知人に譲る前に事故…点検はしておくべき? 一度お店で見てもらい、見積もりを見せて決めてもらう

知人に譲ろうと考えていた車で、事故を起こしてしまった。
相手の方にも自分にもけがはなく、謝って、警察と保険会社への連絡も済ませた。
自分の車の傷は、前のほうのすり傷くらい。
それでも、このまま譲っていいのか、譲る前に点検くらいはしておくべきなのか、迷いますよね。
事故のことは、知人の方に正直に話して、それでも受け取るかどうかを決めてもらいます。
そのうえで譲るなら、一度お店に見てもらうのがおすすめです。
見てもらうのは、すり傷をきれいに直すためではなく、走るのに関わるところや車の骨格に、事故の影響がないかを確かめるためです。
修理の見積もりももらっておくと、知人の方に見せて、直すかどうかを一緒に決められます。
年式がたった車なら、見た目のすり傷は、直さずに渡すことも選べます。
きっかけは、読者の方からのご相談
まずは、今回いただいたご相談の内容です。
今日、車同士の事故を起こしてしまいました。
私の前方不注意で、いまは大反省中です。
私もお相手も、幸いけがはないのですが、お相手の車の側面をへこませてしまいました。
事故を起こすのは初めてで、お相手のことを思うと、胸がザワザワしてしまいます。
以前、こちらで車の事故のご相談とお返事を読んでいたおかげで、自分でも驚くほど落ち着いて行動できました。
お相手への謝罪と、警察や保険会社とのやりとりは済んでいます。
近々、中古で車を買う予定で、いま乗っている軽自動車を、知人に譲ろうと考えていました。
明日、譲ることについて知人に相談しようと思っていたところで、今日、事故を起こしてしまい、状況が変わってしまいました。
車の傷は、前のほうのすり傷くらいです。
事故で車をぶつけたことは、知人に話します。
もし譲ることになったら、やはり車の点検はしておいたほうがいいのでしょうか?
車両保険には入っていません。
いまの車は、ホンダのゼスト(軽自動車)です。
15年ほど前の車で、走行距離は8万km台、中古で買いました。
ご相談をいただいたのは、2023年の3月です。
事故を起こしたその日のうちに、相手の方のことも、知人の方のことも考えて書かれたご相談でした。
このご相談をブログで紹介したとき、私はXに「心優しい方からのご質問!」と書いています。
あわせて、「もう車を手放そうってときに、結構こんな事があります」とも書きました。
ご相談者さまが、もう決めていたのは、事故のことを知人の方に話すことです。
迷っていたのは、譲る前に点検をしておくべきか、の1つでした。
点検はしておくべき? 一度お店に見てもらい、見積もりをもらっておく
私のおすすめは、譲る前に、一度お店に見てもらうことです。
このご相談に、このブログで最初にお答えしたときも、譲る前の点検をおすすめしていました。
ただ、見てもらう目的は、すり傷をきれいに直すことではありません。
確かめたいのは、ライトのように走るのに関わるところと、車の骨格まで響いていないか、の2つです。
見た目の傷と、走るのに関わるところは、分けて考えます
車をぶつけてしまった方に、私がよくお伝えしているのは、見た目の問題と、走るための機能の問題を、分けて考えることです。
右前をぶつけてしまった方には、「実は、走行に本当に必要なのは、フロントガラスとライトの部分だけです。」とお答えしました。
「右前の凹みや擦り傷は、見た目の問題で、走ることには支障がありません。」とも続けています。
前から当たったのなら、ライトやウインカーがきちんと点くか、バンパーが外れかけたり、大きく割れたりしていないかが、走るのに関わるところです。
別のご相談でも、ドアの開け閉めに引っかかりがあったり、水が入ってきたりするなら、「それは見た目の問題ではなく、機能の問題です。」とお伝えしました。
機能の問題が見つかったら、譲る前に直しておきたいところです。
直すときも、右前をぶつけてしまった方にお伝えしたのと同じく、「走るために必要な最低限だけ直す」という考え方で十分です。
前から当たったときは、見えないところに響いていることもあります
見た目はすり傷くらいでも、前から当たったときは、バンパーの奥まで力が伝わっていることがあります。
