著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

スーパーの駐車場で、隣の車に「コツン…」。

バックで止めようとしたときかもしれませんし、ドアを開けたとき(いわゆるドアパンチ)かもしれません。

🥹「やってしまった…隣の車にぶつけてしまった…」

🤔「その場で謝って、警察にも保険会社にも連絡した…でも、この後は?」

🤔「あらためてお詫びの連絡を? 菓子折りを持って、謝りに伺うべき…?」

初めて車をぶつけてしまうと、申し訳なさでいっぱいになって、「もっと誠意を見せなきゃ」と、いろいろ考えてしまいますよね。

✅ 結論からお伝えします

その場で謝って、警察と保険会社に連絡し、連絡先も交換した。

加害者としてやるべきことは、もう済んでいます。

菓子折りや、あらためてのお詫びの連絡は、特別しなくても大丈夫です。

相手の方とのやり取りは、保険会社にお任せしましょう。

そのかわり、少し気にしておきたいのが、修理のお金のことです。

相手の車の修理を「自腹」にするか「保険」にするかは、修理代が出てから決めればいいんです。

ご自身の車の傷と、車両保険に入っているかどうかも、一緒に確かめておきたいところです。

きっかけは、読者の方からのご相談

まずは、今回いただいたご相談の内容です。

スーパーの駐車場で、隣に駐車していた車(無人)にぶつけてしまいました。

完全に私の過失で、負傷者等はいません。

持ち主の方が戻られ、状況説明と謝罪をし、警察と保険会社へ連絡しました。

また、加入している保険会社の担当の方へ伝えるため、お名前とお電話番号を交換させていただきました。

ぶつけてしまったのは初めてで、お相手の方の時間も潰してしまい、大切なお車も傷つけてしまいました。

警察の聴取と保険会社への連絡が終わり帰宅しましたが、このような場合、どのように謝罪するのが良いのかと考えています。

ご住所を聞いていなかったので、ショートメッセージで謝罪文を送るか、謝罪文を送った後に菓子折りを持って行っても良いか尋ねるか…。

お相手に不快感や迷惑とならないような対応で、何かアドバイスがあれば伺いたく思います。

ご相談をいただいたのは、2023年の2月です。

翌朝、私はまず、こうお返事しました👇

ピゴス
ピゴス

大変でしたね。

でも、事故のあとの対応、素晴らしいです。

持ち主の方が戻ってくるまでの時間は、不安な気持ちでいっぱいだったと思います。

ちょっと落ち着いてきたら、おいしいものでも食べて、癒されてほしいです。

以前、Xにも書いたのですが、事故の加害者になることは、誰にでもあります。

隠したり、逃げたくなったりする気持ちも、ちゃんと謝りたい気持ちも、誰もが持っているものです。

そのなかで、ご相談者さまは、持ち主の方が戻るまで待って、その場できちんと謝られました。

当時の私が「素晴らしいです」とお伝えしたのは、そのことでした。

もし持ち主の方が戻ってこなくても、その場で警察に連絡すれば大丈夫です。

交通事故を起こしたときに警察へ届け出ることは法律で決められていて、物にぶつかっただけのときも同じです。

その場でやることの全体は、こちらにまとめています👇

【保存版】交通事故にあったら、まず何をする?覚えるのは「電話2本」だけでいい理由交通事故の対応の流れは「人の安全→警察→保険会社」の電話2本だけ覚えればOK。あとは警察官と保険会社さんが流れをアシストしてくれます。国土交通省の案内に沿って、損しない初動と事前のお守り3点を解説。...

