太陽光・V2H・電気自動車で電気代は安くなる?付けて6年、我が家の答え合わせ

新築の打ち合わせで、太陽光パネルの話が出る。
そこに、電気自動車を蓄電池としても使えますよ、という提案が重なる。
図面の上では、電気を自分の家で作って、自分の家で使う暮らしが、きれいに完成しています。
補助金の話も出てきて、説明してくださる方も一生懸命で、悪い話にはまったく聞こえません。
ただ、ひとつだけ引っかかることがあります。
それで本当に、電気代は安くなるのでしょうか。
節電や売電でコストを下げることが目的なら、正直に申し上げて、元は取れないかもしれません。
もし私がいまからシステムを組み直すなら、V2Hを外して「太陽光+電気自動車」の組み合わせにします。
ただし、災害への備えや、自給自足のような暮らしを楽しみたいという目的なら「あり」だと思います。
我が家に付けて6年。
実際にかかったお金と、返ってきたお金まで、そのままお見せしますね。
いただいたご相談と、この話が「ここ」にある理由
もともとは、中古の電気自動車についてのご相談でした。
新築に合わせて太陽光パネルとV2Hを入れる予定なので、蓄電池の代わりになる中古の電気自動車を探したい、というお話です。
そのご相談へのお答えは、こちらにまとめています。
そのやりとりの中で、実は私も同じ組み合わせで暮らしていることをお伝えしました。
すると、その暮らしのほうを詳しく聞かせてほしい、とおっしゃってくださったんです。
そのときに教えてくださった、ご相談者さまの本当の動機がこちらです。
私がこの仕組みを入れたいと思ったのは、電気代をトータルで安くするために、自家消費率を上げたいと思ったからです。
新築ではオール電化の予定です。
ピゴスさんは、オール電化ですか。
どこのメーカーの、何kWのパネルを載せていますか。
V2H、電気自動車、太陽光パネルは、どのように使われていますか。
そして、こうも書いてくださっていました。
実際にされている方を探してリアルな声を聞き、参考にしたかったんですが、なかなかそのような方を見つけることができず…
このとき、個別にやりとりさせてほしい、というお申し出もいただきました。
ただ私は、個別のご相談は基本的にお受けしていません。
そのかわりに、みなさんが読める場所でそのままお話しさせてください、とお願いしました。
同じところで迷っている方が、ほかにもいらっしゃると思ったからです。
これから書くのは、そのときにお伝えした内容そのものです。
太陽光やV2Hのことは、良い話ばかりが目に入りやすい分野だと思います
だからこそ、付けた人間の側から、うまくいかなかったところも含めて正直にお話ししますね
まず、我が家の設備をぜんぶお見せします
我が家はオール電化です。
太陽光パネルは長州産業製で、最大で5.5kWほど発電します。
年間では、6,000〜7,000kWhくらいですね。
ただし発電量は、屋根の大きさや角度で大きく変わるので、一概には言えません。
私も取り付ける前はいっぱい調べましたが、載せてからはあまり気にしなくなってしまいました(笑)
ちゃんと何事もなく発電してくれていればいいな、くらいの感覚です。
晴れの日は、それだけで少し嬉しい気持ちになりますよ♪
そこにV2Hを付けて、中古で買った初代のリーフをつないでいます。
このリーフは、掘り出し物を探して、コミコミ50万円で手に入れた1台です。
お金の答え合わせ ── いくらかけて、いくら返ってきたか
ここが気になるところだと思いますので、我が家の数字をそのまま出しますね。
かかったお金
我が家がこの仕組みを入れたのは、2020年です。
中古のリーフが50万円。
V2Hは、補助金で本体と工事費が半額になりました。
太陽光パネルにも補助金が出ました。
全部あわせて、我が家の持ち出しは125万円です。
もし補助金がひとつも無ければ、250万円かかるシステムでした。
※これは2020年に取り付けたときの、我が家の金額です。
※補助金の制度も機器の値段も年によって変わりますので、実際の金額は必ずいまの見積もりでご確認ください。
返ってきたお金
太陽光は、2021年の1年間で、売った電気が113,000円、節電できた効果が75,000円でした。
あわせて、年に18万円ほどのプラスです。
売る電気の値段は、当時1kWhあたり21円でした。
晴れた日は、それだけで1日500円くらいのプラスになります。
この数字だけを見れば、8年ほどで太陽光の工事費のもとは取れる計算になります。
それとは別に、V2Hの実証実験に参加させていただく機会があり、協力費もいただきました。
