著者:ピゴス - 元1級整備士×元ディーラー営業マン(整備12,000台/販売500台/年300件相談対応)

車を売ろうと動き出したところで、自動車保険の更新の案内が届くと、焦ってしまいますよね。

「もしかしたら、今、保険を解約したら損じゃないの?」と心配になる方もいると思います。

かといって、期限までに売ろうとすると、安い金額で決めてしまいそうで不安にもなります。

今回は、そんなふうに期限に挟まれて迷われた方からのご相談です。

✅ 結論からお伝えします

期限に追われて、安い金額で決める必要はありません。

期限までに売れたら、保険会社に解約と中断証明書の発行をお願いすれば、等級を残せます。

間に合いそうになければ、保険料を払って続けても大丈夫です。

売れたあとで解約すれば、使わなかった期間の保険料は、一部が戻ってきます。

どちらの場合も、払わずに放っておかず、先に保険会社へ電話して、期限の日付が何の日付なのかを確かめてみてはいかがでしょうか。

買取店で、その場で決めないと金額を出せないと言われても、ほかのお店と比べてから決めて大丈夫です。

まずは、いただいたご相談です

まずは、今回いただいたご相談の内容です。

車を売りたいのですが、どう売ればいいのか全く分かりません。

自動車保険の代金(年30,160円)を4月30日までに振り込まないと、保険が下りないそうです。

払わずに保険が切れると等級が下がると調べましたが、車を売って、保険は払わないつもりでいます。

そのため、4月30日までに売ろうと思っています。

3年前に買った軽自動車で、走行距離は1万8千kmほど、擦り傷とライトのカバーの割れがあります。

AIの査定では、68万6千円でした。

今日、買取店に行ったら、「その場で売却しないようだと買取値段は提示できない」と言われました。

ほかのお店を回って、いちばん高い金額を伝えて、それより高く買えるなら連絡してほしい、とのことでした。

売る金額が3万円以上上がりそうで、時間が要るなら、保険を払って4月30日より後に売ろうと思っています。

ご相談をいただいたのは、2023年の4月です。

お車は、ムーヴでした。

ご相談者さまは、AIの査定を試し、MOTA車買取に申し込み、買取店にも足を運んだうえで、保険の期限と売る値段の間で迷われていました。

私のお答えは「後出しジャンケンのお店は『なし』でオッケー」でした

当時は、「もうすでに行動されていて、課題は見えてきているように感じます」とお返事しました。

「大筋の流れはしっかりされていて、素晴らしいです」。

「その場で決めないと金額は出せない」と言われたら

買取店がその場で決めてほしい理由は、ご相談者さまがお店から聞いた説明の中にあります。

「初めの金額査定は踏み台にしかならないため」。

最初に出した金額は、ほかのお店に見せて上を出させる材料に使われる、ということです。

お店から見れば、無理のない考え方だと思います。

ご相談者さまも、「怪しいけど親切さはありました」と書かれていました。

ただ、売る側が付き合う必要もありません。

「後出しジャンケンに付き合っていくのはコミュニケーションコストがかかりますよね」。

当時は、「本日聞いた買取店は、次に行うMOTAの査定結果より、低そうな場合は『なし』でオッケーです」とお伝えしました。

比べるなら、同じ時間・同じ場所で

MOTA車買取のような一括査定で何社か手が挙がったら、「同じ時間、場所に来てもらい同時査定をしましょう」とお答えしました。

「そこで、納得のいく結果なら、その場で判断しちゃいましょう」。

何社も回って1社ずつ話すのは、「かなり体力と精神力がいる」と、ご相談者さまも書かれていました。

同じ時間に集まってもらえば、話すのは1回で済みますし、お店どうしで金額を比べてくれます。

同じ日に集まってもらうときの段取りは、こちらでお話ししています👇

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相場が分からないうちは、希望額は言わなくて大丈夫

当時の最初のお返事では、査定の前に、ちょっと高めの希望の金額と、納得すればすぐ売ることを伝えましょう、とお答えしました。

ご相談者さまからは、「高めの条件が分からず」とお返事がありました。

そこで翌日には、「それはそれで何も言わなくても大丈夫です」とお伝えしています。

「もし、希望額を聞かれたら、素直に1番高い所に決めますと言っても良いと思います」。

後でお話ししますが、ご相談者さまは査定の場で、減額の理由を並べられて、とっさに60万円と希望を伝えられました。

そのお店の金額は、伝えたとおりの60万円で、「もう少し高め希望価格を言ったらよかったです」とのことでした。

相場が分からないうちに言った希望額は、そのまま上限になってしまうことがあります。