いまの車は、乗っている人や歩いている人を守るために、ぶつかったときの力を、まわりの部品で受け止めるように作られているからです。
私は以前、「ちょっとの衝撃でもドミノ倒しのように衝撃が様々な部品に影響してしまいます」とお伝えしたこともあります。
譲る車なら、なおさら一度見てもらっておく意味があります。
知人どうしの車のやり取りには、お店で買うような保証がありません。
譲ったあとに何か不具合が出たとき、事故のせいなのかどうかは、あとからでは確かめにくくなります。
渡す前に見てもらっておけば、その時点で分かっていたことを、お互いに共有できます。
見てもらうのは、いつものお店かディーラーで。見積もりももらっておく
見てもらう先は、いつも点検をお願いしているお店があれば、そちらが話が早いです。
なければ、車を買ったお店か、ディーラーに相談するのが一般的です。
そのときに、修理の見積もりももらっておきます。
別のご相談でも、「掛かりつけの車屋さんに1度見積もりしてもらうのもありだと思います」とお伝えしました。
見積もりがあれば、どこがどのくらい傷ついていて、直すといくらかかるのかを、知人の方にそのまま見せられます。
「事故車」と言っても、すり傷だけなら「修復歴」には入りません
知人の方が気にされるかもしれないのが、「事故車」という言葉です。
中古車のお店が「修復歴あり」と表示するのは、車の骨格にあたる部分を直したり交換したりした場合です。
私は以前、「補修歴(ドア交換、バンパー交換、擦り傷などの修復修理)のように、車の骨格などに影響のない表面の修理だけを行っている車であれば、基本的に避ける必要はそこまでありません。」とお答えしています。
前のすり傷が、バンパーのような外側の部品だけで済んでいれば、修復歴には当たりません。
お店に見てもらうときに、骨格まで響いていないかも、あわせて聞いておくと安心です。
※修復歴の判断の基準は、自動車公正取引協議会の案内(2019年3月)より(2026年10月に確認・基準は見直されることがあります)。
見た目のすり傷を直すかは、知人の方と決めればいい
お店に見てもらって、走るのに関わるところに問題がなければ、あとは見た目の話です。
すり傷を直してから渡すか、そのまま渡すかは、見積もりを見せて、知人の方と決めればいいと思います。
年式がたった車は、直すお金のほうが大きくなりやすい
このご相談に最初にお答えしたとき、私は「年式が経っている車という事実もあります。」と書きました。
「点検や修理をすればその分費用が掛かってしまい、個人売買の旨味がなくなってしまう可能性もあります」とも続けています。
別のご相談で私は、下取りが1万円ほどの車なら、ぶつけたことによる「価値の下落はほぼない」とお答えしています。
また、傷を直しても、そのぶん高く売れるとは限りません。
「売却時の査定では減額されますが、その減額幅よりも修理費用の方が高くつくケースがほとんどなのです。」とお伝えしたこともあります。
車両保険に入っていなければ、自分の車の修理代は、すべて自分で持つことになります。
お店で値段がほとんどつかない車を、お金をかけてきれいにしてから渡すと、譲るほうの負担ばかりが大きくなります。
もちろん、知人の方が見た目を気にされるなら、直してから渡すのも、気持ちのいい譲り方です。
そのまま渡すなら、鉄が見えているところだけサビ止めを
前のすり傷がバンパーなら、バンパーは樹脂なので、傷から錆びてくることはありません。
塗装がはがれて、下の鉄が見えているところは、そのままにすると錆びてきます。
鉄が見えているところだけは、車の色に合ったタッチペンで、フタをしておくと安心です。
タッチペンは、ディーラーやカー用品店で、1,000円ちょっとで買えます。
バンパーの傷の直し方と、直さない選び方は、こちらでお話ししています👇
知人の方に伝えるときに、そろえておきたいこと
事故のことを話すと決めていた時点で、ご相談者さまは、大事なところをもう押さえていました。
伝えるときは、次のことをそろえておくと、知人の方も決めやすくなります。
- どこを、どんなふうにぶつけたか(前から当たった・相手の車がへこむくらいだった、など)