なぜ「追加の謝罪」は、かえって逆効果になることもあるのか

「何もしないなんて、誠意がないと思われないかな…」と、不安になりますよね。

なお、今回お話しするのは、ケガをした人のいない物損事故で、知らない方の車にぶつけてしまったときのことです。

このご相談には、私より先に答えてくださった方がいて、私もその方の答えのとおり、「特別何もしなくてもよろしいかと」とお伝えしました。

理由は、3つあります。

相手の方が望んでいるのは、早く、きちんと直ること

車をぶつけられた方が望んでいるのは、何より、スムーズに対応してもらって、少しでも早く車が直ることだと思います。

逆の立場なら、自分ならどうしてほしいか、と考えてみると、分かりやすいかもしれません。

修理の段取りや、お金のやり取りは、保険会社の担当の方が引き受けてくれます。

事故のあとは、自己判断で先に動かないことが、結果として損をしない動き方です。

連絡のたびに、事故を思い出させてしまうことも

事故は、相手の方にとっても、できれば思い出したくない出来事です。

保険会社に任せて、少し落ち着いてきたころにこちらから連絡が来ると、そのたびに事故のことを思い出させてしまうかもしれません。

相手によっては、別の要求のきっかけになることも

相手によっては、お詫びの連絡をきっかけに、保険とは別の要求が出てくることもあります。

そうなると、どこまで応じるのかを、自分で決めなければならなくなります。

相手の方を疑ってかかる必要はありませんが、わざわざ、そのきっかけを作らなくてもいい、ということです。

3つの理由をお伝えしましたが、少しドライな言い方をすると、「もっと謝りたい」という気持ちには、自分の気持ちを落ち着けたい、という面もあるのかもしれません。

もちろん、お詫びを受け取ることで、相手の方の気持ちが落ち着くこともあります。

ですから、菓子折りを持ってお詫びに伺うことが、間違いだというわけではありません。

ただ、今回のように、その場で謝って、保険会社にもつないだあとなら、特別なことはしなくて大丈夫、というのが私の考えです。

もうひとつ、プロとして伝えたい「損しない」話

当時の私が、謝罪のこと以上に気になったのは、修理のことでした。

お返事にも、「修理に関してはどのようにやっていくか、少し気になる所です」と書いています。

お金のことで考えておきたいのは、お詫びの品ではなく、修理代のほうです。

相手の車の修理代は、小さな傷でも思ったより高くなりがち

傷は小さくても、きれいに直すには、塗装をすることになります。

磨いて終わりにするか、タッチペンで済ませるかは、被害を受けた方がご自身で直すときに決めることです。

保険を使って直すなら、きれいに塗り直すのが基準になります。

小さな傷でも、バンパーの広い範囲を塗ったり、まわりの部品と色を合わせたりと、プロの技術が必要になります。

塗装と同じくらいの値段で交換できるなら、バンパーごと交換になることもあります。

ピゴス
ピゴス

ドアパンチで小さな傷をつけてしまっても、修理代が10万円ほどになることは、よくあります。

傷は小さくても、それぐらいになってしまうんです。

もうひとつかかるのが、相手の方が修理のあいだに使うレンタカー代です。

修理に預けてから、見積もり、保険会社の確認、修理、引き渡しまで、10〜20日ぐらいかかることはよくあります。

レンタカー代は1日5,000〜10,000円ぐらいのことが多く、すぐに10万円、20万円ほどになります。

修理代より、レンタカー代のほうが高くなることも、珍しくありません。

そのため、相手の車の修理代を自腹で払うのは、思っているより難しいことが多いんです。

自腹か保険かは、金額が出てから決められます

