貸した車で事故。修理代は誰が払う? 全額請求か勉強代か、の2択ではありません

😨「大学生の息子が友達に車を貸したら、擦って傷つけられて帰ってきた」
🌀「車両保険は外してるし、修理代は15万〜20万円くらいかかるらしい…」
🤔「直す義務は、貸した息子のほう? それとも、傷を付けたお友達のほう?」
大切な車が傷ついて、しかもそれがお友達との間の出来事だと、お金のこと以上に気持ちがモヤモヤしますよね。
先にお伝えしておくと、義務そのものは、はっきりしています。
むずかしいのは、そのあとです。
全額請求するのか、勉強代として目をつぶるのか。
じつは、その2つのあいだにもう1つ道があります。
貸した車を傷つけられた場合、修理代を負担する義務は原則として、傷を付けたお友達にあります。
まず確かめたいのは、お友達(かご家族)の保険に「他車運転特約」が付いているかです。
他車運転特約は、人から借りた車を運転中の事故を、借りた人の側の保険で補償できる特約です。
ただし、この特約は使えないパターンもありますので、そこは先に確認しておくと安心です。
そして、いちばんお伝えしたいのはここです。
「全額請求」か「勉強代として諦める」かの、2択ではありません。
見積書を見せて半分ずつ出し合う、という道もあります。
お金も友情も、どちらも大きく削らずに済む形を探していきましょう。
まずは、いただいたご相談です
先日、離れて暮らす大学生の長男なのですが、友だちに近場の買い物に行くためか何かで少しだけ車を貸したら、車体を擦ったそうで傷を付けて帰ってきてしまったそうです。
車は車両保険は外しています。
修理の見積りは15万〜20万円くらいだそうです。
走行距離は10万キロくらいの普通車です。
そこそこ高額なので、この先何年乗るかも考えて、格好は悪いですがそのままでいいかと考えています。
そもそも、修理の義務はこのような場合はどちらが負うことになるのか、勉強のため質問させてください。
ご質問ありがとうございます。
まずは、人命に関わるような大きな事故ではなかったこと、それが何よりでした。
順番にお答えしますね。
修理する義務は、傷を付けた側にあります
感情や今後の関係をいったん抜きにして、純粋に「誰の責任か」だけで見ます。
車の修理費用を負担する義務は、原則として、車を借りて運転し、傷を付けてしまったお友達にあります。
ここは、意外とシンプルなんです。
原因を作った人が、責任を負います
不注意であれ何であれ、実際に運転して傷を付けたのはお友達です。
自分の行為で他人の財産に損害を与えたのですから、それを賠償する責任が生じます。
法律の上でも、社会の道理としても、ここが基本になります。
「貸した側だから」「所有者だから」は、関係ありません
「車を貸した息子が悪いのでは」と考えてしまうこともあると思います。
お気持ちは分かるのですが、修理費用の負担という点では、直接は関係ありません。
ただ、これは今回のように、傷ついたのが貸した車だけの場合のお話です。
人をけがさせてしまった事故では、車を貸した持ち主にも、賠償の責任が生じることがあります。
※ソニー損保公式「車を貸し借りするときの注意点」(2023年5月時点の内容)より(2026年10月に確認)。
自動車損害賠償保障法の第3条によるものです。
もちろん、誰に貸すかというリスク管理は、また別の話です。
そちらは、このあとで触れますね。
修理しない、という選択もあります
今回のように年数が経っているお車なら、無理に直さずそのまま乗る、という選択もありです。
その場合は、修理にかかるはずだったお金(修理費用相当額)を受け取って解決という形が取れます。
直さないからといって、請求できないわけではないんですね。
まず確かめるのは、お友達(かご家族)の保険です
責任の所在は分かりました。
でも、お友達に全額を現金で請求するのは、なかなか気が引けますよね。
そこで、最初に確かめてほしいことがあります。
「他車運転特約」が付いていませんか
これは、他人から借りた車を運転中の事故を、自分の保険で補償できるという特約です。
自動車保険には、ほぼ自動でセットされています。
私も、知人の車や、修理のあいだの代車、レンタカーを借りて運転することがあります。
そのときは、自分の車の保険で借りた車も直せるように、万が一に備えています。
もしお友達の保険にこの特約と車両保険が付いていれば、お友達自身の保険で、こちらの車の修理代を対応できる可能性があります。
