著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

「愛車を少しでも高く売りたい!」

そう考えたとき、ネットでよく見かけるのが「車の一括査定サービス」ですよね。

複数の買取業者に一度に査定を依頼できて、競争でグッと高く売れるかも…と、期待が高まります。

でも、いざ使うとなると、進め方に迷うこともあるのではないでしょうか。

「申し込んだあと、どう進めるのが一番いいの?」

「査定額が出そろったら、そこからさらに交渉するべき?」

ネットで調べると、進め方はいくらでも出てきます。

そのとおりにやれば大丈夫、と思いますよね。

ただ、よく紹介されている手順のなかに、ひとつだけ、やめておいたほうがいいものが混じっていることがあります。

2倍速で時短でもOK!ちょっと読む時間がないなって方は概要をYouTubeで解説しています↓

✅ 結論からお伝えします

一括査定は「複数社に同じ日時に来てもらう(同時査定)」が基本です。

そして査定が終わったら、その場で決めてしまいます

なぜなら、その場で決めてもらえる相手にしか、お店は精いっぱいの金額を出しにくいからです。

「後日、いちばん高いところともう一度交渉する」——これは、やめておいたほうがいいと私は思っています。

金額が伸びにくいうえに、こちらから頼んで書いてもらった「精いっぱいの額」を、あとから無かったことにすることになるからです。

買取店の方も、人ですからね。

きっかけは読者の方からのご相談

まずは、今回いただいた具体的なご相談内容です(内容を編集して掲載しています)

車の買取について質問です

一括査定を使おうと思っています

① 複数業者を呼んで同じ日に査定してもらう

② 名刺の裏に買い取り額を書いてもらう

③ 後日、良さそうな業者に電話して交渉し、

④ 最終的には(車を)持って行った時に、もう一度、最後の交渉をする

このような形で間違いありませんでしょうか??

①と②の「複数の業者に同じ日に来てもらい、名刺の裏に金額を書いてもらう」というのは、まさに一括査定の基本ですね!

しかし、注意したいのは③と④の「後日、さらに交渉を重ねる」という部分です。

実は、このやり方は、一括査定のよさを活かすうえでは、必ずしもベストとは言えない、というのが私の考えです。

むしろ、金額が伸びにくくなってしまうことのほうが多いんです。

ピゴス
ピゴス

少しでも高く売りたい、その一心ですよね。

じつは、ちょっとした進め方の違いで、数万円の差がつくこともあるんです。順番に見ていきましょう

なぜ「同じ日に、まとめて」なのか

まず、なぜ「同じ日に、まとめて来てもらう」のがいいのでしょうか。

業者さんを競わせるため、と説明されることが多いのですが、あくまで私の感覚は少し違います。

理由は、そのほうがお店のほうも高い金額を出しやすいからです。

ご相談を受けるとき、私はいつもこうお伝えしています。

その3社さんは、今決めてくれるから、高値を出してくれます。

買取店の方は、時間をつくって査定に来てくださっています。

その場で決まると分かっていれば、精いっぱいの金額を出す理由があります

逆に、一社ずつ別の日に呼ぶと、この「今日決まる」がなくなってしまうんですね。

そうなると、いくらまで出せばいいのかが読めないので、どうしても余裕を残した金額になります。

「後からもう一度交渉する」が、伸びにくい理由

ご相談者さまが考えられた「後で交渉」という進め方について。

粘り強く交渉すれば、さらに金額が上がりそうに思えますよね。

ただ、ここには落とし穴があります。

  • その日に決まらないと分かると、精いっぱいの金額が出しにくくなります:別のご相談で「ディーラーさんとも相談します」と伝えた方がいらっしゃいましたが、そう言われると本気の高値は出しづらい、というのが買取店の本音です
  • 後日は、比べる相手がいない場での話し合いになります:同じ日に何社もいる状態とは、立場がまるで変わります
  • こちらからお願いして書いてもらった約束を、外すことになります「精いっぱいの額を書いてください」とお願いした以上、その金額を信じて決めるのが誠意だと、私は思っています

