著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

雪の降る土地へ引っ越すことになった。

公共交通機関はあまり通っていないので、車がないと生活が回りません。

中古車のサイトを開いて、何日もかけて、ようやく1台に絞り込む。

支払総額は106万円ほど、11年落ち、走行距離は8万km。

でも、そこで手が止まります。

本当に、これで決めていいのだろうか。

✅ 結論からお伝えします

1台に絞り込めているなら、車種を選び直すより先に、その1台を「どこで買うか」を見てください

車に詳しくない方ほど、ディーラーの認定中古車から探すと、当たり外れの幅が小さくなります。

保証は、足すより「もともと何が付いているか」を確かめるほうが先です。

そして4WDですが、雪道で効いてくるのは主に「発進のとき」で、止まる性能はタイヤの仕事になります。

そのうえで最後は、毎日ハンドルを握る方の「運転しやすい」を優先してください。

いただいたご相談

まずは、いただいたご相談です(内容を編集して掲載しています)。

この度、妻の実家に引っ越すことになり、車が必須ということで中古車を探しております。

家族は4人です。

私自身は車にこだわりがなく、リモートワークのため車はほとんど使用しません(運転が得意ではないです)。

妻が運転好きで、メインで使用します。

雪がふるため、4WD車がいいのかなと思っています。

軽自動車もいいのですが、子どもがまだ小さいので、軽より大きい車がいいのではと考え中です。

中古車でリセールがよいものがあったらいいなとも思います。

予算は110万円前後ぐらいです。

メンテナンスパックや延長保証については、このへんはよくわかりません…

以下、検討中のトヨタ ラッシュの仕様です。

  • 支払総額:106.4万円
  • 車両価格:97万円
  • 諸費用:9.4万円
  • 年式:2013年(H25年)
  • 車検:車検整備付
  • 走行距離:80,000km
  • 修復歴:なし
  • カラー:ダークレッドマイカ
  • 法定整備:定期点検整備付

ここまで調べて、1台まで絞り込んでいらっしゃる。

これは、なかなかできることではありません。

ですので今回は、車種を並べ直すのではなく、「この1台で決めていいか」を確かめる順番でお話しさせてください。

ピゴス
ピゴス

車に詳しくないのに、ここまで絞り込むのは大変だったと思います

だからこそ、最後のひと手間だけ一緒に確かめさせてください

まず、どれくらい乗るつもりかを決めてください

中古車を見るとき、私が最初に伺うのがここです。

数年で乗り替えるのか、長く乗るのか、いっそ乗り潰すつもりなのか。

これで、同じ1台の見え方がまるで変わります。

検討されているお車は、年式が古めで走行距離もそれなりにあります。

長く乗る、あるいは乗り潰すおつもりなら、この先の修理の予算もいっしょに組んでおいたほうが安心です。

車両本体だけを見て予算いっぱいまで使ってしまうと、あとから来る出費で苦しくなります。

もうひとつ、税金の話も先にお伝えしておきますね。

初年度登録から13年が経つと、この車種では自動車税が年に約5千円上がります。

検討されているお車は、いま11年落ちです。

つまり、買ってから2年ほどで、その時期が来ます

金額としては大きくありませんが、知らずに迎えるのと、分かって迎えるのとでは、気持ちがまるで違います。

どこで買うかは、車種より先に効きます

同じ車種、同じ年式、同じ走行距離でも、中古車は1台ずつ状態が違います。

その差を、買う側が写真だけで見抜くのは、正直むずかしいです。

だからこそ、車に詳しくない方ほど「どこで買うか」が効いてきます。

私がおすすめしているのは、ディーラーの認定中古車から探すことです。

ディーラーの安心は、担当の方の腕前というより「仕組み」が作っています。

点検の手順も、整備の記録の残し方も、会社として決まっているので、誰に当たっても大きくは外れません。

もちろん、ディーラーなら絶対に大丈夫、という話ではありません。

ただ、全国どこでも安心の度合いが揃いやすいのは事実です。

認定中古車は少し高く見えますが、その差額で買っているものがあります。

出どころと、整備の履歴と、保証です。

言い換えると、当たり外れの幅を小さくするための料金なんですね。

一般の中古車店で買うのも、もちろんありです。

その場合は、車の程度と保証の内容だけは、遠慮せずしっかり確認させてもらってください。

認定中古車をおすすめする理由は、こちらにまとめています。

【慌てて決めちゃダメっ!】中古車を買うならまずはここから探そう!中古車選びはまずディーラーの認定中古車から。品質・保証・適正価格など、慌てて決める前に知っておきたい5つの理由を、元ディーラー営業×元1級整備士が解説します。...

