著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

洗車機の前まで来て、ふと手が止まることがあります。

「これ、傷つかないかな」。

ブラシで洗うわけですから、心配になりますよね。

でも、私が本当に気にしているのは、傷のほうではありません。

もっと落ちにくくて、もっとお金がかかるものがあります。

今回は、月1回の手洗いと週1回の洗車機、どちらが車にとっていいのか——というご相談をいただきました。

答えを先にお伝えすると、こまめに洗えるほうが有利です。

そのうえで、洗車機を使うなら、押すメニューにも選び方があります。

そこまでお話ししますね。

✅ 結論からお伝えします

洗車機の傷より、汚れを放置してできたシミのほうが、ずっと落ちません。

鳥のフンや虫の死骸は、時間が経つと塗装そのものを傷めてしまいます。

だから「月1回の手洗い」より「週1回の洗車機」のほうが、塗装には有利なことが多いです。

そのうえで、洗車機の使い方には少しコツがあります。

高圧洗浄(予洗い)を付ける、陽が出ていない時間帯に行く、拭き上げは自分のタオルで。

撥水コースを選ぶなら、このうしろの2つがいっそう大事になります。

きっかけは読者の方からのご相談

まずは、今回いただいたご相談の内容です。

賃貸住宅に住んでおり、洗車は主にコイン洗車場で手洗いをしています

ただ、コイン洗車場が遠いことと手洗いに時間がかかることから、1ヶ月に1回か2ヶ月に1回しか洗車できていません

時々、どうしても汚れを落としたい時は、近所のガソリンスタンドの洗車機を利用することもあります

車の外観をなるべくキレイに保ち、塗装の劣化や傷を最小限に抑えたいのですが…

① 1ヶ月か2ヶ月に1回の手洗い洗車、② 1週間か2週間に1回の洗車機での洗車、どちらが車をキレイに保つのに効果的でしょうか?

(洗車機の利用に伴う洗車傷や洗い残しのリスクは理解しています)

お気持ち、すごくよく分かります。

ピゴス
ピゴス

正直に言うと、私も「洗車したいなぁ」と思いつつ、なかなかできていないんです(笑)

