著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

今回は、とてもデリケートなお悩みです。

「近々、友人に譲る約束だった車で、事故を起こしてしまった。見た目は軽い擦り傷だけど、このまま渡しても大丈夫?」というご相談です。

事故を起こした直後の動揺に加えて、大切なご友人との約束まで関わってくる。

考えただけでも、胸が苦しくなりますよね。

——もし「あっ、それ私のことだ」と感じたなら、まず深呼吸してください。

こんな時こそ、焦りは禁物です。

対応を一つ間違えると、大切なご友人との関係にヒビが入ってしまうこともあります。

でも、やることはシンプルです。

あなたとご友人の両方が笑顔でいられる方法を、整備の経験も交えて、本音でお話しします。

✅ 結論からお伝えします

やるべきことは、たった2つです。

①事故のことを、「正直にすべて話す」

②そのうえで、できれば「プロの整備士に、車を点検してもらう」

この2つを意識することが、あなたとご友人の信頼関係を守る、いちばんの「安全装置」になります。

見た目で「大丈夫」と自己判断してしまうのが、いちばん危ないんです。

焦らず、ひとつずつ見ていきましょう。

まず、ご相談の内容です

🔶 起きたこと
前方不注意で、対車両の事故を起こしてしまった。

幸い、お互いに怪我はなし。

🔶 車の状況
今乗っている軽自動車(2008年式)。

損傷は、前方のすり傷程度。

🔶 もともとの予定
近々、中古車に買い替える予定で、この軽を知人に譲るつもりだった。

🔶 ご質問
事故のことはもちろん知人に話すが、譲るなら車両を点検しておいた方がいい?

まず、事故という大変な状況の中で、怪我なく、冷静に対応されたこと、本当に素晴らしいです。

そして、ご友人のことを想って、こうして事前に相談される誠実な姿勢を、私は尊敬します。

その気持ちがあれば、もう大きな失敗はしませんよ。

友人だからこそ、やっておきたい2つのこと

友人や知人など、親しい間柄での車の譲渡は、業者を介さないぶん安く手に入るメリットがあります。

でもその反面、「何かあった時に、気まずくなる」という大きなリスクも抱えています。

業者を介さないということは、トラブルが起きた時の「逃げ場」がない、ということでもあるんです。

だからこそ、正直さが、いちばんの安全装置になります。

その①:事故のことを、正直にすべて話す

これは、大前提です。

「軽い擦り傷だから、言わなくてもいいかな…」という考えは、なしにしましょう。

  • いつ、どこで、どんな状況で事故が起きたのか
  • 相手の車の損傷はどうだったか
  • 自分の車の、どこに、どんな傷やダメージがあるか

これらを、あなたの言葉で、正直にすべて伝えてください。

そのうえで、ご友人が「それでも、この車が欲しい」と思ってくれるかどうか。

まずは、その意思確認をすることが、最初のステップです。

その②:できれば、プロの整備士に点検してもらう

ご友人が「話を聞いた上で、それでも譲ってほしい」と言ってくれたら、次に進みます。

それは、プロの整備士による車両点検です。

たとえ見た目が「軽い擦り傷」でも、衝撃が内部にまで及んでいないとは、言い切れません。

ここで一番危ないのが、見た目だけで「大丈夫だろう」と自己判断してしまうことです。

外からは分からない部分は、プロの目に任せる。

脅しでも大げさな話でもなく、後でご友人を困らせないための、確実な一手です。

「譲る前に、ディーラーか信頼できる整備工場で、事故の影響がないか点検してもらおうと思うんだけど、どうかな?」と提案し、一緒に結果を聞きに行くくらいでちょうどいいです。

もちろん、正直にお話しした上で、ご友人が「すり傷くらい、気にしないよ」と現状のままで納得してくれるなら、それも一つの形です。

大切なのは、隠さずに伝えて、ご友人自身に選んでもらうこと。

そのうえで、少しでも心配が残るなら点検を、という順番ですね。

ピゴス
ピゴス

事故を起こしてしまった自分を、責めすぎないでくださいね

“正直に話そう・プロに見てもらおう”と動けている時点で、あなたはもう、いちばん大事なことができていますよ

点検の結果が出たら、友人と一緒に決めること

点検の結果、もし修理が必要な箇所が見つかった場合は、次のような選択肢が出てきます。

  1. あなたが修理費用を負担して、きれいな状態にしてから譲る
  2. 修理が必要なことを伝えた上で、そのぶん、譲渡価格を安くする
  3. 修理費用が高額になる場合などは、お互い納得の上で、今回の譲渡をいったん白紙に戻す