- お店に見てもらった結果(走るのに関わるところや骨格に、影響があったか)
- 修理の見積もりの金額
- 直してから渡すか、そのまま渡すか
別のご相談で私は、身近な方との車のやり取りについて、「やはりお金が絡む話であったり、感情がまざることもあるので、その点はしっかりと話し合う必要があると思います。」とお答えしました。
家族や知人に車を譲ると、車が手元を離れたあとも、相手との関係の中に車が残り続けます。
事故のことを渡す前に全部話しておくことが、あとで気まずくならないための近道です。
譲ってもらった車がすぐに壊れてしまった、という逆の立場のご相談は、こちらです👇
タダで譲るときも、名義変更は必要です
お金を受け取らずに、タダで譲る場合も、名義変更は必要です。
名義が自分のままだと、翌年の税金の通知や、万が一の事故や違反の連絡が、自分のところに来ることがあります。
4月1日をまたいで譲るなら、その年度の税金をどちらが持つかも、先に話しておくと安心です。
受け取る方の贈与税は、1年間にもらった財産の合計が110万円以下なら、かかりません。
※贈与税は、国税庁 タックスアンサー No.4402「贈与税がかかる場合」より(令和8年4月1日現在の法令・2026年10月に確認)。
名義変更の進め方や、書類のそろえ方は、こちらにまとめています👇
あわせて、保険のこと
相手の車の修理に保険を使うかどうかは、修理代が出てから決められます。
保険会社に事故を伝えただけでは、保険を使うと決めたことにはなりません。
使うと次の更新から保険料が上がるので、相手に払う修理代と比べて決めます。
保険を使った場合は、新しい車に入れ替えたあとの更新で、一括見積もりでほかの会社と比べてみるのも一つです。
ご相談者さまが以前読んで、落ち着いて動けたというご相談は、スーパーの駐車場で、隣の車にぶつけてしまった方のものでした。
自腹か保険かの考え方と、落ち着いたあとの保険の見直しまで、そちらでお話ししています👇
まとめ
- 事故のことは、知人の方に正直に話して、受け取るかどうかを決めてもらう
- 譲るなら、一度お店に見てもらう(走るのに関わるところと、骨格に影響がないか)
- 修理の見積もりをもらって、知人の方に見せる
- 見た目のすり傷を直すかは、知人の方と決める(年式がたった車は、直すお金のほうが大きくなりやすい)
- 鉄が見えているところだけは、タッチペンでサビ止め
- タダで譲るときも、名義変更は必要
- 相手の車の修理に保険を使うかは、金額が出てから
ご相談者さまの、その後
ご相談者さまは、その夜のうちに、ほかの方のお返事も読んで、ご自分で方針を決めていました。
「今回、状況と擦り傷の具合をしっかり説明して、知人の判断におまかせしようと思います」
譲るのは、お金を受け取らない形でした。
先に取っていたお店の下取りの見積もりがごくわずかで、名義変更をお店に頼む費用(1万円台)を差し引くと、ほとんど手元に残らない、という理由です。
お店の方からも、知人に譲るほうがいいかもしれない、と言われたそうです。
そして、「譲渡するとしても数ヶ月期間が空くので、その間に、修理費用の見積もりもとって、知人へ報告したいと思います」とも書かれていました。
正直に話して、見積もりを見せて、知人の方に決めてもらう。
この記事の答えと、同じ形です。
それから1か月ほどして、新しい車の納車の前日に、今度は保険のご相談をいただきました。
私のお返事の書き出しは、こうでした。
お久しぶりです!いよいよゼストを譲る日がやってきたんですね😊
新しい車を受け取る日に、いまの車を知人の方へ届けながら、保険の空白をどう作らないか、というご相談です。
そのときのお話は、こちらです👇
次の日には、「本日、お陰様で無事に納車と、知人への受け渡しが済みました」とご報告をいただきました。
すり傷を直してから渡したのかどうかまでは、うかがえていません。
最後に、「周りで同じような状況で悩んでいる人が今後いたらアドバイスできるよう、確かな知識をつけようと思いました」とも書いてくださいました。
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