著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

😵「高速を走っていたら、パシッと音がして…」

🌀「フロントガラスに、ヒビが入ってしまいました」

👀「ディーラーは20万円、ガラス屋さんは15万円。5万円も違う」

🤔「安いほうで直したいけど、あとで何か起きませんか?」

飛び石は、どんなに気をつけていても避けようがありません。

しかも、いきなり十数万円の出費になります。

今回は、まさにこの場面でご相談をくださった方の記録をお借りしました。

この方は、じつはもう「安いほうにしたい」と決めていました。

聞きたかったのは値段ではなく、「それで、あとから困らないか」のほうだったんです。

先に答えをお伝えすると、心配されていた3つは、3つとも大丈夫でした。

ただ、いまは1つだけ、確かめておきたいことが増えました。

✅ 結論からお伝えします

ガラス専門店で直しても、メーカー保証・リコール・下取りへの悪い影響は、まずありません。

保証の外になるのは、ガラス交換が原因の不具合だけです。

ただし2024年3月末から、確かめることが1つだけ増えました。

それが「そのお店が電子制御装置整備の認証を持っているか」です。

自動ブレーキのカメラが付いたガラスを替えるのに要る、国の認証のことです。

これはお店を疑う話ではなく、ひとこと聞けば済む話です。

そして、ディーラーの見積もりが高いのは、中抜きをしているからではありません。

まずは、いただいたご相談です

先日高速を走っていたら、飛び石でフロントガラスにヒビが入ってしまいました。

交換が必要とのことですが、今後のことを考えて、高いディーラーで直すのか、とにかく費用を抑えるために安いガラス屋さんで直すのか、悩んでいます。

(車両保険はありません)

ディーラーの見積もりは20万円、ガラス屋さんは15万円(純正)です。

ディーラーで直さないと今後何かあった場合(フロントガラス以外の部分でも)、保証が効かないとかリコールでも無料でやってもらえないとか下取りの値段が下がるとかあるのでしょうか?

(車は新車で買って5年目の車で、ナビはなし、ETCはついています)

