著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

転勤の話が、急に決まった。

引っ越し先は、駅もバスもない土地だという。

毎日タクシーで通うわけにもいかないから、車を1台どうにかしないといけない。

でも、動けるのは1ヶ月。

その1ヶ月は、部屋探しと荷造りと手続きで、もう埋まっている。

そんな中で、何十万円もする買い物を、ひとつ決めなければならないんです。

とりあえず安いのを買っておくか。

それとも、せっかくだから欲しかった車にするか。

✅ 結論からお伝えします

急いで車を決めるときの道は、大きく2つあります。

「いま住んでいる場所で、実際に見て買って、転勤先まで運ぶ」

もうひとつは、「向こうでレンタカーを1〜2ヶ月借りて、その間にじっくり探す」

そして、どちらを選ぶかを決めるのは、「陸送費の見積もり」です。

車は実物を見て選べるなら、そのほうが納得のいく1台になりやすいです。

ただ、運ぶ料金しだいで、その答えはひっくり返ります。

実際このご相談では、私の答えが途中でひっくり返りました。

いただいたご相談

4月の転勤が決まって、転勤先で車が必要になった方から、ご質問をいただきました。

転勤先は公共交通機関がなく、このままだと毎日タクシー通勤になってしまう。

通勤は片道7キロくらい。

ご検討中の車は、N-BOX、アトレー、ワゴンR、それとコンパクトカー。

ご予算は、こう書かれていました。

通勤用と割り切るなら車種・色問わず50万以下。

できれば30万以下。

欲しい車だと200万以下。

この振れ幅こそが、この方のいちばんの悩みでした。

さらに、こんなことも書き添えてくださっていました。

  • リセールの良い黒・パール・シルバー系より、「原色(赤・黄)」が好き
  • 引っ越しでは車以外に150万円ほどの出費が確定していて、車への出費は抑えたい
  • それでも、やっと車のある生活ができるので、好きなものに乗りたい気もする
  • 転勤があったら軽バンを買って車中泊仕様にして、あちこち出かけたいと「7年くらい」思い続けていた

そして、買う場所についても迷われていました。

いま住んでいる関東で買えば実車を見られるけれど、陸送費が6万円以上かかりそう。

転勤先で買うなら、現車は見られない。

ネットで先に契約しておいて、荷入れの前後に引き取って、翌日から通勤に使う。

そんな段取りまで、すでに考えていらっしゃいました。

そのうえでの、ご質問がこちらです。

転勤まで1か月くらいしか検討の時間がないため、とりあえず安いのを買っておいて異動後に再検討するか、最初から欲しい車を狙っていくかで決めかねております。

私の最初の答えは「いまの場所で、見て買って、運ぶ」でした

このときお返ししたのは、こういう内容でした。

私なら、今すぐ車を購入して、陸送費を掛けます。

もしくは自走できるなら、車で引っ越し先まで行きます。

見て買えるなら、見て買ったほうがいい

車は見て買えるのであれば、見て買ったほうが満足度の高い買い物ができると思っています。

匂いや内装のくたびれ具合は、写真には写りません。

そして、そういうところほど、買ったあとで直しにくいんです。

大きな買い物に慣れていない方なら、なおさら不安があると思います。

目の見える相手とやり取りしたほうが、買うときも買ったあとも安心感があります。

ネットで買うときに残る、2つの不安

ネット購入には、全国のたくさんの中古車から選べるという大きなメリットがあります。

ネットで買うこと自体が悪いわけでは、まったくありません。

ただ、失敗したときのリスクと、やり取りの煩雑さは、どうしても残ります。

実際に、車が届いてから「思っていたものと違った」「納車まですごく時間がかかった」という話も聞きます。

現車を見られないぶん、状態の把握が難しくなるからです。

自走できる距離なら、荷物と一緒に運ぶ手もあります

自走できる距離の引っ越しなら、車を新しい住まいへ動かすついでに、荷物も運べます。

一石二鳥という考え方ができますよね。

自走できない場合は、ネットで買って陸送費をかけるのではなく、「自分の車になったもの」に陸送費をかける。

これが、私の最初の答えでした。

第三の案は、向こうでレンタカーを1〜2ヶ月借りることでした

もうひとつ、こんな案もお伝えしていました。

引っ越し先で格安のレンタカー会社などを見つけられるなら、引っ越し先ではレンタカーで1〜2ヶ月過ごして、そこでじっくりと車を探されるのもありだと思います。

レンタカー代はかかります。

でもそれは、「急いで決めないための時間」を買うお金です。

1ヶ月しかないという焦りは、車選びといちばん相性が悪いものでして。

いざとなれば借りられると知っているだけで、その焦りはずいぶん軽くなります。

中古車を使っているので1日あたりの料金が安く、月単位でも借りやすいレンタカー会社があります。

【えっ!?格安レンタカー?】車持ちでも無しでも頼れるレンタカー会社急な故障や一時的な車の必要に、大手より安い格安レンタカーが頼れます。ガッツ・業務レンタカーが安い理由と賢い使い方を、元ディーラー営業×元1級整備士が紹介します。...

