強風で飛んだ傘が隣の車に傷|修理費30万円は減らせる?減額より先に確かめたい保険

風の強い日に、手から傘が飛んでいってしまった。
あとになって、隣に停まっていた車に傷がついていることが分かった。
正直に申し出て、相手の方が修理の見積もりを取ってくださった。
届いた金額は、30万円。
傘が当たっただけで、と思ってしまいますよね。
その金額は妥当なのか、少しでも減らせないのか。
調べはじめても、はっきり書いてあるものは、なかなか見つかりません。
相手のお車の修理費を、こちらから減らしていくのは簡単ではありません。
ただ、相手が正規ディーラーで直されるなら、金額の根拠がはっきりしていて、あとから追加が乗りにくいという良い面もあります。
減額に力を使うより先に、個人賠償責任保険がどこかに付いていないかを確かめてみてください。
自動車保険だけでなく、火災保険や共済、クレジットカードに付いていることがあります。
見るのは上限の金額だけではありません。
示談交渉サービスが付いているかどうかで、そのあとの負担がまるで変わります。
そしてこの保険は、使っても翌年の等級が下がることはありません。
いただいたご相談
実際にいただいたご相談を、ご紹介します。
(ご本人が特定されないよう、内容は編集してご紹介しています)
先日の暴風雨で、自分が持っていた傘が飛ばされて、隣に駐車してあった車の上を通過してしまった
後日、相手の方に傷を確認してもらったところ、助手席の上のあたりに白いひっかき傷がついていた
見積もりは正規ディーラー。
相手の方にはこだわりがあり、ほかの会社で見積もりや修理をするつもりはないとのこと
傘が当たったことによる修理費として、30万円は妥当なのか。
減らせる項目や方法があるのか確認したい
自分の個人賠償責任保険は、クレジットカードに無料で付いていた20万円までのものしかなく、できるだけ修理費を抑えたい
まず、ご自分から申し出られたことが大きいです
強風のトラブルは、本当にお気の毒だと思います。
ただ、この方はご自分から相手の方に申し出て、解決に向けて動いていらっしゃいます。
風で飛んでいった傘が、いつどこで当たったのか。
正直なところ、黙っていれば分からなかったかもしれません。
それでも申し出た、というところが、まずいちばん立派なところだと思っています。
強風のトラブル、本当にお気の毒でした
それでも、ご自分から申し出て解決に向けて動かれた——ここがいちばん立派なところだと思っています
30万円は、減らせるのでしょうか
先に結論を申し上げると、減額はそう簡単にはできません。
理由を、順番にお話しします。
自分の車なら「目立たなければいい」で済むけれど
もし傷ついたのがご自身の車だったら、話はずっと簡単です。
軽く色を塗って目立たなくしてくれればいい、という判断ができるからです。
でも今回は、相手の車の修理の話です。
相手の方には「きちんと直してほしい」というお気持ちがあります。
よほど相場からかけ離れた金額でない限りは、その要望をお受けする形になります。
こちらが減らそうと動くほど、相手の方は望んだ形で直せなくなります。
そこだけは、頭の片隅に置いておきたいところです。
板金塗装は、本来なら見積もりを比べやすい作業です
少し補足させてください。
板金塗装は、作業の中身がはっきりしているので、本来ならお店ごとの見積もりを比べやすいほうの作業です。
同じ場所を同じように直すのですから、比べる意味があります。
原因を探すところから始まる故障の修理とは、そこが違います。
ただ、それはあくまで自分の車を直すときの話です。
相手の方が「ここで直したい」とおっしゃっているところへ、こちらから別のお店の見積もりを持ち込むのは、なかなか難しいことです。
減らすには、証明と異議申し立てが要ります
現物を見ていないので、私からは何とも言えません。
もしかしたら、多少は減らせる要素があるのかもしれません。
ただ、それを主張するには、金額が高すぎることを自分で証明していく作業が必要になります。
ご自分で交渉を続けるか、弁護士さんに間に入っていただくか。
どちらにしても、時間と労力がかかりますし、弁護士さんに頼めば費用も発生します。
数万円を削るために、その道を選ぶかどうか。
そこは天秤にかけていただく話だと思っています。
なお、見積もりそのものが妥当かどうかを見る目は、ご自身の車を直すときにも役に立ちます。
見積書のどこを見ればいいのかは、こちらでお話ししました。
相手が正規ディーラーを選ばれたのは、悪い話ではありません
正規ディーラーと聞くと、高くつきそうだと思われたかもしれません。
ですが、これはむしろ、こちらにとって助かる面があります。
正規ディーラーの見積もりには、部品の値段も工賃の単価も、決まった表があります。
その表があるぶん、相場からかけ離れた金額にはなりにくいのです。
修理のあとに不具合が出たときの窓口もはっきりしています。
ここからは、あくまで私の感覚です。
もし相手の方が「知り合いのお店で直したい」とおっしゃった場合、その金額が何にいくらかかっているのかを、こちらが確かめるのは少し難しくなります。
街の整備工場さんにも腕のいいお店はたくさんありますし、相手の方がそこを選ばれるのは信頼しているからで、なにもおかしなことではありません。
ただ、こちらが納得して支払うためには、根拠を確かめられるかどうかが効いてきます。
もうひとつ、今回は請求されていませんが、相手の車が修理に入っているあいだの代車の費用を求められることもあります。
それが上乗せされなかっただけでも、よかったのかもしれません。
代車のお金は、立場が逆になったときにも効いてくるところです。
10万円で収まったのは、個人賠償責任保険があったからです
30万円のうち、20万円は保険からまかなえます。
ご自分で負担されるのは、10万円。
この差は、とても大きいです。
個人賠償責任保険は、日常生活賠償特約とも呼ばれます。
同居のご家族が、偶然の事故で他人にケガをさせてしまったり、物を壊してしまったときに使える保険です。