当時の私は、「相手方の修理費用の額によっては、自腹で払うことも可能です」とお伝えしました。

保険を使うと、次の年から保険料が上がるので、そのほうが損が少ないこともあるからです。

まず安心してほしいのは、保険会社に事故を報告しただけでは、「保険を使う」と決めたことにはならない、という点です。

相手の車の修理代が出てきたら、担当の方に聞いてみます。

「保険を使った場合と使わない場合で、この先の保険料の合計はいくら違いますか」

保険を使うと保険料がどのくらい上がるのかは、保険会社に計算してもらえます。

あとは、相手に払う修理代(レンタカー代も含めて)と、上がる保険料の合計を比べるだけです。

修理代のほうが少なければ自腹、多ければ保険、という考え方です。

金額を見てから決めるのが、合理的です。

当時の私も、「そのあたりは、保険屋さんもアドバイスをしてくれると思います」とお伝えしていました。

※相手の車や物への賠償(対物)や、ぶつけた事故でご自身の車に車両保険を使うと「3等級ダウン事故」となり、翌年の契約から3年間は「事故有」の割引率が使われます(損害保険ジャパン・アクサ損害保険の公式の説明より/2026年9月に確認)。

※保険を使った場合に翌年以降どのくらい保険料が上がるかを、保険会社に試算してもらえることは、アクサ損害保険の公式の説明にも書かれています(2026年9月に確認)。

もうひとつ、ご自身の車の車両保険をどうするかでも、答えが変わってきます。

ご自身の車の傷と、車両保険も確かめておく

当時の私が、もうひとつお聞きしたのが、車両保険(自分の車の傷を直す保険)に入っているかどうかでした。

相手の車に傷がついたということは、目立たなくても、ご自身の車にも少なからず傷がついているはずだからです。

次の3つを、確かめておきます。

  • ご自身の車に、傷がついているか(目立たなくても)
  • 直すか、直さないか
  • 車両保険に入っているか

車両保険に入っていて、相手の車の修理に保険(対物賠償)を使うなら、ご自身の車も、同じ事故として車両保険で直せます。

等級は「事故1件につき」3つ下がる数え方なので、同じ事故で2つの保険を使っても、下がり方は変わりません。

※「3等級ダウン事故」は、事故1件につき等級が3つ下がります(アクサ損害保険・あいおいニッセイ同和損保の公式の説明より/2026年9月に確認)。

つまり、相手の分に保険を使うと決めたなら、ご自身の車もそのとき一緒に直したほうが、損が少なくなります。

順番が逆でも同じです。

ご自身の車を車両保険で直すと決めたなら、相手の分を保険で払っても、追加の負担はかかりません。

ただし、免責金額(保険を使うときの自己負担額)を決めている契約なら、その分は自分で払うことになります。

傷が目立たず、気にならないなら、直すかわりに、修理代に見合う保険金を受け取る方法もあります。

私なら、そうすると思います。

受け取れるかどうかや、受け取り方は、保険会社や契約によって違うので、担当の方に確かめておくと安心です。

車両保険に入っているなら、まさに、こういうときのための保険です。

反対に、車両保険に入っていない場合や、使わない場合は、ご自身の車は自腹で直すか、そのまま乗るかになります。

私は、自分が原因の傷なら、あきらめもつくと思っています。

ご自身の車を修理に出すあいだの足については、保険の「レンタカー特約」の話をこちらに書いています👇

rentakatokuyaku_eyecatch
【古い車の味方】故障時の「レンタカー特約」が神!高い代理店型保険を使う理由とは?古い車を長く乗るなら知っておきたい「レンタカー特約」。故障のレッカー時にもレンタカー代が出る代理店型保険の強みを、元ディーラー営業×元1級整備士が整理します。...