そして、どこで買うにしても、実車は必ず見に行ってください。

匂いも、内装のくたびれ具合も、細かい傷も、写真には写りません。

しかもこのあたりは、買ったあとで直しにくいところばかりなんです。

保証は「足す」より、もともと付いているものを見る

メンテナンスパックや延長保証がよく分からない、というお話でしたね。

ここは商談の席で迷いやすい場所なので、順番にお話しします。

まず、ディーラーの認定中古車には、1年の保証が追加料金なしで付いてくるのが基本です。

※年式のかなり古いアウトレット車などは、保証なしの場合もあります。

つまり認定中古車を選んだ時点で、保証はもう一度ついてきているわけです。

そこにさらに高額な延長保証を足す必要は、私はあまり感じません。

年数がたった車は、たしかに故障やトラブルのリスクが高まります。

ただ、それを保証料として先に払ってしまうと、得をする機会はそれほど多くありません。

それなら保証料の分を手元に残しておいて、いざというときに確実に修理費へ回せるようにしたほうが、使い勝手のよいお金の使い方だと思います。

もちろん、これだけが正解ではありません。

この先の修理が心配で、安心を先に買っておきたいという判断も、私は否定しません。

決め方としては、「起きる確率」と「起きたときの損の大きさ」を並べて、保証料と見比べてみてください。

それから、これは覚えて帰っていただきたいのですが。

保証をすすめるのはお店の仕事で、必要かどうかを決めるのは、こちらの仕事です。

お店が意地悪をしているわけではありません。

保証の短いお車を扱っているお店ほど、そこを埋める商品を用意しておくのは、商売としてごく自然なことです。

だから「敵」と思わずに、自分に必要かどうかだけ、静かに切り分ければ大丈夫です。

ピゴス
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私自身がどんなメンテナンスをしながら乗っているかは、こちらにまとめています

お金をかける所とかけない所を、はっきり分けているだけなんです

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4WDは、どこで役に立つのか

雪が降るから4WD、というお考えは、方向としては合っています。

ただ、4WDが何をしてくれるのかは、正確に知っておいていただきたいんです。

4WDが役に立つのは、主に「発進のとき」です。

雪の坂道で動き出すとき、わだちから抜け出すときに、4つのタイヤで踏ん張ってくれます。

一方で、ブレーキの効きに4WDかどうかは関係ありません

止まる性能も、曲がる性能も、そのほとんどはタイヤが決めています。

ですので、4WDにしたからスタッドレスタイヤは要らない、ということにはならないんですね。

車高が高いことにも、雪国では意味があります。

積もった雪の上を走るとき、車の底を擦りにくいからです。

そもそも雪道に4WDが必要なのか、というご相談には、こちらでお答えしています。

雪国で中古の電気自動車はあり?4WDじゃないとダメ、は本当かをお答えします降雪地域で4WDが希望、でも中古の電気自動車も気になる、というご相談にお答えしました。ご予算150万円ならガソリンのコンパクトカーが無難です。ただ電気自動車は構造がシンプルで中古でも買いやすく、雪道の発進も滑らかでした。...

もうひとつ、雪の降る地域でよく聞かれるのが、下回りの錆止めです。

やるかやらないかの境目は、こちらにまとめました。

雪国でも、下回り塗装はやらなくて大丈夫です ただし条件がひとつあります雪国の下回り塗装、やらないと決めて大丈夫です。乗り潰すつもりなら、なおさら。サビで穴が開いても、それだけで危なくなるわけではありません。ただし条件がひとつだけあります。元1級整備士が、毎年の迷いを終わらせる考え方をお伝えします。...

ラッシュという選び方と、ほかの候補

ラッシュは小型車ですが、本格的な4WDを積んでいる車です。

雪の土地で乗ることを考えて、あえてこの車を選んでいらっしゃるのかもしれませんね。

そのうえで、ご予算の100万円台から150万円くらいで探すなら、こういった車も候補に入ってきます。

  • ホンダ ヴェゼル(初代モデル)
  • 日産 ジューク
  • スバル XV(初代モデル)

もう少し費用を抑えたいときは、SUVという形にこだわらないという手もあります。

普通のコンパクトカーやワゴンにも4WDの設定はあるので、そこまで広げると選択肢がぐっと増えます。

それと、同じ中身で名前だけ違う兄弟車が用意されている車種もあります。

検索するときに兄弟車の名前も入れておくと、割安な1台に出会いやすくなりますよ。

ジャンル別のおすすめは、こちらでまとめています。

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なお、車種ごとの弱点については、ネットを調べるといろいろな話が出てきます。

