ディーラーの保険を断るのは気まずい? 謝らなくて大丈夫です

新しい車の商談が進むと、見積書と一緒に、自動車保険の話が出てくることがあります。
保険はネットで入ると決めていても、これから車を受け取るお店の人に、面と向かって断るのは気が引けますよね。
点検や車検でこれからもお世話になるお店だからこそ、関係を悪くしたくない、という方も多いと思います。
ディーラーで勧められた保険をお断りするのに、謝る必要はありません。
伝えるのは2回で、商談では「保険は自分で手配します」と伝え、ネット保険の申し込みが済んだら「入りました」とご報告します。
どこの保険がいいかは何を重視するかで変わり、毎日は使わず遠出もしないなら、残したい補償を決めたうえで値段で選んで大丈夫です。
新車の車両保険は、全損になっても貯金で買い直せるかどうかで決めます。
いただいたご相談
まずは、今回いただいたご相談の内容です。
自動車保険について質問させてください。
スズキのディーラーでソリオ新車を一括購入。
納車が7月の予定。
今乗っている車も同じディーラーで購入し、そこの保険に加入してます。
保険も取り扱っているディーラーです。
妻と2人暮らし。
9月に子供が産まれるので買い替えました。
聞きたいことは、3つでした。
ディーラーがオススメする保険の断り方。
どこの保険がオススメか?
(ざっくりと知識を習得したいですがネットで調べるとアフィリエイトが多くて…)
実際加入してみて気になったことなども教えていただけると助かります。
ご自身では、保険は万が一のときに人生が破綻しないためのもの、と考えておられました。
新車ですが車両保険は不要と考えてます。
ディーラーの保険を断るのは、失礼ですか?
先にお伝えすると、保険をお断りするのは、失礼でも何でもありません。
多くのディーラーは、車を売るかたわらで保険も扱っている、保険会社の代理店です。
※日本損害保険協会「損害保険の解説 Ⅲ②損害保険代理店」(2026年10月に確認)、自動車保険を扱う自動車ディーラーや整備工場は、ほかの仕事と一緒に保険を売る「副業代理店」にあたります。
以前、Xで同じようなお話をいただいたとき、私はこう書いています。
ディーラーも自動車保険に加入していただけるのは嬉しいですが、できないからと謝ること全然ないですよ😆
保険に入りたいと思っていただけなかったのなら、お店の側に、そう思っていただけるだけの魅力が足りなかった、ということでもあります(笑)。
営業をしていたころは、ほかの保険会社やネット保険に負けることも、ときどきありました。
はっきり言っていただけるのも、お店としては、ある意味助かります。
お店が保険をすすめるのは、悪気があるわけではなく、「せっかくならこちらもご案内しておかないと」という気持ちもあってのことです。
お店で入る保険にも、良さがあります
お店は契約の中身を分かっているので、事故のときに代車の手配を先回りしたり、修理か乗り換えか、保険を使うか使わないかの相談に具体的に乗ったりできます。
事故の日に、顔の見える担当者さんに電話できるのは、金額には表れない価値です。
事故のとき、自分で保険会社に電話をして手続きを進められるなら、ネット保険で節約できます。
誰かに間に入ってほしい、相談できる人がいてほしいなら、お店の保険を続ける価値もあります。
2つの保険の差額で何を買っているのかは、こちらでくわしくお話ししています。
反対に、事故のときの対応に不満があって、保険会社そのものを変えたい方は、こちらをどうぞ。
いつ、何と伝える? 商談のときと、申し込みが済んだとき
ご相談者さまも、ほかの方へのお返事で、「なかなか面と向かっては断りづらいこともあるので事前に準備してから行きます」と書いておられました。
準備しておくのは、伝える言葉と順番です。
商談では「保険は自分で手配します」と伝えておく
新車の商談や、納車の前の手続きでは、保険をどうするか聞かれることがあります。
そのときは、「保険は自分で手配します」と伝えておきます。
まだ決めていない段階で相談の形で話すと、お店としては、もう一度ご案内したくなるものです。
納車の日から新しい車でネット保険を使うなら、申し込みや入れ替えの手続きに車台番号などが要るので、分かりしだい教えてもらえるよう、そのときに一緒にお願いしておくとスムーズです。
※ソニー損保「契約車両の変更(車両入替)ガイド」(2026年10月に確認)、新しい車への入れ替えで、納車前で車検証が手元にないときは、型式・車名・初度登録年月・登録番号・車台番号・所有者を販売店に確かめるよう案内しています。
