著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

お世話になっていた保険屋さんが、廃業してしまった——。

ある日そう知らされたら、まず「私の保険、どうなるの?」と不安になりますよね。

そのうえで「この機会に見直したほうがいいのかな」とも思う。

この記事では、元ディーラー営業として保険もお預かりしていた私が、この2つに順番にお答えします。

ピゴス
ピゴス

まず、いちばん大事なことからお伝えしますね。

代理店さんが廃業しても、あなたの保険がその日から切れてしまう、ということはありません。

ですので、慌てて決めなくて大丈夫ですよ。

✅ 結論からお伝えします

代理店が廃業しても、保険そのものが切れるわけではありません

多くの場合、保険会社の直属の代理店などがフォローしてくれますので、まずはご安心ください。

そのうえで「おすすめの保険会社」には、残念ながら一つの答えがありません。

車の購入先・整備先・何を大切にするかで、合うものが変わってくるからです。

選択肢は大きく「代理店型」「ネット保険」「勤務先の団体割引」の3つ。

廃業は不安ですが、じっくり見直せる絶好のきっかけでもあります。

いただいたご相談

今回は、こんなご相談をいただきました(内容を編集して掲載しています)。

自動車保険について、ご相談させてください。

現状の保険会社は、東京海上日動火災です。

車の使用方法は自家用で、車種と年式はスバルのアウトバック、2020年式です。

現在の保険屋さんが廃業したため、この機会に保険会社を見直したいと思っています。

おすすめの保険会社があれば教えてください。

ご相談ありがとうございます。

急なお知らせで、心細い思いをされたのではないでしょうか。

① まず、保険がすぐに切れてしまうわけではありません

代理店が廃業しても、契約している保険そのものが、その日から無効になるわけではありません。

契約しているのは、代理店ではなく保険会社だからです。

代理店は、その保険会社の商品を取り次いでくれていた窓口、というイメージです。

ですので、仮にこのまま何もしなかったとしても、今の保険会社の直属の代理店などが引き継いでフォローしてくれるのが一般的です。

※実際にどこが引き継ぐかは保険会社によって異なりますので、届いた案内の書面を確認するか、保険会社に直接聞いてみてください

積み上げてきた「等級」も、代理店ではなくご自身に紐づいていますので、消えることはありません。

※等級は、無事故で1年過ごすごとに1つ上がって保険料が安くなる、割引のランクのことです(1〜20等級で、20がいちばん上)

ただ、ここで1つだけお伝えしておきたいことがあります。

「切れない」というのは、「今すぐ無効になるわけではない」という意味です。

満期のご案内が届いたら、そのときは必ず手続きをしてくださいね。

とくに、他社へ切り替える場合は満期日から間を空けないのが大切です。

空白期間ができると、せっかくの等級がリセットされてしまうことがあります。

代理店の廃業は、実はそれほど珍しいことではありません。

私がお客様と接していた頃も、加入していた代理店が廃業してしまった、という方は少なからずいらっしゃいました。

ですので、まずは落ち着いていただいて大丈夫です。

そして、切れないと分かった今、慌てて決める必要がなくなりました

廃業と聞くと不安ですが、じっくり見直せる絶好のきっかけだと私は思います。

まずは保険証券か届いた案内で、満期日だけ先に確認しておいてください

それが、見直しの締切になります。

②「おすすめの保険会社は?」に、一つの答えはありません

先に、少し不親切に聞こえるお返事をさせてください。

「この会社が一番です」とお伝えできる保険会社は、正直ありません。

ごまかしているのではなく、いただいた情報だけでは決まらないのです。

というのも、合う保険は次のようなところで変わってくるからです。

  • 車をどこで買ったか(ディーラーか、車屋さんか、個人売買か)
  • どこで整備してもらうか(買ったお店か、近所の車屋さんか)
  • 何を大切にするか(金額か、補償の手厚さか、手続きのラクさか、担当者との付き合いか)
  • 年齢条件・等級・車の使い方

ですので、まずはこの「何を大切にするか」をご自身の中ではっきりさせるのが、いちばんの近道です。

ここが決まっていないまま見積もりを取ると、金額だけで選んでしまいがちです。

そして、保険で損しないコツは、実はとてもシンプルだと私は思っています。

無駄に手厚くしないことと、言われるがままに入らないこと

これは代理店でもネット保険でも同じで、おすすめされるまま入ると損しやすいのは、どちらも変わりません。

保険料が何で決まるのかは、基本のおさらいになりますが、こちらで7つに整理しています。

ここが分かると、何を大切にするかも決めやすくなります。

【自動車保険の見積もり前に!】まずは知っておくべき保険料を決める7つの要素自動車保険の見積もり前に知っておきたい、保険料を決める7つの要素。運転者の範囲や等級などを、元ディーラー営業がやさしく整理。ムダなく見直す土台が作れます。...