もし相手から連絡が来たら? どうしても一言、と思うなら

相手から連絡が来たら、話の窓口は保険会社に

相手の方から、修理の進み具合などで、直接連絡が来ることもあるかもしれません。

そのときは、ていねいに受け止めつつ、話の窓口は保険会社にまとめます。

「今後の手続きは、保険会社の担当の方にお願いしております」とお伝えして、修理やお金の話は、担当の方に任せます。

「直りました」と連絡をいただいたら、そのときにひと言

どうしても、もう一度お詫びを伝えたい。

そんなお気持ちがあるなら、相手の方から「修理が終わりました」などと連絡をいただいたときが、そのタイミングです。

そのときなら、ショートメッセージでひと言お詫びを伝えるのも、ご相談にあった菓子折りのことを尋ねてみるのも、ありだと思います。

ただ、こちらから、わざわざ連絡のきっかけを作らなくても大丈夫です。

事故が落ち着いたら、自分の保険も見直しどき

事故の対応が一段落して、自動車保険の次の更新の案内が届くころ。

保険を使っていれば、等級が下がって、保険料は上がっているはずです。

保険会社を替えても、下がった等級や事故の記録は引き継がれるので、替えれば元に戻る、というわけではありません。

※下がった等級や事故有係数の期間は、保険会社を替えても引き継がれます(損害保険ジャパンの公式の説明より/2026年9月に確認)。

ただ、等級が上がっていくタイミングで、車両保険や特約など、補償の中身を見直すと、上がり方を小さくできることもあります。

今日決める必要は、まったくありません。

更新の前に、いまの補償のままだといくらになるのか、何社か比べてみるだけでも、判断の材料になります。

事故のあとで一括見積もりをするときの入力のコツは、こちらに書きました👇

事故で保険を使った後でも一括見積もりはできる?エラーになる時の入力のコツと保険選び事故有係数期間が入力できず一括見積もりが取れない…その原因は「これからの等級」を入れようとしていること。入れるのは今の契約の状態と事故の件数です。等級が戻るまでの4年とロードサービスの見比べ方もお話しします。...

まとめ

  • その場で謝って、警察と保険会社に連絡し、連絡先を交換したなら、やるべきことは済んでいる
  • 菓子折りや、あらためてのお詫びの連絡は、特別しなくて大丈夫(相手の方から「直りました」と連絡をいただいたときに、ひと言)
  • 相手の車の修理代は、小さな傷でも10万円ほどになることがあり、レンタカー代が重なることもある
  • 自腹か保険かは、金額が出てから、担当の方に「使った場合と使わない場合の保険料の差」を聞いて比べる
  • 車両保険に入っているなら、同じ事故で、ご自身の車も直せる(等級はそれ以上下がらない)
  • 落ち着いたら、おいしいものでも食べて、ひと息つく

迷ったときは、この6つを、担当の方と話す前に見直してみてはいかがでしょうか。

事故の初動や、弁護士特約の使いどきなど、事故まわりで損をしないための考え方は、こちらの総合ガイドにまとめています👇

【慌てないで】事故で「損する人・しない人」元営業が教える“正しい初動”と弁護士特約事故で損する人としない人の差は『初動』と『備え』。もらい事故で自分の保険会社が交渉できない理由、弁護士特約の使いどころ、事故直後にやることを、元ディーラー営業×保険のプロが実例で解説します。...

ご相談者さまの、その後

ご相談者さまは、私より先に答えてくださった方へ、その日のうちにお返事をくださっていました。

ぶつけてしまった直後で、「少しパニックになってしまっていた」そうです。

「お相手側や保険会社さんから何か知らせがあればすぐに対応し、ひとまずは気持ちを鎮めておこうと思います」とも書いてくださっていました。

最後には、「今後の運転操作には今まで以上に気を遣います」とも。

翌朝、私がお送りした、車両保険とご自身の車の修理についての質問には、お返事はありませんでした。

そのあと修理がどうなったのかは、残念ながら伺えていません。

この記事の「損しない」話は、当時お聞きしたままになっていた問いに、いまの私がお答えするつもりで書きました。

大変な中でも、逃げずに謝られたご相談者さまのカーライフが、穏やかに続いていることを願っています。

このご相談とお返事は、そのあとも読まれていました。

3週間ほどあとに、初めての事故を起こしてしまった方から、「自分でも驚くほど落ち着いて行動できた」というご相談をいただいています。

その方は、知人に譲るつもりだった車で事故を起こしていて、譲る前に点検をしておくべきか、というご相談でした👇

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、記事の下のコメント欄でいつでも承っております。ニックネームもメールアドレスも要りませんので、お気軽にどうぞ!