ここで、もうひとつ大事なコツをお伝えしますね。

それは、金額の「聞き方」です。

その場で業者さんに順番に金額を言い合ってもらう…一見よさそうですが、実は「競り」と同じで損をしやすいんです。

順番に提示する形だと、業者さんは他社の金額を見ながら、わざと「余力」を残せてしまうからです。

たとえば、本当は120万円まで出せる業者さんがいたとします。

でも他社が100万円で降りたのを見ると、「じゃあ101万円でいいか」と、最高額を出さずに買えてしまうんですね。

本来あなたに渡るはずだった19万円が、こぼれ落ちてしまうわけです🥲

そこでおすすめなのが、各社に「他社の金額が見えない状態で、精いっぱいの金額を一発で出してもらう」やり方なんです。

その場で決めるための、4つの手順

では、当日をどう組み立てるか。

私がおすすめするのは、この4つの手順です。

  1. 【宣言する】査定の前、または各社の査定が終わったタイミングで、集まった全業者さんにハッキリ宣言します。「本日は、一番高い金額をご提示いただいたところに売却すると決めています。みなさまの『一発勝負』の金額を、名刺の裏にご記入いただけますか」
  2. 【名刺(金額)回収】各社から金額が書かれた名刺を受け取ります(他の業者に見えないよう配慮してもらうことも大切です)
  3. 【比較・決定】全員の金額を確認し、一番高い業者さんをその場で発表します。「○○さんが一番でしたので、お願いします。本日はありがとうございました!」
  4. 【契約へ】いちばん高い金額を出してくださったお店と、具体的な契約手続きに進みます

この形なら、お店は「ここで数字を出さないと終わり」と分かるので、はじめから本気の金額を書いてくれます。

後日の面倒なやり取りもありませんし、その場で売り先が決まるので、時間もかかりません。

金額は「名刺の裏」に。封筒に入れてもらえると、もっといい

②の「名刺の裏に書いてもらう」には、じつはもうひとつ理由があります。

他のお店に金額を見せないため、だけではありません。

あなたが、嘘をつかなくて済むようにするためです。

口頭で聞いてしまうと、別のお店から「さっきのところ、いくらでした?」と聞かれたときに、答えづらくなってしまいます。

知らないふりをするのは、気持ちのいいものではありませんよね。

でも、金額を聞かずに書いてもらって、そのまま封筒に入れておけば、本当に分からないんです。

「まだ見ていないので、分からないんです」と、そのまま言えます。

これは、ご自分を守るためのやり方でもあるんですね。

「あとから減額されないか」が心配な方へ

ひとつ、安心材料もお伝えしておきます。

サービスによっては、売る側を守る決まりを規約に置いています。

たとえば、私がよくご紹介しているMOTA車買取だと、こうなっています。

  • 入札した金額より下げて買い取ること(不当な減額)は禁止
  • 車を引き取ったあとでも、翌日まではキャンセルできる

ただし、これはサービスごとに違います

申し込む前に、そのサービスの決まりを一度見ておくと安心です。

それと、減額の口実になりやすいのが「申し込みのときの情報と、実際の車が違う」というケースです。

傷や修復歴は、最初から正直に書いておくほうが、結果的にご自分を守ります

なお、当日までの段取り——3社の時間をどう合わせるか、来てもらってから何をするか——は、こちらでお話ししています👇

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私が見た「抜けがけ」の話

ここまで、宣言をして、名刺の裏に書いてもらって、その場で決める、という進め方をお伝えしてきました。

では、なぜわざわざ最初にルールを宣言するのか。

その理由がはっきり分かる出来事が、実際にありました。

同時査定の場でのことです。

査定が終わって、あとは金額を出してもらうだけ、というタイミングでした。

査定員さんの一人が、私にこう言ってきたんです。

今から帰るということにするので、他の業者さんの査定額を聞いてきて、保留にしておいてくれませんか。

そうしてくれたら、それよりも高い額で買い取らせていただきますので。

一見すると、こちらに得な話に聞こえます。

実際そのとおりにすれば、その日いちばん高かった金額より、もう少し上が出たかもしれません。

でも、これはまさに抜けがけです。

高く買い取ってほしい、という気持ちにつけ込んだ、心の揺さぶりでした。

ピゴス
ピゴス

ここで、ひとつ気づいていただきたいことがあります。

この査定員さんが言っているのは、「その場では決めないでほしい。後日、自分と交渉してほしい」ということなんですよね。

それって、ご相談者さまが書かれていた③④と、まったく同じことなんです。

立場が逆なだけで、やっていることは同じ

そう考えると、後日の交渉をおすすめしない理由が、はっきりします。

それをやると、この場を壊しにきた側と、同じことをすることになるからです。

もちろん、こういう方ばかりではありません。

私がお会いしてきた買取店の方の多くは、決められた土俵の中で、きちんと精いっぱいの数字を出してくださいます。

ただ、こういう揺さぶりが来ることもある、と知っておくだけで違います。

そして、こういうときに毅然とした態度で、最初に決めたルールをまっとうすること

それが、トラブルなく、気持ちのいい取引ができる買取につながると思っています。

先に宣言しておく意味は、ここにあります。

ルールを自分で決めていなければ、その場で急に判断することになります。

でも「今日、いちばん高いところに決めます」と最初に言ってあれば、あとは「そう決めていますので」と返すだけで済むんですね。

買取店の方も、人です

少し精神論に聞こえるかもしれませんが、私はここが大事だと思っています。

買取店の方々は、ビジネスであると同時に、目の前にいる一人の人です。

高圧的な態度や駆け引きばかりを繰り返すよりは、お互いに敬意を持って、正直に、気持ちの良いやり取りを心がける方が、結果的に良い条件を引き出せたり、スムーズに取引が進んだりすることが多い、と私は感じています。

