著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

欲しい車が決まって、代金も、現金で全額払えるだけの準備ができている。

ところが、投資を続けてきた方ほど、ここで計算が浮かびます。

🤔「カーローンは年2%台で借りられるし、運用で年5%前後が見込めるなら、差の3%ぶん、ローンを組んだほうが得なのでは…」

👀「でも、本当に、手元の現金を運用に回してしまっていいのかな…」

✅ 結論からお伝えします

ローンと現金一括の差は、金利の総額だけです。

ご相談のころの年2%で、700万円を5年借りると、利息はおよそ36万円。

手元に残したお金を5年で36万円以上増やせれば、計算の上では「ローン+運用」の勝ちです。

ただ、決め手は計算ではなく、相場が下がったり、働けなくなったりした「最悪のとき」に耐えられるかです。

向いているのは、車を現金で買っても、まだ同じくらいのお金を運用に回せる方だと、私は考えています。

迷うなら、現金で買って、月々のローンの額を積み立てていく形もあります。

きっかけは、読者の方からのご相談

まずは、今回いただいたご相談の内容です。

年内をめどに、700万円前後の新車を買う予定です。

契約はすんでいますが、納車まで時間があるので、支払いは直前まででよいことになっています。

支払い方法は、全額を現金・全額をローン・一部をローン、の3つを考えています。

全額を現金で払う準備は、できています。

投資の経験は、10年弱あります。

カーローンは、年2%台で借りられるところがあります。

運用は、歴史的に見ると、長期で年5%前後が見込めると考えています。

単純に考えると差が3%なので、ローンを組むのがいいのでは、と思っています。

ご意見を聞かせていただけないでしょうか。

ご質問、ありがとうございます。

700万円前後の車を選ぶのは、人生を楽しむためにお金を使う、ということだと思います。

一括でドーンと買うのもよし、ローンで計画的に買うのもよし、です。

ピゴス
ピゴス

私も、運用がうまくいくなら、低金利のカーローンで手元の現金を残し、それを運用しつつ、ローンの金利以上に稼ぐというのは、考えなくもない方法です。

ただ、実際に車を何年乗るのか、高く売れる車なのかで、話は変わってきます。

なぜ「金利の総額」が、越えないといけない線になるのか

700万円の車を、5年乗って350万円で売ったら

当時、私がご相談者さまにお出しした例です。

700万円の車を5年乗って、350万円で売れたとします。

  • 現金一括なら、出ていくお金は、700万円から350万円を引いた350万円
  • ローン(年2%・5年)なら、返す総額はおよそ736万円なので、736万円から350万円を引いた386万円

差の36万円は、ローンの利息の総額です。

車の値下がりの350万円は、現金で買っても、ローンで買っても変わりません。

つまり、手元に残した700万円を、5年で36万円以上増やせれば、「ローン+運用」の勝ちということです。

当たり前の計算ですが、すべての出発点になります。

この36万円は、越えないといけない最低ラインです。

運用で増えた分に税金がかかるなら、税金を引いたあとで36万円が必要になります。

※ 元利均等返済で計算した概算です。

※ 実際の金額は、金利・返済期間・返し方によって変わります。

金利が上がると、越える線も上がります

同じ700万円を5年で借りても、利息の総額は、金利によって次のように変わります。

  • 年2%なら、およそ36万円
  • 年3%なら、およそ55万円
  • 年4%なら、およそ73万円

金利が1%上がるごとに、越えないといけない線は、およそ19万円ずつ上がります。

ご相談をいただいた2023年2月は、日本銀行がマイナス金利を続けていた時期でした。

その後、日本銀行は2024年3月にマイナス金利をやめ、2026年9月には政策金利を1.25%程度まで引き上げています。

※ 日本銀行「金融政策の枠組みの見直しについて」(2024年3月19日)と「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)より(2026年9月に確認)。

それでも、借りる額が大きいと、いまも年2%台で借りられる銀行はあります。

たとえば大手銀行のネット専用のマイカーローン(変動金利)では、借りる額が501万〜1,000万円なら年2.45%、200万円以下なら年3.50%です。

※ 三菱UFJ銀行「ネットDEマイカーローン」の公式サイトに載っている、2026年10月1日以降にお借入れする場合の金利です(2026年9月に確認)。

※ 金利は見直されることがあり、審査の結果によっても変わります。

9月までにお借入れする場合は、同じ帯で年2.20%と年3.25%でしたので、10月1日からのお借入れは、どちらも0.25%高くなります。

ご相談と同じ700万円を、年2.45%・5年で借りると、利息はおよそ44万円です。

ただ、変動金利のローンは、借りたあとも金利が見直されます。

同じ大手銀行の商品では、借りたあとの金利が、年に2回見直される決まりです。

※ 同じ商品の商品説明書(2025年10月1日現在)より(2026年9月に確認)。

運用がうまくいかない時期に、ローンの金利だけが上がる、ということも起こりえます。

ご相談のころの「2%台」を、そのまま前提にしないほうが安心です。

長いローンなら、勝ちやすい?

