著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

新車が欲しい。

ピカピカのボディ、誰も座っていないシート、最新の安全装備。

考えるだけでワクワクしますよね。

でも、値段を見て手が止まる。

そんなときに目に入ってくるのが、こういう話です。

「リセールの良い車を選んで、数年で乗り換えれば、安く乗れる」。

たしかに、仕組みとしては成り立ちます。

ただ、この乗り継ぎを実際にやるかどうかの分かれ目は、たった1つでした。

知識でも、行動力でも、資金力でもありません。

読者の方からいただいたご相談をもとに、お話しします。

先にお伝えしておくと、予算の範囲で新車を買うこと自体は、もちろんアリです。

この記事で疑ってほしいのは、夢のほうではなく、テクニックのほうです。

✅ 結論からお伝えします

借金をせず、家計が苦しくならない予算の範囲なら、新車はもちろんアリです。

好きな車に乗ることは、人生を豊かにしてくれます。

ただ、「リセールの良い車を数年で乗り継ぐ」となると、話が変わります。

分かれ目は1つだけ。

その金額を、明日そっくり失っても平気かどうかです。

自然災害、当て逃げ、盗難——めったに起きませんが、起きればその車の価値がゼロになることもあります。

そのリスクを背負ったまま暮らせるなら、この乗り継ぎは十分アリです。

そうでないなら、最初から安い車を買うほうが、ずっと簡単で確実だと私は思います。

まずは、いただいたご相談です

いつもブログを拝見させてもらっています。

周りに相談できる方もいないため、とても助かっています。

現在、新車でセレナを購入する「夢」を持っているのですが、現金一括で支払うことは難しいです。

そんな現状ですが、いつかの新車購入について、質問があります。

新車購入について、メリット・デメリットはどのようにお考えですか。

また、リセールが良い車の場合は、新車の乗り継ぎもテクニックとしてはアリだと思われますか。

新車のセレナ、いいですよね。

ご家族でのドライブを想像すると、こちらまで楽しくなります。

「夢」と書いてくださったのが、とても素敵だなと思いました。

ですので最初に、夢のことだけは、はっきりお伝えしておきます。

その夢は、否定しなくていいものです

私の考えはシンプルです。

🐧 新車を買うことについて

借金をせず、総資産が苦しくならない予算の範囲内であれば——

好きな車も、新車も、上級グレードも、もちろんアリです。

人生を豊かにするための出費は、立派な使い道だと思っています。

コスパの面でのデメリットは、このあと率直にお伝えします。

でも、デメリットをお伝えするのは材料をお渡しするためであって、夢を止めるためではありません。

最後に決めるのは、ご自身の満足度と価値観です。

ただ、ご相談の中に、ひとつ気になった一文がありました。

「現金一括は難しい」について

ご相談者さまは「現金一括で支払うことは難しいです」と書かれていました。

支払い方のことは、正直にお話しします。

現金で買うか、ローンを組むか——どちらも正論で、最後はその方の価値観だと思っています。

手元にお金を残しておける安心も、たしかにあります。

ただ、私自身の話をさせてもらうと。

かつての私は、300万円の車なら迷わずローンを組むタイプでした(笑)。

もしものときのための貯金を手元に残して、その分だけ安い金利で借りればいい——そう考えていたのです。

でも、実際に組んでみると、想像以上にうまくいかなくて、私にとってはストレスの日々でした。

いま振り返ると、お金に余裕のある方がするように、現金一括でも買える車をあえてローンにしていたわけではありませんでした。

ローンを組まないと買えない車を、少し背伸びして買っていたのですね。

ローンでしか買えないこと自体が、予算オーバーのサインだったのだと思います。

この経験があるので、私の軸足は「借金をせずに現金で」、あるいは「頭金を多めにして、金利の低い銀行のローンで」のほうにあります。

ローンを使うなら、せめていつでも貯金で完済できるくらいの金額にとどめておくのが、私の目安です。