申し込みが済んだら「入りました」とご報告
ネット保険の申し込みが済み、完了のメールが届いたら、お店に「入りました」とお伝えします。
2026年の別のご相談では、こうお答えしています。
「相談」ではなく「決定事項の報告」として伝えるのが、最もスムーズでトラブルになりにくい方法です。
伝えることは、次の3つで足ります。
- 新しい保険の申し込みが、もう済んでいること
- 理由は、家計の見直しであること
- 点検や車検は、これからもお願いしたいこと
申し込みが済んでいると聞けば、お店も、それ以上ご案内しなくてよいと分かります。
家計の見直しという理由なら、担当者さんのせいではないことも伝わります。
点検や車検をお願いすると伝えれば、お店とのお付き合いは、これからも続いていきます。
初めてこのご相談に記事でお答えしたときも、「普通にネット保険に乗り換えると言えば、大丈夫ですよ」と書き、「最低限のことに備えたいので、こちらにします」とお気持ちを伝えればいい、とお答えしています。
今の保険を満期でやめるなら「次回の更新はしません」と添えるだけ
お店で入っている今の保険を満期でやめるなら、「入りました」とお伝えするときに、「次回の更新はしません」と添えるだけで済むことが多いです。
満期の前にやめる場合は、解約の書類に署名が必要になることがあり、やめる日は、新しい保険の始まる日と同じ日付にそろえます。
※アクサ損保「代理店型自動車保険からの乗り換えガイド」(2026年10月に確認)、今の保険の解約日と新しい保険の始期日が同じ日でないと、補償のない期間や重なる期間ができ、等級を引き継げない場合があります。
替えるのは納車の日? それとも、今の保険の満期?
ご相談者さまは、今の車の保険も、同じお店で入っておられます。
新しい車が7月に届くとき、ネット保険に替える日は、今の保険の満期と納車の日の、どちらが先に来るかで変わります。
基本は、今の保険の満期の日にそろえます
等級も、戻ってくる保険料も損が出にくいのは、今の保険の満期の日に、新しい保険が始まるようにそろえる形です。
お店で入る代理店型から、ネット保険に移っても、等級(無事故を続けるほど上がっていく割引のランク)は引き継げます。
満期の日と、新しい保険の始まる日のあいだは、空けないようにします。
※三井住友海上「自動車保険の等級は引継ぎできるの?」(2026年10月に確認)、新しい契約の始まりが、前の契約の満期日か解約日の翌日から8日以上空くと、原則として等級は6等級に戻ります。
満期が納車より先に来るなら、満期の日にネット保険へ移り、納車の日が決まったら、納車の日から新しい車に切り替わるように、ネット保険の側で前もって入れ替えの手続きを済ませておきます。
※ソニー損保「契約車両の変更(車両入替)ガイド」(2026年10月に確認)、入れ替えの手続きは納車の前に済ませ、納車日を設定しておくと、納車と同時に補償が新しい車に切り替わります。
満期より先に納車が来るときは、2つの道があります
納車が1〜2か月先に決まっているなら、満期を待たずに替えるとしても、今の車のうちに替えるより、新しい車が届く日に合わせるほうが、入れ替えの手間が1回減ります。
満期より先に新しい車が届くときは、次のどちらかになります。
1つ目は、納車の日にネット保険に替えて、今の保険を同じ日付で途中解約する道です。
等級の上がる時期が遅れることがあり、戻ってくる保険料も日割りより少なくなることがあります。
※三井住友海上「自動車保険の乗り換え(切り替え)タイミングと手続方法」(2026年10月に確認)、今の契約が無事故で保険期間が1年の場合、途中で解約すると満期で乗り換えるより等級の上がる時期が遅くなり、20等級なら影響はありません。
1つ目の道を選ぶなら、「入りました」とお伝えするときに、今の保険の解約日を納車の日にしてほしいと、あわせてお願いしておきます。
納車の日がずれたときは、ネット保険の始まる日と、今の保険の解約日を、両方そろえて動かします。
2つ目は、今の保険のまま新しい車に入れ替えて、満期の日にネット保険へ移る道です。
車を買い替えたときに、今の契約を新しい車に移して続ける手続きを、「車両入替」といいます。
※日本損害保険協会「損害保険Q&A くるまの保険 問24」(2026年10月に確認)、車両入替の手続きをしないと、入れ替えたあとの車の事故には保険金が支払われません。
2つ目の道を選ぶなら、「保険は自分で手配します」と伝えるときに、「満期までは、今の保険の車両入替をお願いします」と一緒に伝えておくと、納車の日から、今の保険が新しい車に移ります。