金額を言うかわりに、「今日、いちばん高い金額を出してくださったところに決めます」とだけ伝えれば十分だと思います。

保険は、期限の日付が何の日付かで、やることが変わります

ご相談者さまが気にされていた、4月30日までの約3万円の保険料のお話です。

当時の私は、4月30日を、今の保険が終わる日(満期日)だと受け取ってお答えしました。

ところが後日、ご相談者さまが保険会社に確かめると、案内は「いったん1年分支払って、中断証明書を発行してもらい差額を返金」でした。

4月30日は、次の1年の保険料を払い込む期日だったのかもしれません。

期限の日付が、今の保険が終わる日なのか、次の1年の払い込みの期日なのかで、やることが変わります。

保険証券か更新の案内を見て、分からなければ保険会社か代理店に電話で聞いてみてはいかがでしょうか。

今の保険が終わる日までに売れたら、その日付で解約と中断証明書

当時は、「4/30の満了日まで、保険料を支払わなくても、4/30までは使えます」とお答えしました。

「それまでに売却して、4/30付で保険会社に解約と中断証明書の発行をオススメいたします」。

中断証明書は、今の等級を、次に車を持つときまで残しておける書類です。

中断証明書を出してもらえるのは、満期日か解約日までに車を手放していて、等級が7等級以上の場合です。

等級を残しておけるのは、10年の間です。

※ 三井住友海上のよくあるご質問「どのような場合に中断証明書を発行してもらえますか?」より(2026年10月に確認・条件は保険会社によって違うことがあります)。

反対に、事故が続いて等級が下がっている場合は、中断証明書の対象になりません。

当時も、「今の保険が5等級以下などの場合は、値段が異常に高くなる恐れがある」ので、無理に等級を残さなくて結構です、とお伝えしています。

中断証明書の頼み方と条件は、こちらにまとめています👇

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払い込みの期日なら、払ってから解約しても大丈夫

当時は、もうひとつお伝えしていました。

「もし保険のことで焦ってしまい、損する結果になりそうなら保険は継続したほうがよろしいですよ」。

保険料を払っても、途中で解約すれば、使わなかった期間の保険料は一部が戻ってくるからです。

ただ、当時の私の「3万円払っても、5月や6月の解約なら7〜8割は返金されてきます」は、少し多めの数字でした。

年払いの保険を途中で解約すると、戻ってくるのは、1年分の保険料から、短期率という決まった割合を引いた分です。

東京海上日動の短期率で計算すると、30,160円の保険を1か月以内に解約したら、戻るのは75%の22,620円です。

2か月以内なら65%で、19,604円です。

いまお答えするなら、5月で7割5分、6月で6割5分ほどです。

月払いの場合は、解約した月までの分を払う、月割りの計算です。

※ 東京海上日動のよくあるご質問「解約時の返還保険料・請求保険料」の短期率表より(2026年10月に確認・払い方や解約の理由で計算が変わることがあります)。

ご相談者さまは、3万円以上上がるなら払って売ろうと考えていましたが、解約して戻る分を引くと、1か月なら負担は7,540円ほどです。

売る値段がそれ以上に上がりそうなら、払って続けたほうが得をすることもあります。

保険をいったん更新してから手放すときの考え方は、こちらでもお話ししています👇

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払わずに放っておくのは、やめておきます

いちばん避けたいのは、払い込みの期日を過ぎたまま、何もしないことです。

払い込みの期日を過ぎて、猶予の期限も過ぎてしまうと、保険金が支払われず、契約が解除されることもあります。

※ 東京海上日動のよくあるご質問「保険料はいつまでに支払えばよいですか?」より(2026年10月に確認)。

別のご相談でも、「継続し忘れで、保険の等級を失効して大損したという話はたまーに聞きます」とお答えしました。

売るのが決まっていても、決まっていなくても、まずは保険会社に、車を売る予定であることを伝えておくと安心です。

売る時期は、読めません

当時は、4月の売却について、こうもお伝えしました。

「4月は買取相場においては一般的に不利とは言われます」。

「もちろん、月日が経過することで価値が下がるリスクもありますし、車検を受けなければならないなど制約がある場合は、今のうちに売り抜いてしまうのもありです」。

「株価と同じでこの辺りは、読めないものです」。

車検が近いときに、いつ売るかの考え方は、こちらでお話ししています👇

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保険料の差より、売る値段の差のほうが大きく動くこともあります。

