社用車に個人で保険、等級は最初から? 今の等級を手放さないために聞くこと

勤め先が社用車を用意してくれるのは、とてもありがたい話です。
ところが、保険を切り替えようとしたら「等級は最初から」と言われて、何年も無事故で育ててきた割引を手放すのかと、がっかりした方もいると思います。
等級は無事故の1年ごとに少しずつしか上がらないので、一度手放すと、取り戻すのに何年もかかるからです。
今回は、勤め先の車に乗り換えることになった方からのご相談です。
勤め先が持ち主の社用車へ乗り換えるとき、「等級は最初から」と言われるのは、保険の決まりどおりのことが多いです。
等級を次の車へ移せるのは、その車の持ち主が、自分か家族のときに限られるからです。
それでも、育ててきた等級は消えません。
前の車を手放すなら、前の保険で「中断証明書」を出してもらえば、今の等級を最長10年、預けておけます。
社用車に個人で入れるかどうかも保険会社ごとに違うので、状況をそのまま伝えて、保険会社に確かめるのが近道です。
まずは、いただいたご相談です
まずは、今回いただいたご相談の内容です。
車の保険について質問です。
今の勤め先が、社用車として車を買ってくれることになりました。
使うのは私1人なので、任意保険は自分で入ることになります。
前の車から乗り換えて保険を変えようとしたら、所有者が個人から法人に変わるので、等級が最初からになり、保険料がかなり高くなると案内されました。
等級が変わるのは、避けられないのでしょうか。
保険会社によって違いはありますか。
あわせて、安いおすすめの保険会社があれば教えていただけると嬉しいです。
車の持ち主は会社で、運転するのは私と妻だけです。
ご相談をいただいたのは、2023年の4月です。
「等級は最初から」は、多くの保険会社の決まりどおりです
先に、当時の私の答えを正直に直しておきます。
当時は、「もしかしたら個人が新しい車に乗り換えたのと同じように、等級は引き継げるかもしれません」とお答えしました。
同じ答えの中で、「私も自信を持って、等級が引き継げますよとは言えない」とも書いています。
いま、保険会社の公式の決まりを確かめると、勤め先が持ち主の車へ等級を移すことは、多くの保険会社でできない決まりになっていました。
等級を次の車へ移せるのは、持ち主が自分か家族のとき
車を買い替えて、今の保険を新しい車に付け替える手続きを、「車両入替」といいます。
車両入替で今の等級を引き継げるのは、新しい車の持ち主が、次のどれかのときに限られています。
- 前の車の持ち主
- 記名被保険者(保険の上で、主にその車を運転する人)
- 記名被保険者の配偶者
- 記名被保険者か配偶者と、同居している親族
三井住友海上の公式の「よくあるご質問」には、個人で入っていた保険を、法人名義の車へ入れ替えられるかという問いに、「いいえ、できません。新規にご契約いただく必要があります。」と書かれています。
ローンやリースの途中で、車検証の所有者がディーラーやローン会社、リース会社になっている車なら、車検証の使用者を持ち主とみなす決まりもあります。
ただ、勤め先が買った社用車は、ふつうは持ち主が勤め先になるので、使用者を持ち主とみなす決まりには入りません。
※三井住友海上・あいおいニッセイ同和損保・ソニー損保の公式の「よくあるご質問」より(2026年10月に確認・決まりの書き方は保険会社ごとに少しずつ違います)。
ご相談者さまが「等級は最初から」と案内されたのも、決まりどおりの答えだったと思います。
新しく入る保険は、6等級からのスタートです
社用車の保険は、新しい契約として入ることになるので、等級はふつう6等級から始まります。
※三井住友海上「自動車保険の等級とは?」より(2026年10月に確認)。
等級は無事故の1年ごとに1つずつ上がるので、20等級まで育てるには十数年かかります。
私は以前、Xにこんなふうに書いたことがあります。
20等級は最短でも13年…お宝である!