③ 選択肢は、大きく3つあります

そのうえで、次に選べる道を並べてみます。

どれが正解ということはなく、何を大切にするかで変わります

道① メーカーのディーラーなどの、代理店型

ネット保険に比べると、金額は少し高めになることが多いです。

その代わりに、安心感があります。

ディーラーで保険に入る最大のメリットは、「修理」と「保険対応」を一本化できることだと私は思っています。

別の代理店で入っていると、万が一の事故のとき、保険会社からの連絡と、修理工場からの連絡が別々に入ってきます。

ただでさえ気持ちが弱っているところに、その都度ひとつずつ対応していくのは、想像以上に疲れるものです。

しかも事故の状況によっては、保険を使わないほうが得な場合もあります。

こういった判断ごと丸ごとお任せできると、時間も心労もかなり減ります。

もう1つ、代理店型には長期契約という手があります。

3年契約などにしておくと、こんなメリットがあります。

  • 契約時の保険料率が満期まで適用される(保険料は毎年改定されて上がっていく傾向があるため)
  • 契約時点の特約を、満期まで継続できる
  • 期間中に事故を起こしても、満期までは保険料に反映されない
  • 期間中に免許の色が変わっても、満期までは契約時のまま

3つ目が、地味に大きいところです。

1年契約だと、事故の内容にもよりますが、保険を使うと次の更新で3等級ダウンとなることが多く、その後しばらく割増の等級が続きます。

長期契約なら満期まで据え置きで、満期のときも1等級ダウンで済み、割増の期間も短くなる、という形が多いです。

※等級の下がり方や割増の年数は、保険会社や契約の内容によって変わりますので、必ず契約前にご確認ください

私も、20等級(=いちばん上)で3年契約なら、正直そこまで痛くない、という感覚を持っています。

また、複数台お持ちの場合は、まとめて契約すると台数に応じて割引が増えていく契約もあります。

そして、この長期契約は、ネット保険にはないのが基本です。

ここまで、長期契約の良いところばかりを並べてしまいました。

「そんなにお得なら、逆にデメリットは無いの?」と思われますよね。

まったく同じご質問をいただいたことがあり、そちらで細かいデメリットを3つに整理しています。

自動車保険の3年の長期契約にデメリットは?ほとんどないけど、3つだけあります自動車保険を3年の長期契約ですすめられ「デメリットは無いのか」とご相談。元ディーラー営業が挙げる細かいデメリットは3つ。2つは自分で解けて、残る1つは微々たる差。一番の落とし穴=見直し忘れの解き方もお話しします。...

道② ネット保険(ダイレクト型)

なんといっても金額の安さが売りです。

特に1年目は、ネット割引でまとまった額が安くなるプランもあり、お得感があります。

※割引額や適用の条件は会社や年によって変わりますので、必ず最新の内容をご確認ください

値段だけで言えば、ネット保険がいちばん安いと私も思います。

ただ、道①でお話しした長期契約や、複数台のまとめ契約は使えないことがほとんどです。

そしてもう1つ、見落とされやすいがあります。

代車やレンタカーの特約が、ネット保険では設定できなかったり、事故のときにしか使えなかったりすることが多い点です。

つまり、故障で動かなくなったときには効かないことがある、ということです。

長く乗るつもりの車や、毎日の足として欠かせない車なら、ここは一度確認しておく価値があります。

この「故障のときのレンタカー」の話は、代理店型が効いてくるところの一つだと思っています。

古い車向けに書いた記事ですが、長く乗るつもりなら、早めに知っておく価値があります。

【古い車の味方】故障時の「レンタカー特約」が神!高い代理店型保険を使う理由とは?古い車を長く乗るなら知っておきたい「レンタカー特約」。故障のレッカー時にもレンタカー代が出る代理店型保険の強みを、元ディーラー営業×元1級整備士が整理します。...