ただ、そういった話は前のオーナーがどう乗ってきたか次第で、運の要素も大きいところです。

ですので、噂を集めて悩むより、その1台の整備の記録を見せてもらうほうが、ずっと確かです

記録簿が残っていて、点検を受けてきた形跡があるか。

そこはお店の方に、遠慮なく聞いて大丈夫ですよ。

買う人と、運転する人が違うとき

今回のご相談で、私がとくに大事だと思ったのはここです。

調べているのはご相談者さまですが、実際に毎日運転されるのは奥様なんですよね。

こういうとき、条件の表だけで決めてしまうと、あとで小さなズレが出てきます。

見切りのよさ、駐車のしやすさ、シートの高さ、ペダルの感触。

こういったものは、スペック表のどこにも書いてありません。

ですので実車を見に行くときは、運転される方に必ず座っていただいてください

できれば、その場で少し動かしてみられると、なお確かです。

そして最終的には、乗る方が乗りたい車に乗るのが、やっぱりいちばんだと思います。

毎日ハンドルを握るのはその方ですから。

リセールは、あまり当てにしないでおく

中古車でリセールのよいものを、というお気持ちも書いてくださっていましたね。

ここは正直にお伝えします。

年式の古い車を買うと、手放すときはさらに年式が進んでいます。

ですので、売値に大きな期待はしないほうが気が楽です。

SUVは人気があるぶん買うときの値段も割高で、そのぶん売るときも少し高めになる傾向はあります。

ただ、これも車の状態やそのときの人気次第なので、なんとも言えないところです。

新車で買って3年から5年で手放すなら、SUVはある程度期待できます。

けれど年式が進むほど、どうしても減っていきます。

リセールは、良かったらラッキーくらいに構えておいて、乗っている間の満足で元を取るほうが、私は健全だと思っています。

まとめ

今回のポイントを整理しますね。

  • まず「どれくらい乗るか」を決める。長く乗るなら、修理の予算もいっしょに組んでおく
  • 13年を超えると自動車税が上がる。11年落ちなら、あと2年で来ると知っておく
  • 車に詳しくないほど「どこで買うか」が効く。認定中古車の差額は、当たり外れの幅を小さくする料金
  • 保証は足す前に、もともと付いているものを確認。すすめるのはお店の仕事、決めるのはこちらの仕事
  • 4WDが役に立つのは主に発進のとき。止まる・曲がるはタイヤの仕事
  • 実車は必ず見に行く。座るのは、運転する方に
  • リセールは当てにしすぎない。乗っている間の満足で元を取る

ここまで調べて1台に絞り込めているなら、もう大きく外すことはないと思います。

あとは、その1台をどこで買うかと、実車で確かめるだけです。

ご相談者さまの、その後

このご相談のあと、ご相談者さまからこうお返事をいただきました。

ディーラーからの購入を検討していますが、よく確認したいと思います。

妻が乗りたい車を優先しつつ、アドバイスいただいた内容を吟味して、もう少し検討していきます。

そして、それから7ヶ月ほどたった秋のことです。

同じ方から、こんなご相談をいただきました。

スタッドレスタイヤの購入を検討しております。

車は平成26年式のトヨタのラッシュです。

検討されていた1台とは年式がひとつ違いましたが、ラッシュに乗っていらっしゃいました。

そして冬に向けて、今度はタイヤで迷っていらっしゃったんですね。

そのときにお伝えしたのは、こういうことでした。

私は、タイヤのメーカーで基本的におすすめのところ、というのは持っていません。

それよりも、車の性能に合わせた安全運転のほうが、優先順位はずっと上だと思っています。

そのうえで選ぶなら、古すぎないこと(5年以内)と、溝が新品の半分以上残っていること

この2つを満たした国産のスタッドレスタイヤであれば、まず問題ありません。

お住まいの地域が極端に寒くなく、走るのも近所が中心という使い方なら、私は値段を優先して選ぶと思います。

冬タイヤの考え方は、こちらでもお話ししています。

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あのとき絞り込んだ1台に、ちゃんと乗っていらっしゃった

こうして冬の準備のご相談までいただけるのは、本当に嬉しいことです

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、コメント欄や「X」などでいつでもメッセージを承っております。お気軽にどうぞ!