当時の私は、10年のローンもあるので、長くなるほど勝ちやすくなるかもしれない、ともお答えしています。

ただ、同じ700万円を年2%・10年で借りると、利息はおよそ73万円と、5年のときの倍ほどになります。

そして、そのあいだ700万円は、運用に置いたまま動かせないお金になります。

それでも問題ないという方なら、やってみる価値はあると思います。

ただ、私自身も、我が家のタント(ダイハツの軽自動車です)を、銀行の10年ローンで払っていたことがあります。

低い金利のほうが得だと考えていたのですが、うまくいきませんでした。

そのときの反省点と、300万円の車で計算した損得は、こちらにまとめています👇

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隠れたリスクは、「相場が下がる」と「働けなくなる」が重なるとき

最終的には賭けの部分が残るので、どちらが正解ということはないと思います。

確実に勝てるほう(現金一括)を選ぶか、多少のリスクを負って、経済の成長に賭けるか。

結局、大事なのはリスク許容度です。

相場が下がったときに、働けなくなったら

ローンを組んで手元のお金を運用に回すと、借金と、値動きのあるお金を、同時に持つことになります。

もし、たまたま相場が大きく下がったときに、病気やけがで働けなくなったら。

運用しているお金は減っているのに、ローンの支払いは、毎月そのまま続きます。

当時の私は、ご相談者さまに「今は健康で稼ぎもしっかり安定的にあられると思いますが、どうなるか分からないこともあります」とお伝えしました。

翌日のお返事には、「働けなくなるところまで想定していなかった」とありました。

ピゴス
ピゴス

たまたま暴落がきたり、働けなくなったりしたら、身動きが取れなくなります。

車はカッコいいけど、そこまでリスクを負いたいほど、車が好きでしたっけ?

向いているのは、現金で買っても、まだ運用に回せるお金がある方

当時の私は、この作戦をおすすめできるのは、次のくらいの資金力がある方だとお答えしました。

  • 車を現金一括で買っても、別に700万円を運用に回せる
  • または、車はローンで買って、倍の1,400万円を運用に回せる

そのくらいの余裕がある方なら、攻めの姿勢で行くのも良いと、私も考えます。

反対に、貯金が1,000万円や2,000万円くらいで、700万円をまとめて失うかもしれない形には、リスクがあります。

そして、ローンの審査に通ることと、無理なく払えることは、別の話です。

そもそも「現金で無理なく買えるか」で迷っている場合は、決め方の順番をこちらにまとめています。

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私なら、現金で買って、月々のローンの額を積み立てます

最後に、私の個人的な考えです。

もし私に資産と安定した稼ぎがあるなら、車は一括で買って、月々ローンで払うくらいの額を、積み立てで運用していきます。

次の車は、積み立てた分と、今の車の売却額を足した予算で選びます。

積み立てが増えていれば、少し上のグレードに。

減っていれば、少し下のグレードに。

車のほうで調整すると、ちょっと楽しい気がします。

この形は、手元のお金をまとめて運用に回すより、増える額は少なくなるかもしれません。

そのかわり、相場が下がったときにも、借金は抱えていません。

もちろん、運用には値下がりもあるので、あくまで余裕のお金があって、車が好きなことが前提です。

金利を低く抑える工夫と運用を組み合わせて、計画的に払っていく考え方も、私は好きです。

何にどう投資するかは、車屋の私がお話しできることではないので、書かずにおきます。

運用に回さずに、貯金でよけておく形でも、次の車を、また一括で買えます。

月々の額のよけ方と、それでもローンが役に立つ2つの場面は、こちらでお話ししています👇

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まとめ

カーローンを組んで、手元の現金を運用に回すか迷ったら、こんな順番で考えてみてはいかがでしょうか。

  • ローンと現金一括の差は、金利の総額だけ(700万円・5年なら、ご相談のころの年2%でおよそ36万円、2026年10月からの大手銀行の年2.45%ならおよそ44万円)
  • 手元に残したお金をそれ以上増やせれば、計算の上ではローン+運用の勝ち(金利が上がれば、越える線も上がる)
  • 決め手は計算より、相場が下がることと働けなくなることが重なる「最悪のとき」に耐えられるか
  • 向いているのは、車を現金で買っても、まだ同じくらいのお金を運用に回せる方
  • 迷うなら、現金で買って、月々のローンの額を積み立てていく形もある

車を選ぶ段階から「リスク許容度の範囲内」で考える方法は、こちらでお話ししています。

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ご相談者さまの、その後

翌日、ご相談者さまからお返事をいただきました。

「大きくキャッシュが出ることに不安を感じており、低金利で一部借り入れできるなら、バランスが良いように思いました」

運用は15年以上続けるつもりなので、今回の車には直接影響しないかもしれない、とも書かれていました。

そして、「人生のトータルとしてプラスになる考え方で生活できればと思います」と。

それから5か月ほどたったころ、ご相談者さまは、ご自身の払い方について、こう書かれていました。

「私は金利によっては残クレの方が良いと思っています」

「実際に、私も今年買った車で残クレにしました」

「借入の金利が低く、借りた分の資金を自分で運用したほうが儲かる、と思ったからです」

金利の低いローンを選んで、手元のお金は運用に回す。

リスク許容度と向き合ったうえで、ご自身で出された答えだと思います。

そして、「金利によっては」という言葉に、ご相談者さまの物差しが入っていました。

金利が上がれば、同じ答えにはならないかもしれない、ということです。

残価設定ローン(残クレ)の、月々が安くなる仕組みと最後の払い方は、こちらでお話ししています。

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、記事の下のコメント欄でいつでも承っております。ニックネームもメールアドレスも要りませんので、お気軽にどうぞ!