中古車、素人でも見極められる?実車で分かることと、分からないこと

中古車は、実物を見てから買ったほうがいい。
これはよく言われることですし、私もそう思います。
ただ、そこで止まってしまうと、困るのはここからです。
「見に行って、いったい何を見ればいいのか」。
とくに、走行距離が10万キロに近い中古車。
値段は魅力的だけれど、あと何年もつのかが分からない。
前の持ち主がちゃんと整備していたのかも、見ただけでは分からない。
——そんなご相談を、読者の方からいただきました。
今日は、正直なところをお話しします。
実車を見て、車にくわしくない方が確かめられることは、思っているより少ないです。
でも、少ないからこそ、その数個は必ず確かめてほしいのです。
そして、見えない部分をどうするかにも、ちゃんと手があります。
実車で確かめられるのは、「買ったあとに直しにくいもの」です。
においと、目立つ傷や汚れ、そして装備がちゃんと動くか。
この3つは、車にくわしくなくても分かります。
逆に、いちばん知りたい「中身があとどれくらいもつか」は、見ても分かりません。
私でも、見ただけでは分かりません。
だから代わりに、「点検記録簿はありますか」と聞いてください。
それも無いなら、見極めそのものをお店に肩代わりしてもらう——認定中古車という選び方になります。
そして、見に行ったその場で出てくる見積もりにも、見るところがあります。
まずは、いただいたご相談です
前回のご相談の続きとして、さらに具体的なご質問をいただきました。
わたしは心理面はクリアできると思います。
今の車は乗っていて贅沢だなーと感じているので、古い車の方がしっくりきそうです。
実際に中古車は見て買った方がいいですよね。
そうなると近隣の車屋さんに置いてある車から決めることになりますか。
例えばカーセンサーなどのネットで調べて、最寄りの店舗で取り寄せてもらうことは可能ですか。
でもきっと、取り寄せの場合は買う前提ですよね。
10万キロ近い車がどれくらい乗れるか分からなくて、できれば長く乗れるだけ乗りたいと思っていますが、メンテがしっかりされてる車だと大体どれくらい乗れるものなんでしょうか。
どうしても目先のことしか考えられず、安物買いの銭失いにもなるのかなーと思っています。
なので150万あたりの車を探した方がいいのか、どちらがコスパがいいのか教えて頂けるとありがたいです。
前回から、さらに一歩進めていらっしゃいますね。
「古い車の方がしっくりくる」というお気持ちも、私はよく分かります。
問題は、その古い車を選ぶときに、どこまで自分で確かめられるのかというところです。
前回のご相談は、こちらでお話ししています。
① ネットで見つけた車、取り寄せはできる?
まず、探し方のところからお答えします。
中古車サイトは「売っている場所」ではありません
中古車の検索サイトは、全国のいろいろなお店が、自分のお店の在庫車を載せている「広告の場」です。
サイトを運営している会社が、車を売っているわけではありません。
ですので、気になる1台が見つかったときの問い合わせ先は、サイトではなくその車を載せているお店になります。
ここを知っておくだけで、次の疑問の答えも見えてきます。
取り寄せができる場合と、できない場合
🚚 取り寄せの可否
・複数の店舗を持っているお店なら、系列の店舗どうしで車を動かしてもらえる場合があります
・1店舗だけのお店は、そのお店の在庫だけになります
※サイトに並んでいる車は、それぞれ別の会社が出している在庫です
ややこしいのは、同じサイトに載っていても、会社はバラバラだというところですね。
A社のお店にある車を、まったく別のB社のお店へ持ってきてもらう——これは基本的にできません。
ただし、業者どうしで売り買いすることはあるので、聞いてみる価値はあります。
とはいえ、そのぶん値段は上がります。
自社の在庫を売るより、手間もお金もかかるからですね。
ですので、私からは積極的にはおすすめしていません。
