著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

こんにちは、ピゴスです🐧

先日、我が家のタント(ダイハツの軽自動車です)を、義父に譲りました。

名義変更も終わって、いまは新しいナンバーを付けて、義父の毎日を支えています。

売却も考えました。

でも、大事な車が次の大切な家族の元で元気に走ってくれている…この形にして本当によかったと思っています。

ただ、良くも悪くも、こういう感情が入ってしまうのが、今回のテーマ「家族や知人との車の売り買い(個人売買)」です。

実は、金銭的にはいちばんオトクな方法です。

でも同時に、いちばん繊細な取引でもあります。

ご相談をお受けする中でも、「知人に譲ることになった」「知人から買わないかと言われている」「親の車を引き継ぎたい」というお話を、たくさんいただいてきました。

そして白状すると、私自身、個人売買で冷や汗をかいた失敗談があります(後ほどお話しします笑)。

この記事では、譲った実体験・失敗談・現場の知識をまとめて、「揉めない個人売買」の進め方をお伝えします。

🍀この記事を読むメリットは3つ!

✅個人売買が「なぜ一番オトクで、なぜ一番繊細なのか」の仕組みが分かる

✅売る側・買う側それぞれの「揉めない段取り」が分かる(名義変更・書類・お金・保険)

✅金額の決め方と、家族・友人関係にしこりを残さないコツが分かる

✅ 結論からお伝えします

家族・知人との個人売買は金銭的には一番オトク(売る側は買取店より高く・買う側はお店より安く)。

でも保証・金額決め・名義変更という難所を自分たちで引き受ける「玄人向き」の取引です。

成功のコツは、金額の前に「お互いが気持ちよくいられるか」を確かめること。

売る側は名義変更を確実に終える・買う側は「相手はプロじゃない」前提で自分の目で確認が鉄則です。

先に結論:オトクさの正体は「お店の利益が乗らない」こと。だから難所も自分持ち

車の個人売買は売る側は買取店より高く買う側はお店より安く買えるWIN-WINだが、保証がない・金額決めが難しい・関係にしこりが残る・手放したいと言い出しづらいの4つの理由で手放しではオススメしない

車をお店で売り買いすると、そこには当然、お店の利益や経費が乗ります。

個人売買は、それがゼロ。

だから、

売る側は、買取店に売るより高く売れて

買う側は、お店で買うより安く買える

数字の上では、きれいなWIN-WINが成立します。

タントを義父に譲ったときも、お互いが納得できる相場感で買い取ってもらう形にして、気持ちよく引き継ぐことができました。

でも、ここで冷静に考えてほしいんです。

お店の利益には、「プロが間に入ってくれる安心料」が含まれていました。

保証、名義変更の代行、金額の妥当性、トラブル対応——。

個人売買は、その難所を全部、自分たちで引き受ける取引なんです。

だからこの記事では、「オトクですよ」だけではなく、難所の乗り越え方までセットでお伝えします。

手放しでオススメしない「4つの理由」

義父への譲渡は、いい思い出になりました。

それでも、個人売買を手放しでオススメするかというと、正直、しづらいんです。

理由は4つあります。

①お店で買うような「保証」がない

お店で買えば、特に私がいつもオススメしている認定中古車の場合、保証が付きます。

個人売買には、それがありません。

譲った直後に壊れても、基本的には買った側の自己負担です。

そして厄介なのは、車は「売った側も気まずい」こと。

悪気がなくても、「え、譲ってすぐ壊れたの…?」となれば、お互いに嫌な空気が流れます。

もし友人から買った車がすぐ壊れてしまったら…という実例と対処法は、こちらにまとめています👇

友人から買った車がすぐ壊れた!対処法と請求できる補償を解説 こんにちは、ピゴスです! 今回のテーマは「友人から買った車がすぐ壊れた場合の対処法」です。 友人からの個人売買で購入した車...

