著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

「この傷で、次の車検は通るのかな」

「外れかけている部品、走っている間に落ちたりしないかな」

「古い車だし、車検が高かったら、もう乗り換えたほうがいいのかな」

ぶつけた傷が増えてきた車に乗っていると、車検の案内が届くたびに、心配がふくらみますよね。

見た目は気にしていなくても、危なくないか、車検に通るかは、やっぱり気になるものだと思います。

✅ 結論からお伝えします

見た目の傷や、表面だけのサビなら、車検には通ります。

車検で困るのは、外れそうな部品や、とがった部分、サビで穴があいたところです。

ご相談の車で直しておきたいのは外れかけている部品だけで、錆びてきた傷は、タッチペンでフタをしておけば十分です。

そして、車を買ってまだ日が浅いなら、車検を通して乗り続けたほうが、損は少ないと思います。

車検の頼み先は、車にくわしくなければディーラーを基本にするのが無難です。

きっかけは、読者の方からのご相談

まずは、今回いただいたご相談の内容です。

新車から10年以上たったフリードに乗っています(走行は10万km近くです)。

1年半ほど前に、中古車屋さんで、車検込みの60万円台で買いました。

はじめは100万円くらいで探していたのですが、お店の方に、フリードは200万円くらいの新しいものか、60万円くらいの古いものが多いと言われて、古いほうにしました。

お店の方には、2〜3年は乗れるかな、と言われましたが、できればもう少し乗りたいと思っています。

運転があまり上手ではないので、条件のそろった今の車に、次の車検を越えて乗り続けたいんです。

それまでにやっておくべきメンテナンスや、することがあれば知りたいです。

3列シート、ウォークスルー、両側スライドドア、バックカメラ、ETC、カーナビ、スマートキー、禁煙車という条件で、なかなか見つからなかった車です。

ところが、金網のフェンスに引っかけてしまい、前のバンパーの部品が外れかけています。

以前こすったスライドドアの下の傷も、錆びてきました。

見た目は気にしていないのですが、分からないことがいくつかあります。

  • 外れかけの部品は、直さないと危ないのか(何の部品か分からず、中が見えているので、水が入って故障しないか心配)
  • 錆びてきた傷は、直したほうがいいのか
  • 次の車検は、いくらくらいまでなら通したほうがいいのか
  • こういう限界に近そうな車は、どこで車検をお願いするのがいいのか

最近、すり減ったタイヤを、未使用の中古タイヤに替えました。

車は完全に移動のためで、2人の子どもの保育園の送り迎えや、週末の買い物、レジャーに使っています。

車にかけるお金は、1年に20万円くらいに収まると助かります。

ご相談をいただいたのは2023年の春で、車検は半年ほど先でした。

当時、私はこうお返事しています👇

ピゴス
ピゴス

傷については、簡易的に補修をしつつ、お乗りいただければ大丈夫そうですね。

まだ購入して日が浅いので、ぜひ車検を通して、乗り続けていただければ損は少ないと思います。

そのうえで、ご相談の4つの「分からない」に、順番にお答えしていきます。

車検で見られるのは、「傷があるか」ではありません

はじめに、4つの問いの土台になる「この傷で、車検に通るのか」からお答えします。

車検で見られるのは、傷があるかどうかではありません。

車体がしっかりしていて、まわりの人や車に危なくないかどうかです。

国の基準にも、車体は「堅ろうで運行に十分耐えるもの」であること、「振動、衝撃等によりゆるみを生じない」こと、「著しく損傷していない」ことが書かれています。

とがった部分で、ほかの交通の安全を妨げないこと、通行人の服を引っかけるおそれのあるバンパーの端がないことも、決められています。

※国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」第178条(車枠及び車体)より(2026年10月に確認)。

