中古車の商談を断りたい。電話をかけ直さなくても、大丈夫です

🕘「やっと、帰ってきた…」
中古車のお店での商談が、3時間。
😤「今日決めてくれたら、このオプションも付けて、この金額にします!」を、5回か6回。
🙍「そんなにオプションはいらないし、保証も3ヶ月無料で十分です」と何度も伝えたのに、外してもらえません。
😨「今日決めないと高くなりますよ。なくなりますよ。来年になったら相場が上がりますよ」
そして帰り際に、こう言われます。
🗣「お返事は、明日までにお願いします」
——そして、翌日。
😭「電話しなきゃ。でも、また昨日みたいなやり取りになると思うと、憂鬱すぎる」
この記事は、その翌日の話です。
約束の日に、こちらから電話をかけなくて大丈夫です。
かかってきた電話に、出られなくても大丈夫です。
連絡をしないことが、いちばんはっきりした「買いません」になることがあります。
営業をしていた側から正直に申し上げると、連絡が取れなくなるお客様は何度もいましたが、そのたびに気にしたことはありません。
むしろ、早く分かったほうが、お互いの時間を使わずに済みます。
そして、断れないのは気が弱いからではありません。
相手の立場を想像できる方ほど、あの電話は重くなります。
まずは、いただいたご相談です
お子さんの就職が決まって、通勤用の中古車を探していた親御さんからのご相談です。
いや、もう、営業マンの必死さが凄すぎて、とにかく「今日決めてくれたらこれらのオプションも付けてこの金額にします!!」というやり取りを5、6回はしたでしょうか。
すべて、店長と相談してきますって感じで。
私は値段を安くしてくれと言ってるわけじゃなく、こんなにオプションいらないし、保証も3年もいらないから3か月無料だけでいいと何度も言ってるのに、向こうはどうしてもそれを付けたいみたいで外してくれません。
とにかく車を見せてもらった時間を入れて3時間弱。
今日決めないと高くなる、なくなる、来年になったら相場が上がる。
私が「夫に聞かないと決められない」とすべて夫のせいにしてたら、「今から電話できないですか?」と言われ…。
そして翌日、こう書いてくださいました。
今も心がモヤモヤして落ち着きません。
明日までに返事をしないといけなくて。
それでだめなら断ればいいのは分かってるんですが、また昨日のようなやり取りをすると思うと憂鬱過ぎて。
こんなこと言ってても仕方ないので、勇気をもって電話したいと思います。
この「勇気をもって電話したい」という一文を読んだとき、私は少しつらくなりました。
車を買うというのは、本来そんなに勇気の要ることではないはずだからです。
じつは私がこういうご相談の窓口をやっているのは、こういうことがあるから、と言っても過言ではありません。
なお、この商談で「要りません」と言ったオプションが、なぜ1つも外れなかったのかは、別の記事に書きました👇
断れないのは、気が弱いからではありません
「連絡なしなんて酷い客だ、って思ってしまうので」
このご相談で、いちばん胸に残っている一文があります。
心臓が飛び出しそうなくらい緊張して電話しないといけないなんてね。
でも、私もサービス業のパートなので、連絡なしなんて酷い客だ!って思ってしまうので、なんか悪いなぁと思ったり。
はっきりスッキリガツンと断わりの電話をする勇気があれば。
ご自身が接客をされている方なんです。
だから、連絡が来ないまま放っておかれる側の気持ちが、想像できてしまう。
嫌な思いをさせられた側なのに、相手に悪いと思っている。
相手の立場が分かる人ほど、あの電話が重くなります
断れない方には、だいたい共通点があります。
気が弱いのではなく、相手にも都合や事情があることを知っているんです。
だから「向こうも仕事なんだから」と考えてしまって、断りの電話が、こちらの負担として積み上がっていきます。
そのうえ、断ろうとすれば、また同じやり取りが始まることも分かっています。
一度3時間かけて押し切られそうになった相手に、もう一度自分から電話をかける。
これは、けっこうな覚悟が要ります。
ですから、まずこれだけはお伝えさせてください。
電話をかけられないのは、あなたの性格の問題ではありません。
約束の日に、電話をかけなくて大丈夫です
このとき私がお伝えしたのは、こういうことでした。
明日がお返事の約束だとしても、こちらからも電話しない。
向こうからの電話にも出ない。
けっこう思い切ったことを言っているように見えると思います。
理由を3つ、順に書かせてください。
① 電話をかけると、その電話がまた商談になります
こちらから電話をすると、その電話がまた商談の場になります。
まだ話せると分かった時点で、もう一度提案が始まるからです。
一方、連絡をしないというのは、買う気がないという意思表示として、いちばん強く伝わります。
言葉で断るより、こちらのほうが誤解の余地がありません。
失礼なやり方に見えるかもしれませんが、営業の側から見ると、じつは分かりやすいんです。
② そのお店に、これ以上あなたの時間を使う理由がありません
3時間の商談で、こちらの希望は何度も伝えています。
オプションはいらない、保証も3ヶ月でいい、と。
それが通らなかったということは、そのお店にとって、あなたの希望より優先されるものがあったということです。
そういう相手に、これから納車までの段取りを任せる必要はありません。