お金の面だけでなく、保険会社が間に入ってくれることで、気持ちの面でも救われます。
まず、もう入っていないかを確かめてください
この保険の一番の特徴は、あちこちに付いていることです。
自動車保険の特約として付けられます。
火災保険や共済にも付いていることがあります。
クレジットカードに無料で付帯していることもあります。
今回の方も、カードに付いていた20万円までの補償に助けられました。
ですので、新しく買い足す前に、まずご家庭の契約を一度ぜんぶ見てみてください。
逆に、同じ補償に二重で入っていることもあります。
保険は重複しても支払いが倍になるわけではないので、それは保険料の無駄になってしまいます。
重複しやすい特約の見分け方は、こちらにまとめています。
上限の金額より先に、示談交渉サービスを見てください
ここが、今回いちばんお伝えしたいところです。
この方のカードに付いていた補償には、示談交渉サービスが付いていませんでした。
つまり、示談書を作るのも、相手の方とやり取りするのも、ご自分でおこなうことになります。
相手の方に頭を下げて、金額の話をして、書面を交わす。
気持ちが沈んでいるときに、それを全部ひとりで背負うのは、なかなかこたえます。
自動車保険の特約として入っていれば、多くの場合そこに保険会社が入ってくれます。
金額の上限がいくらかも大事ですが、「間に入ってくれる人がいるかどうか」は、それと同じくらい大事だと思っています。
この保険を使っても、等級には響きません
もうひとつ、安心していただきたいことがあります。
個人賠償責任保険を使っても、翌年の等級が下がることはありません。
つまり、翌年の保険料が上がる心配をしなくていい、ということです。
使うのをためらう理由が、ひとつ減りますね。
もし、傘が人に当たっていたら
今回は、傘が車に当たりました。
起きる確率は低く、金額も、なんとか手の届く範囲に収まりました。
保険の考え方でいうと、確率も損失も小さいほうに入る出来事です。
でも、もし当たったのが人だったら。
金額がいくらになるかは、誰にも読めません。
自転車で人にぶつかってしまう、集合住宅で水漏れを起こしてしまう、お店で高価な物を壊してしまう。
どれも、車とは関係のない場面です。
それでも、同じ保険が守ってくれます。
だからこの特約だけは、上限を無制限にしておいてほしいと思っています。
傘が車に当たって、10万円のご負担で収まった——これは、確率も損失も小さいほうの話なんです
もし人に当たっていたら金額は誰にも読めません、だからこそ上限は無制限にしておいてほしいと思っています
もし反対に、ご自身の車が傷つけられたときは
ここまでは、傷をつけてしまった側のお話でした。
反対に、飛んできたもので、ご自身の車に傷がついてしまうこともあります。
この場合は、相手が分からないことがほとんどです。
そうなると、ご自分の車両保険を使うかどうかの判断になります。
ただ、傷の場所によっては、急いで直さなくていいこともあります。
その見分け方は、こちらでお話ししました。
今回のようなことがあると、自分がいまどんな保険に入っているのか、急に気になってきますよね。
ここまでお伝えしたとおり、まず確かめてほしいのは「もう付いていないか」のほうです。
それでも足りないと感じたときに、はじめて足す話になります。
ですので、今日決める必要はまったくありません。
一括見積もりは、いまの契約と同じ条件で、各社の金額と特約の中身を並べて見られる仕組みです。
個人賠償責任特約を付けられるか、上限はいくらまでか、示談交渉サービスは付くのか。
そこまで見比べてから決めても、遅くはありません。
保険の見直しそのものについては、こちらにまとめています。
まとめ
- 相手のお車の修理費は、減らす交渉より先に「妥当かどうか」を見る。正規ディーラーの見積もりなら、金額の根拠ははっきりしている
- 減らせる余地がまったくない、とは言いません。ただ、証明と異議申し立てには時間も労力も費用もかかる
- 個人賠償責任保険は、自動車保険・火災保険・共済・クレジットカードのどこかに、もう付いていることがある。まず確かめる
- 上限の金額だけでなく、示談交渉サービスが付いているかを見る。付いていないと、相手とのやり取りをご自分でおこなうことになる
- この保険を使っても、翌年の等級は下がらない
- 車の場面だけでなく日常生活も守る保険なので、上限は無制限にしておきたい
今回のトラブルには、どうしても一定の負担が残ります。
それでも、保険があったことで10万円に収まりました。
不幸中の幸いだったと思って、前を向いていただけたらと思います。
ご相談者さまの、その後
このご相談には、続きがあります。
じつはこの方、修理費は「かかっても5万円くらいかな」と思っていらっしゃいました。
だから30万円という数字に、とても驚かれたそうです。
そのあとに教えてくださったのは、こんなお言葉でした。
車の専門の方に見ていただいて、妥当な見積もりだと分かったので、大変安心しました
10万円で済んでよかった、という気持ちに切り替えて前向きにいこうと思います
今回はたまたま、カードに無料で付けていたものが使えました。
ただ示談交渉サービスは付いておらず、示談書の作成も相手の方とのやり取りも、自分でおこなうことになりそうです
これを機に、今後に備えて自動車保険に無制限・示談交渉サービス付きを追加で付けました
ここ数日は気持ちが沈んでいましたが、解決に向けて頑張っていこうという気持ちになれました
安心されたのは、金額が減ったからではありません。
妥当だと分かったから、前に進めた。
金額そのものより、それが妥当かどうかが分からない時間のほうが、人を苦しめるのだと思います。
傷をつけてしまったほうが、ずっと重い気持ちを抱えます。
その重さを少しでも軽くしてくれるのが保険なのだと、このご相談で改めて感じました。
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