②双方が納得する金額を決めるのが、思った以上に難しい

これは後ほど詳しくお話ししますが、車の相場には「買取相場」と「店頭相場」の2つがあって、その間のどこに置くかを、素人同士で決めることになります。

身内だからこそ、「高く言いづらい」「安くしてと言いづらい」が同時に発生します。

③こじれると、お金よりずっと大事な「関係」にしこりが残る

お店との取引なら、嫌な思いをしても「もう行かない」で終われます。

家族や友人とは、その後も関係が続きます

数万円の話で、何十年の関係に小さなトゲが残る——これが個人売買の一番のリスクだと、私は思っています。

④買った側が「手放したい」と言い出しづらくなる

家族から買った車は、「やっぱり合わないから手放したい」が言い出しづらいんです。

思い入れのある車をもらった手前、乗り換えの自由が少しだけ重くなる。

これは、譲る側が想像してあげたいポイントです。

【白状します】私の失敗談:先輩から買ったスポーツカー

ここで、私の失敗談をお話しさせてください。

まだ若かった頃、会社の先輩から、程度のいい古いスポーツカーを買ったことがあります。

先輩が大切に乗ってきた1台でしたが、急にお金が必要になったから手放したいと…

相場と比べても破格だったため、私が名乗りをあげて購入させてもらうことになりました✨

私はすっかり気に入って、「これは最高の車だ!」と、思う存分楽しみました。

しかし1年ぐらい乗ったところで、気づいてしまったんです。

年式は古いのに、このスポーツカー、買った値段より、さらに高く売れることに。

人気のスポーツカーには、時々こういうことが起きます(スポーツカーあるあるです)。

そして、その頃には、年式なりに普段の車では味わえないようなトラブルも増えてきました…ブレーキランプが付かない、雨漏り、ガソリン漏れ…

これは維持も一筋縄ではいかないなとビビり始め…

私は「自分の車だし」と、先輩に相談なく売却しました

——それから数カ月後。

先輩に、こう声をかけられたんです。

先輩「あのスポーツカー、調子どう?また買い戻したいんだけど」

「え…?最近は乗っていないです。置く場所に困って、今は義理の兄に乗ってもらっています」

先輩「乗らなくなったら、またオレに売ってねって言ったじゃん」

「そんなつもりなくて、購入して自分の車のつもりでいました」

……正直、私にはその約束の記憶がありませんでした。

でも先輩の中では、あの車は「いつか帰ってくるかもしれない車」だったんです。

私は「勝手に売りました」とはどうしても言えず、とっさに「義理の兄に乗ってもらっていて…」と嘘をつきました

先輩がそれ以上、深掘りしてこなかったので事なきを得ましたが、内心は冷や汗だらだらものでした。

この失敗から学んだことは、シンプルです。

個人売買は、「売って終わり」「買って終わり」じゃない。

車と一緒に、「口約束の続き」や「相手の思い入れ」まで引き継いでいるんです。

お店との取引なら、お金と車を交換した時点で関係は完結します。

でも知人との売買は、車が手元を離れた後も、相手との関係の中に車が残り続ける

だから、買った車を手放すときは一言、譲ってくれた相手に伝える。

譲るときは、「この先どうしてくれてもいいからね」まで言葉にしておく。

できれば、簡単でもいいので大事なことが書いてある契約書を作っておくと、より安心です。

それだけで、私のような冷や汗は防げます😅

ピゴス

プロでも、こういう失敗をするんです😅

皆さんは、譲ってくれた相手に一言。それだけで冷や汗は防げますよ🐧

金額の決め方:「2つの相場」の間に、納得の置き場所を探す

個人売買の金額の決め方:買取相場と店頭相場の間に置けば売る側も買う側も得をする。金額の前にお互いが気持ちよくいられるかを確認し自動車税の扱いも先に決める

では、難所その1。

金額です。

車の相場には2つあります。

買取相場=お店があなたの車を買い取る値段(安い方)

店頭相場=お店がその車を販売する値段(高い方)

同じ車でも、この2つには数十万円の差があることも普通です(お店の整備・保証・利益が乗るためです)。

個人売買の金額は、この2つの間に置くのが基本です。

間のどこに置いても、

・売る側は「買取店に売るより高い」

・買う側は「お店で買うより安い」

が成立して、双方が得をします。

相場の調べ方は、中古車サイトで同じ車種・年式・距離の販売価格を見て(=店頭相場)、そこから数十万円引いたあたりが買取相場、というイメージです。

そして、ここからが大事なところ。

金額の前に、「お互いが気持ちよくいられるか」を確かめてください。

相手が納得しているかどうか?