車の売却は、保険の期限に合わせて急ぐより、比べて納得できる値段かどうかで決めてみてはいかがでしょうか。

ご相談者さまご自身も、「売却値段を気にするあまり、精神的に疲弊することや時間が過ぎていくことの方がつらいことになりかねません」と書かれていました。

私も、「時間や体力、精神力も大事なもの」なので、スパッと決めてしまうのも大事だとお返事しました。

ご相談者さまの、その後

ご相談の2日後に、ご報告が届きました。

MOTA車買取から手を挙げてくれたお店は、1社だけでした。

現車を見たそのお店からは、減額の理由をいくつも聞かされたそうです。

ご相談者さまは、とっさに60万円と希望を伝えられました。

お店の返事は、55万円なら出せる、その場で決めるなら60万円まで上げる、というものでした。

そのうえで、最初に行った買取店へ電話して60万円を伝えると、61万円で買い取ってもらえたそうです。

その61万円には、自動車税の分も含まれていました。

私は、「やはり、行動して良い結果になったと思いますよ」とお返事しました。

傷のお話から、私は50万円ぐらいと予想していましたので、自分のことで考えたら「10万円アップやったぁ」という気分です、ともお伝えしました。

保険は、保険会社の案内どおり、いったん1年分を払ってから、中断証明書を出してもらい、差額を返金してもらえる、とのことでした。

入札が1社だけだったときは

お店の説明では、軽自動車で車体の価格が低いと、買い取っても利益が大きくないので、手が挙がりにくいそうです。

当時は、「motaの弱点として、1件ぐらいしか買取店が応募してこないことがある」とお伝えしました。

「第二の作戦の用意も必要なのかな?と感じてきましたね」。

ご相談者さまの場合、第二の作戦になったのは、最初に「後出しジャンケン」を言われた買取店でした。

別のご相談でも、入札が1社だけだった方に、ほかに買いたいお店がいないのではなく、「MOTAの上位枠に今回は1社しか入らなかった」というだけ、とお答えしています。

そのときは、地域の買取店にも声をかけて、もう1〜2社に同じ時間に来てもらうのがおすすめです。

「一社とだけ交渉するのは、自分も相場感に非常に自信があり、高く出せる相手と互角にやり取りできる場合です」。

「もしくは、1社しか申込みがこず、1社と交渉するしかない場合ですね」。

4月に売るなら、自動車税の分も見ておく

軽自動車の税金は、4月1日に持っている人に1年分がかかり、途中で手放しても月割りでは戻りません。

※ 名古屋市「軽自動車税のQ&A:軽自動車税の課税」より(2026年10月に確認・自家用の軽自動車は年10,800円〔2015年4月以降に最初の検査を受けた車〕)。

普通車も、売って名義が変わったときは、その年度の分は戻りません。

※ 東京都主税局「自動車税の課税について」より(2026年10月に確認・廃車〔抹消登録〕のときは月割りで戻ります)。

ですので、4月に売るときは、自動車税の分が買取の金額に含まれているかを確かめてみてはいかがでしょうか。

別のご相談でも、「大事なことは還付されるかどうかではなく、受け取れる金額です」とお答えしています。

自動車税と売る時期の関係は、こちらでくわしくお話ししています👇

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まとめ

  • 期限に追われて、安い金額で決める必要はありません
  • 期限の日付が、今の保険が終わる日なのか、次の1年の払い込みの期日なのかを、先に保険会社に確かめます
  • 終わる日までに売れたら、その日付で解約と中断証明書の発行をお願いします
  • 間に合わなければ、払って続けても、解約すれば使わなかった期間の保険料は一部が戻ってきます
  • 払い込みの期日を過ぎたまま放っておくのは、やめておきます
  • 「その場で決めないと金額は出せない」と言われても、比べるのをやめなくて大丈夫です
  • 相場が分からないうちは、希望額は言わずに「いちばん高いところに決めます」と伝えます
  • 入札が1社だけなら、地域の買取店にも声をかけて、同じ時間に来てもらいます

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ギリギリ昭和生まれ、2児のパパとして奮闘中…空いた時間に車の情報発信や質問に答えている管理人のピゴスです! クルマ好き歴30年以上、気付けば1級自動車整備士(笑)元、国産自動車のディーラーの営業マンです。 過去に車を整備したり販売させていただいたりする中で、車を移動手段と考えている方にこそ、様々なお悩みがあることに気付きました。そう言った悩みのある方が、知らないがゆえに損してしまうことがないようにこのブログを立ち上げました。少しでもみなさまのお悩みに寄り添った内容を発信できればと考えております。 取り上げて欲しい題材、個別のお悩みなど、記事の下のコメント欄でいつでも承っております。ニックネームもメールアドレスも要りませんので、お気軽にどうぞ!