著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

職場が変わることになって、通勤の距離がぐんと伸びる。

毎日、往復で40kmほど。

いま乗っているのは、家族みんなで出かけるための大きめの車です。

あの車で毎日走るのかと思うと、なんだか、もったいない気がしてくる。

だったら、通勤用に安い中古車をもう1台——。

✅ 結論からお伝えします

「いい車で毎日走るのは、もったいない」という感覚は、そのとおりです。

ただ、その「もったいない」を消すために車を1台増やすと、出ていくお金はもっと大きくなります。

増えるのは車の値段だけではなく、税金も保険も車検も、そして手間も、まるまる1台ぶん増えるからです。

残価設定ローン(残クレ)の走行距離オーバーも、いま何かを取られる話ではありません。

まずは、いまの2台のまま1〜2ヶ月走ってみてはいかがでしょうか。

そしてそのあいだに、保険会社へ「通勤で使うようになりました」と伝えておきましょう。

それでも変えたくなったら、増やすのではなく、いまの2台のどちらかを入れ替えるほうが軽く済みます。

まずは、いただいたご相談です

職場が変わることになり、片道20kmほど(往復で40km)の車通勤になりそうです。

通勤が、10分から60分になります。

けれど、人格を否定され続けるよりは、ずっと楽しめる職場なので、頑張りたいと思っています。

いま乗っているのはトヨタのヴォクシーで、残価設定ローン(残クレ)で購入しました。

購入したときは知識もなく、勧められるがままに契約してしまい、あと3年ぶんの月々の支払いと、120万円ほどの残価が残っています。

走行距離の話も全然知らずに旅行にも乗り回していたので、かなり距離もオーバーします。

妻はトヨタのルーミーに乗っていて、こちらは支払いが残っていません。

子どもは3人います。

ヴォクシーは残したいと思っています。

通勤用に中古車を購入するか、それとも今のヴォクシーで通勤するか、悩んでいます。

ヴォクシーとルーミーの2台。

お子さんが3人いらっしゃるのであれば、とても良い組み合わせだと思います。

その組み合わせを崩さずに、新しい通勤をどう受けとめるか。

一緒に考えていきましょう。

もったいないのは、じつはどちらでしょう

「家族で出かけるための車を、毎日の通勤ですり減らすのはもったいない」

この感覚は、私もよく分かります。

距離が増えれば、そのぶん車は早く年を取っていきますし、燃費が良いほうの車でもありませんから、ガソリン代も増えます。

通勤車をもう1台持ったほうがいいのか、それとも今の車のままで行くのか。

ここでいったん、比べる相手を変えてみます。

「いい車で毎日走ること」と、「車をもう1台増やすこと」。

もったいないのは、どちらでしょうか。

私の考え方をお伝えすると、車は、買えば買うほどお金がかかってしまうものです。

当たり前に聞こえるかもしれませんが、これが大原則なんですね。

3台目を買うと、次のものが、まるまる1台分増えます。

  • 車両の購入費用(ローンを組むなら、その金利も)
  • 自動車保険料
  • 自動車税と重量税
  • 車検と点検、そのつどの整備費用
  • 駐車場代(もう1台ぶん必要になるなら)

そして、増えるのはお金だけではありません。

給油に行く回数、タイヤの空気圧を見る手間、車検の時期を覚えておくこと、保険の更新のはがきを開いて中身を確かめること。

1台ぶんの「気にかけること」が、そのまま増えます。

仕事が変わったばかりで生活が落ち着かない時期に、これが1台ぶん増えるのは、地味に効いてきます。

ピゴス
ピゴス

私自身も、環境が変わると、つい新しい車に乗り替えたくなっちゃうんですよね(笑)

