著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

長く乗るほうが得らしい、というのは、なんとなく分かる。

でも、いくらかかるのかが見えないままだと、やっぱり落ち着きませんよね。

車検はいくら来るのか。

部品の交換は、いつ、どれくらい重なるのか。

長く乗ると、燃費は悪くなってしまうのか。

✅ 結論からお伝えします

10年乗るつもりでいるなら、車検の費用はそれほどかさみません。

私の予想では、しっかり抑えていけば、10年間の維持費が50万円を切ることもあると思います。

ただし、どのくらい走るかで変わってきますので、あくまで予想です。

燃費も、きちんと整備を続けていれば、あからさまに悪くなることはありません。

大事なのは、「いつ・何にお金がかかるのか」を先に知っておくこと。

そのうえで、予想外のぶんとして毎年5万円だけ、別に置いておくことです。

今回いただいたご相談

まずは、いただいたご相談です(内容を編集して掲載しています)。

新車を現金一括で購入し、10年ほど乗り続けることへの不安を解消したいです

不安なのは、①車検費用がかさむ ②諸々の部品交換代などがかかる ③燃費が悪くなる、の3点です

①と②については、こちらのブログを拝見して、普通車で10年乗った場合はおおよそ80万円弱くらいなのかなと理解しましたが、その解釈で合っておりますでしょうか

また、③については、新しい車への買い替えをすすめられるときの理由としてよく聞くので、本当のところが気になります

現在はシエンタを残価設定型で使用しており、まもなく満了予定です

そのタイミングで現金一括で新車を購入し(5人乗りの普通車を予定)、そのまま10年くらい乗り続けられればと考えています

ただ、夫は次回も残価設定型で新車に乗り換える気持ちでいるようです

夫もあまり車の知識はなく、できるだけ新しいもので安心して乗りたいという考えなので、私が知識をつけて説明できればと思っております

ご質問ありがとうございます。

先に大事なところをお伝えすると、①と②は、そこまで身構えなくて大丈夫です。

ご相談者さまの「80万円弱」という見立ては、むしろ多めに見積もっておられます。

それだけ用意しておけば安心ですが、抑えていけばもっと少なく済むことも多いんです。

何にいくらかかるのか、順番に見ていきますね。

なぜ、車検の費用はそこまでふくらまないのか

ご相談の①と②は、じつは同じ話になります。

車検が高くつくのは、たいてい、そのタイミングで部品の交換が重なるからです。

逆に言えば、交換の出番がいつ来るのかが読めていれば、必要以上に不安がらなくて済みます。

10年乗るなら、車検は4回。丸11年で5回目です

新車で買った車の車検は、最初が3年後、そのあとは2年ごとです。

ですから10年で言えば、3年目・5年目・7年目・9年目の4回。

丸11年まで乗って、そこでようやく5回目です。

「10年も乗ったら車検が何度も来る」と思われがちですが、数えてみると4回なんですね。

新車から5年目までは、保証が守ってくれます

新車で買われる場合、多くの方はメーカーの保証や、それを延ばす延長保証に入られると思います。

その場合、3年目と5年目の車検までにもし大きな不具合が出ても、たいていは保証のなかで対応してもらえます。

新車の保証を3年から5年に延ばすタイプの延長保証は、金額のわりに守ってくれる範囲が広いので、私は割に合いやすいほうだと考えています。

ここはあくまで私の考え方ですので、加入されるかどうかはご判断ください。

いずれにしても、身構えておきたいのは7年目と9年目の車検、ということになります。

消耗品がまとめて来るのは、5年目から7年目あたり

どのくらい走るかにもよりますが、間をとって5年目から7年目ぐらい。

このあたりで、夏タイヤと冬タイヤ、バッテリー、ブレーキパッドあたりを交換できると、そのあとが楽になります。

そこを越えられれば、11年目の車検を迎えるまで、大きな費用はそれほどかからないと予想しています。

ここで金額を並べないのは、車種でも走り方でも変わってしまうからです。

ご自分の車のことは、いま通っているお店で「次の車検で交換になりそうなものはありますか」と聞いてみてください。

たいていは、その場で教えてもらえます。

相場の一覧表よりも、自分の車を見てもらったうえでの一言のほうが、ずっと当たりますよ。

それでも予想外は出ます。だから毎年5万円だけ、別に置いておく

もちろん、1つや2つ、予想外のものが出てくることはあると思います。

最近の車はセンサーやカメラ、モーターといった電子部品が多く、ある日ふいに動かなくなることもあります。

そういうものは特別費として、毎年5万円ほど積み立てておくのがおすすめです。

これは、かなり多めに見積もった金額です。

何もなければ、そのまま次の車の資金に回せます。

使わずに済むのが理想ですし、いざというときの心の余裕にもなりますよ。

ピゴス
ピゴス

維持費の不安って、金額そのものより「急に来る」ことのほうが怖いんですよね

先に積んでおくだけで、同じ出費でも気持ちがぜんぜん違います🐧

税金や保険料も含めた維持費の全体像は、こちらで3つのパターンに分けて整理しています。

【年間いくら!?】車の維持費も知れば安心!高いか判断するための3パターンを解説車の維持費は年間いくら?高いか判断するための3パターンを、元ディーラー営業×元1級整備士が具体額の目安とともに整理。費用を知れば不安なく車選びができます。...

