著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

こんにちは、「ぺんぎんカーライフ」のピゴスです🐧

中古車の商談が進んで、その車の情報をあらためて見ていたら、こう書いてありました。

「整備記録簿なし」。

お店の方に聞くと「記録は残っていないんですが、直近でしっかり点検も受けていますし、状態もキレイなので、たぶん定期的に見てもらっていたのではないかと思います」と。

悪い話をされているわけではないんです。

でも「たぶん」という言葉だけが、妙に頭に残ってしまう。

7年ぶんの空白を、どう埋めればいいのか。

——じつは、この空白は買ったあとに埋めることもできます。

✅ 結論からお伝えします

整備記録の残っていない中古車は、納車されたら早いうちに一度、点検を受けておくと安心です。

持っていく先は、その車を作ったメーカーのディーラーをおすすめしています。

頼み方は「12ヶ月点検をお願いします」で十分です(12ヶ月点検は、1年ごとに受ける点検のことです)。

その1回が、その車のこれからの記録の1ページ目になります。

もちろん、調子が悪くなってから見てもらうという道もあります。

どちらでも大丈夫ですので、両方お話ししますね。

まずは、いただいたご相談です

購入しようと考えている中古車は、過去7年間の整備の記録がないようです。

販売店さんは「点検の記録はないけど、直近でしっかり点検も受けてあり状態もキレイなので、おそらく定期的に点検などされてきてるのではないか」と言っていました。

私としてはまずは受けずに乗って、調子が悪くなりそうなら、その都度ディーラーに点検をお願いする形にしたいのですが、それは可能ということでよいでしょうか?

7年落ちのホンダのフリード(ガソリン車)を、105万円で検討されていた方です。

とても良いところに気がつかれています。

「記録がない」という不安を、「じゃあ、どうするか」という次の一手に変えて聞いてくださっているんですよね。

この方が、実際に選んだ形

先に、この話の着地からお伝えします。

この方は、お店から「法定点検と消耗品の交換がセットになった整備プラン(88,000円)」をすすめられていました。

それは付けず、もともと見積書に入っていた基本の整備のまま納車してもらう形で契約されています。

そして、そのお車を購入されました。

つまり「何も整備せずに納車された」わけではありません。

基本の整備は受けたうえで、法定点検の付いたプランには変えなかった、ということですね。

見積書のオプションをどう仕分けたのか、その考え方はこちらに書きました👇

中古車の整備パック8.8万円は必要?中身を確認して基本プランで納車した実例
中古車の納車前整備パック8.8万円は必要? 外して納車してもらった見積書の話契約の直前に、納車前整備パック88,000円と延長保証16万円を勧められたら。このご相談者さまは、どちらも付けずに、もとの基本プランのまま納車してもらいました。そこまでの考え方を順番にお話しします。...

法定点検を受けずに納車してもらえるのか、という確認もそちらでしています。

ここからは、その続き——納車されたあと、最初の点検をどうするかをお話しします。

「記録が無い」は、何が分からないということか

まず、ここを整理しておきます。

記録が無いのは、お店のせいではありません

最初にお伝えしておきたいことがあります。

整備記録簿は、前に乗っていた方の持ち物です。

車検証入れに入れたままにする方もいれば、手元に残す方も、処分してしまう方もいます。

ですから、記録が渡されないまま流通することは、ふつうにあります。

中古車販売店が隠しているわけでも、手を抜いたわけでもありません。

今回の販売店の方も、「記録はないけれど、おそらく点検はされてきたのでは」と、分かる範囲で答えてくださっています。

分からないのは「何が、いつ替えられたか」です

では、記録が無いと具体的に何が分からないのか。

どの部品が、いつ交換されたかです。

エンジンオイルはいつ替えたのか。

ブレーキまわりの部品は残りどれくらいなのか。

バッテリーはいつからのものか。

こういうことが、紙の上では追えません。

ただ——これは「見れば分かること」でもあります。

プロが車を上げて見れば、部品の減り具合はその場で分かります。

だから記録の空白は、点検1回でかなり埋まるんです。

もう1つ、地味に効くのが「二度手間」です

記録が無いことの、もう1つの困りごとです。

じつは交換したばかりの部品でも、交換した証拠が残っていないので、また替えてしまうことがあります。

これは誰が悪いという話ではなくて、記録が無いなら安全側に倒すしかないからです。

ですので、最初に一度きちんと見てもらって、そこからの記録を自分で残していく。

これがいちばんすっきりすると思います。

なお、整備記録のある車と無い車で迷っている段階でしたら、こちらもどうぞ👇

中古車を2台まで絞れたら、どっちを買う?決め手は、整備の記録
中古車を2台まで絞れたら、どっちを買う? 整備記録あり・なしで迷ったときの決め方同じ予算の中古車が2台。整備の記録が残っている1台と、記録がない1台で迷ったときの決め方をまとめました。走った距離の差より効くこと、見積もりは車検の残りで見比べること、スライドドアの要る日の考え方まで。...

