著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

🤔「そろそろ愛車を手放そうかな…」

🌀「試しにネットのAI査定をやってみたら、32万円って出たけど…うーん、もうちょっと高くならないかな?」

売るときに出てくる最初の数字は、あくまで目安のひとつです。

そこから、少しの手間でグッと変わることがあります。

ただ、いざ査定の場に立つと、多くの方が同じところで手が止まります。

「その金額、こちらから言っていいのかな?」

✅ 結論からお伝えします

いま手元にある査定額は、ご自分の胸の中に置いたままにしておくほうが、伸びやすいです。

こちらから先に数字を出すと、その額が「上限」として扱われてしまうことがあります。

ただし、言う・言わないの答えは「何社集まったか」で変わります。

5社そろったなら、金額は競争が勝手に働きます。

1〜2社しか来ないときこそ、こちらから相場観を伝えることが効いてきます。

きっかけは、デミオの売却を考える読者の方からのご相談

まずは、今回いただいたご相談の内容です。

マツダデミオを手放そうと考えています。

ネットのAI査定では32万円でした。

少し時間を使ってもいいので、買取額を上げたいのです。

大手中古車買取業者に相見積もりを取っていくことしか思いつかないのですが、何かコツなどはありますでしょうか?

また、近所で大手買取店が新規開店するのですが、こういったタイミングは買取額が上がったりするのでしょうか?

まず査定額を出してみる、という行動が素晴らしいです。

32万円という基準ができたうえで、「もっと高く」と考えるのは、高く売るための第一歩ですね。

おっしゃるとおり相見積もりは基本ですが、そのうえで効いてくることが、いくつかあります。

🔧 ピゴスより:その数字は、言わないほうが伸びます

AI査定で出た32万円は、あくまでスタート地点の目安です。

ところが、この金額を最初に見せてしまうと、「じゃあ33万円で」と、その少し上で止まってしまうことがあります。

下限のつもりで出した数字が、そのまま天井になってしまうんですね。

この記事では、そこを詳しくお話しします。

まず、比べる相手を増やす

数字の出し方の前に、土台の話をひとつだけ。

1社だけでは、その金額が高いのか安いのか、誰にも分かりません。

比べる相手を増やすところから始めます。

私がご相談を受けるときにお伝えしているのは、大きく3つの方法です。

①同じ日に集めて、その場で競ってもらう

ネットで申し込むと、あなたの車に高値を付けそうな買取店さんから連絡が来ます。

最大20社が入札し、実際に連絡が来るのは高額査定の上位3社という仕組みです。

※ タイミングなどにより、連絡が1社・2社になることもあります。

この仕組みの良いところは、「同じ日時・同じ場所」に来てもらう形を作りやすいことです。

目の前で競い合う形になるので、一発勝負で最高額を引き出しやすくなります。

手間も時間も、比較的少なく済みます。

一方で、その場の交渉が苦手な方には、少しプレッシャーに感じるかもしれません。

申し込みのあとの電話が苦手な方にも、多少の負担はあります。

ただ連絡が来るのは上位数社に絞られるので、一般的な一括査定よりは軽いとも言えます。

この形をふくめて、愛車の価値をどう引き出すかは、こちらにまとめています。

今の車、いくらで売れる?愛車の価値を最大化する方法 車を乗り替えるか迷っている方、まずは車の価値を最大化する方法を知るだけでも、次のカーライフの計画がぐっと立てやすくなり、損せずに進める...

そして「同じ日に集めて、その場で決める」の具体的な進め方は、こちらで詳しくお話ししています。

車の査定はその場で決めると先に伝える|後からの交渉は伸びにくい
査定は「その場で決める」と先に伝える 後から交渉しても、金額は伸びにくいです一括査定は同じ日に集めて、その場で決めるのが基本です。後から交渉しても金額が伸びにくい理由、名刺の裏に書いてもらう本当の意味、その場で揺さぶられたときの対処を、元ディーラー営業が解説します。...