とくに「リセールが良いから」と、貯蓄や予算を超える車をローンで買うのは、気をつけたいところです。

もちろん、これは私の失敗からの話です。

支払い方そのものの損得は、こちらでくわしくお話ししています。

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ですので、いまの時点で現金一括が難しいなら——。

いま無理に買わない、というのも立派な選択です。

夢は、消えません。

では、ここからはご質問に順番にお答えしていきます。

新車のメリットとデメリット、そして「リセールの良い車を、数年で乗り継ぐ」というテクニックの順に見ていきましょう。

新車を買う、その良いところと重たいところ

まずはご質問の1つめ、新車のメリットとデメリットからです。

新車の良いところ

  • 最新の技術と安全性=衝突安全ボディ、運転支援システムなど、新しいほど進化しています
  • 最初の数年はお金がかからない=最初の車検までは大きな故障の心配が少なく、メーカー保証も手厚いです
  • 満足感=誰も乗っていない自分の車、という気持ちは他では代えられません
  • 大切にしようという気持ちになる=丁寧に運転したり、こまめに手入れをしたりするきっかけになります
  • リセールが付きやすい=人気の車種・グレード・色なら、数年後に思ったより高く売れることもあります

新車の重たいところ

  • 移動手段として見ると、コストは高め=ただ移動するだけなら、中古車のほうが安く済みます
  • 失うものが大きい=事故や災害、盗難にあったときの金額が、そのまま大きくなります
  • 気を遣って疲れることも=ドアパンチが気になったり、洗車に神経質になったり
  • 「本当に要る?」が混ざりやすい=最新モデルか、このグレードか、この機能を使うか——冷静に見ると、なくても困らないものまで欲しくなります

ただ、1つめの「コストは高め」は、車によって話が変わります。

セレナのようなミニバンは、中古車でも値段が高めなことが多い車です。

そのため、シンプルなグレードの新車を長く乗るなら、中古車を買うよりトータルで安く済むことも少なくありません。

比べるときは、「買った金額÷乗れる年数」で見ると分かりやすいです。

新車なら、15年ほど乗れると考えてよいと思います。

良いところも重たいところも、ここまでは分かりやすい話だと思います。

問題は、2つめの「失うものが大きい」のほうです。

リセール乗り継ぎをやるかどうかの分かれ目に、そのまま直結するからです。

リセール乗り継ぎは、仕組みとしては成り立ちます

では、ご質問の2つめです。

「リセールバリューの高い新車を、短い期間で乗り継ぐ」という方法について。

結論から言うと、仕組みとしては成り立ちます。

値下がりの少ない車を選べば、費用がかさむ前に高値で手放して、次へ乗り継げます。

うまく回れば、新しい車に乗り続けながら、出ていくお金を抑えられる——という形ですね。

ただ、あくまで投資に例えた私の見方ですが、この乗り継ぎは「短期トレード」に近いと思っています。

勝つときもあれば、大きく負けるときもあります。

そもそも、相場は読み切れません

この方法がうまくいくかどうかは、数年後の相場にかかっています。

そしてその相場は、私たちには読めません。

分かりやすい例が、人気の大型ミニバンです。

リセールが強いと言われますが、新型が出ると、一気に適正な価格まで戻ります。

不動産のように、上がり下がりがあるのですね。

しかも、フルモデルチェンジ(新しい型への全面的な切り替え)の時期を気にしすぎると、買い替えの回数そのものが増えます。

乗り換えのたびに、お店への手数料と値下がりが少しずつ発生しますから、かえって総額が増えることもあります。

リセールの調べ方については、こちらでくわしくお話ししています。

リセールの良い車の調べ方|プロでも読み切れないので、おまけくらいでちょうどいいリセールの良い車の調べ方を元ディーラー営業が解説。ただし数年先の相場はプロでも読み切れないので、おまけくらいがちょうどいいというのが本音です。目的別の学び方と、リセールが本当に効く場面をお伝えします。...