等級は遅れませんが、満期までは、お店の保険料を払い続けることになります。
どちらが得かは、満期までの月数と、今の等級で変わります。
納車の日に間に合わせる段取りと、間に合わないときのつなぎ方は、こちらでお話ししています。
どこの保険がいい? 毎日は使わず遠出もしないなら、値段重視で大丈夫です
2つ目のご質問は、どこの保険がおすすめか、でした。
当時、私はこうお答えしています。
何を重視するのかで、おすすめの保険会社は変わってきます。
ディーラーのようなタイプがオススメの方もいれば、ネット保険の中でも、補償重視、値段重視、バランス、色々あります。
例えば、毎日使わない、遠出はしないというなら、値段重視で良いのではないでしょうか?
ご相談者さまからは、通勤には使わず、長距離の予定もないので、最低限の補償を確保しつつ値段重視で考えてみる、とお返事をいただきました。
事故やトラブルに遭う機会も少なめになるので、値段重視で無駄なく入れるといいですね、とお答えしました。
選び方は、一括見積もりで値段の安い数社に絞り、その会社のホームページで本格的に見積もる、という順番です。
同じ条件でも、人によって安く出る会社がまったく変わるので、1社の名前は挙げられません。
私が実際に入ったことのあるネット保険も、2社だけです。
候補が並んで差が小さいときは、値段を8割くらいの決め手にする感覚で決めてしまって大丈夫です。
一括見積もりの申し込み方と、申し込む前に知っておきたいことは、画像つきでこちらにまとめています。
「一番選ばれている」という言葉に迷ったときは、その「No.1」が何の1位なのかを、こちらで確かめています。
決める前に、長年お世話になっている担当者さんへ、見直しをどう頼めばいいか迷う方は、こちらもどうぞ。
「アフィリエイトが多くて…」への、正直なお答え
ご相談者さまは、ネットで調べると、アフィリエイト(紹介料をいただく広告)が多くて…と書いておられました。
じつは、このブログにも、広告と、紹介料をいただくリンクがあります。
そのうえで、紹介料をいただけるかどうかで、記事の結論は変えないと決めています。
広告を気にせずに仕組みから知りたいときは、日本損害保険協会の「損害保険Q&A」が、会社の名前を出さずに説明しています。
ご相談者さまも、あとのお返事で「アフィリエイトが悪いとは思ってませんので誤解なきようお願いします」と書いてくださいました。
最低限で選ぶときに、残しておきたい補償
値段重視で最低限にするときも、残しておきたいものがあります。
- 対人・対物の賠償は無制限
- 人身傷害(車に乗っている家族のケガにも備えます)
- ロードサービス
- 弁護士費用の特約
対人・対物の無制限を土台にして、残したい補償をそろえた形なら、保険料の安さで選んでも、大失敗はしません。
9月から赤ちゃんを乗せるなら、乗っている人のケガに備える人身傷害は、外さずに残しておくと安心です。
※日本損害保険協会「損害保険Q&A くるまの保険 問11」(2026年10月に確認)、人身傷害保険は契約した車に乗っている人も補償の対象で、範囲は契約の内容によって違います。
運転するのがご夫婦だけなら、運転する人の範囲を「本人と配偶者」にしておくと、保険料を抑えられます。
最低限にするとき、どこを残してどこを削るかは、こちらのチェックリストにまとめています。
入ってみて気になったこと ネット保険は「自分で選ぶ」保険です
3つ目のご質問は、実際に入ってみて気になったこと、でした。
私も2023年に、妻に車を譲ったときに、わが家の保険を一括見積もりで見直して、代理店型からネット保険へ切り替えました。
遠出はしない使い方だったので、ネット保険の安さと補償の中身が合っていました。
ネット保険の注意点を1つ挙げるなら、補償の中身を自分で選ぶ保険だということです。
必要なものが抜けていても、代理店の担当者さんのように気づいて教えてくれる人は、ネット保険にはいません。
それでも、確率は小さいけれど起きたら家計が立て直せない損失に備える、という考え方で選べば、大きく外すことはありません。
故障のときの代車も、確かめておきたいところです
もう1つ確かめておきたいのが、故障で動かなくなったときの代車です。
代車の費用が、事故のときだけでなく故障のときまで出るかは、会社と契約の中身によって違います。
新車のうちは出番が少なくても、長く乗るほど役に立つ補償なので、保険を選ぶときに付けられるかを見ておくと安心です。
なぜ古い車ほど役に立つのかは、こちらでお話ししています。
新車でも、車両保険は外していい?