でも結局のところ、今ある車を長く大切に乗るのが、いちばん損が少ないなと感じています。

通勤用の1台を、「年でいくら」に直してみます

「燃費の良い軽を通勤専用にすれば、その差額で購入費用もペイできるのでは?」

そう考えるお気持ちも、よく分かります。

ここは、ガソリン代の差ではなく、「年でいくら」に直してみると見えやすくなります。

たとえば、通勤用に50万円ほどの中古車を買ったとします。

そして今回のご相談者さまは、「中古車は2〜3年ほど、なんとか乗れれば」と考えておられました。

50万円を3年で割ると、1年あたり17万円ほど。

ここに、保険と税金と車検と整備が、1台ぶん乗ってきます。

では、燃費の差でどれくらい浮くのでしょうか。

往復40kmを月に20日ほど走るとして、大きめの車と燃費の良い軽の差で浮くガソリン代は、月に数千円ほどというのが私の感覚です。

年に直しても、数万円といったところ。

1年で17万円のほうには、なかなか届きません。

ちなみに、同じ年割りで長く乗る側を見ると、こうなります。

100万円ほどの程度の良い車を10年乗れたとしたら、1年あたり10万円ほど。

高い買い物に見えて、長い目で見ると安く、しかも故障のストレスが少ない。

車のお金は、こういうふうに動きます。

※ 車種・燃費・ガソリンの価格・走り方で大きく変わりますので、あくまで一例です。

それに、「2〜3年なんとか乗れれば」で車を選ぶときには、もうひとつ気をつけたいことがあります。

20万円から40万円ほどで買える車は、だいたい13年から18年落ちです。

つまり、その車の寿命のいちばん最後のところを買っている、ということになります。

人間でいうと、ご高齢の方に「まだまだ元気に働いて」とお願いしているようなもので……。

2〜3年で次々に故障が出るのは、値段のせいでも、運が悪かったせいでもなく、そういう時期の車だったから、なんですね。

もちろん、「いろいろな車に乗ってみたい」「車が好きで、楽しみたい」という気持ちがあるなら、話は別です。

そこは損得だけの話ではありませんから、増やすのも立派な選択だと思います。

車にかかるお金の全体像を先に押さえておきたい方は、こちらもあわせてどうぞ。

【まずはマネするだけ!】「スプシ付き」車購入の失敗しない予算の決め方を解説車の予算、何となくで決めていませんか?購入費+維持費を見える化するスプレッドシート付きで、失敗しない予算の決め方を、元ディーラー営業×元1級整備士が紹介します。...

走行距離のオーバーは、いま何かを取られる話ではありません

とくに気になっておられるのが、残クレの走行距離オーバーかもしれません。

「このまま通勤で使ったら、ますます距離が延びて、最後に精算を求められるのでは」と。

この心配は、こう考えてみてはどうでしょうか。

精算が起きるのは、返すときと、乗り換えるときです

走行距離の超過を精算するのは、ローンが終わったときに車を「返す」か、そのまま下取りに出して「乗り換える」場合です。

いま、何かを取られるわけではありません。

つまりこれは、3年後の話なんですね。

買い取ってしまえば、超過の精算はありません

ローンが終わるときには、据え置いてある残価(今回は120万円ほど)を支払って、自分の車にしてしまう道もあります。

この場合は、走行距離がどれだけオーバーしていても、基本的に精算はありません。

買い取ってそのまま乗り続けることもできますし、買い取ったあとで買取店に売ることもできます。

このご相談には、別の車屋さんも回答してくださっていました。

その方の見立ては、ご相談者さまのお車なら「まず残債を上回ります」というものでした。

ただ、その方ご自身も書いておられたとおり、査定額は色・走行距離・傷の状態で変わりますから、そのままご自分の車に当てはめるのは危ないです。

実際にいくらになるかは、査定に出してみないと分かりません。

3年後の精算金と、いまから増える出費

3年後に発生するかもしれない精算金と、いますぐ3台目を買って維持していく出費。

どちらが大きくなりそうかというと、おそらく後者です。

まだ起きていない精算を心配して、いまから出ていくお金のほうを先に増やしてしまう。

これは、お金の面ではもったいない動き方だと、私は思います。

ローンが終わるときにどうするかは、そのときに決めれば十分です。

残クレを途中でやめる話や、ローンが残っている車の売却については、こちらで詳しくまとめています。

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まず、いまの2台のまま1〜2ヶ月走ってみてください

では、具体的にどうするか。

私のおすすめは、まず、いまのヴォクシーで新しい通勤を始めてみることです。

頭の中でいくら計算しても、実際に走ってみないと分からないことがあります。

逆に言うと、1〜2ヶ月走れば、答えのほうから出てきてくれます。

見ておきたいのは、この4つです。

  • ガソリン代が、実際に月いくら増えたか(給油のレシートを1ヶ月ぶん取っておくだけで分かります)
  • 給油に行く回数が、生活の負担になっていないか
  • 帰り道のあと、次の日まで疲れが残っているか
  • 通勤路の道幅や職場の駐車場で、大きさに困る場面がないか