正直に言うと、リセールは幻みたいなものだと私は思っています。

良かったらラッキー、くらいで見ておくのがちょうどいい距離感です。

そして、分かれ目は1つだけです

ここが、この記事の本題です。

リセール乗り継ぎをやるかどうかの分かれ目は、知識でも、行動力でも、資金力でもありません。

⚖️ 分かれ目は、たった1つ

その金額を、明日そっくり失っても平気かどうか。

たとえば500万円の車を買うなら、500万円を失っても何とかなる——そう言えるかどうかです。

なぜ、こんな言い方をするのか。

車は、一瞬で価値がゼロになることがあるからです。

  • 自然災害(水没・落下物・倒木)
  • 当て逃げ(相手が見つからない)
  • 相手が保険に入っていない事故
  • 盗難
  • 単独事故

どれも、めったに起きることではありません。

ですが「めったに起きない」と「自分には起きない」は別です。

リセール乗り継ぎをする方は、このリスクを常に背負ったまま日々を過ごしていることになります。

そのリスクを受け入れられる余裕と、精神的な強さが要るのですね。

ちなみに、このリスクのことは、私自身もつい忘れてしまうことがあります。

恥ずかしながら、人のことは言えません。

ピゴス
ピゴス

貯金が1,000万円あっても2,000万円あっても、500万円を失えば、かなりの痛手です。

「それでも大丈夫」と言えるかどうか——ここだけは、正直にご自身に聞いてみてはいかがでしょうか😊

守ろうとすると、元も子もなくなります

「じゃあ、車両保険を掛ければいい」と思われるかもしれません。

たしかに、車両保険は一般的な備え方です。

ただ、リセールの良い車には、ひとつ落とし穴があります。

リセールの良い車は、たいてい高額です。

そして人気があるぶん、盗難のリスクも高くなりがちです。

つまり、車両保険の保険料そのものが上がってしまうのですね。

実際に、こんな声をいただいたことがあります。

リセールを追い求めると、結局は人気の大型車に行き着くのですが、盗難のリスクや傷をつけてしまうリスクがありますよね。

リスク回避のためにセキュリティを強化して、車両保険をつけて……それをすると元も子もないよなぁと思っています。

だから最近は、リセールなんて考えずに割り切って車を買っている人が、少し羨ましかったり。

まさに、この通りだと思います。

高く売るために高い車を買い、その車を守るためにお金をかける。

新車がうれしくて付けたコーティングや余計なオプションも、楽しむ分にはいいのですが、売るときの値段にはあまり響きません。

気づくと、浮かせたはずの分が消えていきます。

ですので私は、できるなら車両保険ではなく、貯蓄で備えられたらより良いと考えています。

保険料として毎年出ていくお金を、自分の口座に置いておくイメージですね。

車両保険の判断そのものについては、こちらでもお話ししています。

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では、どうするのが近道か

ここまで読んで、「じゃあ結局どうすれば?」と思われたかもしれません。

答えを一つにはできません。

車は、お金の計算だけで決まる買い物ではないからです。

ただ、いちばん簡単で、再現しやすい方法なら、はっきりお伝えできます。

最初から安い車を買う、が近道です

身も蓋もない言い方ですが、いちばん簡単なのは、この方法だと思っています。

💡 損失の上限は、買った金額そのもの

500万円の車なら、失う可能性があるのは最大500万円。

200万円の車なら、最大でも200万円です。

安い車を買うというのは、負けたときの金額を先に小さくしておくということでもあります。

リセールを読む必要も、フルモデルチェンジの時期を追う必要もありません。

相場が動いても、失うものがもともと小さいのです。

そして、その車を長く乗るほど、1年あたりの負担は軽くなっていきます。

お金を減らさない車の選び方は、こちらにまとめています。

【貧乏まっしぐら!?】知らないと損する!経済性重視の車選び5つのステップお金が減りにくい『経済性重視の車選び』5つのステップを元1級整備士×元ディーラー営業が解説。知らないと損する車の選び方の考え方を、初心者にも分かりやすく紹介します。...

