遠方の中古車、見に行かずに買っていい? 写真に写らない匂いを、一度は確かめに行く

欲しい中古車が、近くのお店には無くて、県外のお店にしか見つからない。
見に行けば、往復の時間も交通費もかかります。
しかも、行ったところで、エンジンの調子まで分かるわけではありません。
写真と電話で確かめて、見に行かずに決めてしまおうか——そう考える方もいると思います。
今回のご相談者さまも、はじめは見に行かないつもりでした。
2か月後に届いたご報告は、見に行って正解だった、というものでした。
なお、販売のページに現車確認なしと書かれていて、そもそも見に行けない1台で迷っている方は、話が少し変わります。
見せてもらえない1台をどう考えるかは、こちらでお話ししています👇
遠方の中古車も、見に行ける距離なら、一度は見に行ってから決めるのがおすすめです。
見に行くのは、エンジンの調子を確かめるためではありません。
写真に写らず、買ってからでは取りにくい、車内の匂いを確かめるためです。
整備記録簿や傷、下回りのサビは、行く前に写真と電話で確かめておけます。
見に行けない遠さの1台なら、無理に買わず、近くで探し直すほうが安心です。
1か月探した黒のインプレッサスポーツが、県外のディーラーにしかない
まずは、今回いただいたご相談の内容です。
現在、インプレッサスポーツの2.0i-Lの黒を中古で探しています。
1ヶ月ちょっとの間、様々なサイトでこの車を探し続けていますが、この黒については在庫が少ないようで、県外にしか在庫が見当たらない状態が続いています。
他県の車で良さそうな車があったため、県外ディーラーから中古車購入することを検討しています。(車両価格150万弱程度)
現在見積もり申請中です。
県外からの中古車購入については、やはり不安も多く、以下の考えについて何か不足点などアドバイスがあれば頂きたいです。
◆県外からの購入のリスクをできるだけ減らすため、ディーラー中古車を購入する
◆事前に以下5点についてディーラーに確認する。
①整備手帳の中身を確認する(オイル交換の頻度が分かれば)。
最低1年に1回程度交換されていればいいかなと。
②傷の箇所を拡大した画像を送ってもらう。
③ウォータースポットがかなり目立つように感じる画像があったので、それを取り除いてもらえるか確認する。
④車内の匂いはどうか?
できれば、非喫煙者の方に確認していただき、タバコ臭いなどあるかどうか。(AISの資料には記載なし)
⑤下回りの写真を送ってもらう。
サビが出ていないか。(AISの資料には記載なし)
◆車の内部のこと(エンジン、乗心地など)は正直分からないと思うので、現在、購入前に現地に赴く予定はない。
下調べは、とても丁寧です。
分かれ目は、最後の1行の、見に行かないという考えです。
エンジンは見ても分かりません。見に行くのは、匂いを確かめるためです
ご相談者さまは、エンジンや乗り心地は見ても分からないから、見に行かない、と考えておられました。
エンジンについては、私もそのとおりだと思います。
整備士をしていた私でも、中古車屋さんで車を見る短い時間で見抜けることには、限りがあります。
パッと見で分かるのは、匂いと傷とサビくらいで、エンジンの調子は、あからさまな不調がなければ見ても分かりません。
ただ、遠くまで見に行く目的は、エンジンではなく匂いです。
匂いは、写真にも動画にも写りません。
しかも、シートや天井、エアコンに一度染みついた匂いは、あとから取るのが本当に難しいものです。
タバコやペットのほかに、意外と多いのが芳香剤で、香りは時間をかけて内装に移っていきます。
手放すときの値段にも、静かに響いてきます。
買ってから直しにくい所ほど、写真には写らないんです
写真に写らないものにこそ、足を運ぶ価値があるんです
傷やサビは写真でもある程度は確かめられますが、匂いだけは、自分の鼻で確かめるほかありません。
見に行けたら、エアコンを付けて、少し時間を置いてから匂いを確かめてみてはいかがでしょうか。
久しぶりにエアコンを付けると、はじめは少し匂いがすることもありますが、清潔な車なら、しばらく付けているうちに消えていきます。
見ても分からないエンジンは、保証と整備記録簿に任せる
エンジンや走りのように、見ても分からないところは、自分の目ではなく、仕組みで守ってもらいます。
仕組みの1つは保証で、もう1つは整備記録簿です。
県外から買うリスクを減らすためにディーラーの中古車を選ぶ、というご相談者さまの考えは、私も同じです。
ディーラーの認定中古車なら、目利きをしなくて済むように、保証と整備の履歴がそろっていることが多いからです。
スバルの認定中古車には、いまは全車に2年間・走行距離無制限の保証が付き、故障したときは全国のスバルのディーラーで無料修理が受けられます。
※SUBARU「SUBARU 認定U-Carについて」(2026年10月に確認・ご相談の当時とは中身が違うことがあります)