表面のサビなら、車検には通ります

ですから、表面にとどまっている傷やサビなら、車検には通ります。

2024年の8月に、別の方のご相談で、私はこうお答えしています。

「サビについても車検に落ちるのは穴があいたり、腐食してぼろぼろになっている場合です。ですので、表面だけがどれだけサビだらけでも、車検には通ります」

通らないのは、外れそう・とがっている・穴があいている

反対に、車検で直すように言われやすいのは、次のようなところです。

  • 外れかけて、ぶら下がっている部品
  • 割れて、とがったところが出ているバンパー
  • サビが進んで、穴があいているところ

最後は、検査をする方が実物を見て判断します。

大丈夫だと思っていた傷で、急に通らないと言われることもあるので、気になる傷があるなら、車検の前に一度見てもらうと安心です。

直すか直さないかの判断だけでなく、車検に通るかどうかも、先に確かめておくのがおすすめです。

外れかけの部品は、車検の前に固定してもらう

ご相談の傷のうち、直しておきたいのは、フェンスに引っかけて外れかけている部品のほうです。

走っている間に落ちて、歩いている方や、ほかの車に当たってしまうかもしれないからです。

ご相談者さまも、お返事に「前の部品が外れて怪我をさせてしまったら大変ですもんね…その可能性を考えていませんでした」と書いてくださいました。

車検でも、指摘されやすいところです。

ただ、焦らなくて大丈夫です。

片側でまだ止まっている状態なら、裏側から固定し直すだけで済むこともあるからです。

外れかけていた部品の正体と、水の心配

ご相談者さまは、部品の名前が分からず、中が見えているので、水が入って故障しないか心配されていました。

当時、一緒にお答えしてくださった方が、ホンダの用品カタログと写真を見比べてくださいました。

オプションのライトを取り付けるための部品のようで、ご相談の車にはライトが付いていませんでした。

ライトの付いていない部品なので、固定し直せれば、機能の面では問題なさそう、というのが当時の見立てです。

ご相談者さまからは「穴があるから内部に水入って壊れたらどうしよう…!って思ってたので心配なさそうで安心しました」と、お返事をいただいています。

バンパーは樹脂でできているので、バンパーそのものが錆びることもありません。

頼み先は、車を買ったお店か、ディーラーへ

直してもらうのは、車を買ったお店か、ホンダのディーラーが、話が早いと思います。

ご相談者さまも、まずは買ったお店に相談すると決めていらっしゃいました。

もし交換になると、部品の取り寄せに時間がかかったり、年数のたった車だと新品の部品が無く、中古の部品を探したりすることもあります。

車検の直前ではなく、少し余裕をもって見てもらうと安心です。

バンパーごとの交換になったとしても、車そのものが傷んでいるわけではないので、そのあとも乗っていくうえで問題はありません。

私自身、傷がそこまで気にならないなら、「バンパーをはめてもらう+タッチペンするかしないか程度」の、最小限の修理で乗るのが、コスパの良い乗り方だと考えています。

錆びてきた傷は、タッチペンでフタをする

スライドドアの下の傷は、塗装がはがれて、その下の鉄が錆びてきている状態です。

塗装は、車の鉄をサビから守るカバーの役目をしています。

カバーがはがれたまま放置すると、雨や湿気で、少しずつサビが広がっていきます。

とはいえ、表面のサビなら、進行さえ止めてあげれば、車の寿命に大きく響くことは、まずありません。

進行を止めるのに使うのが、タッチペンです。

タッチペンは、車と同じ色の補修用の塗料で、筆やペンの形をしていて、ディーラーやカー用品店、ホームセンターで買えます。

はがれて鉄が見えているところに塗って、フタをしてあげるだけで、サビの進行はぐっと防げます。

費用は、1,000円ちょっとです。

塗り方と、車の下のほうの傷のこと

色は、車ごとの色の番号で選びます。

番号は、運転席側のドアを開けたところにあるプレートなどで確かめられます。

ディーラーで同じ色のものを取り寄せてもらうと、液が濃くて塗りやすいと思います。

私がぶつけたときは、タッチペンで塗って、乾いたら別の日にまた重ねて、できるだけ厚く塗りました。

ただ、車の下のほうは、かなり塗りにくいです。

点検に出したときにタッチペンを買うと、サービスで塗ってもらえることもあるので、お店に相談してみてはいかがでしょうか。

あくまで応急処置で、「錆止めという感覚で」塗るものなので、見た目は、塗ったあとが分かる仕上がりになります。

ご相談者さまのように、見た目を気にしないなら、それで十分です。

スライドドアが開け閉めできるかだけは、確かめておく

見た目は気にしないとしても、確かめておきたいことが1つあります。

スライドドアが、引っかからずに開け閉めできて、きちんと閉まりきるかどうかです。