最初の点検は、その車のメーカーのディーラーへ

ここからが本題です。

私がおすすめしているのは、その車を作ったメーカーの正規ディーラーです。

ホンダの車ならホンダのお店、トヨタの車ならトヨタのお店、ということですね。

当時の私も、「専用の設備と、フリードを整備した経験の豊富なディーラーに出すほうが、間違いは少ない」とお答えしています。

同じ「点検」でも、見るところが違います

点検という言葉は同じでも、中身はお店によって変わります。

メーカーのディーラーには、その車種で過去に何が起きたかの情報がメーカーから直接入ってきます。

どこが弱りやすいか、どこを先に見るべきか。

それが分かっている人が見るのと、はじめて触る車を見るのとでは、同じ時間でも拾えるものが変わってきます。

記録が無い車は、どこに何があるか分からない状態からのスタートです。

だからこそ、当たり外れの小さいところに預けたい、というのが私の考えです。

ただし、ディーラーが万能というわけではありません

ここは正直にお伝えしておきます。

ディーラーにも、当然ながら人のばらつきはあります。

経験の浅い整備士さんもいますし、会社の方針で小回りがきかないこともあります。

私がディーラーをすすめるのは「いちばん上手だから」ではなく、「幅が小さいから」です。

誰に当たっても、だいたい一定のところまではやってくれる。

車のことをまだよく知らない段階では、その読みやすさが効いてきます。

逆に、すでに信頼できる整備工場とお付き合いがあるなら、そちらにお願いして何の問題もありません。

良い人に出会えているなら、それは仕組みより強いこともあります。

頼み方は「12ヶ月点検をお願いします」で十分です

お店に電話したり、窓口で話したりするとき、何と言えばいいか迷いますよね。

これだけで通じます。

「他店で中古車を買ったのですが、整備の記録が残っていないので、一度きちんと見ていただきたいです。12ヶ月点検をお願いできますか」

他店で買った車を持ち込むことに、気が引ける方もいらっしゃると思います。

ですが、ディーラーの整備はそのメーカーの車すべてが対象です。

自店で売った車でなければ見てもらえない、ということはありません。

費用はお店や車種によって幅がありますので、電話のときに「おいくらくらいになりますか」と一緒に聞いておくと安心です。

ちなみにディーラーの認定中古車(ディーラーが点検し、保証を付けて売っている中古車)なら、この点検は最初から本体価格に含まれていることが多いです。

それに、認定中古車には保証が付いています。

記録が無いぶんは、その保証が引き受けてくれる、という考え方もできます。

そのあたりの話は、こちらにまとめています👇

ninteityuukosya_eyecatch
【慌てて決めちゃダメっ!】中古車を買うならまずはここから探そう!中古車選びはまずディーラーの認定中古車から。品質・保証・適正価格など、慌てて決める前に知っておきたい5つの理由を、元ディーラー営業×元1級整備士が解説します。...

