文字で残してください。
電話でのやり取りだけだと、あとで「言った・言わない」になります。
サービスのメッセージ機能やメールでやり取りしておくと、それがそのまま記録になります。
そして、運営には必ず報告してください
ここは、忘れられがちですが大切なところです。
個人どうしの貸し借りを仲介しているサービスであれば、運営にも状況を報告して、判断を仰いでください。
「当事者間で解決を」と言われる可能性は、たしかにあります。
それでも報告する意味は、2つあります。
- 時系列の記録が、運営側に残る
- 運営の見解を、判断の材料にできる
そして、これがいちばん大きいのですが——。
本来、運営は「利用者もオーナーも損しない仕組み」を考えなければならない立場です。
個人どうしのトラブルとして放り出されるのではなく、仕組みとして扱ってもらう。
そのために、時系列でそのままお話ししてみてください。
何かしらの解決策が示されることも、あると思います。
最後の手段もあります。ただし、条件つきです
話し合いが平行線になってしまったときのために、頭の片隅に置いておいてほしいものを2つ挙げます。
ただし、どちらも「使えるかどうかは条件次第」です。
そこは正直にお伝えしておきます。
① サービスを利用するときに入る保険
こうした貸し借りのサービスでは、利用のたびに保険がセットになっていることがほとんどです。
その保険がどこまでを見てくれるのかは、サービスごとに違います。
今回のように「事故のあとに出てきたもの」が対象になるかどうかも、規約や約款次第です。
まずはご自身が利用したときの補償内容を、もう一度確認してみてください。
分からなければ、運営に聞いてしまうのがいちばん早いです。
② 弁護士費用特約(使えるかどうかは、微妙なところです)
ご自身、または同居のご家族が自動車保険に「弁護士費用特約」を付けている場合、過剰な請求への対応に使えることがあります。
ただし、正直に申し上げると今回のようなケースで使えるかは、微妙なところです。
この特約は、もともと「こちらに過失がない事故で、相手に請求する」場面を想定して作られているものだからです。
今回は請求される側なので、そのまま当てはまるとは限りません。
ですので、「使えるはず」ではなく「使えるか聞いてみる」くらいの気持ちで、保険会社に確認してみてください。
もし使えた場合は、心強い味方になります。
弁護士費用特約は、これだけを使うぶんには等級や翌年の保険料に影響しないのが一般的です(条件は保険会社によります)。
少額のトラブルだと、自費で弁護士に相談すると相談料のほうが上回ってしまうこともあるので、特約が使えるかどうかは大きな差になります。
※特約の適用範囲・等級への影響は、保険会社や契約内容によって異なります(2026年9月時点)。ご自身の契約内容は、必ず保険会社にご確認ください
弁護士費用特約そのものの考え方は、こちらで詳しくお話ししています👇
そして、貸す側にも想定しておくことがあります
少し厳しい言い方になってしまうかもしれません。
車を貸し出すオーナーさんも、ある程度のリスクを承知したうえでサービスを提供されているはずです。
事故に遭うこと。
修理のあいだ、自分の車が使えない期間ができること。
こうしたことは、貸すという選択をした時点で、あらかじめ想定しておくことのひとつだと私は思っています。
もちろん、3ヶ月も車が使えないのは、本当に大変だったと思います。
その気持ち自体は、よく分かります。
だからこそ、借りた側が過剰に背負い込む必要はないんです。
お互いに「ここまでは自分の責任」という線を持っていたほうが、結果として気持ちよく終われます。
まとめ
- 負担するのは、事故で壊した部分の修理まで。あとから出てきた不具合まで背負う必要はありません
- バッテリー上がりは、預かっていた期間のこと。3ヶ月動かさなければ、どなたの車でも起こります
- タイヤは3ヶ月経つと原因がたどれません。乗らないことでパンクが表に出てくることも、実際にあります
- 仮に自分のせいでも、そこで話は終わりません。返却時に見つけられなかった側にも、確かめる機会はありました
- 記憶をねじ曲げて申告しなくて大丈夫。プロがもう車を見ていて、出てこなかったのですから
- ただし、本当に心当たりがあるなら正直に。分けるのは「事実かどうか」で、「通りそうかどうか」ではありません
- 断る理由は、相手ではなく事実で言う。そして、やり取りは文字で残す
- 運営には必ず報告する。本来、利用者もオーナーも損しない仕組みを考える立場の人たちです
- 最後の手段は2つ。サービスの保険と、弁護士費用特約(ただし今回のようなケースで使えるかは微妙です)
事故を起こしてしまったあとは、どうしても「申し訳ない」が判断の前に立ってしまいます。
でも、その気持ちと、支払いの線引きは、切り離して考えて大丈夫です。
やってしまったことには責任を持つ。
やっていないことには、静かに線を引く。
それができれば、相手を責めることなく、きちんと終わらせられます。
納得のいく形で解決することを、心から願っています。
今回は「借りた側」の視点でした。
逆に、貸した車を傷つけられた側が「いくら請求するか」で迷ったときの考え方は、こちらです👇
これからカーシェアを使うとき、別途保険が必要かどうかはこちらが参考になります👇
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