どの選択をするにしても、大切なのは「あなたとご友人の双方が、納得できる着地点を見つけること」です。

費用の負担なども含めて、しっかり話し合って決めましょう。

📊 参考費用・数字の目安

判断の材料に、関連する費用の目安をまとめました。

  • 板金塗装の費用は、小さな擦り傷で1万〜3万円、ドア1枚の凹み修理で3万〜10万円、バンパー交換で5万〜15万円が目安。デントリペア(塗装なしの凹み修理)なら1万〜3万円程度で済む場合もあります。
  • 修理費が車の時価額を超えると「全損扱い」に。古い車ほど時価が下がっているので、少しの修理でも割に合わなくなることがあります。
  • 任意保険を使うと翌年から3等級ダウンし、保険料が年間1万〜3万円程度上がるのが一般的です。

※あくまで一般的な目安です。

車種・年式・地域・依頼先によって金額は異なりますので、必ず見積もりを取って確認しましょう。

保険を使うなら、見直しの「いい機会」でもあります

最後に、もう一つ大事なことを。

今回、相手の車の修理などで、自動車保険を使われるかもしれません。

ご存じの通り、保険を使うと翌年から等級が下がり、保険料が上がってしまいます。

でも、「あ〜、仕方ないな…」で終わらせてしまうのは、少しもったいないんです。

しかも今回は、近々お車を買い替える予定とのこと。

保険料が上がるタイミングと、車が変わるタイミングが重なる今は、保険を見直すいい機会でもあります。

同じ補償内容でも、会社を変えるだけで保険料が変わることは、よくあります。

下記の記事で、手間なく複数社を比べる方法を解説しているので、更新のタイミングでぜひのぞいてみてください。

自動車保険、年に1回の見直しで年間3万円の節約に成功|10分でできる比較方法 年に1回の更新タイミングや、車が変わったタイミングは、自動車保険を見直す絶好のチャンスです。 私自身、見直しで年間55,000円...

ちなみに、今回の事故をきっかけに「もう車には乗らない」という場合は、保険を解約する際に「中断証明書」を必ず発行してもらいましょう。

これがあれば、最大10年間、今の等級を維持したまま保険を中断できますよ。

【待って!】保険解約だけはNG。「中断証明書」を知らないと「等級リセット」で大損!自動車保険をただ解約すると等級がリセットされ大損に。等級を最大10年守れる「中断証明書」の仕組みと手順、「7等級以上」「申請は13ヶ月以内」など知らないと損する落とし穴を、元ディーラー営業のピゴスが整理します。...

どうしても気まずいなら、こんな選択肢も

もし、正直に話した結果、「やっぱり事故車を譲るのも、譲られるのも、お互い少し気まずいな」と感じたら。

そんな時は、無理にこの車を譲らず、いったん買取に出して、ご友人には別の程度の良い中古車を探してもらう、という手もあります。

どちらが正解、ということはありません。

愛車がいくらで売れるのかを知っておくと、判断の幅が広がりますので、参考までに。

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まとめ:正直さと、プロの点検

友人への、事故車の譲渡。

大切なのは、誠実さと思いやりです。

  • 事故の事実は、包み隠さずすべて話す
  • 見た目で判断せず、できればプロの点検を受ける
  • 点検結果をもとに、費用負担などをしっかり話し合い、双方が納得して決める
  • 保険を使ったら、見直しのいい機会。気まずければ、買取に出すのも選択肢

この2つ——正直さと、プロの点検——さえ守れば、ご友人との関係も、あなたの財布も、ちゃんと守れます。

事故は、誰にでも起こりうることです。

今回の件が、あなたとご友人にとって、円満に解決することを心から願っています🐧

車のこと全般を、はじめから整理したい方は、こちらの「車の教科書」ページもどうぞ。

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ピゴス
ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、コメント欄や「X」などでいつでもメッセージを承っております。お気軽にどうぞ!