いつ持っていくか。道は2つあります

ご相談者さまが考えていらっしゃった「調子が悪くなりそうなら、その都度」は、じつはその前に私がお伝えしていた形でした。

そのときのお答えは、こうでした。

ピゴス
ピゴス

私ならやらずに乗っていって、調子が悪そうならその都度、ディーラーなどに点検をお願いします

もしくは、点検だけ最初にお願いして、問題ないかチェックしてもらいます

道は2つあるんですね。

① 調子が悪そうなときに、その都度

納車されたら、まずはふつうに乗る。

音が変わった、振動が出た、警告灯が点いた——そういうときに見てもらう。

お金を先に使わないぶん、浮いたぶんは修理に備えて手元に置いておけるという良さがあります。

車検がしっかり残っている車なら、この形でも大きな問題にはなりにくいです。

② 納車のあと、早いうちに一度だけ

もう1つが、こちらです。

納車されて少ししたころに、一度だけディーラーへ持っていって見てもらう。

88,000円の整備プランを付けなかったぶん、あとで必要なぶんだけのお金を払って、ディーラーで見てもらう形です。

何も起きていないうちに見てもらうのがポイントです。

「いまのところ、特に問題ありませんでした」という結果でも、それは無駄ではありません。

「この車はここから始まる」という基準ができるからです。

次に何か気になったとき、その基準があるかないかで、話の早さがまったく違ってきます。

記録が無くて不安なら、②から始める

どちらを選んでも大丈夫です。

このときの私自身は、①のほうを先にお伝えしています。

ただ、記録が無いことが気になって、不安が消えないなら、②から始めるのがいいと思います。

理由は、①の「調子が悪そうなら」という判断が、けっこう難しいからです。

車に詳しい方なら、音や振動の変化に気づけます。

でも、その車に乗り始めたばかりだと、そもそも「ふつうの状態」を知りません。

前からこういう音だったのか、最近そうなったのか。

比べるものがないんですよね。

一度見てもらえば、漠然とした不安が、具体的な項目と金額に変わります。

だから最初に一度、ふつうの状態を作っておく。

そのあとは、①のやり方に合流していけば大丈夫です。

点検のあとに、お金の話が来ます

ここは、先に言っておきたいところです。

点検を受けると、交換したほうがいいものが見つかることがあります。

そしてその費用は、点検料とは別にかかります。

記録が無い車の場合、何も出ないほうが少ないかもしれません。

7年ぶん何も替えていない、ということは考えにくいのですが、替えたかどうかが分からない以上、見つかるものは出てきます。

ここでがっかりしないでいただきたいんです。

それは「損」ではなく、「これまで見えていなかったもの」が見えただけです。

むしろ、走っている途中で壊れるより、はるかに安く済んでいます。

ピゴス
ピゴス

点検で何か出たとき、「買う店を間違えたかな」と思ってしまう方がいます

でも、記録が無い車は、最初に何か出るのがふつうなんです

その1回を越えたら、あとは自分の記録が積み上がっていきます

もし大きな金額が出てしまったら、その場で決めなくて大丈夫です。

「いま必ずやらないといけないものと、しばらく様子を見られるものを分けて教えてください」。

こう聞けば、たいていのお店は分けて説明してくれます。

まとめ

整備記録が残っていない中古車を買ったあとのことを、整理します。

  • 記録が無いのは、お店のせいではありません。記録簿は前に乗っていた方の持ち物なので、渡されないまま流通することはふつうにあります
  • 記録が無いと分からないのは「何が、いつ替えられたか」。ただしプロが見れば、その場で分かることでもあります
  • 交換した証拠が残らないと、同じ部品をまた替えてしまうことがあります
  • 最初の点検はその車を作ったメーカーのディーラーへ。いちばん上手だからではなく、当たり外れの幅が小さいからです
  • すでに信頼できる整備工場があるなら、そちらでまったく問題ありません
  • 頼み方は「他店で買った車ですが、記録がないので一度見ていただきたいです。12ヶ月点検をお願いできますか」
  • 持っていく時期は①調子が悪そうなときに、その都度/②納車のあと早いうちに一度だけの2つ。どちらでも大丈夫です
  • 記録が無いことで不安が消えないなら②から。乗り始めたばかりだと「ふつうの状態」が分からないからです
  • 点検で交換するものが出たら、その費用は別途。ただしそれは損ではなく、見えていなかったものが見えただけです

整備記録は、たしかに便利なものです。

でも、無ければ買えないというものでもありません。

記録が無いなら、これから作ればいいんです。

その1ページ目が、最初の点検になります。

ご相談者さまの、その後

この方は、そのお車を購入されました。

もともとは、いま乗っている新車のローンが家計に重いことに気づいて、中古車への乗り換えを考え始めた方です。

お店をまわって、この一台に出会って、見積書のオプションで悩んで、記録がないことを心配して——。

そのうえで「じゃあ、買ったあとにどうするか」まで考えて聞いてくださいました。

分からないことを、分からないまま進めなかった方でした。

記録の空白は、その1回の質問で、もうだいぶ埋まっていたと思います。

乗り換えを考え始めたときのご相談と、ご家族が選んだ答えは、こちらに書いています👇

新車ローンが重い。乗り換えるか乗り続けるか、答えは2つどちらも正解
新車のローンが重い。乗り換えるか、乗り続けるか|私の答えと、ご家族が選んだ答え新車のノアのローンがあと4年。支払いが重いと感じたご相談に、私は「いまの車を大切に長く」と答えました。でもご家族の答えは違い、そちらも正解でした。分かれ目と、乗り換えていい4つの場合をお伝えします。...

中古車の整備記録で疑問や不安ある場合は、このページ下の「コメント欄」からお気軽にどうぞ(ニックネームもメールアドレスも要りません)。

最新記事のアップも「X」でお伝えしておりますので、よろしければフォローよろしくお願いいたします。

このブログ「ぺんぎんカーライフ」では、ご質問への回答だけでなく、損しないカーライフを送るための記事を書いています。

迷ったときに戻ってこられる入口として、よかったらのぞいていただけたら嬉しいです。

【はじめに】損しないカーライフの歩き方|6つの章でわかる車の教科書
【はじめに】損しないカーライフの歩き方|6つの章でわかる車の教科書車の維持費・選び方・買い方・保険・売却までを6つの章で整理した入門まとめ。元1級整備士×元ディーラー営業のピゴスが、20以上の記事で損しないカーライフへの歩き方を案内します。困った時に戻れる入口ページです。...

それでは、損しないカーライフをお過ごしください🐧

ABOUT ME
ピゴス
ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、記事の下のコメント欄でいつでも承っております。ニックネームもメールアドレスも要りませんので、お気軽にどうぞ!