相手が提示してきた金額で、こちらが納得できるなら話が早いです。

一方で、こちらが金額を提示しなければならない、もしくは提示された金額に納得がいかない場合は要注意です。

お互いに、個人売買の金額の理由を相場感などを並べながら、しっかり確認してから次のステップに移ってください。

逆に、ここで理解を得られなそうであれば、いっそ個人売買はやめてしまうのも手です。

我が家のタントも、義父が気持ちのいい取引をしてくれたおかげと、私自身が車業界の人間であるというある程度の信頼感があったため、納得の価格で、気持ちよく引き継げました。

自動車税のことも、先に話しておく

もう1つ、小さいけれど揉めやすいのがお金の細部です。

自動車税(種別割)は、4月1日時点の所有者に、1年分が課税されます。

年度の途中で譲っても、(廃車にする場合を除いて)法律上の還付はありません。

業者間の取引では「残りの月数分を買う側が負担する」という月割精算の商習慣(普通車の場合)がありますが、個人売買では決まりがありません。

つまり、話し合いで先に決めておくしかないんです。

「今年度の税金は私が払ったままでいいよ」でも、「残り月数分だけもらうね」でも、どちらでも構いません。

先に決めてあることが、あとでモヤモヤしないコツです。

売る側の段取り:名義変更を「確実に終える」ことがすべて

車を個人売買で売る側の段取り:契約書2通と身分証コピー・ナンバー返納はしない・運輸支局で一緒に名義変更が一番安全・任せるなら完了確認まで・保険は中断証明書や等級引き継ぎも検討

売る側の最大のリスクは、名義変更がされないまま相手が乗り続けることです。

名義があなたのままだと、翌年の自動車税の請求も、万が一の事故や違反の連絡も、あなたに来る可能性があります。

だから売る側の段取りは、「名義変更を確実に終える」の一点に集中してください。

家族間であれば、そこまで心配ないですが、ネットの個人売買サービスなどを使って知り合った相手の場合は注意が必要です。

自分のためにも、相手のためにも、丁寧なやり取りを心がけましょう。

①書類は「契約書2通+身分証コピー」が基本

自動車売買契約書を2通作って、双方で保管(ネットの無料テンプレートで十分です)

相手の身分証明書(免許証など)のコピーと連絡先を保管

これだけで、万が一名義変更がされずに税金や違反の連絡が来てしまったときに、堂々と対応できます。

②ナンバーの返納(一時抹消)は、しない方が親切

「トラブル防止のために、一度ナンバーを返納してから渡した方がいい?」と聞かれることがあります。

気持ちは分かるのですが、ナンバーを返納すると車検も一緒になくなります

すると相手は、車検を取り直すところから始めることになり、手間もお金も増えてしまいます。

信頼できる相手に譲るなら、ナンバー付きのまま、次の方法で確実に進める方が親切です。

③一番安全な引き渡し方=「一緒に手続きに行く」

私が一番オススメするのは、相手の地域の運輸支局(軽自動車は軽自動車検査協会)を引き渡し場所にして、その場で一緒に名義変更をしてしまう方法です。

・普通車なら、相手に事前に車庫証明を取ってもらい、当日は印鑑証明書や実印を用意してもらう

・手続きが終わった瞬間に、名義もお金も引き渡しも、全部その場で完結

相手が手続きに不慣れな場合や、最後まで見届けたい場合は、これがいちばん確実です。

タントのときも、名義変更が終わったのを確認してから、「正式に義父の車になった」と安心できました。

④任せる場合は、「完了の確認」までがセット

遠方などで一緒に行けない場合は、必要書類と車を渡して、相手に手続きを任せることになります。

その場合は、

・お金は引き渡しのときに受け取る

・免許証のコピーなど、相手の情報をはっきりさせておく

・そして「名義変更が終わったら車検証の写真を送ってね」とお願いしておく

完了確認までが、売る側の仕事です。

⑤保険のことも忘れずに

・売った側:任意保険は解約——ですが、しばらく車に乗らないなら「中断証明書」を取っておくと、等級を最大10年保存できます(次に車を持つとき、保険料が大きく変わります)

同居のご家族に譲る場合:任意保険の等級を家族間で引き継げる制度があります。

使えるかどうかは条件があるので、「等級の引き継ぎはできますか?」と保険屋さんに聞いてみてください

・買った側:納車日から保険が効くように、事前に加入・切り替えを済ませておく(納車初日の事故、実は少なくないんです)