でも、ピカピカになったときの爽快感は、たまりませんよね。

キレイさの基準は人それぞれなので、あくまで私なりの意見として聞いてくださいね。

本当に怖いのは、傷ではありません

多くの方が洗車機をためらう理由として「洗車傷がつくのが嫌だ」という点を挙げられます。

確かに、特にブラシタイプの洗車機では、細かい線傷(スワールマーク)が付いてしまう可能性は否定できません。

でも、車の塗装にとって、もっと深刻なダメージを与える可能性があるものがあります。

それは「汚れの固着」です。

特に注意したいのが、鳥のフン、虫の死骸、樹液、花粉、黄砂、そして冬場の融雪剤。

これらの汚れを長期間放置すると、成分が塗装面に浸食し、シミになったり、塗装そのものを傷めたりしてしまいます。

いわゆる「塗装ヤケ」「ウォータースポット」の原因です。

こうなると通常の洗車では落とせなくなり、プロによる研磨や、最悪の場合は再塗装など、高額な修理が必要になることもあります。

細かい洗車傷も気になりますが、塗装そのものを劣化させる「汚れの固着」の方が、車の価値を下げる「損」に繋がりやすい、と私は考えています。

汚れは、固まる前に落とすのが最優先です

塗装への深刻なダメージを防ぐには「汚れが付いたら、できるだけ早く落とす」ことが何より大切です。

とはいえ、毎日洗車するのは現実的ではありませんよね。

そこで、対策は大きく2つです。

  • 洗車の回数を増やす:汚れを早めに落とし、固着する前にリセットする
  • コーティングでバリア層を作る:汚れが付きにくく、付いても落としやすくなる

このうち「回数を増やす」を無理なく実現するのに、洗車機はとても役立ちます。

洗車機のリスク(傷)を理解したうえで、それを最小限に抑えつつ、「こまめに汚れをリセットする」メリットを受け取る。

そのための具体的なやり方を、次でお話ししますね。

洗車機の前に立ったら、どのメニューを押すか

洗車機を使うと決めたら、次は「どのコースを押すか」です。

ここは、選び方でずいぶん変わってきます。

高圧洗浄(予洗い)は、付けておきましょう

最近の洗車機には、ブラシで洗う前に高圧の水でボディ表面の砂やホコリを流してくれる「予洗い」コースがあります。

これを最初にしっかり行うことで、砂ボコリを引きずって傷をつけるリスクを大きく減らせます。

多少料金が高くても、愛車を大切にするなら、この機能付きがおすすめです。

汚れがひどい日は、もうひと手間かける方法もあります。

先にコイン洗車場の高圧洗浄で大きな汚れを流してから、洗車機に入れる。

砂やホコリを落としてからブラシに当てるので、傷のリスクはさらに下がります。

メニューは、水洗いかシャンプーで足ります

洗車機には、ワックスや撥水のコースも並んでいます。

ただ、ふだんの汚れ落としが目的なら、水洗いかシャンプーのコースで足ります。

気をつけたいのは、撥水コースを選んだときです。

水垢になりやすいのは、撥水の成分そのものが悪いからではありません。

炎天下で撥水成分が乾いてこびりついてしまったり、拭き取りが甘かったりすることが原因です。

つまり、撥水コースを使うなら——

シャンプーコース以上に、陽が出ていない時間帯を選ぶこと。

そして、入念に拭き取ること。

この2つを意識できるときだけ、撥水コースを選ぶ。

そう決めておくと、失敗しにくくなりますよ。

洗うのは、陽が出ていない時間帯に

炎天下での洗車は、水滴がすぐに乾いてシミ(イオンデポジット)の原因になります。

できるだけ涼しい時間帯(早朝、夕方)や曇りの日を選びましょう。

特に黒い車はボディが熱くなりやすく、水分の蒸発が早いので要注意です。

拭き上げは、自分のタオルで

乾いたタオルでゴシゴシ擦るのはNG。

これも、うっすらした傷の原因になります。

吸水性の高い、清潔なマイクロファイバータオルで、優しく水分を吸い取るように拭き上げましょう。

洗車機はブロワー(送風機)で水滴を吹き飛ばしてくれるので、時短と傷防止の両方でメリットがあります。

そのうえで、ひとつお伝えしておきたいことがあります。

洗車で傷が付くいちばんの原因は、実は拭き上げのときのタオルだと言われています。

そしてガソリンスタンドに置いてある拭き上げ用の布は、お店によって状態にかなり差があります。

前の人が落とした砂が残っていることも、正直あります。

だから、自分のタオルを1枚、車に積んでおくのがおすすめです。

ボディ用と下回り用で2枚あれば、なお安心ですね。

濃い色の車は、少しだけ慎重に

正直なところ、濃色車(黒、紺など)は、どんなに気をつけても洗車傷が目立ちやすいです。

逆に、白やシルバーなどの淡色車は、多少の傷はほとんど気になりません。

淡色車なら、こまめに洗車機をかける、という割り切りもアリです。

それから、濃紺のお車は水垢がとくに目立ちやすいです。

傷だけでなく水垢の面でも、時間帯と拭き取りに気を配ってあげてください。

ボディの色は、傷の見えやすさだけでなく、将来のリセール価値にも意外と効いてきます。

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月1の手洗いと、週1の洗車機。どちらが塗装に優しいか

本題の「どっちが良いか?」、私の考えはこうです。

「塗装への深刻なダメージ(固着・浸食)を防ぐ」という観点で見れば、週1回(または2週間に1回)の洗車機の方が、メリットが大きい可能性が高いです。

月1回の丁寧な手洗いも素晴らしいですが、その間に鳥のフンが付いて1ヶ月放置…となると、手洗いでは落とせないシミになってしまうかもしれません。

ピゴス
ピゴス

洗車機でも、回数を増やすことで、頑固な汚れになる前に早く落とせます。

汚れの存在に早く気づけるし、ひどくないうちに洗えるから、こすり傷も少なくて済むんです。

早朝や曇りの日を活用して、しっかり拭き上げる。時間のある日は、手洗いでがっつり、も気持ちいいですよ♪

どちらか一方を選ばなくても大丈夫です

もちろん、これは「どちらか一方を選ばなければならない」という話ではありません。

  • 普段は手軽な洗車機(予洗い付き)で、こまめに汚れを落とす
  • 月1回、あるいは時間ができたときに、気分転換も兼ねてコイン洗車場でじっくり手洗いし、細部の汚れや水垢をケアする

このように両方をうまく組み合わせるのが、現実的で、かつ車をキレイに保つベストな方法かもしれません。

大切なのは、無理なく継続できる、自分なりの洗車スタイルを見つけることです。

この方が、たどり着いたこと

このご相談には、後日談があります。

やりとりのあと、この方はこう書いてくださいました。

たまの手洗い洗車より、こまめに洗車機で汚れを落とすのがいいんだな、と思いました、と。

そして、そのあとに続いた一文が、私はとても印象に残っています。

「昔乗ってた車で、洗車をしない時期があり、虫の死骸を放置しすぎてしまい取れなくなったという経験もあります……笑」

ここまでお話ししてきた「汚れの固着」を、この方はもう体験されていたんですね。

こうなってしまうと、あとから手洗いを頑張っても戻りません。

だからこそ、「丁寧に洗う」より「早く洗う」ほうが、塗装には効いてくるんです。

ちなみにこの方は、洗車機ではもともとシャンプー洗車だけを選んでいたそうです。

知らないうちに、いちばん失敗しにくい押し方をされていました。

まとめ:続けられるやり方が、いちばんキレイを保ちます

  • 怖いのは細かい洗車傷より「汚れの固着」。放置ジミは手洗いでも落ちない
  • だから塗装には「月1の手洗い」より「週1の洗車機」が有利なことが多い
  • 洗車機では高圧洗浄(予洗い)を付ける。汚れがひどい日は先に洗車場で流してから
  • メニューは水洗いかシャンプーで足りる。撥水コースを選ぶなら条件が2つ増える
  • その2つ=陽が出ていない時間帯と入念な拭き取り(水垢は乾いてこびりつくのが原因)
  • 傷のいちばんの原因は拭き上げのタオル。自分のタオルを積んでおく
  • 濃色車は傷が、濃紺車はとくに水垢が目立ちやすい
  • 洗車機と手洗いは、組み合わせても大丈夫。続けられるやり方がいちばん

完璧を目指しすぎると、疲れてしまいます。

ご自身のライフスタイルや車の色、そして「どこまでキレイなら満足か」という価値観に合わせて、現実的で継続できる方法を見つけることが、いちばん大切です。

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傷やへこみが無いか、大事に扱われてきたかどうか。

こまめに洗っていた車は、その「大事に扱われてきた」のほうに、自然と近づいていきます。

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ピゴス
ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、記事の下のコメント欄でいつでも承っております。ニックネームもメールアドレスも要りませんので、お気軽にどうぞ!