著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

格安の中古車を見つけて、これは掘り出し物かもしれない、と思う瞬間があります。

条件は、なかなかいいんです。

走行距離も、価格も、車検の残りも、ちょうど探していたとおり。

試乗もさせてもらって、走りにおかしなところはなかった。

それなのに、最後に聞いた質問ひとつで、急に足が止まる。

「この車、修復歴はありますか?」

「確認してないから分からないよ」

この瞬間、それまでのいい話が、まとめてあやしく見えてくるんですよね。

✅ 結論からお伝えします

修復歴を「確認していない」と言われても、お店が何かを隠しているとは限りません。

下取りで入ってきた車には、修復歴を証明する書類がもともと付いていないことがあるからです。

ですので、分かれ目になるのは、お店が誠実かどうかではなく、その車を「どう使うつもりか」だと私は考えています。

これから何年も乗るつもりなら、見送るのが無難です。

使う期間が決まっていて、万が一動かなくなっても諦められる金額なら、選択肢に入れていいと思います。

今回いただいたご相談

まずは、いただいたご相談の内容です(内容を編集して掲載しています)。

質問です!

仕事の関係で、1年半ほど使えれば十分です。

できるだけ値段を抑えたく、車種にもこだわりはありません。

そんな条件で探していたところ、近所の車屋さんで日産のモコを見つけました。

走行距離は6万キロ弱、2004年の登録車、総費用15万円、車検も1年半以上残っています。

試運転もさせてもらい、状態もよかったため、購入を検討しています。

しかし、ひとつ気になる点があります。

それは「この車は修復歴はありますか?」と質問したときのことです。

「確認してないから分からない」

「ただ、この価格の車だから、そこまで細かく気にしない方がいいよ」

といったことを言われました。

修復歴の確認をすることは、大変なことなのでしょうか?

条件はいいので購入を検討中なのですが、この返答に、もしかして隠し事があるのでは?と、ちょっと心配になっています。

ご意見いただけるとうれしいです!