買う側の心得:「相手はプロじゃない」から始める

車を個人売買で買う側の心得3つ:整備記録簿や匂いエアコン内装を自分の目で確かめる・保証がない前提で修理費の心づもり・価格に納得できて初めてお得な玄人向きの買い方

次に、買う側です。

知人からの購入のご相談で、私がいつもお伝えしているのはこれです。

「相手は車のプロではありません」

悪気がなくても、聞いたことに正しく答えられるとは限らないんです。

「調子いいよ!」は嘘ではなく、その人が気づいていないだけ、ということがよくあります。

だから買う側の心得は3つ。

①自分の目で見て、確かめる

整備記録簿(点検の履歴)があるか見せてもらう…内容は分からなくても、「ディーラーでずっとメンテナンスしてきた」など信頼の積み重ねはチェックできます

・実車では、匂い・エアコンの効き・内装の状態をチェック(買ってから直しにくい所です)

・可能なら試乗して、異音や変速の違和感がないか

実際に「知人からこの車を買わないかと言われたけど、大丈夫?」というご相談にお答えした実例はこちら👇

知人からの個人売買、この車は本当に大丈夫?確認すべき注意点 こんにちは!ピゴスです! こちらの記事は、私が過去に「車の質問」をいただいた経験をベースに編集して、紹介しております ピゴ...

②「保証がない」前提で、修理費の心づもりを持つ

個人売買には保証がありません。

買った直後に壊れても、基本は自己負担。

だから、車両価格が安いぶん、修理費の備えを上乗せして考えてください。

年式や走行距離なりに、この先どこが壊れやすいのかは、こちらの記事に辞書のようにまとめています👇

【保存版】長く乗ると、何が壊れる?ガソリン・ハイブリッド・ディーゼル・EV別の弱点と備え方車に長く乗ると何がいつ壊れる?ガソリン・ハイブリッド・ディーゼル・EV別に、壊れやすい場所・時期・修理費の目安と備え方を整備現場の経験から辞書のようにまとめました。故障が「見えないお化け」でなくなる保存版です。...

③価格に納得できて、初めて「お得」

個人売買は、自分の目で見て判断ができて、価格に納得ができて、初めてお得な買い物ができる「玄人向きの買い方」です。

少しでも不安が残るなら、無理をしなくていいんです。

保証つきで安心して買いたい方には、ディーラーの認定中古車という選択肢もあります👇

【慌てて決めちゃダメっ!】中古車を買うならまずはここから探そう!中古車選びはまずディーラーの認定中古車から。品質・保証・適正価格など、慌てて決める前に知っておきたい5つの理由を、元ディーラー営業×元1級整備士が解説します。...

まとめ:金額の前に、「気持ち」を確かめる

長くなったので、まとめます。

✅個人売買はお店の利益が乗らないぶん一番オトク

でも保証・金額・名義変更という難所を自分たちで引き受ける取引

✅手放しでオススメしない4つの理由=保証がない/金額決めが難しい/関係にしこりが残る/手放したいと言い出しづらい

✅私の失敗談の教訓=個人売買は売って終わりじゃない

「口約束の続き」まで引き継いでいる。

この先どうするかまで言葉にし、書面で残しておく

✅金額は買取相場と店頭相場の間に。

そして金額の前に「お互いが気持ちよくいられるか」を確かめる。

自動車税の扱いも先に決める

✅売る側は名義変更を確実に終えることがすべて(一緒に手続きが一番・任せるなら完了確認まで)

✅買う側は「相手はプロじゃない」から始める(自分の目で確認・保証なし前提の心づもり・納得できて初めてお得)

車を家族や知人に譲るのは、うまくいけば、とても幸せな手放し方です。

大切に乗ってきた想いが、そのまま次へ引き継がれていく。

我が家のタントも、いまは義父のところで元気に走っています。

お別れというより、席替えみたいなものでした。

ピゴス

大切に乗った車が、家族のところで走り続ける。

幸せな手放し方のひとつだと思っています🐧

だからこそ、お金の段取りと気持ちの確認だけ、丁寧に。

この記事が、あなたとご家族の「気持ちのいい席替え」のお役に立てば嬉しいです🐧

ちなみに、「そもそも車が必要ではないかも?車のない生活はどうだろう?」と迷っている方はこちら👇

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ピゴス
ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、コメント欄や「X」などでいつでもメッセージを承っております。お気軽にどうぞ!