乗り換えのほうが、じつは「ダブルパンチ」になりやすい

ここで、もうひとつお伝えしておきたいことがあります。

車検を取る回数が増えるのは損なのか、というお話です。

これは、損ではありません。

乗り換えにかかる手数料のほうが、車検の基本の費用より高いことが多いからです。

車を買い替えると、車両代のほかに登録の費用や税金などの諸経費がかかります。

その額は、だいたい十数万円から20万円ほどです。

そして、いま乗っている車を下取りに出すときにも、もちろんお店の利益は入っています。

つまり乗り換えは、買うときと手放すときの両方で費用がかかる、ダブルパンチになりやすいんです。

これは、お店が悪いという話ではありません。

車が人の手に渡るたびに、安全に売り買いするための費用が必要になるからです。

ただ、その回数が増えれば、自分が払う総額も増えていく。

車検を4回取っても、そのあいだに乗り換えを1回するより安く収まることのほうが多い。

私が長く乗ることをおすすめするのは、ここが理由です。

燃費は、本当に悪くなるのか

③のご不安についてです。

先に申し上げると、燃費は悪くなりません。

正確に言えば、ちゃんと整備をしていれば、あからさまに悪くなるというのは考えにくいです。

もちろん多少は変わることもありますが、誤差の範囲だと思っていただいて大丈夫ですよ。

もっとも、そう説明する営業さんが嘘をついているわけでもありません。

整備が行き届いていない車なら、実際に燃費が落ちることもあるからです。

ただ、きちんと手をかけてもらっている車が、年数だけを理由にがくんと落ちることは、まずありません。

それが、現場にいた私の実感です。

むしろ燃料代に効いてくるのは、ガソリン価格の値上がりや、物価そのものの上昇のほうではないでしょうか。

車を新しくしても、燃料が高くなれば支出は増えてしまいますから。

効いてくるのは、経年よりも季節と使い方

燃費が変わる理由で大きいのは、年式よりも季節と使い方です。

寒い時期は、エンジンが温まるまでのあいだ、どうしても燃料を多く使います。

夏は夏で、冷房を使うぶんだけ燃費が落ちます。

タイヤの空気圧が抜けたままになっているのも、気づきにくい原因のひとつです。

空気圧は、月に1回だけ見てあげてください。

給油のついでにお店で頼んでも大丈夫ですし、セルフで使える機械を置いているところも多いです。

あとは、急発進と急ブレーキを減らすこと。

これは、自分の燃費だけでなく、後ろを走る車の燃費にも効いてきます。

後ろの車にブレーキを踏ませてしまう前に、そっと避けてあげる。

そういう運転が、めぐりめぐって自分の燃費にも返ってくると思っています。

季節と燃費の関係は、暖房と冷房でずいぶん違います。

その理由はこちらでお話ししました。

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13年を超えると税金は上がります。でも、慌てなくて大丈夫

10年と言わず、そのまま乗り続けたくなることもあると思うので、先にお伝えしておきますね。

新車登録から13年を超えると、税金が割増になります。

  • 自動車税(毎年)は約15%増。排気量1000cc以下で+4,400円、3500cc以下で+8,700円、軽自動車で+5,700円(平成27年以降に登録した車は+2,100円)
  • 自動車重量税(車検のときに2年分)は普通車で約40%増。車重1,000kg以下で+6,400円、2,500kg以下で+16,000円、軽自動車は6,600円から8,200円で+1,600円

数字だけ見ると、なんだか損をしている気持ちになりますよね。

でも、慌てて乗り換えなくて大丈夫です。

増えるのは1年から2年ごとに数千円から1万円台。

さきほどの諸経費と比べれば、これを理由に乗り換えるのは、正直もったいないと思います。

それに、車の価値が下がりきると、逆に気楽になれるんです。

たとえば200万円の車を10年乗って、20万円で売ったとします。

支出は180万円ですから、1年あたり18万円ですね。

同じ車を15年乗って、1万円でしか売れなかったとします。

支出は199万円になりますが、1年あたりでは13.3万円です。

売却額はほぼゼロなのに、1年あたりで見ると、長く乗ったほうが安く済んでいます。

しかも車の価値が10万円を下回ってくると、車両保険を外すという選択肢も出てきます。

万が一のときに失う金額が小さいぶん、保険料というコストを削れるわけですね。

車両保険を外すかどうかは、順番を踏めば怖くありません。

その手順はこちらに書きました。

【車両保険が高い】外したいけど怖い…AIには教えられない「外すまでの」5つのステップ車両保険を外したいけど怖い…そんな方へ。AIは「貯蓄があれば不要」と正論を言いますが、降り方は教えてくれません。元ディーラー営業が、付けたまま保険料を下げて「外せる家計」に近づく5つのステップを解説します。...