「今のところはこの2台で生活してみて、何か問題が出てきたら対応する」。

このくらいの構えで、まずは十分だと思います。

通勤車を別に持つかどうかは、そのあとで決めても遅くありません。

ただし、毎日の距離がもっと長かったり、お車が仕事の道具にもなっている場合は、考え方が少し変わってきます。

そのときの選び方は、こちらでお話ししています。

毎日高速で長距離を走る車、買い替えは必要?安さより疲れにくさで選んでいい
長距離通勤の車は買い替える?毎日高速を走る仕事の車は安さより疲れにくさで選んでいい毎日高速で長距離を走り、仕事の機材も積む車の買い替え。いまの車がその使い方に合っていることがあります。自動車税も燃費も思ったほど変わらない理由、削っていい装備と削らないほうがいい装備、買い替えるならワゴンのハイブリッドまで。...

ご相談者さまは、答えをご自分で見つけられました

このご相談には、続きがあります。

私がお返事をする前に、ご相談者さまご自身が、こう書いておられたんです。

お話を聞いて、逆に妻のルーミー(支払いは特になし)を売って、ハイブリッドのコンパクトカーにしたらいいのではないかと、選択肢に入ってきました。

まず査定からしてみようかなと思います。

3台に増やすのではなく、いまある2台のうち、支払いの残っていないほうを入れ替える。

この入れ替え案は、私が差し上げたものではなくて、やりとりのなかで、ご本人が見つけられた道です。

台数は2台のまま。

通勤に使える燃費の良い車が手に入って、家族用のヴォクシーもそのまま残せる。

きれいな解き方だと思います。

ただ、乗り換えるほうも、元を取るのは簡単ではありません

ひとつだけ、正直にお伝えしておきたいことがあります。

私がこのご相談にお答えしたときに、こうお伝えしていました。

増車で3台にする、燃費の良い車に乗り換える、という点で、掛かる費用の元を取るのは難しいものです。

3台に増やすのと、2台のまま入れ替えるのとでは、たしかに増える出費が違います。

入れ替えなら、税金も保険も車検も1台ぶんのままですから、勝負するのは「ハイブリッドの割高な分を、浮いた燃料代で取り返せるか」だけになります。

ハイブリッド車は、年に1万kmくらい走らないと、その割高な分を取り返しにくいと言われます。

往復40kmを月に20日ほどなら、月におよそ800km、年におよそ1万km。

ちょうど、その勝負ができる線ではあります。

ただ、「取り返せます」と言い切れるほど、車の値段と燃費は単純ではありません。

あくまで私の感覚ですが、乗り換えそのものでプラスになるというより、毎日の給油が減って楽になるぶんのほうが大きいのではないかと思います。

もし入れ替えるなら、欲張らないのがコツです

買い替える中古車にお金をかけすぎると、入れ替える意味が薄れてしまいます。

支払いの残っていない車を手放して、また支払いのある車に乗るのでは、順番が逆になってしまいますよね。

そして、車でいちばんお金が減る瞬間は、じつは「乗り換え」のときです。

乗り換えのたびにかかる諸費用と、そのあいだに進んだ車の値下がり。

だから、損しないためのコツは、とてもシンプルなんです。

乗り換える回数を減らすこと、つまり、1台を長く大切に乗ること。

アクアやフィットのような、燃費の良いコンパクトカーやハイブリッド車も含めて、ジャンル別のおすすめ中古車は、こちらで見ていただけます。

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💡 いまの愛車を、手放すと決めたら

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通勤で使い始める前に、保険会社に伝えることがあります

保険の話は、3台目を買っても買わなくても出てくる話です。

自動車保険には「使用目的」という項目があって、3つに分かれています。

  • 日常・レジャー(休みの日の買い物や送迎など)
  • 通勤・通学(仕事や学校へ、車で行く)
  • 業務(仕事中に、自分の車を使う)