契約は、買った日で終わりではないからです。
車は本来、お互いが気持ちよく笑顔で買えるものだと思っています。
高いお金を払って、辛い思いをするのは、それこそ損でしかありません。
③ 元営業の人間として、正直に白状します
ここは、私の側の話をさせてください。
私も営業をしていたころ、連絡が取れなくなるお客様は何度もいました。
そのたびに気にしていたかというと、まったくそんなことはありません。
正直に言えば、早く分かったほうが、こちらも無駄な時間を使わずに済んでありがたいくらいです。
営業の仕事は、次のお客様のところへ進むことでもあります。
連絡が途切れたお客様のことを、いつまでも考えている時間はありません。
ですから、あなたが思っているほど、向こうは気にしていません。
断れない方ほど、「あの人を傷つけたかな」と後から考えてしまいます。
でも、こちらが3時間しんどい思いをしたことは、もう起きてしまったことなんですよね。
そのうえ、こちらが心まで削る必要はありませんよ。
それでも連絡が続いたら
意思表示をしたあとも、連絡が来ることはあります。
そのときは、もう応じなくて大丈夫です。
着信の履歴を見るだけでも気が滅入るという方は、電話番号を着信拒否にしてしまうという方法もあります。
無視するたびに嫌な気持ちが蒸し返されるくらいなら、そのほうがずっと健康的です。
⚠️ ただし、これはもうそのお店と付き合う気がないと決めたときの話です。
長く付き合っていきたいお店を断るときは、まったく別の作法になります。
そちらは、こちらに書きました👇
ただ、その営業さんが悪い人だったとは、私は思っていません
ここからは、少し反対側の話をさせてください。
会社の仕組みの中で、一生懸命やっている方だと思います
3時間かけて押し切ろうとしてきたやり方を、私は良いとは思いません。
でも、その営業さん自身が悪い人間だったとは、どうしても思えないんです。
会社の仕組みや、上司の言うことをよく聞いて、方向性は間違っているけれど、一生懸命に仕事を頑張っている。
そういう頑張り屋さんだったのではないかと思います。
もし良い上司に巡り合っていたら、素直に吸収して、すごく良い営業マンに育つ方かもしれません。
人のための営業とは何かを、自分で考えて気づいてほしい——これが、私の正直な気持ちです。
私が本当に何とかしたいのは、この仕組みのほうです
言われるがまま、無心で働かざるを得ないというのは、けっこうかわいそうなことでもあります。
私は、車屋さんで働いている方にも、本当は幸せな働き方をしてほしいと思っています。
お客さんが納得して買えて、売る側も胸を張れる。
そういうやり取りが当たり前になって、業界そのものが良くなってほしい。
そこまで何ができるのかは、正直まだ思い浮かんでいません。
それでも、そう願いながらこういう記事を書いています。
ですから、この記事は「中古車屋さんは怖い」という話ではありません。
そのお店の全部がだめ、という話でもありません。
いま目の前にいるこの営業さんとは、買わない。
それだけの話です。
※ お店の評判は、店舗や担当者によって大きく変わります。
この方は、実際どうされたか
「かかってきても出ません」と決めた夜
この方は、その日の夜にこう書いてくださいました。
明日(もう今日)は電話もしないし、かかってきても出ません!!
担当さんには申し訳ないけれど、あなた達はそれだけのことしたんだよ、と思うことにしました。
「担当さんには申し訳ないけれど」が、この方らしいところだと思います。
最後まで、相手を悪く言っていません。
そのうえで、自分を守る側に立たれました。
私は、この距離のとり方がとても良いと思っています。
3日間の着信と、4日目
そのあと、どうなったか。
お店からの着信は、3日間続きました。
3日間着信履歴があり、着信履歴を見るのも不快だったので、思い切って4日目からはブロックしちゃいました。
3日です。
永遠ではありません。
もちろん、これは1つの例なので、何日で止まるかは相手によります。
ただ、少なくともこのときは、出ないと決めてから4日目で終わりました。
そして、ちょうど1ヶ月後に納車されました
この話には、続きがあります。
別のお店では、最初の見積もりのままでした
その後、この方は近くの正規販売店をまわられました。
前回の痛手の経験から、どんな見積もりが来るかビビッてましたが、ほぼ初めの見積もり通りで安心して商談することが出来ました。
保証や点検費用のことも分かりやすく説明してくれて納得することができ、「この人から車を買いたい」と思わせてくれる営業さんだったので契約成立してきました。
冬タイヤも、ドライブレコーダーも、ETCも込みで総額96万円ほど。
前のお店で最初に提示された総額は、132万円でした。
同じくらいの予算で探していて、この差です。
お店を変えるだけで、ここまで変わることがあります。
断ったのは、2万円の延長保証ひとつだけでした
もうひとつ、私が良いなと思ったところがあります。
このお店では、1年の延長保証(約2万円)だけを断られています。
理由は「1年の無料保証で十分だと思って」。
そして価格交渉はとくにせず、向こうから数千円引いてくれたり、オプションを付けてくれたりしたそうです。
断れなかった方が、1ヶ月後には必要なものだけを自分で選んで、気持ちよく契約されているんです。