ご相談者さまが書かれていた「取り寄せの場合は買う前提ですよね」というのも、おおむねそのとおりです。
それより効くのは「どこへ問い合わせるか」です
ここは、あまり知られていないところなので、ぜひ持って帰ってください。
同じ系列のお店が何店舗もある場合、展示しているお店ではなく、自宅から近い系列のお店に問い合わせるという手があります。
買ったあとの点検や、ちょっとした相談は、近いお店のほうが圧倒的にラクだからです。
車は買って終わりではなく、そこから何年もの付き合いが始まります。
買う前の1本の電話で、そのあと数年の通いやすさが変わります。
メーカー系列の認定中古車が探しやすいのは、この点でもあります。
お店の数が多いので、近くの窓口を選びやすいのですね。
ディーラーと販売店の違いや、取り寄せについては、こちらでもくわしくお話ししています。
遠方のお店で買うときに気をつけたいことは、こちらにまとめています。
② 実車を見て、くわしくない方でも分かることは3つです
では、実際にお店へ行ったとして、何を見ればいいのか。
先に結論を言うと、見るのは「買ったあとに直しにくいもの」からです。
写真に写らないのは、においです
写真ではピカピカに見えても、ドアを開けた瞬間のにおいで状態が分かることは、本当に多いです。
タバコ、ペット、そして芳香剤。
⚠️ここで見落とされやすいのが芳香剤です。
「禁煙車」と書いてあっても、強い芳香剤を使っていた車はあります。
においは人によって感じ方がまったく違うので、ご自身の鼻で確かめるしかありません。
できれば、ご家族にも一緒に嗅いでもらってください。
自分は平気でも、毎日乗る家族が気になってしまうことがあるからです。
においや内装は、写真に写りません。
買ったあとで直しにくい所ほど、そうなんです。
最後は、会いに行くのが一番ですよ😊
見る順番は「買ったあと直しにくい順」
この考え方が分かると、何を見ればいいか迷わなくなります。
👀 実車で確かめる3つ
① におい(エアコンを入れたときのにおいも)
② 内装の目立つ傷や汚れ
③ 装備がちゃんと動くか(スライドドア・エアコン・ナビなど)
※どれも買ったあとに直しにくいもの、あるいは直すとお金がかかるものです
この3つは、車にくわしくなくても分かります。
ここが大事なところで、知識がいらない項目だけを選んであるのです。
なお、この3つは車によって少し入れ替わります。
動く装備が多い車なら③の比重が上がりますし、外装の傷やサビが気になる方はそちらを入れてください。
雪の多い地域にお住まいなら、下回りのサビを4つ目に加えてください。
見るところをもっと細かく知りたい方は、こちらにまとめています。
でも、いちばん知りたいことは見えません
ここからが、正直にお伝えしたいところです。
ご相談者さまが本当に知りたいのは、「この車が、あと何年もつのか」ですよね。
残念ながら、それは見ても分かりません。
エンジンの内部も、ミッションの中も、外から見ることはできません。
見た目がとてもキレイでも、中身が同じとは限らないのです。
プロであれば、エンジン音や下回りの様子から、ある程度は推測できます。
ただ、それも推測です。
そして、車にくわしくない方がその場で判断するのは、正直かなり難しいと思います。
ここを「頑張れば見抜ける」と書くのは、私には言えません。
だから「点検記録簿はありますか」と聞く
見えないものを見ようとする代わりに、記録で確かめます。
「点検記録簿はありますか」。
この一言で、有無はその場で分かります。
残っていれば、前の持ち主がどれだけマメに点検・整備してきたかが見えてきます。
とくにオイル交換の履歴は大事です。
細かい内容までは読めなくて大丈夫です。
1年に1回以上、きちんと点検を受けていたかどうか——まずはそこだけで十分な材料になります。
では、記録簿が無かったら。
そのときは、車の状態から判断するしかありません。
つまり、先ほどの「見ても分からない」に戻ってしまうわけですね。
