自動車保険、ネット型に変えて大丈夫?代理店型との差額で買っているのは補償ではありません

毎年、更新の案内が届きます。
金額の欄だけを見て、そのまま封筒に戻す。
そんな年が、何年も続いていませんか。
あるとき気になって他社と比べてみたら、似たような補償なのに、もっと安い会社がいくつも出てきた。
それなら替えようかな、と思ったところで、手が止まる。
安くしたぶん、事故のときに足りなかったら——。
そう考えると、なかなか踏み切れないんですよね。
先に、いちばん大事なところをお伝えします。
相手への賠償と、ご自身やご家族のケガへの補償さえきちんと確保できていれば、ネット型に変えても、いざという時に守られる中身は代理店型と変わりません。
では、その保険料の差は、どこから生まれているのか。
ひとことで言えば、事故のあとの連絡や手続きを、自分でやるか、誰かに任せるかの差です。
ですから決め手になるのは金額そのものではなく、その手続きをご自身と、車を運転されるご家族が引き受けられそうかどうかなんです。
(もちろん、どちらが良いかは人によって変わります。
このあと、両方の良さをお話ししますね)
まず、ご相談の中身を整理します
今回いただいたご質問は、こんな内容です。
現在、損保ジャパンの自動車保険に入っていますが、他社と比べると高い気がしています。
年間の支払いは約6万7千円で、車はホンダのN-BOX カスタム、乗り出して5年目です。
使い方は、主に通勤と買い物です。
特に、動画を見て車両保険を外したところなので、もっと安くならないか気になっています。
ただ、安くして事故の時の補償が足りなくなるのも心配で、なかなか踏み切れません。
とても、よく分かるお気持ちです。
この方は、保険料が高い理由を「代理店を立てなくてはならないから」とご自分で見当をつけて、そのうえで保険会社に直接聞いて確かめておられました。
そのうえで、車両保険までご自分で外されています。
素早い行動力に、頭が下がります。
ひとつずつ、お答えしていきますね。
なぜ、代理店型のほうが保険料が高いのか
おっしゃる通り、大きな理由のひとつは「人件費」です。
代理店型は、お店の担当者さんがあなたと保険会社の間に入り、契約や事故対応などのサポートをしてくれます。
そのサポートにかかるコストが、保険料に含まれているんですね。
だから、同じ補償内容でも、ネット型(ダイレクト型)より高くなりやすい、という仕組みです。
その差額で、私たちは何を買っているのか
ただ、「人件費」と言われても、自分には関係のないコストのように聞こえてしまいますよね。
保険に入る側から見ると、こういうことなんです。
ネット型の保険料が安いのは、「手続きも判断も、自分で主体的にやるから」です。
もちろん、ネット型にもサポートはあります。
受付が24時間365日なのも、いまはどこも同じです。
ただ、顔を合わせて説明してくれる、土日でも動いてくれる、困ったときにあの人に電話すれば何とかなる——そこまでの手厚さとは、少し違ってきます。
つまりこの差額は、補償を削って安くなっているのではなく、「自分でやる」ぶんが引かれた金額なんですね。
ここが分かると、比べるものが金額から、自分の手間に変わります。
でも、「高い=損」とは限りません
ここで、誤解しないでほしいことがあります。
代理店型が高いのは、「その分のサービスがある」からでもあります。
いつでも相談できる担当者さんがいて、事故などのトラブル時に親身に動いてくれる——これは、大きな安心です。
大きな災害が起きた時なども、人手があるぶん、比較的迅速に動いてくれることが期待できます。
一方で、平常時の対応スピードは、ネット型と大きくは変わりません。
補償の手厚さにも差はありますが、「いざという時は、ある程度は貯蓄でも備える」という考え方を持っていれば、その差は小さくなります。
たとえば、ロードサービスでレッカーを呼べる距離は、ネット型で50〜150km、代理店型で300〜500kmといった違いがあります。
ちなみに、このロードサービス自体は、多くの保険にはじめから無料で付いています。
何が付いているのか、JAFとはどちらが長く運んでくれるのかは、こちらで1本にまとめています。
ネット型のレンタカー特約は、故障では使えないことがあります
もうひとつ、細かいところもお伝えしておきますね。
ネット型でレンタカー特約を付けていても、「レッカー搬送をともなうような故障」のときには借りられないことが多いんです。
事故のときだけ、という設定になっている会社が多いんですね。