できれば安い方(ガラス屋さん)で直したいですが、何か問題がある場合はディーラーで直そうと思います。

とても整理されたご相談です。

ご自分でガラス屋さんを探して、見積もりまで取ったうえで書かれています。

つまりこの方は、やることはもう分かっていて、決め切れなかっただけなんですね。

引っかかっていたのは、この3つです。

  • ① あとで保証が効かなくなるのでは
  • ② リコールのとき、無料で直してもらえないのでは
  • ③ 売るときに下取りの値段が下がるのでは

では、順番に見ていきますね。

心配されていた3つは、3つとも「大丈夫」です

結論から言うと、ガラス専門店で直したことが原因で、この3つが不利になることはまずありません。

理由が、それぞれ別々にあります。

① 保証は、そもそもこの話の外にあります

メーカー保証は、部品に「材料上または製造上の不具合」があったときに、無料で直してもらえる約束です。

飛び石は、外から石が当たって割れたことですよね。

部品のできが悪かったわけではないので、そもそも保証で直る話ではありません。

トヨタの保証書なら、「保証しない事項」の欄に「飛石」と書かれています。

飛び石が保証の外なのは、ディーラーで替えても、ガラス屋さんで替えても同じです。

では、ガラス屋さんで替えたら、ほかの部分の保証まで効かなくなるのか。

保証書で保証の外になっているのは、メーカー以外の人が付けた部品と、メーカー以外の人の修理が原因の不具合です。

つまり保証から外れるのは、そのガラス交換が原因で起きたことだけで、ほかの部分の保証は、そのままです。

替えたガラスと取り付けのことは、替えたガラス屋さんの保証で見てもらう形になります。

どんなときに、いつまで見てもらえるかはお店ごとに違うので、見積もりのときに聞いておくと安心です。

さらに、今回のお車は新車で買って5年目でした。

メーカー保証には大きく2つあって、期間がこう決まっています。

保証の種類期間(早いほうまで)
一般保証3年または6万km
特別保証(走る・曲がる・止まるなどの主要部品)5年または10万km

※ 出典=トヨタ自動車「保証書」(自家用乗用車・2026年1月30日版/2026年10月に確認)、メーカーや車種によって条件が変わることがあります。

つまり5年目というのは、一般保証はもう終わっていて、特別保証もちょうど終わる頃ということになります。

残りの期間は、新車で登録した日から数えます。

登録日は、メンテナンスノートに入っている保証登録書に書かれています。

お手元にあるはずですので、一度開いてみてはいかがでしょうか。

② リコールは、車台番号で管理されています

リコールは、メーカーが設計や製造の問題を無料で直す制度です。

対象になるかどうかは、その車1台ごとの車台番号(車検証に書いてある、その車だけの番号)で決まっています。

どこで整備を受けたか、どこでガラスを替えたかは、まったく関係ありません。

必要なリコールは、安心して受けていただいて大丈夫です。

③ 下取りで見られるのは「修復歴」です

査定で大きく効くのは、「修復歴」の有無です。

これは、車の骨格にあたる部分を直したかどうかで決まります。

フロントガラスの交換は、ここには当たりません。

今回のように純正のガラスを使って、きちんと取り付けられていれば、替えたこと自体で査定が下がることは、まずないと思っていただいて大丈夫です。

ただし、いま1つだけ確かめることがあります

ここからは、このご相談をいただいた当時は、まだ猶予の期間中だった話です。

いまフロントガラスを交換するなら、確かめておきたいことが1つだけあります。

それが「そのお店が、電子制御装置整備の認証を持っているか」です。

法律の条文に、はっきり「窓ガラス」と書いてあります

2020年4月に、自動車の整備のルールが1つ増えました。

自動ブレーキなどに使う前を見るカメラやセンサーをさわる作業に、専用の認証が必要になったんです。

これを「電子制御装置整備」と言います。

そして、その条文にはこう書いてあります。

イに規定するセンサーが取り付けられた自動車の車体前部又は窓ガラス

※ 出典=道路運送車両法施行規則 第三条第八号ハ(e-Gov法令検索・国土交通省「特定整備制度概要」/2026年10月に確認)。

国の資料のほうにも、対象になる作業として「窓ガラスの脱着」と明記されています。

理由も添えられていて、「その後、カメラ等の機能調整が必要となるため」とあります。

この機能調整のことを、現場では「エーミング」と呼びます。

カメラは数ミリずれただけで前を正しく見られなくなるので、ガラスを替えたあとに付いてくる作業なんですね。

この制度には4年間の猶予がありましたが、その猶予は令和6年3月31日、つまり2024年3月末で終わりました。

いまは認証を持っているお店でないと、この作業はできません。

※ 出典=国土交通省「特定整備制度に関するよくある質問・問答」問16と、四国運輸局「電子制御装置整備対象作業の経過措置期間が終了しました!」(2026年10月に確認)。

これは、ガラス屋さんを疑う話ではありません

ここを誤解してほしくないので、はっきり書いておきます。

国はこの制度を作るとき、ガラス屋さんを最初から当事者として想定していました。

  • 国の資料に、認証の単位として「ガラス交換などを行うための一定の要件を満たした作業場」が名指しで出てきます
  • 責任者になれる資格に、整備士だけでなく自動車車体整備士や自動車電気装置整備士が入っています
  • 講習の実習は、自動車車体整備協同組合などの研修で代えることができます