ところが、陸送費の見積もりは15万円でした

翌日、ご相談者さまからお返事をいただきました。

陸送代が意外と高いみたいで、5万くらいだったと記憶していたのですが、今日見積りをしてもらったところでは15万でした。

転居先までの移動距離が1500kmほどで、移動に1日半しか時間が取れないため自走はあきらめて…

当初の見立ては6万円以上。

実際に取った見積もりは、15万円でした。

気になって私も調べてみたら、16万円という金額が出てきました。

引っ越しシーズンということも、あったのかもしれません。

念のため申し添えると、これは吹っかけられている金額ではありません。

1500キロという距離を、決められた日程で1台運ぶ仕事の対価です。

それともうひとつ、この方が自走をあきらめた理由にも触れておきます。

距離が長いからではなく、「移動に1日半しか時間が取れない」からでした。

自走できるかどうかは、距離だけでは決まりません。

引っ越しの前後で、その車の移動に何日使えるか。

そこまで見ないと、判断できないんです。

ピゴス
ピゴス

この金額を見て、私の答えは変わりました

この額ならレンタカーを借りて、現地で探した方がマシそうですね

見て買う価値は、たしかにあります。

でもそれは、「運ぶ料金が納得できる範囲なら」という条件つきだったわけです。

その条件を確かめないまま「見て買って運びましょう」と言い切っていたら、この方は15万円を払っていたかもしれません。

だから、いちばん最初にやることは順番が決まっています

急いでいるときほど、車種から探し始めたくなります。

でも、この場合の第一手は、車ではありません。

  • 転勤先までの「距離」と、引っ越しの「日程」を確認する
  • 「陸送費」の見積もりを取ってみる
  • 自走できるだけの時間が取れるかを見る
  • 金額を見てから、買うのかレンタカーでつなぐのかを決める

順番はこれだけです。

金額が分からないうちは、どちらが正解かは決められません。

逆に言うと、金額さえ分かれば、迷いはほとんど消えます。

思っていた金額と、実際に出てきた見積もり。

ここに倍以上の開きが出ることも、あるわけです。

ご自身の場合はいくらになるのか、まずはそこを1本、確かめてみてください。

「とりあえず安いの」か「最初から欲しい車」か

さて、ここでご相談者さまのいちばんの悩みに戻ります。

とりあえず安いのを買っておいて、異動してから再検討するか。

それとも、最初から欲しい車を狙っていくか。

私の答えは、こうです。

予算を多めに準備できるなら、長く乗れる車を長く乗るのが80点を取りやすいカーライフになります。

100点ではありません。

掘り出し物を引き当てたときの100点には、届かない答えです。

でも、車に詳しくない方がやっても同じ結果になりやすいのが、この80点なんです。

急いでいるときほど、この再現性がありがたく効いてきます。

予算は車両の値段だけでなく、これから何年ぶんの維持費まで含めて考えると、迷いにくくなります。

【まずはマネするだけ!】「スプシ付き」車購入の失敗しない予算の決め方を解説車の予算、何となくで決めていませんか?購入費+維持費を見える化するスプレッドシート付きで、失敗しない予算の決め方を、元ディーラー営業×元1級整備士が紹介します。...

30万円の車で得をするには、運が要ります

ご相談者さまは「できれば30万以下」と書かれていました。

気持ちは、とてもよく分かります。

ただ、車のことはまあまあ得意な私でも、30万円の車を買ってお得なカーライフを送るのは、運を味方につけないと難しいところがあります。

修理費がかかり、次の乗り換えも早くやってくる。

そのたびに購入と売却の手数料がかかるので、結局は出ていくお金が増えてしまうことがあるんです。

もちろん、安く抑えて乗り切る道を否定するつもりはありません。

総額を抑えたまま、当たりを引く確率を上げる考え方は、こちらにまとめています。

【コスパ最強‼】コミコミ50万円の中古車カーライフのメリットとオススメの理由コミコミ50万円の中古車カーライフ、実はメリット豊富。保険料を抑えやすく、価格以上の満足感も。どんな人に向くかを、元ディーラー営業×元1級整備士が紹介します。...