とはいえ13年ともなれば、使い方によっては傷んでくるのも事実です。

慌てる必要はありませんが、乗り換えを検討し始める時期には入っている、というくらいの温度で構えておくとちょうどいいと思います。

新しい車に乗り続けたいご主人と、どう話すか

最後に、ご主人のお話です。

まずお伝えしておきたいのは、常に新しい車に乗るという選び方も、間違いではないということです。

車が好きな方、それができる方、安全性や安心感を何より優先したい方。

そういう方にとっては、乗り換えていくのは正しい判断のひとつだと思います。

そこを否定してしまうと、ご夫婦の話は前に進みません。

そのうえで、私の考えをお伝えしますね。

家計のことだけで言えば、車は持たないのが一番で、持つなら長く乗るのが次に良い。

これは、あくまで私の勝手な考えです。

ご主人に数字で見せるなら、総額ではなく月額に直すのがおすすめです。

そのとき使うのは、払った金額ではなく、減った金額です。

さきほどの例で言えば、200万円の車を10年乗って20万円で手放したなら、減ったのは180万円。

月にならすと、およそ1万5,000円です。

これを5年で乗り換えても、下取りで戻るぶんがありますので、月額そのものは思ったほど跳ね上がりません。

効いてくるのは、乗り換えるたびにかかる、さきほどの諸経費のほうです。

十数万円から20万円が、回数のぶんだけ積み上がっていきます。

「この車は、毎月いくらの相棒なのか」が見えると、ご夫婦で話し合う土台ができると思います。

購入費と維持費をまとめて月額に落とす手順は、表を使ってこちらで解説しています。

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それと、もうひとつだけ。

長く乗るつもりなら、買う車は新しめのほうが向いています。

古い車を買って長く乗るのは、当たり外れという博打の要素が強くなってしまうからです。

車に詳しくない方には、新車から4年落ちくらいまでの車を、長く大切に乗るのがおすすめです。

ご相談者さまは、まもなく満了になる残価設定型のあとに、新車を現金一括でとお考えでした。

それを10年乗るというのは、入り口としてとても良い形だと思います。

5人乗りの普通車というサイズ感も、無理がなくて扱いやすいはずですよ。

ピゴス
ピゴス

じつは私、車が好きすぎるあまり、このことに気づくまで15年かかりました

乗り換えていく楽しさは、よく分かるつもりです

だからこそ、ご主人のお気持ちも分かりますし、長く乗る良さもお伝えしたいと思っています🐧

まとめ

今回のポイントを整理しますね。

  • 10年で車検は4回。新車から5年目までは保証が守ってくれるので、身構えるのは7年目と9年目
  • 消耗品がまとめて来るのは5年目から7年目あたり。夏冬のタイヤ、バッテリー、ブレーキパッドを越えられれば、そのあとは落ち着く
  • 金額は走り方で変わるので、いま通っているお店に「次の車検で交換になりそうなものは」と聞いておく
  • 予想外のぶんとして、毎年5万円だけ別に置いておく(かなり多めに見積もった金額です)
  • 燃費は、整備を続けていればあからさまには落ちない。効いてくるのは季節と使い方、そして燃料の値段
  • 13年超の増税は年に数千円から1万円台。これを理由に乗り換えるのはもったいない
  • 乗り換えは買うときと手放すときの両方で費用がかかる。長く乗るほど、その回数が減る

最初のご質問に戻りますね。

10年でいくらかかるのか。

私の予想では、しっかり抑えていけば50万円を切ることもあると思います。

走る距離や乗り方で変わりますから、これはあくまで予想です。

ただ、80万円を用意しておいて足りなくなる、ということは、まずないはずですよ。

ここまで調べて、ご家族のために説明しようとされている。

その時点で、もうじゅうぶん損しない側に立っていると思います。

ご相談者さまの、その後

このご相談には、続きがあります。

お返事のなかで、ご相談者さまはこう書いてくださいました。

車に乗りはじめて7年ほどですが、知識がないばかりに、すすめられるまま車を乗り換えてしまっておりました

教えていただいたように、車を大切に乗り続けるという正しい判断をしていきたいと思います

そして最後に、こんな一言が添えられていました。

車の買い替えでモヤモヤ悩んでいましたが、スッキリ悩みが晴れました

ピゴス
ピゴス

モヤモヤの正体って、たぶん金額そのものじゃないんです

何にいくらかかるのか分からない、というところに不安はたまります

見えてしまえば、あとは順番に備えていくだけですよ🐧

乗り換えることが悪いわけではありません。

よく分からないまま流されてしまうのが、もったいないだけです。

数字が見えたうえで、それでも新しい車に乗りたいと思うのなら、それはもう立派な選択だと思います。

車の維持費で疑問や不安ある場合は、「X」「お問い合わせ」「コメント欄」などでお気軽にご相談ください。

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、コメント欄や「X」などでいつでもメッセージを承っております。お気軽にどうぞ!