②オークション型:全国の買取店さんが入札する

提携している場所で待ち合わせをして、査定は1回だけ。

その査定情報をもとに、全国の多くの買取店さんがオンラインで入札し、あなたはその結果を見て売却先を決めます。

直接の交渉は基本的になく、サービス側が間に入ってくれます。

電話ラッシュや面倒な駆け引きが一切ないのが、大きな利点です。

全国の相場が反映されるので、思わぬ高値がつくこともあります。

ただし遠方へ売却することもあるため、書類のやり取りや、車が手を離れて入金されるまでに時間がかかります。

地元の一括査定なら最短即日で手放せますが、こちらは2週間ほどは見ておくと安心です。

※ 仕組みや所要日数はサービスによって違いますし、変わることもあります。

※ 申し込む前に、いまの流れを公式サイトでご確認ください。

ピゴス
ピゴス

実はこのオークション型、私自身もMX-30を手放すときに使いました。

1回目は、希望額を欲張りすぎて、入札は入ったのに届かず、成立しませんでした。

そのあと、納得のいく金額で売却できました。

しっかり売れますし、相場を知る意味でも一度試してみる価値はありますよ。

③個人間売買サービス:中間マージンがない

フリマアプリのように、個人どうしで車を売買するWEBサービスです。

間にお店が入らないぶん、理屈のうえではいちばん高く売れる可能性があります。

出品や手続きはサービスがサポートしてくれるので、個人売買の不安はある程度やわらぎます。

一方で、すぐに売れるとは限らず、いつまでも残ってしまうこともあります。

出品のための査定や写真撮影など、段取りにも少し手間がかかります。

ただ、大手の買取店さんと提携していて、その相場で買い取ってもらえる保証(条件あり)が付いているので、その金額で納得すればすぐに売却もできます。

※ 提携先や保証の条件はサービスによって違いますし、変わることもあります。

※ 出品する前に、いまの条件を公式サイトでご確認ください。

もし、ご家族や知り合いとのやり取りを考えているのであれば、注意する点が少し変わります。

そちらはこちらにまとめました。

【家族・知人に車を譲る?】確かにお得だけど、意外と繊細。「揉めない個人売買」の進め方家族や知人との車の売り買い(個人売買)は、お店の利益が乗らないぶん一番オトク。でも保証・金額決め・名義変更・人間関係と、実は繊細な取引です。義父に車を譲った実体験と私の失敗談から、揉めない段取りを解説します。...

3つを並べると、こんな感じです。

方法高値の狙いやすさ手間とスピード
同じ日に集めて競ってもらう◎ 目の前で競うので一発勝負○ 上位数社・比較的スピーディ
オークション型○ 全国が入札・思わぬ高値も△ 電話はないが2週間ほど
個人間売買◎ 中間マージンなしで最高値も△ 売れ残ることも・段取りに手間

なお、この3つ以外にも、手放し方そのものにはいくつか道があります。

値段がつかないと言われた車も含めて、選択肢を並べて比べたい方は、こちらをどうぞ。

車を手放す6つの方法|値段がないと思っていた古くて傷のある車が9万円になった売却実例
車を手放す6つの方法|「もう値段はつかない」と思っていた車が9万円に車を手放す方法は下取り・買取専門店・一括査定・同時査定・廃車買取・個人間の6つ。元ディーラー営業が手間とのつり合いで選ぶ考え方を解説。値段はつかないと思われた11年落ちの車が9万円で売れた実例つき(金額は状態で変わります)。...