ただしこれは実証実験に参加した場合の話で、どなたにでもあるものではありません。
それでも「元は取れない」と思う理由
数字だけ並べると、そんなに悪くないように見えますよね。
でも正直に申し上げると、元は取れそうにない、というのが私の実感です。
屋根のトラブルの心配があります。
太陽光のシステムやV2Hが、故障することもあります。
そのたびに、直すのか、直さないのか、いくらまで出すのかを決めなければいけません。
家計を管理していくうえで、この決めることが増えるのは、地味に疲れるんです。
そして、その手間ひまに対して、自分の時間はタダではありません。
壊れることまで含めて考えると、やっぱり元は取れないかもしれない、というのが正直なところです。
私は、お得感はプラマイゼロくらいならOK、半分は浪費のつもりで踏み切りました。
いまの感想は、まぁまぁ面白い経験ができたからよかったかな、というところです。
数字の上では回収できる、でも回収できない気がする
この落差の正体は、たぶん自分の時間と気持ちの分だと思っています
私はこれを、体験を買ったんだなと受け止めています
計画は、3年でずれました
我が家は、契約している電力会社の夜間電力のプランを使っています。
導入したころは、夜9時から翌朝9時までが1kWhあたり12円でした。
それが2024年には、28.5円まで上がりました。
しかも、12円だと思っていた夜間の電気にも、燃料費調整という項目と、再生可能エネルギーの賦課金が上乗せされます。
我が家の場合、この2つで1kWhあたり5円ほどプラスになっていました。
燃料費調整が一気に上がった年の冬は、リーフに充電する電気代が、月4,500円から7,500円になったこともあります。
さらに、この夜間電力のプランは、新規の加入自体がなくなってしまいました。
新しくできたプランに変えると、私の場合はいまより高くなってしまいます。
なので、いまのプランを大切に死守しようとしています(笑)
売る側の値段も、ずっと同じではありません。
売電の価格は10年で下がっていくので、そのあとは自家消費の割合を上げていくことが必須になります。
こうしたことが、始めて3年のあいだに次々と起きました。
「なるほど!一筋縄ではいかないんだな」と、痛感しました。
V2Hの、いちばん大きな誤算
V2Hは、車に貯めた電気を家でも使えるようにする設備です。
太陽光で発電した電気を、V2Hを介して車に貯めたり、家庭で使ったりする。
これは実際にやってみると、本当に面白い仕組みです。
ただ、いまのところ変換の効率が、あまり良くありません。
簡単に言うと、100貯めた電気のうち、家で使えるのは60くらいです。
4割ほどが、途中で失われてしまう計算になります。
これが、私にとっていちばん大きな誤算でした。
おそらく、車に貯めた電気は、家での消費に回すよりも、そのまま走行に使ったほうが効率は良いと思います。
ですのでもし、私がいまからシステムを組むとしたら、太陽光と電気自動車の組み合わせにします。
使い方は、こうやって変わってきました
最初は、夜間の安い電気でリーフに充電して、貯めた電気を昼間に使ったり、走行に使ったりしていました。
曇りの日は、太陽光だけでは我が家の消費電力をまかないきれません。
その足りない分を、リーフから補うイメージでしたね。
ところが冬場は、リーフの走行でほとんど使い果たしてしまい、家に回すほどの蓄えは残りませんでした。
電気自動車の冬の航続距離については、こちらで詳しくお話ししています。
いまは、リーフを一時抹消してナンバーを外し、完全に蓄電池としてカーポートの下に置いています。
最初は今までと同じように夜間の電気で貯めて、昼間に使っていました。
けれど電気料金が高くなったことをきっかけに、使い方を変えました。
太陽光で発電して家で使い、余った分をリーフの充電に回します。
夕方はそのリーフの電気で暮らし、夜9時以降は夜間の電気だけで生活します。
曇りの日など足りないときは、朝の安い時間帯にリーフへ貯めて、それを昼間に使ったりもします。
文字で書くとなかなか伝わりにくいのですが、だいたいこのような感じです。
「災害の備え」に期待するなら、これだけは知っておいてください
ここまで読むと、それでも災害のときに役立つならいいじゃないか、と思われるかもしれません。
私も、まさにそう思って付けました。
ですので、実際に停電したときのことも、正直にお話しします。
地震で、一瞬だけ停電したことがありました。
ついにリーフから家に電気を灯すときが来たか、と思いました。
ところが、夜のリーフはだいたいバッテリーがカラカラなのです。
昼のうちに、家で使い切ってしまっているんですね。