「リセールが良い」と言われない色でも、損はしません

ご相談者さまは、黒やパールやシルバーより、赤や黄色といった原色がお好きでした。

でも、リセールを考えると選びにくい、と迷っていらっしゃいました。

長く乗ると決めているなら、そこは気にしなくて大丈夫です。

長く乗ることで、売るときの値段は五十歩百歩になっていきます。

リセールが良いとは言われないカラーの車を選んでも、損はないですよ。

そもそもリセールは、幻みたいなところがあります。

良かったらラッキー、くらいに構えておくのが、私の感覚です。

車種は、あとから決まりました

ご相談者さまは、4つの候補を挙げてくださっていました。

N-BOX、アトレー、ワゴンR、コンパクトカー。

でも私は、このどれが良いとは言いませんでした。

通勤は片道7キロ。

毎日のことではありますが、長い距離を走り続ける使い方ではありません。

だから、どれが燃費で有利かという話も、しませんでした。

代わりにお伝えしたのは、「予算 → 使い方 → 長く乗れるか」という順番だけです。

車種から探し始めると、いつのまにか「その車をどう買うか」の話になっていきます。

そうなると、予算の話に戻れなくなるんです。

探しているうちに予算がじりじり上がっていくのは、多くの方が通る道です。

子育てのコンパクトSUV、探すほど予算が上がるのはなぜ?ライズ・タフト・ハスラーで考える子育て世代のコンパクトSUVならライズ・タフト・ハスラー。でも大事なのは車種より、探すほど予算が上がるのを止める順番です。現金100万円で探し始めた方に何が起きたのかを、実話でお話しします。...

順番が決まったあとで、車種はご本人が決められました。

まとめ

転勤まで時間がない中での車選びを、順番に並べておきます。

  • いちばん最初にやるのは「陸送費の見積もり」。距離と日程を確認して、金額を聞いてみる
  • 見て買えるなら、見て買ったほうが満足度は高い。匂いや内装は写真に写らないから
  • 運ぶ料金が高いなら、向こうでレンタカーを1〜2ヶ月借りて、その間にじっくり探す
  • 自走できる距離と時間があるなら、荷物と一緒に運んでしまう手もある
  • 予算を多めに準備できるなら、長く乗れる車を長く乗るのが80点を取りやすい
  • 長く乗ると決めているなら、好きな色を選んで損はない
  • 車種は「予算 → 使い方 → 長く乗れるか」の順番が決まったあとで決まる

ご相談者さまの、その後

このご相談には、続きがありました。

通勤用なので30万くらいのでいいや〜と思いつつも、やりたいことリストの「車旅」が現実化しそうなのに通勤用と割り切るのもなぁ〜と割り切れ切れず?

安い車と欲しい車で悩んでいたのが吹っ飛びました!

7年くらい思い続けていた、軽バンでの車旅。

それが「通勤用だから」という一言で、消えかけていたわけです。

この方はそのあと「軽自動車 赤 黄」で検索されて、N-BOXかウェイクに決められました。

買う場所については、こう着地されています。

こちらでいいのがあったら陸送、あっちでいいのを見つけたら事前に行って見て決めることにします。

どちらか一方に決め打たない。

金額を知ったうえでの、いちばん現実的な構えだと思います。

ピゴス
ピゴス

悩んでいたのが吹っ飛びました、というお返事が何よりうれしくて

7年思い続けたことは、通勤用という言葉で消していいものではありませんよね

急な転勤は、こちらの都合を待ってくれません。

それでも、最初に金額をひとつ確かめるだけで、選べる道は見えてきます。

転勤先の車選びで疑問や不安ある場合は、「X」「お問い合わせ」「コメント欄」などでお気軽にご相談ください。

最新記事のアップもXでお伝えしておりますので、よろしければフォローよろしくお願いいたします

あわせて読みたい関連記事

いま乗っている車がある状態で引っ越される方は、その車を持っていくかどうかから考える必要があります。

【離島へ引っ越し】VOXYは売るが正解?本土で高く売る離島カーライフのコツ離島へのUターンでVOXYを売るか迷う方へ。元1級整備士の答えは、決める前にまず「いくらで売れるか」です。離島・雪国・都市部など、引っ越し先で車の使われ方がどう変わるかも整理しました。...

お金の面から車選びの順番を整理したい方は、こちらもどうぞ。

【貧乏まっしぐら!?】知らないと損する!経済性重視の車選び5つのステップお金が減りにくい『経済性重視の車選び』5つのステップを元1級整備士×元ディーラー営業が解説。知らないと損する車の選び方の考え方を、初心者にも分かりやすく紹介します。...

車のことをゼロから整理したい方は、記事をまとめた教科書ページもどうぞ。

【はじめに】損しないカーライフの歩き方|6つの章でわかる車の教科書車の維持費・選び方・買い方・保険・売却までを6つの章で整理した入門まとめ。元1級整備士×元ディーラー営業のピゴスが、20以上の記事で損しないカーライフへの歩き方を案内します。困った時に戻れる入口ページです。...
ABOUT ME
ピゴス
ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、コメント欄や「X」などでいつでもメッセージを承っております。お気軽にどうぞ!