これまで家族のお出かけが中心だったお車を、これから毎日の通勤に使う。

つまり、使用目的が変わるということなんですね。

目安になるのは、月に何日その車で通うか、です。

通勤で使うのが、年間を通じて平均で月15日未満なら、日常・レジャーのままで大丈夫なことが多いです。

逆に、週5日で通うなら月20日ほどになりますから、通勤・通学のほうへ変わります。

※ 大手の保険会社の公式の説明では、年間を通じて平均で月15日以上使う場合が、通勤・通学にあたります(2026年9月に確認)。

※ 保険会社によって扱いが少し変わることがあります。

正直にお伝えすると、使用目的が通勤・通学に変わると、保険料は上がる方向です。

それでも先にお伝えするのは、伝えないまま毎日の通勤で使うほうが、あとで困る側だからです。

微妙だなと思ったら、ご自分の使い方をそのまま保険会社に伝えて、どちらになるか聞いてみてはいかがでしょうか。

判断してもらったほうが、ずっと安心です。

保険料が何で決まるのかを先に知っておくと、この話はもっと分かりやすくなります。

【自動車保険の見積もり前に!】まずは知っておくべき保険料を決める7つの要素自動車保険の見積もり前に知っておきたい、保険料を決める7つの要素。運転者の範囲や等級などを、元ディーラー営業がやさしく整理。ムダなく見直す土台が作れます。...

そして、ここはひとつのチャンスでもあります。

保険料が上がるタイミングというのは、他の会社と比べてみる、ちょうどいい機会でもあるんですね。

どうせ条件を伝え直すのですから、そのついでに、いくつか見積もりを取ってみる。

2台ぶんまとめて見直すと、上がった分がそのまま消えてしまうこともあります。

自動車保険、年に1回の見直しで年間3万円の節約に成功|10分でできる比較方法 年に1回の更新タイミングや、車が変わったタイミングは、自動車保険を見直す絶好のチャンスです。 私自身、見直しで年間55,000円...

どうにもならないときは、買い替えて心機一転でもいいんです

ここまで「増やさない」「まずは今のまま」とお話ししてきましたが、最後にひとつだけ。

どうにもならないときは、買い替えをして、心機一転、新しい生活とカーライフを始めるのも良いと思います。

車の話は、いつも損得だけで決まるものではありません。

これから毎日、その車で60分かけて通うんです。

それがしんどくてたまらないのなら、数字がどうであれ、変えたほうがいいときもあります。

逆に、いろいろな車に乗りたいという気持ちがとくにないのであれば、今ある車を長い期間大切に乗ることで、じっくりと損しない選択肢を選ぶことができます。

それと、これも大事なところです。

転職のタイミングは、何かと忙しくて、気持ちも落ち着かない時期です。

そんなときに、大きな買い物を急いで決めなくて大丈夫です。

車は、その気になれば1ヶ月もあれば買えます。

新しい仕事に慣れて、通勤の実態が見えてきてから決めても、まったく遅くありません。

まとめ:増やす前に、いまの2台でできることがあります

転職で通勤の距離が伸びたときの考え方を、まとめると次のとおりです。

  • 「いい車で毎日走るのはもったいない」はそのとおり。でも1台増やすほうが、出ていくお金は大きくなりやすい
  • 通勤用の中古車は「年でいくら」に直して見る。2〜3年で乗り換える前提なら、燃費の差では追いつきにくい
  • 残クレの走行距離オーバーは、いま何かを取られる話ではない。最後に買い取れば、超過の精算は基本的にない
  • まずは、いまの2台のまま1〜2ヶ月。ガソリン代・給油の回数・帰り道の疲れを見てから決める
  • 増やすより、支払いの残っていないほうを入れ替えるほうが、増える出費は小さい。ただし乗り換えで元を取るのは簡単ではない
  • 通勤で使い始めるなら、保険の使用目的を保険会社に伝える。上がる方向だからこそ、比べてみるタイミングでもある
ピゴス
ピゴス

新しい職場での毎日が、いい形で始まりますように。

今回の転職が、ますます良い人生のきっかけになりますように。

通勤の車選びで疑問や不安ある場合は、このページ下の「コメント欄」からお気軽にどうぞ(ニックネームもメールアドレスも要りません)。

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、記事の下のコメント欄でいつでも承っております。ニックネームもメールアドレスも要りませんので、お気軽にどうぞ!