※ 出典=国土交通省「特定整備制度概要」(2026年10月に確認)。

つまり、ガラス屋さんが取りやすいように作られている制度なんです。

ですので、これは「専門店だと危ない」という話ではありません。

むしろ、この制度のど真ん中にいるのがガラス屋さんだと思っていただいて大丈夫です。

自分の車が当てはまるかは、年式ではなく「ルームミラーの根元」を見る

では、ご自分の車が対象かどうか。

これは年式で線を引かないほうがいいです。

装備が付き始めた年はメーカーや車種でばらばらで、しかも毎年ずれていくからです。

いちばん早いのは、実物を見ることです。

車に乗り込んで、フロントガラスの内側、ルームミラーの根元を見上げてみてはいかがでしょうか。

黒い四角い箱や、小さなレンズが付いていませんか。

それが、前を見ているカメラです。

付いていれば、その車はエーミングが要る車です。

付いていなければ、ふつうのガラス交換で終わります。

今回のご相談者さまの車は、新車から5年目でした。

この装備が付いた車と、付いていない車が、まだ混ざっていた時期です。

だからこそ、年式ではなく実物で確かめたほうが早いんです。

正確には、対象かどうかは、その車の自動ブレーキなどが国の基準の対象になっているかで決まります。

車検証の型式から、国土交通省のページにあるメーカーごとの一覧で調べることもできます。

※ 出典=国土交通省「電子制御装置整備の対象車両」と「特定整備制度に関するよくある質問・問答」問3(2026年10月に確認)。

聞き方は、ひとことで足ります

確かめ方は、むずかしくありません。

見積もりをお願いするときに、こう添えるだけです。

「うちの車、ガラスにカメラが付いているのですが、エーミングまでお願いできますか?」

認証を持っているお店なら、ここで話が早く進みます。

持っていないお店なら、認証を持っているお店にお願いすれば大丈夫です。

ちなみに、認証を受けたお店は標識を掲げる決まりになっています。

国の資料にも「公衆の見易いように掲げてあります」と書かれています。

その標識に「電子制御装置整備」の文字があれば、この認証を持っている印です。

※ 出典=道路運送車両法 第八十九条と、国土交通省の「認証工場と指定工場」の説明にある標識の見本(2026年10月に確認)。

もうひとつ。

エーミングに必要な広さは車種によって違うので、別の作業場まで車を動かしてやる形も、制度として認められています。

ですので「今日はお預かりします」と言われても、それは手を抜かれているのではなく、きちんとやってくれている合図です。

カメラそのものの話や、付いている車の費用については、こちらでもお話ししています👇

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ディーラーの5万円は、中抜きではありません

さて、20万円と15万円の差です。

よく言われるのは「中間マージン」という説明です。

たしかに、ガラス交換はディーラーが自社で行わず、ガラス屋さんに外注していることが多いです。

私も販売の側にいましたので、そこは正直にお伝えします。

ただ、これは隠しているわけでも、意地悪をしているわけでもありません。

ガラスの交換は、専用の設備と資格が要る作業です。

お店ごとに一式そろえるより、毎日それをやっているお店にお願いしたほうが、仕上がりも確かになります。

ここから先は、あくまで私が中にいたときに見ていた範囲の話です。

ディーラーの金額には、ガラス屋さんへお願いするぶんの手数料が乗ります。

その手数料で、ディーラーが引き受けてくれていることがあるんです。

その5万円で、何を買っているか

元ディーラー営業として、中身を分けてみますね。

  • 探す手間がいりません(どのお店に頼むかを、お店が決めてくれます)
  • 代車の相談ができます(ふだんの点検で付き合いがあるぶん、通りやすいです)
  • 引き取りと納車をしてもらえることがあります
  • 窓口が1つで済みます(あとで雨漏りなどがあっても、連絡先はいつものお店です)
  • ほかの作業とまとめられます(点検や車検が近ければ、一度で終わります)

別のご相談では、ディーラーに頼む良さを、こうお伝えしています。

いつもの慣れた窓口であったり、自分で信頼性のあるお店選びをしなくても、業界内で実績のある所に外注してくれる良さがあります

つまりディーラーの金額には、ガラス代のほかに「段取り」の代金が乗っています。

そして段取りは、誰かがやらないと消えてなくなるものではありません。

お店がやるか、ご自分がやるかの違いなんですね。

だから問いは「どちらが得か」ではありません

こう考えると、選び方が変わってきます。

問いは「どちらが得か」ではなく、「その段取りを、自分でやるか、人に頼むか」です。

そして今回のご相談者さまは、もうご自分でやり終えていました。

自力でガラス屋さんを見つけて、純正ガラスで15万円という見積もりまで取っていたからです。

この方にとっての5万円は、すでに自分で払い終えた手間の代金でした。

だとすれば、そこにもう一度お金を払う理由は、あまりありませんよね。

逆に、お仕事が忙しくて電話をかける時間もない方や、代車がどうしても要る方なら、その5万円は高くないと思います。

どちらも味方のお店です。

お金で買うか、手間で買うかの違いだけなんです。

※ 金額はお車やお店によって変わりますので、実際の差額は、ご自身の見積もりで確かめていただければと思います。

見積もりを取る前に、ガラスに付いているものを数える

もうひとつ、実際にお店へ行く前にやっておくと楽なことがあります。

それは、いまのフロントガラスに何が付いているかを数えておくことです。

ガラスを替えると、ガラスに付いていたものは、いったん全部外れます。

  • ETCの車載器やアンテナ
  • ナビやテレビのアンテナ(ガラスに貼るフィルム)
  • ドライブレコーダー
  • 前を見ているカメラ(エーミングが要ります)
  • 雨や光を感じるセンサー
  • 車検のステッカー