ピゴス
ピゴス

この返事、聞いた瞬間はドキッとしますよね

でも私は、このお店が悪いお店だとは思いませんでした

まずは、そう思った理由からお話しさせてください

なぜ「確認してないから分からない」と言われることがあるのか

中古車がお店に並ぶまでには、いくつかの入り口があります。

オークションから仕入れた車なら、そこで付けられた評価が、書類として手元に残ります。

ところが、下取りで入ってきた車や、個人から直接買い取った車には、その評価がそもそも付いていません。

つまり「確認してない」という言葉は、「調べたけれど言いたくない」ではなく、「調べるための材料が最初から手元にない」という意味であることが少なくないんです。

もうひとつの、「この価格の車だから、そこまで細かく気にしない方がいいよ」という言葉。

突き放されたように聞こえますが、私にはお店の本音のようにも読めました。

総費用15万円という値段は、1台ずつ履歴を調べて、その結果を保証しながら売るには、あまりにも余白が小さいからです。

車屋さんも商売ですので、その価格帯の車は「そこまで調べる前提では仕入れていない」ということが起こります。

ただ、ここが大事なところです。

お店の事情が分かっても、分からないものが分かるようになるわけではありません。

分からない部分のリスクは、買った人が引き受けることになります。

ですので、次に考えるのは「そのリスクを引き受けられる買い方かどうか」です。

修復歴のある車で、あとから困ることがあるのは何か

修復歴があるというのは、車の骨格部分に損傷が及んだ、ということです。

バンパーやドアを交換しただけ、板金と塗装をしただけであれば、修復歴にはなりません。

骨格は、人でいえば背骨にあたるところで、そこに手が入ったかどうかが分かれ目になります。

そして、もっと厄介なのは、どんな直し方をされたのかが、外から見ても分からないことなんです。

専門の工場できちんと直された車もあれば、そうでない車もあります。

見た目が目立たなくても、真っ直ぐ走らない、再塗装した部分が剥げてくる、ドアの開け閉めで異音が出る、といったかたちで後から出てくることがあります。

もうひとつ、お金の話も添えておきます。

修復歴のある車は、買うときが安いぶん、手放すときも安くなります。

最初から使い切るつもりなら、これは気にしなくていい話です。

けれど途中で気が変わって乗り替えたくなったとき、戻ってくるお金は少なくなります。

なお、すでに修理された車の「強度そのもの」が心配な方は、こちらでもう少し詳しくお話ししています。

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見送った方がいい人と、選択肢に入れていい人

ここからが、いちばんお伝えしたいところです。

修復歴が分からない車を買っていいかどうかは、車の側ではなく、乗る人の側の条件で決まると私は考えています。

格安の中古車は、安いぶんだけ、分からない部分をご自身で引き受けることになるからです。

見送るのが無難な方

これから何年も乗るつもりの方は、見送った方が無難です。

車のことに詳しくなくて、ご自身では状態を判断できない方も同じです。

わざわざ、分からないリスクを取りに行く必要はありません。

そして、その予算で修復歴なしの車も選べるのであれば、あえて修復歴ありを選ぶ理由はないと思います。

世の中には、修復歴のない車がたくさんありますので。

選択肢に入れていい方

使う期間が決まっていて、その期間を過ぎたら手放すつもりの方。

万が一動かなくなっても、諦められる金額の方。

そして、実際に見て、乗って、ご自身の目で状態を確かめた方。

この3つが揃っているなら、私は選択肢に入れていいと思っています。

今回のご相談者さまを、この物差しに当てはめてみます。

使う期間は1年半とはっきりしていて、総費用は15万円。

車検の残りも1年半以上ありますので、使いたい期間とちょうど重なります。

つまり、追加で車検を取らずに乗り切れる計算になります。

そのうえ試運転までさせてもらい、状態もよかったとのこと。

こうして並べてみると、ご相談者さまは「選択肢に入れていい方」にかなり近いところにいらっしゃいます。

ピゴス
ピゴス

私が引っかかったのは、修復歴そのものではありませんでした

1年半で手放すと決まっているのに、10年乗る人と同じ基準で悩んでいないか、という点です

基準は、使い方で変わっていいと思います

ちなみに「期間が決まっているなら、そもそも買わない」という道もあります。

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書類よりも、実車と、お店を見る

修復歴を確かめる手段として、第三者機関の評価書という書類があります。

あるに越したことはありません。

ただ、あくまで私の感覚ですが、評価書はオマケくらいに思っています。

傷があるか、修復歴があるかは分かりますが、これまでどんな整備をされてきたか、車内の匂いはどうかといった細かいところまでは分かりません。

私が大事だと思っているのは、次の3つです。

  • 実際に見て、乗って確かめられる車を買うこと
  • 信頼できるお店から買うこと
  • 身の丈に合った金額を、無理のない払い方で出すこと

この3つが揃っていれば、大きなハズレはだいぶ引きにくくなります。

今回のご相談者さまは、1つめをすでにされているんですよね。

書類が付いていないことよりも、私はそちらの方を重く見ます。

そのうえで、車に詳しくない方でも見られるところを、ひとつだけ挙げます。

ドアの開け閉めです。

左右で音や重さが違ったり、閉まり方に違和感があったりすると、その周りに手が入っている可能性があります。

とはいえ、これも「分かることもある」という程度の話です。

自信が持てないときは、いつもお世話になっている車屋さんに一度見てもらうのが、確かな近道だと思います。

まとめ

今回のご相談のポイントを、整理します。

  • 「確認してないから分からない」は、隠しているとは限りません。下取りで入ってきた車には、修復歴を証明する書類がもともと付いていないことがあります
  • 修復歴とは、車の骨格部分に損傷が及んだということ。どんな直し方をされたのかは、外から見ても分かりません
  • これから何年も乗るつもりなら、見送るのが無難です。その予算で修復歴なしの車も選べるなら、あえて選ぶ理由はありません
  • 使う期間が決まっていて、動かなくなっても諦められる金額なら、選択肢に入れていいと思います
  • 書類より、実車で確かめられること・信頼できるお店から買うこと・身の丈の金額であること。この3つの方がよく効きます

ご相談者さまの、その後

このご相談には、続きがあります。

翌日、ご相談者さまからこんなご報告をいただきました。

たしか、下取り車だと言っていたような気がします。

だから、修復歴についてあいまいな答だったのですね、すっきりしました。

車屋さんは職人肌でよい印象だったのですが、修復歴の質問だけはあいまいな答えだったので、『なにかあるのでは』と心配になってしまいました。

今回のアドバイスを参考に、家族と相談して答を出そうと思います。

隠し事があったのではなく、下取りで入ってきた車だったから、証明する書類がなかった。

それだけのことだったんですね。

そして私が強く印象に残ったのは、ご相談者さまご自身が、そのお店を「職人肌でよい印象だった」と書かれていたことです。

質問ひとつの答え方だけで、そのお店ごと疑ってしまうところだった。

これは誰にでも起こることだと思います。

だからこそ、分からないことがあったときは、疑う前に「どうして分からないんですか?」と聞いてみてほしいんです。

たいていの車屋さんは、理由をちゃんと話してくれます。

ピゴス
ピゴス

すっきりしました、という一言が、私はとても嬉しかったです

答えを出すのは、ご本人とご家族

私にできるのは、判断するための材料をそろえることだと思っています

条件のいい車ほど、たったひとつの引っかかりで気持ちが揺れます。

でも、その引っかかりを言葉にして、お店に聞けたご相談者さまは、すでにいい買い方をされていると私は思いました。

修復歴のことで疑問や不安ある場合は、「X」「お問い合わせ」「コメント欄」などでお気軽にご相談ください。

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、コメント欄や「X」などでいつでもメッセージを承っております。お気軽にどうぞ!