動きに問題がなければ、あとは見た目だけの話なので、気にせず乗って大丈夫です。

開け閉めに引っかかりがあるなら、見た目ではなく機能の問題なので、一度お店で見てもらうと安心です。

値段が下がりきった車なら、小さな傷で気を落とさなくていい

ご相談者さまは、傷のことを「車にはホント申し訳ない」と書かれていました。

ただ、新車から10年以上たった車は、値段がもうほとんど下がりきっています。

手放すときの値段を気にしなくていいぶん、小さな傷なら、そこまで気を落とさなくて済みます。

別の方へのお答えでも、「車がぐっと気楽な相棒になります」とお伝えしています。

ピゴス
ピゴス

私も、傷つけた車は、だいたいタッチペンで錆びないようにして、そのまま乗っています。

最初は見るたびに辛いですが、段々と仕方がないかと、慣れてきますよ。

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次の車検は、通して乗るほうが損は少ない

ご相談の3つ目、次の車検はいくらくらいまでなら通したほうがいいか、です。

当時の私の答えは、まだ買って日が浅いので、ぜひ車検を通して乗り続けたほうが、損は少ない、というものでした。

買い直しても、同じような修理はやってきます

いまの車を手放して、同じくらいの値段の中古車に買い替えても、同じような年数の車なら、また同じような修理がやってきます。

それなら、慣れていて、これまでの整備の様子も分かっている今の車を直して乗るほうが、安心です。

運転があまり得意ではないとおっしゃる方なら、なおさらだと思います。

古い車の車検費用は、基本だけで10万〜15万円くらい

私の感覚では、古い車の車検は、基本の費用だけでも10万〜15万円くらいかかります。

そこに10万円、20万円の修理が足されても、また2年、安全に乗れる車が手に入ると考えれば、買い直すより安く済みます。

13年をこえた税金は、1年あたり1万円ほどです

新車から13年をこえたガソリン車は、税金が少し上がります。

ご相談の車と同じ1.5リッターのフリードなら、毎年の自動車税が34,500円から39,600円に、車検のときに払う2年分の重量税が24,600円から34,200円になります。

合わせても、1年あたり1万円ほどの差です。

18年をこえると、重量税はもう一段、37,800円に上がります。

乗り換えにかかるお金にくらべれば、税金だけで慌てて乗り換える理由にはならないと、私は考えています。

※自動車税は埼玉県「自家用乗用車の税率表(令和元年9月30日以前に登録を受けた自動車)」と宮城県「自動車税のグリーン化(重課・軽課)について」、重量税は財務省「自動車重量税の概要」(自家用の乗用車・1.5トン・エコカー減税の対象外)より、2026年10月に確認しました(自動車税は、ハイブリッド車などは重くなりません)。

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30万円近い見積もりが来ても、慌てなくていい

ご相談者さまは、お父さまの車が古くなってから、車検のたびに30万円かかっていたのを見てきたので、車検がいくらになるか心配されていました。

私が見せていただいた見積もりにも、28万円ほどのものがありました。

それでも、車を持っていれば、時にはそれくらいかかるのが普通だと、私は考えています。

大事なのは、見積もりの中身を分けて見ることです。

その見積もりも、見た目のための作業や、まだ先でいい作業を外すと、7万〜8万円ほどは節約できる内容でした。

ただ、ブレーキ、足回りのゴム部品、オイル類は、時期がきているなら削らない、というのが私の考えです。

まだ先でいい作業も、なくなるお金ではなく、次の車検で払うことになります。

迷ったときは、「車検に通る最低限の内容と、消耗品でお願いします。あとは検討します」と伝えれば大丈夫です。

ご相談者さまは「この意見は車屋さんの賛否が分かれるところだと思いますが」と気にされていましたが、嫌な顔をされることは、まずありません。

むしろ、話が早くて助かる、という車屋さんも多いです。

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乗り換えを考えるのは、2つの「致命傷」が出たとき

反対に、乗り換えを考えはじめたほうがいいのは、私が「致命傷」と呼んでいるものが出たときです。

1つは、修理代が、同じくらいの車が買える金額に近づいてきたとき。

もう1つは、エンジンオイルがどんどん減っていくような、直しても治らない持病を抱えてしまったときです。

「次の車検まで持つかどうか」は、下回りのオイル漏れや、サビによる腐食、排気ガスの色、アイドリングのときの音や振動にも出てきます。

整備士は、そういうところを見て、来年は厳しいかもしれない、と分かってくるものなので、車検のときに、お店の方の見立ても聞いておくと、次の段取りが立てやすくなります。