ただ、法定点検を決められたとおりに受けていないと、保証が受けられない場合もあります。
買う前に、近くのスバルのお店で、他店で買った車の点検も受けてもらえるかを聞いておくと安心です。
ディーラーの認定中古車をすすめる5つの理由は、こちらです👇
他県で買ったあとの点検や保証を、近くのお店でどう受けるかは、こちらにまとめています👇
確かめたい5つのうち、4つは写真と電話で確かめられます
ご相談者さまが挙げた5つは、写真と電話で確かめられる4つと、確かめられない1つに分かれます。
整備手帳は、点検が積み重なっているかを見る
整備手帳(整備記録簿)は、写真で送ってもらえます。
記録簿で見るところは、ディーラーで点検を受けてきているか、車検と点検が積み重なっているか、の2つです。
2つが分かれば、80点だと思っています。
オイル交換の回数を1回ずつ数えなくても、前のオーナーがディーラーで点検を受けてきたと分かれば、安心材料になります。
傷とウォータースポットは、写真に写るぶん直しやすい
傷は、拡大した写真をお願いすれば、かなりのところまで分かります。
ただ、実物のほうが、写真より目立って見えることもあります。
とはいえ、外装の小さな傷は、じつは直しやすい部類で、金額も読めますし、そのまま乗る選択もできます。
ウォータースポットも、写真に写る側です。
取ってもらえるかどうかは、見積もりをお願いするときに、一緒に聞いておけば足ります。
下回りのサビは、写真と評価書で確かめられる
下回りも、写真をお願いできます。
ご相談にあったAISは、中古車を第三者として検査する会社で、評価書のための検査では車体の下の錆まで見ています。
※株式会社AIS「車両品質の評価方法」(2026年10月に確認)
特に書いておくべき状態は、評価書の検査コメントに書かれる仕組みです。
評価書に何も書かれていないなら、目立つ錆は無かった、と読んでよいと思います。
雪の多い地域で使われていた車は、下回りが錆びていることがあります。
ただ、一冬分のサビは誤差の範囲で、ひどく錆びてぼろぼろなもの以外は、減点にしすぎなくていいと思っています。
大事なのは買ったあとで、冬のあいだ、こまめに下回りを水で流してあげることです。
匂いだけは、写真にも電話にも乗りません
残る1つが、匂いです。
非喫煙者の方に確かめてもらうのは、自分の鼻の代わりの目印です。
禁煙車という表示と同じで、本当に確かめたいのは、自分や家族が乗って気にならないかどうかです。
禁煙車と書かれていない車が、実際には禁煙車だったということもあるので、嗅いでみるのが早いと思います。
人は匂いに敏感ですし、気になる匂いも人によって違います。
AISの評価書も内装の匂いまで見ていますが、その匂いが自分にとって気になるかどうかまでは、評価書からは分かりません。
禁煙車のチェックを外して探す理由は、探し方の手順と一緒にこちらでお話ししています👇
見に行く前に、電話で確かめておく3つ
遠方のお店へ見に行く前に、電話で確かめておきたいことが3つあります。
①他県に住んでいても、売ってもらえるか
お店によっては、他県のお客さんには売らない、取りに来てくれるなら売る、というように、お店ごとの決まりがあります。
見積もりをお願いする前に聞いておけば、遠くまで行ってから断られることがありません。
他県だと断られることがあるのはなぜか、断られたときにどうするかは、こちらにまとめています👇
②県外で登録する費用と、運んでもらう費用
中古車の支払総額は、お店の地域で登録して、お店で受け取る場合の値段です。
※自動車公正取引協議会の「支払総額」の表示の決まり(2026年10月に確認)
このご相談のあと、2023年10月からは、中古車の値段を支払総額で表示する決まりになっています。
県外で登録するときの追加の費用(管轄外登録費用)や、自宅まで運んでもらう費用(納車費用)は、別に足されます。
スバルの認定中古車の支払総額も、お店の地域を管轄する陸運局で登録して、お店で受け取る場合の値段と書かれています。
運んでもらうなら、近くても5万円ぐらいはかかる、と見ておくとよいと思います。
自分で取りに行って乗って帰るなら、運んでもらう費用はかからないので、「取りに行くので少し安くなりますか?」と相談することもできます。
遠くのお店で安いのが新車のときは、県外で登録する費用と、買ったあとの通いやすさの話になります。
新車を遠くのお店で買うか迷っている方は、こちらの記事を読んでみてはいかがでしょうか👇
③見に行く日を約束しておく
見に行く日が決まったら、電話を1本かけて、「この車を見に行きたいのですが」と伝えておくだけで大丈夫です。
その場で、車がまだあるかどうかが分かりますし、お店の側も準備をして待っていてくれます。
片道が長いほど、着いてから売れてしまっていたと聞かされるのは、つらいものです。
わざわざ約束をして行くのにいい加減な対応をされるなら、そのお店を候補から外す、という決め方もできます。