これを先に伝えておくと、見積もりの段階で作業に入れてもらえます。

あとから「これは別料金です」となることが減るんですね。

今回のご相談にも、「ナビはなし、ETCはついています」と書き添えてありました。

ナビやテレビのアンテナ、ETCのアンテナは、ガラスに貼ってあることがあるので、こうして先に伝えておくと話が早いんです。

※ 出典=パイオニア「地上デジタルTV用フィルムアンテナ」の取扱説明書(2026年10月に確認)、フィルムはフロントガラスに貼るもので、一度貼ると貼り直しはできません。

どのガラスを選ぶか、どのお店に頼むか、後付けのドライブレコーダーをどうするかは、こちらで詳しくお話ししています👇

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今回のご相談者さまは、車両保険に入っていらっしゃいませんでした。

ですので、15万円は自費になります。

ここで「入っていればよかったのに」と申し上げても、いまは何の役にも立ちませんよね。

ただ、ひとつだけ置いておきますね。

飛び石によるガラス交換は、車両保険を使ったときの等級(保険料の割引・割増を決める段階)の下がり方が小さく済むことが多いんです。

入っている方にとっては、かなり使いやすい場面だということですね。

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ただ、飛び石については、Xでこうもお伝えしています。

高速をよく乗る、ミニバン系のようにガラスが立っている車は、保険で備えても割に合います

今回のご相談も、高速での飛び石でした。

次の更新のときに、見積もりで金額を見比べてみる。

それくらいで十分だと思っています。

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その後、ご相談者さまから

このご相談には、続きがあります。

丁寧に教えていただいてありがとうございました😊

ガラス屋さんにお願いしようと思います。

大変助かりました!

また、せっかく替えるなら、日差しの熱をさえぎる「IRカット」のガラスにする手もある、というお話も出ていました。

そのお話へのお返事が、こちらです。

ガラスにもいろいろ種類があるんですね。

ガラス屋さんに聞いてみます!

ガラス屋さんに決めて、どのガラスにするかも、そのガラス屋さんに聞いてみる、という形でした。

別のご相談で、相見積もりをしてガラス屋さんで直された方には、こうお返事しています。

飛び石は車に乗っていればまたあることかもしれませんので、次はスムーズに頼れる所もできましたから、より安心ですね

良いガラス屋さんだったら、周りの人にもオススメしてあげてください♫みんなハッピーになります

まとめ|答えは「大丈夫」。確かめることは、ひとつだけ

  • 飛び石はメーカー保証の外。ガラス屋さんで替えても、ほかの部分の保証はそのままです
  • リコールは車台番号で管理されているので、どこで替えたかは関係ありません
  • 査定で効くのは修復歴。純正ガラスできちんと付いていれば、替えたこと自体で下取りが下がることは、まずありません
  • 🆕 2024年3月末から、電子制御装置整備の認証が要ります。ひとこと聞けば分かります
  • 対象かどうかは年式でなくルームミラーの根元のカメラを見る
  • ディーラーの差額は中抜きではなく「段取り」の代金。自分でやるか、頼むかの違いです
  • 見積もりの前に、ガラスに付いているもの(ETC・ナビやテレビのアンテナ・ドライブレコーダーなど)を数えて伝える

飛び石は、本当に運としか言いようがありません。

でも、直し方と頼み方は、ご自分で選べます。

そして今回の場合、心配されていた3つは、どれも起きないことでした。

安いほうを選ぶことは、手を抜くことではないんですよ。

安心して、お財布にやさしいほうを選んでいただければと思います。

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、記事の下のコメント欄でいつでも承っております。ニックネームもメールアドレスも要りませんので、お気軽にどうぞ!