毎日お仕事で使うお車や、長く乗っているお車では、ここが効いてくることがあります。
この特約の中身については、こちらで詳しくお話ししています。
ただ、通勤と買い物が中心の使い方なら、この違いだけで「だから代理店型にすべき」とまでは言い切れません。
その場の出費は痛くても、長い目で見れば、保険料の差額で十分カバーできることも多いからです。
すべてを保険で守らなくても、大丈夫なんです
土台さえ守っておいて、細かい部分はムリのない範囲で🐧
決め手になるのは、たった1つの質問です
ここまでを踏まえて、私がいつもお聞きしているのは、この1問です。
「事故のとき、ご自身と、その車を運転されるご家族が、保険会社への電話と手続きを引き受けられそうですか」
これに「たぶん大丈夫」と思えるなら、ネット型に変えて保険料を下げるのは、とても良い判断だと思います。
逆に、「事故のとき、あの人ひとりだと不安だな」と感じるなら。
あるいは「いまの担当者さんは意外と頼りになっていて、何かと相談できて助かっている」ということであれば。
その差額は安心料として、決して高くないかもしれません。
事故のときは、誰でも動揺します。
顔の見える担当者さんに電話できるというのは、金額には表れない大きな価値です。
特に、ご家族のことを考えるとなおさらだと思います。
これは、金額だけでは決められない部分なんです。
ここはあくまで私の感覚ですが、安い・高いで選ぶよりも、「その手間を引き受けられるか」で選んだほうが、あとから納得がいくと思っています。
車両保険は、「外していい人・残した方がいい人」がいます
ご相談者さまは、動画をきっかけに、ご自分で車両保険を外されたとのこと。
これは、考え方によっては、とても良い判断です。
ただ、車両保険は「外していい人」と「残した方がいい人」がいるので、そこだけ整理しておきましょう。
私の考えは、シンプルです。
「程度の良い車に乗っていて、ある程度の貯蓄がある」なら、車両保険は外す候補になります。
万が一、車が全損になっても、その損失を貯蓄でカバーできるなら、毎年の車両保険料はムダになりやすいからです。
逆に、「買ったばかりの新しい車」、「高価な車」、「ローンが残っている車」は、残しておく方が安心です。
全損した時の痛手が大きすぎるので、ここは保険で守る価値があります。
ひとつの目安として、年式が古くなって車の価値が下がってくると、車両保険は外しやすくなります。
失うもの(車の価値)が小さくなるぶん、保険で守る必要性も下がっていくからです。
これはあくまで私の感覚ですが、「車両保険をかけないと不安で乗れないお車」は、そもそも予算をかけ過ぎているのかもしれません。
ご相談者さまの場合、ご自分で判断して外されたのなら、おそらく「程度や貯蓄を踏まえての判断」でしょうから、私は良い選択だと思います。
外していいのか、まだ迷いが残る方は、こちらもあわせてどうぞ。
外して正解だったかなと、不安にならなくて大丈夫ですよ
車の価値と貯蓄で決める、その考え方ができている時点で、もう損しにくい方です🐧
節約しても、「これだけは」削らないでください
保険料を下げる時に、絶対に外してほしくないものがあります。
次の4つは、私が「土台」と呼んでいる部分です。
- 「対人賠償(無制限)」——相手の生命や身体への賠償です。ここを削る選択肢はありません
- 「対物賠償(無制限)」——相手の車や物への賠償です。高額になることがあるので、無制限が基本です
- 「人身傷害」——自分や同乗者への補償です。5,000万円を目安に、過不足は差額を確認して調整しましょう
- 「弁護士費用特約」——もらい事故などで、自分の保険会社が示談を代行できない時に効きます。安いわりに、価値が大きい特約です
この4つさえ確保できていれば、ネット型に変えても、いざという時の足場は崩れません。
逆に言えば、ここを削って保険料を下げるのは、私はおすすめしません。
ひとつだけ、付け足しておきますね。
4つめの弁護士費用特約は、火災保険や共済など、他の契約にすでに付いていることがあります。
個人賠償責任の特約も同じです。
気づかないまま、同じ補償に二重で保険料を払っていた、という方はけっこういらっしゃいます。
見積もりを取る前に、いま入っている他の契約を一度だけ見ておくと安心です。
ネット型を選ぶときの、3つの手順
では、実際にネット型を検討する時の手順です。
- 「必要な補償をはっきりさせる」——上の土台4つに、自分に必要な特約を足していきます
- 「複数の会社で見積もりを取る」——同じ補償でも会社によって保険料は違います。比べてはじめて、高いのか安いのかが分かります