見に行けない遠さなら、その1台は見送る
隣の県くらいまでなら、見に行くのは現実的だと思います。
ただ、数県先のような遠さで見に行けない1台なら、私は見送るのをおすすめします。
理由は2つで、写真では匂いが分からないことと、買ったあとに何かあったとき、すぐ相談できる距離のお店のほうが安心だからです。
認定中古車なら保証は全国のお店で受けられますが、それでも、近くで顔の見えるお店のほうが、これから長く乗るには安心です。
遠くの1台が、近くの同じような車より数万円安いだけなら、移動の手間や買ったあとのことを考えて、近くで買うほうがおすすめです。
近くで探し直すときは、まず近くの同じメーカーのお店に、「この車を取り寄せて商談できませんか」と相談してみてはいかがでしょうか。
同じ系列のお店どうしなら、対応してもらえることがあります。
取り寄せてもらうときの頼み方と、見に行くかどうかの考え方は、こちらでお話ししています👇
気に入った色とグレードの1台を長く乗るのは、良い選び方だと思います。
そのうえで、色の候補を1つ広げられるなら、程度の良い1台が近くで見つかりやすくなります。
旧車のように、近くでは同じ1台が見つからない車なら、地元のお店に、遠くのお店の車の購入を仲介してもらう道もあります。
遠くのお店から、契約書の前に手付金を求められたときの考え方は、「旧車の手付金200万円、契約書の前に振り込んでいい?」でお話ししています。
まとめ
遠方の中古車を買うときの順番を、整理しておきますね。
- 見積もりをお願いする前に、他県に住んでいても売ってもらえるかを電話で聞きます
- 支払総額に、県外で登録する費用と運んでもらう費用がいくら足されるかも聞いておきます
- 整備記録簿、傷、ウォータースポット、下回りは、写真で確かめます
- エンジンや走りは見ても分からないので、保証と整備記録簿に任せます
- 見に行く日が決まったら、電話を1本入れて約束しておきます
- 匂いだけは写真に写らないので、見に行ける距離なら、一度は見に行って自分の鼻で確かめます
- 見に行けない遠さなら、その1台は見送って、近くで探し直します
まずは、見積もりをお願いする電話で、他県に住んでいても売ってもらえるかを聞くところから始めてみてはいかがでしょうか。
ご相談者さまの、その後
このご相談には、ほかの回答者の方が、翌日に先に答えてくださっていました。
気になるところを確かめて、クリアできたらお店へ行くのがおすすめ、という答えでした。
ご相談者さまはそのお返事で、遠いのでお店へ行くか迷っていたけれど、確かめたいことをオンラインで確かめたうえで、お店へ行くことを考えてみる、と書いてくださいました。
「中古とはいえ、安くはない買い物ですし。」とも書いておられました。
そして2か月後に、納車のご報告が届きました。
車があった店舗は車で2時間の場所でしたが、アドバイス頂いた通り、実際に見に行きました。
買う前はやはりネット上では確認できない車内のにおいなどが不安でしたが、実際に見に行くことでその不安感を解消でき、安心して購入に踏み切れました。
店舗までの往復の交通費、時間を加味しても、やはり100万を超える買い物であり、しかも購入に当たって様々なトラブルもありえるため、やはり見に行って正解だったなと思います。
見に行った理由が、エンジンではなく車内のにおいだったことが、ご本人の言葉で書かれています。
値引きは、もとの値段がかなり安かったので、できなかったそうです。
その代わりに、10万円相当のタイヤをすべて新品に替えてから売ってもらえたとのことでした。
遠くから見に来たことで本気度が伝わり、タイヤにつながったのでは、とご本人は書いておられました。
黒のインプレッサスポーツ2.0i-Lの新しめの年式を、160万円ほどで買えたそうです。
車内は新車かと思うほどきれいで、お願いしていなかったのに、納車までに車体にも磨きを入れてくれていて、見たときより細かい傷も消えていたそうです。
その夏は、ご家族で新しい車に乗って旅行に行かれたそうです。
私がお送りしたのは、2か月後の納車のお祝いだけでした。
そのとき、「気持ちの良いカーライフの始まりでしたね」とお伝えしました。
遠くまで見に行って、匂いを自分で確かめ、値引きの代わりにタイヤまで新品にしてもらえたのは、ご相談者さまご自身の行動の賜物だと思います。
見に行った日にどこを見るかと、値引きの代わりにタイヤをお願いする頼み方は、こちらにまとめています👇
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車のこと全般を、はじめから順番に整理したい方は、こちらの教科書ページもどうぞ👇
それでは、損しないカーライフをお過ごしください🐧














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