ただし、特約を使うと、お友達(かご家族)の保険の等級(保険料の割引・割増を決める段階)が下がって、翌年からの保険料が上がります。
使うかどうかは、上がる保険料と修理代を比べて、お友達の側で決めることになります。
※ソニー損保公式「他車運転特約とは?」より(2026年10月に確認)。
保険料の上がり方は、保険会社や事故の内容によって違います。
大学生なら、「ご家族の保険」も見てみましょう
ここは、見落とされやすいところです。
大学生のお友達だと、ご自分の車を持っていないことも多いですよね。
その場合でも、ご家族の車の保険が、そのお友達の運転も補償する設定(運転者の限定や年齢条件)になっていれば、そちらの他車運転特約が使えることがあります。
運転者の限定は、補償する人を「本人だけ」「夫婦だけ」などに絞る条件です。
年齢条件は、何歳以上の人が運転したときに補償するか、という保険の条件です。
ご家族と離れて暮らしている未婚のお友達も、ご家族の保険で運転者を限定していなければ、他車運転特約で補償される人に入ります。
※ソニー損保公式「他車運転特約とは?」と、おとなの自動車保険のよくあるご質問より(2026年10月に確認)。
「車を持っていないから無理だ」と決めつけずに、一度聞いてみる価値があります。
🚨 ただし、使えないパターンがあります
ここが、この特約のいちばん大事なところです。
他車運転特約は「臨時に借りた場合」という前提なので、補償の範囲が少し狭いんです
たとえば、駐車中の当て逃げなど、対応できないパターンがあります
ですので、お友達が加入している保険会社が対応できるかどうか、念のため確認は必要ですね
公式の決まりで確かめると、ほかにも、次のようなパターンがあります。
- いつも借りている車は「臨時」ではないので、対象外です
- お友達の車両保険が、相手のいない事故(単独事故)を補償しないタイプなら、今回のようにフェンスに擦った事故は対象外です
- 修理代が出る場合も、上限は借りた車の時価(いまの車の値打ち)までです
※ソニー損保公式「他車運転特約とは?」と、損保ジャパン公式「THE クルマの保険」の他車運転特約のページより(2026年10月に確認)。
細かい条件は、保険会社や契約によって違います。
「特約が付いているから大丈夫」ではなく、今回のケースで使えるかどうかを、その保険会社に聞く。
ここまでやって、はじめて当てにできると、私は考えています。
なお、この特約はあくまで借りた側の備えであって、貸す側の免罪符ではありません。
相手が車両保険に入っていなければ、こちらの車の修理代は相手の自腹になります。
貸し借りのトラブルは、たまにあります。
起きてしまうと気持ちのいいものではありませんので、基本は保険などを理由にして「貸せない」と伝えるのが無難です。
貸す前に知っておきたいことは、こちらにまとめました👇
「全額か、ゼロか」ではありません
さて、ここからが本題です。
保険が使えなかったり、使わないことにしたりした場合、どうするか。
多くの方が、2つの選択肢で悩まれます。
- 全額を請求する(ダメなことはダメ、と線を引く)
- 勉強代として目をつぶる(友情を優先する)
どちらも、間違いではありません。
でも、この2つのあいだで、身動きが取れなくなってしまうこともあります。
ですので、3つ目の道をお伝えします。
見積書を見せて、半分ずつ出し合う
双方痛み分け、という形です。
保険は使わず、修理の見積書をそのまま見せます。
そのうえで、半額を負担してもらう。
今回のご相談なら15万〜20万円の見積もりでしたので、7万〜10万円ということになります。
お友達も絡むパターンでは、この折衷案も、お互いの気持ちの面では有効かと思います
ここで大事なのは、見積書という事実を挟むことです。
「いくらでいい?」と感覚で話すと、あとでどちらかに、損をしたという気持ちが残りやすいです。
紙を一枚はさむだけで、話が「人」ではなく「金額」のことになるんですね。
そして、その半分をどう決めるかは、おふたりで話し合って構いません。
大事なのは、2択だと思い込まないことです。
お互いにとって、学びの機会でもあります
今回の出来事は、お金だけの問題ではありません。
これから何十年と続くカーライフにとって、大切なことを知る機会でもあります。
- お友達にとって=人の大切な車を借りるということ。そして「もし人を死傷させてしまったら、きちんと賠償できる保険に入っていたか」を確かめて乗ったのか、ということ
- 息子さんにとって=友人に車を貸すとき、どんなリスクがあるのか。どういうときにどの保険が使えるのか