そのうえで、いちばん迷うのが「金額を、こちらから言うかどうか」

比べる相手がそろったら、次はいよいよ査定の場です。

そこで必ずと言っていいほど聞かれるのが、この一言です。

「おいくらぐらいをお考えですか?」

ここで、多くの方が迷います。

言えば足元を見られそうだし、言わなければ話が進まない気もする。

私の考えをお伝えしますね。

数字を先に出すと、それが「天井」になります

先に結論をお伝えすると、私は「こちらから金額は言わないほうがいい」と考えています。

理由は2つあります。

「じゃあ、その少し上で」で止まってしまう

たとえば32万円という数字を先に出すと、返ってくるのは「では33万円で」だったりします。

こちらは「最低でもこれくらい」のつもりで言っています。

でも受け取るほうからすると、「その少し上を出せば決まる」という情報になるんですね。

下限のつもりの数字が、そのまま上限として働いてしまう。

これが、金額を先に出さないほうがいい、いちばんの理由です。

安く言えば買い叩かれ、高く言えば降りられる

では、少し高めに言えばいいのでしょうか。

それも、うまくいかないことがあります。

高すぎる数字を出すと、「うちでは無理そうだ」と、そもそも本気で見てもらえなくなることがあるからです。

安く言えば買い叩かれる。

高く言えば降りられる。

この2つは、どちらも正しい感覚だと思います。

だからこそ、その中間のちょうどいい数字を探すより、数字は先に言ってもらうほうが安全なんですね。

では、「いくらで売りたいですか?」と聞かれたら

黙り込むわけにもいきませんよね。

私がおすすめしているのは、この2つの言い方です。

「調べたところ、このあたりの相場のようですが、実際どうでしょうか? 少なくともこれ以上はと期待しています」

「本気で売るつもりで、複数社さんに来ていただいています」

どちらも、具体的な金額は言っていません。

狙いは金額を突きつけることではなくて、次の2つだけが伝わることです。

  • 相場観を持っている(何も知らないまま来たわけではない)
  • 冷やかしではない(本気で売るつもりで、時間を作ってもらっている)

この2つが伝わっていれば、あとは競争のほうが仕事をしてくれます。

分からないことは、隠さなくて大丈夫です

もし数字を聞かれて答えに困ったら、こう言ってしまっていいと思います。

「希望はこれぐらいです。私も素人なので、高く言い過ぎていたらすみません」

プロを相手に駆け引きで勝とうとしなくていいんです。

正直に言ってしまったほうが、話は気持ちよく進みます。

本当の最低ラインは、胸の中に1本だけ

そのうえで、ご自分の中には、たった1本だけ線を持っておくのがおすすめです。

この金額を超えたら売る。

超えなければ、売らない。

それだけです。

声に出す必要はありません。

この線が1本あるだけで、その場の空気に流されずに済みます。

ピゴス
ピゴス

私自身、自分のミライースを手放したときは、相場に詳しい方の力を借りて臨みました。

おかげで「この金額なら、損はしてないな」と、余裕を持って対応できたんです。

駆け引きが上手な人が勝つのではなくて、準備をした人が落ち着いていられる。

そういう場だと思っています。

ディーラーで下取りの金額が出ているなら、その金額を、胸の中の1本の線にする方法もあります。

下取りと買取をどう比べて決めるかは、こちらでお話ししています👇

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じつは、答えは「何社集まったか」で変わります

ここまで「数字は言わないほうがいい」とお伝えしてきました。

でも、正確に言うと、少し条件があります。

5社そろったなら、金額は言わなくていい

同じ日に5社以上そろえられたなら、そこから先はほとんど気にしなくて大丈夫です。

その形をつくれた時点で、金額は競争の力で、その車の適正な上限に近づいていきます。

こちらが上手に誘導する必要はありません。

主役は「同じ日に何社そろえたか」のほうで、伝える金額はあくまで補助なんですね。

1〜2社しか来ないときこそ、相場観を伝える

逆に、声をかけたのに1社や2社しか集まらなかった。

こういうときは、話が変わります。

競争の力が働きにくいぶん、ご自分の相場観と、譲れない線を伝えることの重みが増します。

競う相手が少ないぶん、こちらが基準を示さないと、金額が動く理由がなくなってしまうからです。

このときは、さきほどの言い方に「最低でも、これ以上は出していただきたいです」を添えて、ご自身が調べた相場観と一緒に伝えてみてはいかがでしょうか。

そのときの額は、胸の中の線と同じか、それより上に。

社数が足りないときの増やし方は、こちらにまとめています。

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ちなみに、来てもらえない相手を無理に説得しなくても大丈夫です。

日程の合う3〜4社で決めてしまったほうが、気持ちよく進みます。

1位の会社を外したとしても、大きく損をすることはありません。

上位に残った数社は、すでに相場の上のほうで勝負しているからです。

新規開店の買取店は狙い目?