お店の方が大丈夫とおっしゃっても、それを疑うのではなく、確かめようがないということです。
走行距離が10万キロに近い車で、記録簿も無い。
この組み合わせのときは、私なら別の1台を探します。
③ 見に行くと、その場で見積もりが出てきます
ここまでが車そのものの話でした。
でも実際にお店へ行くと、車を見たあとに紙が1枚出てきます。
見積もりですね。
じつは、今回のご相談者さまも、このあとこうおっしゃっていました。
まさに、見積もりを見てもよくわからない費用にお金がかかっているので、見ていただけないかなーと思っていました。
これは、本当に多くの方が感じているところだと思います。
車両価格に、あとから乗ってくるもの
中古車の総額は、車両価格だけでは決まりません。
登録の手続きや納車の準備など、どうしても必要な費用があります。
ここは払うべきところです。
一方で、あとから足されるものもあります。
- コーティング
- 室内の抗菌・消臭
- 各種の保証(別料金のもの)
- メンテナンスのパック
どれも悪いものではありません。
必要な方には、ちゃんと価値があります。
ただ、必要かどうかを決めるのは、こちらの仕事です。
すすめるのはお店の仕事、決めるのはこちらの仕事——そう分けて考えると、ずいぶん気持ちが楽になります。
ですので、見積もりが出てきたら、こう聞いてみてください。
🗣 見積もりが出てきたら
「この中で、どうしても必要なものはどれですか」
そして、そのまま持ち帰って考えていいのです。
その場で決めなければいけない決まりは、どこにもありません。
知識を持つのは、お店を疑うためではありません
こういう話をすると、「お店と戦う準備」のように聞こえてしまうかもしれません。
でも、私が言いたいのはまったく逆です。
知識を持つのは、お店を疑うためではなくて、お互いが健全でいるためです。
こちらが何も分からないまま契約すると、あとから「あれは何だったんだろう」と思う瞬間が来ます。
そうなると、お店のことも信じられなくなってしまいます。
納得して払ったものは、あとから不満になりません。
分かって買うことは、お店にとっても、こちらにとっても、気持ちのいい取引になります。
④ 結局、10万キロと150万円クラスはどちらが得?
では、今回の本題にお答えします。
私の考えは、前回と変わりません。
予算を少し上げて、5〜7年落ち・5〜7万キロくらいの1台のほうをおすすめします。
その理由を、今日はひとつの例えでお話しさせてください。
家に例えると、こういうことです
この例えは、車の相談をやり取りする中で教えていただいたものです。
とても分かりやすかったので、使わせていただきます。
🏠 新築から、中古の家へ引っ越すとしたら
いまは新築にお住まいです。
これから引っ越すのが、「軽くリフォーム済みの中古の家」なら、しばらくは安心して暮らせます。
でも、リフォーム無しで、設備もそのままの中古の家に住むとしたら。
給湯器やエアコン、水回りの更新がいずれ必要になることは、想像がつきますよね。
中古車も、これとまったく同じです。
10万キロ超えの車は、「リフォーム無しの中古の家」にあたります。
住めます。
でも、設備の更新はいずれ来ます。
そして、5〜7年落ち・5〜7万キロの車は「軽くリフォーム済み」のほうです。
初期の費用を抑えても、あとから急なトラブルで出費が来る。
しかも車の場合は、直している間、車が使えません。
代車を借りられるか、借りられるとして費用はどうか——そこまで含めての比較になります。
それでも安い1台を選ぶなら、条件は5つ
もちろん、安い中古車が悪いという話ではありません。
条件が揃っていれば、十分に良い買い物になります。
✅ 安い中古車で損しにくい条件
① 人気が高すぎない車種(人気車は中古でも値段が下がりにくいので、同じ予算だと年式や距離で妥協しがちです)
② 走行5〜7万キロ以下
③ 整備の履歴が分かる
④ 年式10年以内
⑤ できれば現車確認
大前提として、修復歴なし。
こうして並べてみると、見えてくることがあります。