普段なかなか意識するものではありません。
だからこそ、ここで一度きちんと考えておけると、この先がずいぶん違ってきます。
私の考えですが、お友達にも少し痛みを負ってもらって、ことの重大さを知ってもらうほうが、これからのカーライフのためになると思います。
請求するのか、半分にするのか、勉強代とするのか。
そこは、お金の面も、お友達との関係も含めて、損しない形を話し合って決めるのがいちばんです。
万が一のときの、動き方チェックリスト
物損(けが人がなく、物だけが壊れた事故)も含めて、事故が起きたときの基本の動きをまとめておきます。
- まず、安全な場所に車を移動する
- 警察に連絡する(物損でも、事故証明のために必要です)
- 相手や物の持ち主の連絡先、状況を記録する
- 事故現場やキズの写真を撮っておく
- 保険会社に連絡し、使える特約がないか確認する
とくに警察への連絡は、忘れられがちです。
事故証明は、警察に届け出た事故について、事故があったことを証明する書類です。
あとから保険を使おうとしたときに、事故証明がないと話が進まないことがあります。
※保険の内容は契約によって違いますので、実際の補償範囲は、ご自身の保険会社に確かめてみてはいかがでしょうか。
まとめ:義務は明確に、解決は柔らかく
- 修理費用を負担する義務は、原則として傷を付けたお友達にある(貸した側・所有者かどうかは関係ありません)
- 直さずにそのまま乗るなら、修理費用相当額を受け取るという形も取れる
- まず確かめるのはお友達(かご家族)の保険の「他車運転特約」
- 🚨 ただし臨時に借りた場合という前提なので、使えないパターンがある(使えば、お友達の側の保険の等級も下がる)。念のため、その保険会社に確認する
- 「全額請求」か「勉強代」かの2択ではない。見積書を見せて半分ずつ、という道がある
義務のところは、はっきりさせて大丈夫です。
でも、そこからどう着地させるかは、柔らかく考えていいと私は思っています。
お金も友情も、両方を残せる形を、探してみてはいかがでしょうか。
ご相談者さまの、その後
このご相談には、続きがありました。
勉強代と思って、仕方ないなと考えています。
お聞きしたところ、ぶつけた先のフェンスには傷は付いていなかったそうです。
ですので、相手方への賠償は発生せずに済みました。
そのうえで、追加のご質問をいただきました。
仮に友達が、ご自身の車またはご家族の車(年齢条件クリアで)の方で車両保険に入っていれば、そちらの保険で直していただくことは可能という解釈でよろしいのでしょうか?
私からは、「使える可能性は高いけれど、使えないパターンもあるので、念のため保険会社に確認を」とお答えしました。
あわせて、半分ずつ出し合うという折衷案も、このときにお伝えしています。
お返事は、こうでした。
長男ともまた相談してみますね。
最後にどの形に決められたかまでは、うかがっていません。
何にしても、お金の面も人間関係も含めて、損しない選択ができていたら幸いです。
なお、今回は「貸した側」のお話でした。
逆に、あなたが車を借りた側になって、事故のあとに思わぬ追加請求を受けたときの考え方は、こちらでお話ししています👇
この機会に、ご自身の保険の「補償範囲」も
今回のことは、ご自身の保険を見直す良いきっかけでもあります。
「他車運転特約」は付いているか。
家族以外が運転したときに補償される「運転者の範囲」はどうなっているか。
この2つは、いま一度確かめておくと安心です。
自動車保険の補償の考え方や見直し方は、こちらでくわしくまとめています👇
比べるだけなら無料ですので、いまの補償と保険料を一度チェックしてみるのもおすすめです。
出てきた保険料だけで決めずに、補償の中身がご自身の使い方に合っているかを確かめてから、選んでみてはいかがでしょうか。
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それでは、損しないカーライフをお過ごしください🐧














「これってどうなんだろう」が残っていたら、ここに書いてください。
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うまく言葉にできなくても大丈夫です。私が読んで、お返事します。
お返事は、このページのコメント欄に書きますので、また見に来てくださいね。
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