そのときはすぐに復旧したのでよかったのですが、余震に備えて夜に余力を残そう、と思い直しました。
つまりV2Hを災害の備えとして本気で当てにするなら、夜に電気を残しておく使い方まで含めて考えないと、いざというときに空っぽなんです。
もうひとつ、故障のこともお伝えしておきます。
V2Hの本体は、設置から3年ほどたったころに、保証で1回修理しています。
こういう故障が起きると、直るまで自宅で車に充電することもできなくなりました。
車を数日預けるだけでも、影響は出ます。
以前、リーフを2週間ほど預けたことがありました。
走ることには困らなかったのですが、その間はV2Hで貯めることも使うこともできず、電気代がじわりと上がりました。
車が家の電気の一部になっているということは、車がいない間の備えも要る、ということなんですね。
ちなみにこのときの入庫の原因は、駆動用の電池ではなく、12Vの補機バッテリーの弱りでした。
電気自動車で何が壊れるのかは、こちらにまとめています。
それでも「あり」だと思う人
ここまで、夢を壊すようなことばかり申し上げてしまって、申し訳ありません。
ただ、実際にV2Hまで設置して暮らしている人は、ほとんど見かけないんです。
情報が少ないので、私自身もリサーチして、信用できる業者さんに施工していただきました。
それでも、想像していたようなニコニコの生活ばかりではありませんでした(笑)
とはいえ、目的によっては、この組み合わせは十分に「あり」だと思います。
災害のときの備えを用意しておきたい。
環境への負荷を減らしたい。
自給自足のような仕組みを、暮らしの中で楽しみたい。
そういう気持ちが第一にあって、より良い住まいの環境にお金を使うという目的であれば、太陽光とV2Hと電気自動車の組み合わせは良いと思いますし、素直に面白いと思います。
逆に、当初の私のように節電や売電でコストを下げたいという目的だと、維持や管理の費用との兼ね合いで、元を取るのは微妙なところです。
もちろん、これから技術が進んで、変換の効率や機器の値段が変わっていく可能性も十分にあります。
そのうえで進めるなら、補助金は必ず調べてみてください。
私が付けたときは、V2Hの本体と工事費が半額になる制度がありました。
こういう制度は、業者さんも把握していないことがあります。
ご自身でも入念にチェックしてみてくださいね。
まとめ
今回のポイントを、整理しますね。
- 節電や売電が目的なら、維持や管理の費用まで入れると、元は取れないかもしれません
- もし私がいまから組み直すなら、V2Hを外して「太陽光+電気自動車」にします
- V2Hは変換の効率がまだ良くありません(100貯めて、家で使えるのは60くらい)
- 電気を買う値段も、売る値段も、プランそのものも変わります(我が家の計画は3年でずれました)
- 災害の備えとして当てにするなら、夜に電気を残す使い方まで込みで考えてください
- 災害対応・環境・自給自足を楽しむことが目的なら「あり」。補助金は必ず調べてください
太陽光だけを見れば、数字の上では、もとは取れる計算でした。
それでも私が元は取れないかもしれませんと申し上げるのは、その計算に自分の手間ひまが入っていないからです。
どちらの答えが正しいということではなく、ご自身が何を買おうとしているのかで決めていただければ、後悔は少ないと思います。
その後の我が家
このご相談にお答えしてから、2年半がたちました。
我が家のリーフは、いまもナンバーを外したまま、庭にいます。
公道は、すっかり引退です。
でもエアコンが動いて、オーディオが鳴って、家からWi-Fiも届きます。
いつのまにか、私のちょっとした作業部屋になりました。
家庭用の蓄電池を買うより、ずっと安くこの小部屋が手に入ったと思うと、少しだけ得をした気分です(笑)
正直なところ、いま同じことを聞かれても、私の答えは変わりません。
我が家にもV2Hはありますが、たぶん、これは浪費になりそうです(笑)
それでも、走らなくなったあの車が、まだ家族の毎日を支えてくれている。
そこだけは、数字では計算できないところだなと思っています。
ちなみにご相談者さまは、このあとご自身でもV2Hの保証期間や価格を調べ直されて、太陽光と中古の電気自動車という組み合わせに近づいていかれました。
ご自身の目で確かめて決められたのが、何よりだと思います。
数字では計算できないものも、たしかにあります
ただ、それを最初から期待して買うものではないな、とも思っています
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