断る力がついたというより、断らなくていい相手を選べたのだと思います。
このご相談の全体——総額の組み方、いつ買うか、1年目の保険料までは、こちらにまとめました👇
3年半後、同じお店からまた連絡が来ました
ここからは、ずっとあとの話です。
3年半が経って、この方から久しぶりにご相談をいただきました。
今度は、ご自身の車を売ろうとしていたときのことです。
一括査定で2社から返答があり、うち一社が、今後関わりたくないと思っている会社からでした。
その会社は、以前相談させていただいた時のしつこい会社です。
やり取りもしたくないのですが、断りのメールは入れたほうが良いのでしょうか。
以前のトラブルでは、最終的に着信拒否しました。
3年半経っても、まだ引きずっていらっしゃるんです。
あの3時間が、それだけ強く残ったということだと思います。
そのときの断り方は、変わっていました
このときお伝えしたのは、こういう形でした。
「検討させていただきましたが、辞退させていただきます」と1回だけ返す。
そのあとは、連絡が来てもスルーで大丈夫です。
見積もりをお願いしたのはサービスを通してなので、その提示に対して意思表示をした時点で、こちらの用は済んでいます。
3年半前は、何も言わずに電話に出ない、という形しかありませんでした。
今回は、1回だけ意思表示をして、あとは応じない。
やっていることはほとんど同じなのですが、気持ちの負担がまるで違います。
「言うべきことは言った」という区切りが、自分の中に残るからです。
ですから、もし1回だけ伝える余力があるなら、この形がいちばんラクだと思います。
余力がなければ、伝えなくても大丈夫です。
それでも連絡が続くことは、あります
正直に書いておくと、このときも連絡は続きました。
結果として、この方はまた着信拒否を選ばれています。
つまり、断り方を工夫しても、続くときは続くということです。
ここが大事なところで、連絡が止まらないのは、あなたの断り方が悪いからではありません。
伝えたあとも来るなら、それはもう、こちらの責任の外側の話です。
そして、このときの売却そのものは、無事に成立しています。
あのとき相談していなければ、今頃は業者の言われるがままの、気弱な私だったことでしょう。
次に、同じ場面に立たないために
最後に、そもそもこの状況に入らないための話をさせてください。
大きく2つです。
① お店に入る前に、「今日は決めない」と決めておく
これは、口に出さなくてもかまいません。
自分の中で先に決めておくだけで、驚くほどラクになります。
決めていないと、その場の空気で判断することになります。
そして商談の空気は、お店のほうが圧倒的に慣れています。
もし言えそうなら、最初にこう伝えておくと、もっとラクです。
「今日は見せていただくだけで、決めるのは家に帰ってからにします」。
先に言っておくと、そのあとの「今日決めていただければ」が、かなり効かなくなります。
試乗や商談での立ち回りは、こちらにまとめています👇
② 返事の期限は、こちらから置く
今回、期限は「明日まで」とお店が決めていました。
ここを、こちらから置き直してしまう方法があります。
「見積もりをいただいて、お返事は1週間後でもいいですか」。
それで売れてしまったなら、その車とはご縁がなかっただけです。
中古車は一期一会ではありますが、その1台しかない、ということもまずありません。
そして、もし契約まで進んでしまったあとに考え直すことになったら。
そのときに本当に効いてくるのは、金額の話ではありませんでした👇
未使用車のお店などで、その場で決めるよう強くすすめられたときの話は、こちらにも書いています👇
まとめ
3時間の商談から帰ってきて、断れない。
そんなときに覚えておいていただきたいのは、次の5つです。
- 約束の日に、こちらから電話をかけなくて大丈夫です。連絡しないことが、いちばんはっきりした「買いません」になります
- 1回だけ「辞退させていただきます」と伝えられるなら、そのほうが気持ちの区切りがつきます
- 着信が続くなら、着信拒否にしていい。ただし、それはもう付き合わないと決めた相手だけです
- あなたが思っているほど、営業の側は気にしていません。早く分かったほうが、お互いラクです
- 断れないのは、気が弱いからではありません。相手の立場が分かる方ほど、あの電話は重くなります
そして、お店を悪者にしなくても、自分を守ることはできます。
「この人からは買わない」と決めるだけで、じゅうぶんです。
ご相談者さまの、その後
納車の日に、こんなご報告をいただきました。
本日無事に納車となりましたので報告させていただきます。
奇しくも中古車販売業者にメンタルやられたのが、先月の今日。
どうなることかと思いましたが、皆さまの愛ある助言で、車に疎い私でも契約することができました。
しんどい思いをした日から、ちょうど1ヶ月後の納車でした。
あの日、電話をかけないと決めたことが、この1ヶ月をつくったのだと思っています。
もし、いまお手元に「明日までに返事」という宿題があるなら。
その電話は、かけなくて大丈夫です。
嫌な思いをした日のことは、しばらく残ります。
でも、ちゃんと1ヶ月後には、楽しい日が来ていました。
いまは、その途中だと思ってくださいね。
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