走行10万キロ超えは、②と④の両方から外れています。
だから、おすすめしにくいのですね。
逆に、条件の揃った1台に出会えたときは、遠慮なく進めていいと思います。
中古車は一期一会で、同じ1台は二度と出てきません。
条件を満たす車が見つかったら、その日か翌日には見に行くくらいの速さで大丈夫です。
⚠️ここは、押されているときとは分けて考えてください。
「次に来たときには無いかもしれませんよ」と言われて決めるのと、自分の条件に合ったから決めるのは、まったく別です。
前者は焦らなくていい。
後者は、動いていい。
その分かれ目は、条件を先に決めてあるかどうかです。
そして、ご家族を乗せる車だから
もうひとつ、今回のご相談で大きいのがここです。
この車は、ご自身だけが乗る車ではありません。
もしご家族で出かけている途中で動かなくなったら、困る人数も、その影響も変わってきます。
小さなお子さんを乗せているなら、なおさらですね。
「また壊れるんじゃないか」という気持ちを抱えたまま乗るのも、意外としんどいものです。
お金の計算には出てきませんが、これも立派なコストだと私は思っています。
中古車は、良いものに巡り合えることもあれば、そうでないこともあります。
そして、そのばらつきを小さくする方法は、いまのところ「少し多めに払う」しかありません。
身も蓋もない言い方ですが、これが正直なところです。
見極められないなら、見極めを肩代わりしてもらう
ここまでのお話を、ひとつにまとめます。
車にくわしくない方が、10万キロ超えの中古車を自分で見極めるのは、とても難しい。
では、どうするか。
見極めそのものを、お店にやってもらうという手があります。
それが、メーカー系列の認定中古車です。
- メーカーの基準で点検・整備されています
- 保証が付いていることが多いです
- 価格や諸費用の内訳が分かりやすいです
- 買ったあとも相談しやすいです
何度もおすすめして恐縮なのですが、車にくわしくない方にとっては、やはりこれがいちばん確実だと思います。
もっとも安い選択肢ではありません。
ただ、その差額は「見極めの代金」だと考えると、納得しやすいのではないでしょうか。
先ほどの家の例えで言えば、リフォーム代を先に払っておくということですね。
もうひとつだけ。
もし、お店から「この車は実車を見られません」と言われたら、どうするか。
その判断については、こちらでお話ししています。
まとめ
- 中古車サイトは「広告の場」。問い合わせ先は、その車を載せているお店です
- 取り寄せは、系列店どうしなら可能な場合あり。別会社のお店からは基本できません
- 効くのは「どこへ問い合わせるか」。自宅から近い系列店にすると、買ったあとがラクになります
- 実車で分かるのは「買ったあと直しにくいもの」=におい・内装の傷や汚れ・装備が動くか
- いちばん知りたい「あと何年もつか」は、見ても分かりません。私でも分かりません
- だから「点検記録簿はありますか」と聞く。1年に1回以上の点検歴があれば十分な材料です
- 見積もりが出てきたら「どうしても必要なものはどれですか」と聞いて、持ち帰ってOK
- 安い1台で損しにくい条件は5つ。10万キロ超えは、そのうち2つから外れます
- 見極められないなら、見極めを肩代わりしてもらう。その差額が認定中古車の値段です
「古い車の方がしっくりくる」というお気持ちは、とても健全なものだと思います。
身の丈に合った支出にしたい、ということですよね。
であれば、見るべきは最初の値段だけではありません。
買ったあとに出ていくお金まで入れて、それでも身の丈に収まるか。
そこまで見て選べば、きっと納得のいく1台になります。
焦らず、じっくり探してみてくださいね。
探し方そのものを、実際の検索画面でお見せしている記事もあります。
中古で選べる車種を広く見たい方は、こちらもどうぞ。
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