- 「ロードサービスの中身を確認する」——レッカーの距離、バッテリー上がりや鍵の閉じ込めへの対応範囲をチェックします
正直に言うと、私が契約したことのあるネット型は2社だけです
ここで、ひとつ白状しておきます。
私自身が実際に契約したことのあるネット型の保険会社は、2社だけなんです。
それ以外の会社については、正直、細かいところまでは分かりません。
ですから私は、「ここが絶対におすすめ」という1社を挙げないようにしています。
そもそも保険料は、車種・お住まいの地域・年齢・等級・補償内容を組み合わせて、各社がそれぞれ独自に決めています。
つまり「この会社なら必ず安い」という会社は、存在しないんですね。
条件を揃えて見積もりを取ると、上位の何社かは、たいていどんぐりの背比べになります。
そうなった時に、私がどう決めているかもお話ししますね。
私が見ているのは、入りたい補償がちゃんとあるかと、ロードサービスの中身くらいです。
ただ、これは私が保険にある程度詳しいから見えるだけで、普通はなかなか判断しづらい、マニアックな部分でもあります。
ですから、ここまで比べたのであれば、「値段が8割くらいの決め手」という感覚で選んでしまって大丈夫ですよ。
見積もりが出そろって、安い数社から選ぶ段階になったら、こちらもどうぞ。
一括見積もりは、この「複数社を一度に比べる」を、まとめてラクにしてくれます。
ネット型の一括見積もりについては、こちらの記事も参考にしてみてください。
たくさんの方から、「申し込み後に電話ラッシュがなく、画像があって分かりやすかった」と喜んでいただいています。
ここまで読んで、「うちの場合はいくらになるんだろう」と思われたなら。
いまの補償内容のまま、一度だけ金額を出してみてください。
今日決める必要は、まったくありません。
同じ条件で何社ぶんかの金額が並ぶので、いまの保険料が高いのか安いのか、そこではじめて分かります。
まとめ
今回の内容を、最後に振り返っておきましょう。
- 代理店型が高めなのは「人件費(サポートのコスト)」が理由のひとつ
- その差額で買っているのは補償ではなく、事故のあとの連絡や手続きを「自分でやるかどうか」
- だから決め手は1問=「事故のとき、自分と運転する家族が、電話と手続きを引き受けられそうか」
- 車両保険は「程度の良い車+貯蓄」なら外す候補、「新しい・高価・ローン中」は残す
- 削ってはいけない土台は、対人(無制限)・対物(無制限)・人身傷害・弁護士費用特約
- 弁護士費用特約と個人賠償は、他の契約に「重複していないか」を先に確認する
- ネット型は「必要補償を決める→複数社で見積もり→ロードサービス確認」の順で選ぶ
- 上位が横並びになったら、「値段が8割」くらいの感覚で決めて大丈夫
ちなみに、わが家の場合は、妻の保険を見直したときに年55,000円が22,000円になりました。
(もちろん、車種も等級もお住まいの地域も人それぞれですので、いくら下がるかはまったく変わります。
あくまで一例です)
大事なのは、金額そのものより「中身を理解して、納得して選べたか」だと、私は思います。
ご相談者さまの、その後
このご相談には、続きがあります。
私の返信のあと、ご相談者さまからこんなお返事をいただきました。
同じような特約をつけたとしても、使用目的などで若干の便利、不便が出てきてしまうんですねぇ。
使用目的は通勤ですが、年に数回、旅行で遠出したりすることがあるのでその時のことを考えると、ちょっと心配でした。
今の自分のライフプランに合わせた特約をちゃんとつけることで疑問や不安を軽減できるのであれば、年間払いの金額の違いはさほど気にしなくても良かったのかなと思いました。
私は、この最後の一文がとても嬉しかったです。
最初のご相談は「どうすれば安くなるか」でした。
それが、「年に数回の遠出」という、ご自分の使い方を思い出したところから変わっていったんですね。
保険料を下げること自体が目的ではなくて、自分の暮らしに合った備えができていれば、金額の差はそこまで大きな問題ではなくなる。
焦って乗り換えなくて、大丈夫です。
まずは一度、いまの保険を見直して、他社と比べてみる。
それだけでも、自分に必要な補償はこれだ、という気づきがあります。
比べてみた上で「今のままがいい」と思えたなら、それも立派な、納得の選択です。
あなたが、安心はそのままに、ムダのない保険に出会えますように。
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