「近所に大手買取店がオープンするんだけど、オープンセールで高く買ってくれたりしないかな?」

これは気になりますよね。

⭕ 期待できる点

オープン直後は、宣伝効果を狙ったり、展示する在庫を確保したかったりして、通常より高めの価格を提示してくれる可能性はあります。

その意味で「試してみる価値はある」と言えます。

🌀 気をつけたい点

逆にオープン直後は非常に忙しく、査定が殺到していると、一人ひとりにじっくり時間をかけて対応できないこともあります。

高く買って食らいついてくるよりも、次のお客さんの対応を優先される、ということも考えられます。

また、個別にお店を回ると、その都度連絡先を聞かれ、後日お礼のハガキや営業の電話がかかってくることもあります。

そこで売らないと決めた場合に、断るのが少し面倒に感じるかもしれません。

これはお店が悪いというより、商売として一生懸命なだけなので、こちらも落ち着いて付き合えば大丈夫です。

私の考えとしては、その新店が行きやすい場所にあるなら、同じ日に呼ぶ1社として加えてみるのはアリだと思います。

ただ「必ず高く買ってくれる」という過度な期待はせず、時間と手間とのバランスで判断しましょう。

まとめ:主役は「何社そろえたか」。数字は、あとから付いてきます

最初に出た査定額から、もうひと声引き出したいとき。

この順番で考えてみてはいかがでしょうか。

  • まず、比べる相手を増やす。1社だけでは高いか安いか分からない
  • こちらから金額を先に出さない。下限のつもりの数字が、そのまま天井になることがある
  • 聞かれたら「調べたところ、このあたりの相場のようですが、実際どうでしょうか」で十分
  • 伝えたいのは「相場観を持っている」「冷やかしではない」の2つだけ
  • 本当の最低ラインは、胸の中に1本だけ持っておく
  • 5社そろえば金額は言わなくていい。1〜2社のときこそ、相場観を伝える
ピゴス
ピゴス

駆け引きが得意でなくても、まったく問題ありません。

同じ日に何社か集めて、正直に「本気で売るつもりです」と伝える。

それだけで、その車の価値はきちんと出てきますよ。

そもそも「AIの査定額や相場は、どこまで信じていいの?」という疑問には、実際にChatGPTへ質問して検証したこちらの記事で答えています。

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💡 いまの愛車を、手放すと決めたら

MOTA車買取なら、先に最大20社が査定額を出して、上位最大3社だけが連絡してきます。

※ 社数と連絡の仕組みはMOTA公式サイトの記載です(2026年9月に確認)。内容は変わることがありますので、申し込みの前に最新の案内をご確認ください

ただし、査定に来てくださる買取店さんも、本気で時間を使ってくださいます。

まだ「金額だけ知りたい」という段階なら、いまは申し込まなくて大丈夫です。

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ご相談者さまの、その後

このご相談には、続きがあります。

お返事のあと、こんな一言をいただきました。

自分の知らない下取りの方法がたくさん知れて驚きました!

せっかくなので、いくつかこの中から試してみたいと思います!

この「知らなかった」という一言が、私にはいちばん嬉しかったんです。

この方はもともと、相見積もりという正しい方法にたどり着いていました。

足りなかったのは、やり方ではなく「ほかにも道がある」と知ることだったんですね。

売却は、知っているか知らないかで金額が変わってしまう場面が、どうしても残ります。

駆け引きが上手かどうかではありません。

だから私は、こういう記事を書いています。

このブログ「ぺんぎんカーライフ」では、ご質問への回答だけでなく、損しないカーライフを送るための記事を書いています。

こちらから、それらの記事をまとめたページに飛べますので、よかったらのぞいてみてください。

【はじめに】損しないカーライフの歩き方|6つの章でわかる車の教科書
【はじめに】損しないカーライフの歩き方|6つの章でわかる車の教科書車の維持費・選び方・買い方・保険・売却までを6つの章で整理した入門まとめ。元1級整備士×元ディーラー営業のピゴスが、20以上の記事で損しないカーライフへの歩き方を案内します。困った時に戻れる入口ページです。...

最新記事のアップも「X」でお伝えしておりますので、よろしければフォローよろしくお願いいたします。

それでは、損しないカーライフをお過ごしください🐧

ABOUT ME
ピゴス
ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、記事の下のコメント欄でいつでも承っております。ニックネームもメールアドレスも要りませんので、お気軽にどうぞ!