直すか、乗り換えるかの線の引き方は、こちらにくわしくまとめています👇

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古い車の車検ほど、頼み先で差が出ます

ご相談の4つ目、こういう車は、どこで車検をお願いするのがいいか、です。

当時、私は、基本的にはディーラーでの整備をおすすめしていました。

理由は3つです。

  • その年式のフリードをたくさん整備しているので、危ないところを見つけてもらいやすい
  • トラブルが起きたときに、早く解決しやすい
  • そのときのために、ふだんから通っているお客さんになっておける

年数のたった車ほど、どこに頼むかで、車検の費用も、整備の満足度も、振れ幅が大きくなります。

だからこそ、どのように整備しながら車と付き合っていくかが、大事になってきます。

ディーラーが高く感じたら、提案の中身を見る

ディーラーの車検は、高く感じることがあるかもしれません。

その車にくわしいプロとして、この先に傷みそうなところまで先回りして提案するぶん、高くなりがちなこともあります。

整備士さんの技術や手間を考えれば、工賃も適正か、それ以下だと私は思っています。

先回りの提案のどれを今やるかは、見積もりを分けて見て、こちらで決めればいいんです。

「苦手は人に頼る」、そして1か所に決める

車にくわしくない方には、ディーラーとのお付き合いを基本にするのが無難です。

「苦手は人に頼る」という考え方です。

ただ、大事なのは、ディーラーであることよりも、信頼できる1か所に決めて、続けて見てもらうことです。

車を買ったお店に、相談しやすい方がいるなら、そちらに決めるのも、もちろんありです。

同じお店に見てもらい続けると、整備の記録が積み重なって、車のくせまで分かってもらえるようになります。

見積もりに疑問があれば、その場で決めずに持ち帰って、ほかのお店に一部だけ頼むのも、1つの方法です。

メンテナンスを1か所にまとめる考え方は、こちらでお話ししています👇

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乗り続けると決めたら、やっておきたいこと

ご相談にあった、次の車検までにやっておくべきメンテナンスは、先ほどの削らない3つ、ブレーキ、足回りのゴム部品、オイル類が軸になります。

なかでもオイル交換は、乗り続けると決めたなら、時期を守っておきたいところです。

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まとめ

  • 見た目の傷や表面だけのサビなら、車検には通る
  • 車検で困るのは、外れそうな部品、とがった部分、サビで穴があいたところ
  • 外れかけの部品は、車を買ったお店かディーラーで、車検の前に固定してもらう
  • 錆びてきた傷は、タッチペンでフタをすれば、サビの進行はぐっと防げる
  • 買ってまだ日が浅いなら、車検を通して乗り続けるほうが、損は少ない
  • 30万円近い見積もりでも、慌てずに中身を分けて見る
  • 頼み先は、車にくわしくなければディーラーを基本に、信頼できる1か所に決める

傷を怖がりすぎずに、必要なところだけ直して、慣れた車に長く乗る道を、選んでいただけたらと思います。

ご相談者さまの、その後

実は、ご相談者さまは、私がお返事をする前に、ほかの方の答えを読んで、もう動き出していらっしゃいました。

「一度購入店で相談してみます」

「できれば次の次も乗れたら…なんて思ってます」

「次の車検は頑張って最低限で通していけたらと思います」

「大事に乗っていきたいと思います」

私のお返事は、そのあとに届いた形です。

そのあと、車検がどうなったかのご報告はありませんでした。

当時の私は、最低限で通すことへの心配には、はっきりお答えしないまま終わっていました。

いまの私なら、この記事でお伝えしたとおり、「車検に通る最低限の内容と、消耗品で」とお願いして大丈夫です、とお答えします。

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、記事の下のコメント欄でいつでも承っております。ニックネームもメールアドレスも要りませんので、お気軽にどうぞ!