最後は、新車でも車両保険は要らない、というご相談者さまのお考えについてです。
車両保険を外してよいかどうかは、「全損になっても、貯金で買い直せるか」が前提になります。
壊れて全損になっても支払いに困らない車に乗っていれば、外してかまいません。
最悪、車がなくなっても割り切れる、すぐに乗り替えられる、という場合も同じです。
ご相談者さまは一括で買われているので、車を失ってローンだけが残る、という心配はありません。
ただ、新車のソリオは、買ったばかりのいまが、いちばん値段の高い時期です。
全損でも買い直せると思えないなら、免責金額(事故のときに自分で払う分)を大きくして、保険料を抑えて付ける方法から始めるのがおすすめです。
新車のうちだけ付けて、4〜5年たって車の値段が下がってきたら外せば、損は小さくできます。
付けるなら、新車特約も一緒に
車両保険を付けるなら、新車特約も一緒に確かめておきたいところです。
車両保険にセットで付ける特約で、たとえば400万円の車なら、修理代が200万円を超えるような大きな事故のときに、全損として扱われ、新しい車に買い直すお金が出ます。
営業をしていたころは、新しい車しか入れない特約なので、お店で保険に入っていただく新車のお客様には、欠かさずおすすめしていました。
ソリオのように価格の手ごろな車ほど、出番の多い特約です。
※日本損害保険協会「損害保険Q&A くるまの保険 問16」(2026年10月に確認)、新車特約は、初度登録から各社が決めた期間の中に保険期間の末日があることなどが、付けるときの条件です。
車両保険を外すと、新車特約も一緒に付けられなくなります。
車両保険は、途中から付けにくい会社もあります。
※三井住友海上 よくあるご質問「Webサイトでの契約内容変更手続きで新たに車両保険をセットすることはできますか」(2026年10月に確認)、車両保険が付いていない契約は、ウェブの手続きでは途中から追加できず、車の入れ替えのときなら付けられます。
付けるか外すかは、新しい車に替えるときに決めておくと、あとで困りません。
9月にご家族が増えるこの時期に、ご夫婦で一度話しておくと、納得して決められると思います。
外すかどうかを決めるまでの手順は、こちらで5つに分けてお話ししています。
まとめ
ディーラーで勧められた保険は、謝らずに、はっきりお断りして大丈夫です。
商談では自分で手配すると伝え、ネット保険の申し込みが済んだら、点検や車検のお願いと一緒にご報告します。
替えるのは今の保険の満期の日が基本で、納車が先なら、納車の日にネット保険を始めて今の保険を同じ日付で途中解約するか、車両入替で満期まで待つかを選びます。
どこの保険にするかは、一括見積もりで数社に絞ってから、各社のホームページで見積もって決めます。
新車の車両保険は、全損でも買い直せるなら外し、迷うなら免責を大きくして新車のうちだけ、新車特約と一緒に付けます。
💡 自動車保険は、年に1回の見直しが大切 複数社の保険料を、まとめて比較できます。
ご相談者さまの、その後
ご相談者さまは、ほかの方へのお返事で、こうも書いておられました。
いろいろ調べて知識武装したらディーラーもそこまで怖がる必要がないと感じました。
私のお返事には、「ご丁寧にありがとうございました。」と結んでくださいました。
どの保険に決められたかまでは、伺っていません。
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