ただ、等級は車ではなく、記名被保険者、つまり運転する人のほうに貯まっていくものです。
車が替わったからといって、育ててきた等級がなくなるわけではありません。
あきらめる前に、保険会社に聞く3つのこと
等級を引き継げないと言われても、すぐにあきらめる必要はありません。
状況をそのまま伝えて、次の3つを保険会社に聞いてみてはいかがでしょうか。
- 今の等級を、社用車に引き継げるか
- 持ち主が勤め先の車でも、個人の契約で入れるか
- 前の車の保険で、中断証明書を出してもらえるか
聞く先は、保険会社のカスタマーセンターがおすすめです。
保険のお悩みの個別ケースは保険屋さんのカスタマーセンターに聞くのが1番です
保険会社で解釈が違う場合もあります
代理店の担当の方は、保険の販売や変更が主な仕事なので、細かい決まりまでは分からないこともあります。
保険の解約のときにも、私はカスタマーセンターへの連絡をおすすめしています。
電話の日時や話した内容が、記録に残るからです。
① 今の等級を、社用車に引き継げるか
聞くときは、状況を省かずに、そのまま伝えるのがおすすめです。
当時のご相談者さまには、次のように伝えてみてはどうかとお返ししました。
「車検証名義は法人ですが、買い与えられたものであり、事実上の使用者は私で、私個人の通勤や日常使用として、車は使用していきます。」
決まりの書き方は保険会社ごとに少しずつ違うので、同じ状況でも、答えが分かれることがあります。
多くの会社では引き継げないと思っておいて、引き継げたらありがたい、くらいの気持ちで聞くのがよいと思います。
② 持ち主が勤め先の車でも、個人の契約で入れるか
次に確かめたいのが、そもそも社用車に、個人の契約で入れるかどうかです。
じつは、持ち主が法人の車は、個人の契約では受け付けていない保険会社も少なくありません。
たとえばソニー損保は、ウェブサイトの取扱範囲に、契約する人が役員や従業員として勤めている法人の車も、持ち主として入れています。
代理店型の保険でも、たとえばあいおいニッセイ同和損保は、契約する人・運転する人・車の持ち主が別々の名義でも、契約のときに申告すれば契約できると公式に書いています。
※ソニー損保「ウェブサイトの取扱範囲」、あいおいニッセイ同和損保の「よくあるご質問」より(2026年10月に確認・会社や契約によって内容も金額も違い、見直しが入ることもあるので、あくまで目安です)。
当時は、遠出の多さで選ぶネット保険の好みもお伝えしましたが、社用車の場合は、値段で比べる前に、受け付けてくれる会社かどうかを確かめるのが先です。
私がふだんご紹介している一括見積もりのサービスも、法人と個人のあいだで名義が変わるケースは使えないので、保険会社か代理店に直接相談するよう案内しています。
※インズウェブの「よくある質問」より(2026年10月に確認)。
受け付けてくれる会社がいくつか見つかったときの選び方は、こちらが参考になります👇
③ 前の車の保険で、中断証明書を出してもらえるか
等級を引き継げなかったときに、大事になるのが3つ目です。
前の車を売ったり廃車にしたりするなら、前の保険を解約するときに「中断証明書」を出してもらうと、今の等級を預けておけます。
出してもらえるのは、ふつうは7等級以上で、車を手放したときです。
預けた等級は、中断した日の翌日から10年のあいだ使えます。
社用車の保険は6等級から始めることになっても、またご自分の車を持つときに、条件が合えば、預けておいた等級から始め直せます。
※ソニー損保「中断証明書の発行条件」、三井住友海上の「よくあるご質問」より(2026年10月に確認・発行の条件や期限は保険会社ごとに違います)。
解約の手続きの中で、保険会社から聞いてくれることもありますが、聞かれないまま進むこともあるので、自分から伝えておくと安心です。
中断証明書の手順と、知っておきたい落とし穴は、こちらでまとめています👇
自分の車を会社名義にする話・会社で入る話は、また別です
似ているようで、別の場面の話もあります。
ご自分で会社をされていて、今の車のまま、持ち主だけを自分の会社に変える場合は、進める順番のほうが大事になります。
名義を変える前に、まず保険会社に相談するのが先で、その段取りはこちらでお話ししています👇
会社として、法人の名義で保険に入る場合は、受け付けてくれる会社を探すところから始まります。
法人で入れる保険の探し方は、こちらでお話ししています👇
まとめ
- 勤め先が持ち主の社用車へ乗り換えるとき、「等級は最初から」は多くの保険会社の決まりどおり
- 等級を次の車へ移せるのは、新しい車の持ち主が自分か家族のとき
- あきらめる前に、保険会社のカスタマーセンターに、状況をそのまま伝えて聞く
- 社用車に個人の契約で入れるかは、保険会社ごとに違う
- 前の車を手放すなら、中断証明書で今の等級を最長10年預けておける
当時、ご相談者さまは「明日、保険会社から連絡が来るので交渉してみようと思います」とお返事をくださいました。
今あらためてお答えするなら、交渉と一緒に、中断証明書のことも聞いてみてはいかがでしょうか、とお伝えしたいと思います。
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車のこと全般を、はじめから順番に整理したい方は、こちらの教科書ページもどうぞ👇














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