ピゴス
ピゴス

正直に言うと、精いっぱいの額を出してもらった後で「さらに他社と交渉します」と言われたら、私ならその話は降ります。

競争はもちろん自由ですが、買取店の方も、その場で一生懸命に値段を出してくれた人なんですよね。

だからこそ、こちらも「ここで決めます」と誠意で応えたい。それが結局、気持ちよく高く売れる道だと思うんです

「今日、決めます」という姿勢は、そういった意味でも、お互いにフェアで分かりやすい進め方ではないでしょうか。

ひとつだけ、補足させてください。

ここまでお話しした「同じ日に集めて、その場で決める」は、車を売るときだけの進め方です。

車を買うときや、整備をお願いするときに同じことをすると、たいていうまくいきません。

買うときは、値段を競わせるより、担当の方に「あなたから買いたい」と伝えるほうが、結果的にいい話になります。

整備は、値切るのではなく、いま本当に必要な作業かどうかを一緒に仕分けてもらうのが正解です。

売るときだけは、比べて決めていい場面なんですね。

買取店によって、対応や信頼感はさまざまです。

知り合いの車屋さんと大手の違いも、売り先を考えるうえで参考になります。

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ちなみに、「一括査定って、申し込んだ後の電話がたくさんかかってくるのが嫌なんだよね…」という方もいらっしゃると思います。

その気持ちも、よく分かります。

かかってきた電話への出方と、やめどきは、一括査定の電話が鳴り止まない どれに出て、どこでやめていいかでお話ししています。

もし、あの電話ラッシュがどうしても苦手ということであれば、少し違ったアプローチもあります。

そのあたりは、こちらの記事で、より効率的な買取の実践方法として紹介していますので、よかったら参考にしてみてください。

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ただし、査定してくださる買取店さんも、本気で時間を使ってくださいます。

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そして売却額が決まったら、次は買い替え先選びです。

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まとめ:先にルールを決めて、その場で決める

一括査定で損をしないための要点を、まとめておきますね。

  • 買取店には「同じ日・同じ場所」に来てもらう
  • 査定が始まる前に「今日、いちばん高いところに決めます」と宣言しておく
  • 金額は口で聞かず、名刺の裏に書いてもらって封筒へ(あなたが嘘をつかずに済みます)
  • 後日あらためて交渉するのは、やめておく(金額が伸びにくいうえ、約束を外すことになります)
  • 揺さぶりが来ても、最初に決めたルールをまっとうする

先にルールを決めておけば、当日は迷いません。

あとは、そのとおりに進めるだけです。

ご相談者さまの、その後

このご相談には、続きがあります。

私の回答を読んだご相談者さまから、こんなお返事をいただきました。

車の買取、調べた方法をそのまま書いたのですが、ルール違反なんですね。

もう少し慎重に、車の買取について進めたいと思います

そして、そのあとにこう続けてくださいました。

自分の利益だけでなく、営業さんの立場に立って歩み寄れるところはないか、考えないとですね

正直に言うと、私はこのお返事を読んで、少し反省しました。

この方は、ちゃんと調べて、そのとおりにやろうとしていただけなんですよね。

ピゴス
ピゴス

買取の世界では、絞った雑巾をさらに絞るところまで攻められている。

そのことを、私のほうが逆に教わりました。

競争社会とはいえ、やっぱり人と人とのやり取りです。

厳しすぎる競争からは、ぼったくりや騙し討ちのようなものが生まれてしまう。

そうなると今度は、業界そのものが信じてもらえなくなるんですよね

ですのでこの記事も、「業者さんからいくら搾り取るか」という話にはしたくありませんでした。

そのときご相談者さまにお伝えしたことを、この記事を読んでくださった方にも、そのままお伝えしますね。

ここまで読んでくださった方なら、きっと90点は取れますよ

満点でなくて、大丈夫です。

最後に、ひとつだけ。

こうして知識を持つのは、お店を疑うためではありません

お互いが、気持ちよく取引を終えるためです。

売る側も買う側も納得できたなら、それが「損しない」売り方だと私は思っています😊

一括査定の交渉で疑問や不安ある場合は、「X」「お問い合わせ」「コメント欄」などでお気軽にご相談ください。

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それでは、損しないカーライフをお過ごしください🐧

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ピゴス
ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、コメント欄や「X」などでいつでもメッセージを承っております。お気軽にどうぞ!