リセールが悪くても、破綻まではしないと思います

もう一つだけ、お伝えしておきます。

リセールを気にしている方に、私はよくこうお伝えしています。

🍀 リセールに、こだわりすぎなくて大丈夫です

しっかり予算を考えて選べる方なら、リセールの悪い車を乗り継いでも、その程度で破綻することは、たぶんないと思います。

リセールは、あくまでおまけです。

リセールの良し悪しで変わるのは、数年後に戻ってくる金額の一部です。

それよりも「そもそもいくらの車を買うか」のほうが、けた違いに効きます。

リセールを追いかけて予算を上げるくらいなら、予算を下げてリセールを気にしないほうが、たいてい強いのですね。

ローンを組んででもリセールのいいアルファードにするか、予算内のミニバンを一括で買うかで迷ったご相談では、同じ5年で「値落ち額」を比べてみました👇

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いま、相場を読もうとしなくていい

最後に、同じようなご相談をされた方が、最終的にたどり着いた考え方を紹介します。

ミニバンが必要になったときに、選べる選択肢の中で一番いい選択をしていけばいいんだと感じました。

リセールやフルモデルチェンジを読むのは、かなり難しいですし。

私は、この考え方がとても健全な着地だと思っています。

いま、数年後の相場を読もうとしなくていいのです。

必要になったそのときに、そのとき選べるものの中から、良いものを選ぶ。

それで十分です。

むしろ、読めないものを読もうとすると、決められなくなります。

決められない時間が長いほど、いまの車に乗り続けることになりますが——じつは、乗り続けることも悪い選択ではありません。

まとめ

  1. 予算の範囲内なら、新車はもちろんアリです。好きな車に乗ることは、人生を豊かにしてくれます
  2. 新車を選ぶなら、長く乗る前提で。ミニバンは「買った金額÷乗れる年数」で比べると、新車のほうが安いことも少なくありません
  3. リセール乗り継ぎは、仕組みとしては成り立ちます。ただ、私の見方では「短期トレード」に近いものです
  4. 相場は読み切れません。人気車も新型が出れば適正価格に戻ります。リセールは幻みたいなもので、良かったらラッキーくらいです
  5. 分かれ目はたった1つ=その金額を、明日そっくり失っても平気かどうか。災害・当て逃げ・盗難で、車の価値は一瞬でゼロになることもあります
  6. 守ろうとすると元も子もなくなります。高い車ほど車両保険も高く、浮かせた分が消えていきます
  7. 近道は、最初から安い車を買うこと。200万円の車なら、失う可能性も最大200万円です
  8. リセールが悪くても、破綻まではしないと思います。効くのは「いくらの車を買うか」のほうです
  9. いま相場を読もうとしなくて大丈夫。必要になったとき、そのとき選べる中から一番いいものを選べば十分です

夢のセレナが叶う日を、私も願っています。

大切なのは、テクニックで得をしようとすることではなく、無理のない予算で納得して買うことだと私は思っています。

そのうえで新車を選ばれるなら、長く乗るほど、きっと良い買い物になります。

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ご相談者さまの、その後

このご相談には、続きがあります。

ご相談者さまは、それから1年半ほど、いまの車に乗り続けられました。

そして、修理が重なって買い替えを考えることになったとき、私は新車や未使用車(登録だけ済ませた、ほぼ新車の車)も候補に入れてみてはとお伝えしました。

ミニバンは、新車のほうがトータルで安く済むことも少なくないからです。

ただ、候補の車は、ちょうど新車の注文を受け付けていない時期でした。

ご相談者さまは、そのとき選べる中から、走行距離の少ない中古の7人乗りのミニバンに出会い、「飛びついてしまいました」とご報告をくださいました。

「これから長く乗って楽しんでいきたいと思います」とも書いてくださいました。

新車の夢とは形が違いますが、必要になったそのときに、選べる中から良い1台を選ばれたのだと思います。

私からは「大切に長く乗って、素敵な思い出を作ってくださいませ」とお返事しました。

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ABOUT ME
ピゴス
ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、記事の下のコメント欄でいつでも承っております。ニックネームもメールアドレスも要りませんので、お気軽にどうぞ!