道③ 勤務先の団体割引(使えるなら、いちばん強いかもしれません)

意外と知られていないのが、これです。

大きな会社にお勤めの方や公務員の方は、勤務先を通した団体割引が使える場合があります。

会社の保険を扱う部署に確認してみてください。

通常より大きく割安になることがあり、安さと手厚さを両立できる可能性があります。

※割引率は勤務先や保険会社によって大きく違いますので、まずはご自身の会社で確認してみてください

正直なところ、これが使えるなら、この道で手厚く組むのがいちばん安心だと私は思います。

使えるのに知らないまま、というのがいちばんもったいないので、一度だけ確認してみてください。

④ 私なら、この順番で決めます

ここまで並べておいて、結局どれなのか、がないと困りますよね。

どの会社が一番かは、やはり決められません。

ただ、決める「順番」なら、どなたでも同じだと思っています。

まず勤務先の団体割引が使えるかを確認します。

使えるなら、そこで手厚く組んでしまうのがいちばんラクで安心だからです。

使えないなら、次に「この車を、あと何年・どこで直しながら乗るか」を考えます。

2020年式のアウトバックなら、まだ何年も乗れる車です。

長く乗るつもりで、買ったお店で直してもらうなら、修理と保険対応を一本化できる代理店型が候補に入ってきます。

長期契約で保険料の計算のもとを固定できるのも、この道だけの強みです。

故障のときの代車が効くのも、ここでした。

逆に、数年で乗り替えるつもりで、補償の中身も手続きも自分で調べて決められるなら、ネット保険で十分だと思います。

そのうえで、どの道を選ぶにしても、一度は一括見積もりで今の金額と比べてみます

比べたうえで代理店型を選ぶのと、比べずに代理店型のままなのとでは、納得感がまったく違うからです。

そして、対人・対物の賠償だけは無制限から下げない

ここは確率が低くても、起きたら人生を左右するところなので、守る一択だと思っています。

ピゴス
ピゴス

金銭的に余裕があるなら、代理店型は素直におすすめできます。

補償の手厚さ、手続きのラクさ、担当者がいる心強さは、ちゃんと価値がありますので。

逆に、保険のことをご自身で調べるのが苦にならなくて、自分で決めるのが好きな方なら、ネット保険もいい選択だと思いますよ。

切り替えても等級はそのまま引き継げること、見直すタイミング、実際に3社で比べたときの金額差は、こちらにまとめています。

自動車保険、年に1回の見直しで年間3万円の節約に成功|10分でできる比較方法 年に1回の更新タイミングや、車が変わったタイミングは、自動車保険を見直す絶好のチャンスです。 私自身、見直しで年間55,000円...

💡 自動車保険は、年に1回の見直しが大切 複数社の保険料を、まとめて比較できます。

まとめ

保険の代理店が廃業したときの動き方を、整理します。

  • 廃業したその日から、保険が切れるわけではありません(契約先は代理店ではなく保険会社・ただし満期の手続きは必要です)
  • 等級もご自身に紐づいています(切り替えるなら、満期日から間を空けないでください)
  • 道は3つ=代理店型/ネット保険/勤務先の団体割引
  • まず団体割引が使えるかを確認し、そのうえで一括見積もりで今の金額と比べてみてください
  • 対人・対物の賠償だけは、無制限から下げないでください
ピゴス
ピゴス

長く見てもらっていた方がいなくなるのは、寂しいものですよね。

でも、あなたが無事故で積み上げてきた等級は、ちゃんとあなたのものです。

それを持ったまま、次の付き合い方を選べばいいだけですよ。

保険の乗り換えで疑問や不安ある場合は、「X」「お問い合わせ」「コメント欄」などでお気軽にご相談ください。

最新記事のアップもXでお伝えしておりますので、よろしければフォローよろしくお願いいたします。

このブログ「ぺんぎんカーライフ」では、質問の回答だけでなく、損しないカーライフを送るための記事を書いております。

車のことをゼロから順番に整理したい方は、こちらの教科書ページからどうぞ。

【はじめに】損しないカーライフの歩き方|6つの章でわかる車の教科書車の維持費・選び方・買い方・保険・売却までを6つの章で整理した入門まとめ。元1級整備士×元ディーラー営業のピゴスが、20以上の記事で損しないカーライフへの歩き方を案内します。困った時に戻れる入口ページです。...

それでは、損しないカーライフをお過ごしください

ABOUT ME
ピゴス
ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、コメント欄や「X」などでいつでもメッセージを承っております。お気軽にどうぞ!